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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE36 リズベットからの依頼。襲い掛かるPK集団!

西暦2023年3月某日。ソードアート・オンラインの最前線を戦う攻略集団は第24層に到達していた。そして――総勢10人規模の少数ギルドながらも、攻略集団の一角を担うMBT(未来は僕らの手の中に)のリーダーであるオズマの元に訪れるとある者がいた。



リズベット「だから聞いたのよ!第24層のフィールドの野営地で手に入るのよ、鍛冶屋にとって重要な、アイテムが!情報屋のアルゴさんに聞いた話だから間違いないわ!」

俺の元に訪れたのは、第一層で知り合ったリズベットだった。リズベットは現在鍛冶職を始めたらしく、武器の製造や修理などを生業としており、本人が言うにはこの最善である第23層で、それはそれは鍛冶屋にとっては喉から手が出るほど欲しい鍛冶アイテムがあるそうだった。

俺「へぇ~、それをこれから今から取りに行くのか―――一人で危険だと思うが大丈夫か?」

リズベット「すっとぼけてんじゃないわよ!アタシのレベルで最前線のフィールドを一人で歩くのは危険だから、アンタのギルドに護衛を頼むって言ってんのよ!」

俺が冗談半分で、リズベットの意図を理解してないように振舞うと、リズベットは机を両手で叩き、大きな声を上げていた。

俺「喚かなくたって、ちゃんと分ってるっての。お前が言う野営地はまだ行ったことの無い場所だけど、最近更新された攻略本の情報通りなら、俺とレイナだけで問題なくいけるだろうな」

レイナ「……そうね」

リズベット「流石はMBTのリーダーじゃない!頼りにしてるわよ二人とも、報酬は武器の強化一回分を無料にしておいてあげるわ」

俺「報酬は現金だ」

そんなこんなで、俺とレイナはリズベットの依頼を受けて鍛冶アイテムが眠ると言う野営地を目指したのだった。
道中で出現するMobは攻略本の情報通りで、俺とレイナの二人だけで難なく対処でき、リズベットはあくまで警護される者として、俺やレイナの後方で極力手を出すことなく、安全な場所に陣取ってもらう状態だった。

そして、野営地のMob達を倒しながら探索をひたすら続けて、数時間以上が経過した頃だった―――

リズベット「あ、これ……トレジャーボックスじゃない!」

俺「こんな野営地に初めてだな、トレジャーボックスとか」

リズベットが見つけたのは、赤い大きな宝箱だった。リズベットはようやくこの中に自分が探し求めていたアイテムがあると踏んで、早速トレジャーボックスに接近するが。

レイナ「……待って」

リズベット「え?」

レイナにしては珍しく、大きな声でリズベットを制止していた。流石にリズベットも驚いたようで、その場でピタリと止まりレイナの方を振り返ると、レイナは両手剣を構えてリズベットに―――正確には宝箱に接近してそのまま、

リズベット「ちょっ!な、なにする気なのよ!?」

宝箱に向かって、横薙ぎで剣の重量を標的に叩きつけるソードスキルの《ブレイクタイム》を叩き込んでいた。

「ヒギィ―――――――!!」

リズベット「えぇ!?な、なんなのよこの宝箱……しゃ、喋ったの?」

俺「そうか、こいつは宝箱に擬態したミミック系統のモンスターだったわけか!」

レイナのソードスキルの一撃を叩き込まれた、宝箱に擬態したモンスターはダメージを受けると、甲高い叫び声をあげて、その宝箱が半開きになると、その中からは黄色く光る眼光が一瞬だけ見えていた。そして、箱の中が大きく開くと、何十本もの鋭い牙が現れて、そのまま自分にソードスキルの一撃を食らわせた、レイナに噛みつこうとしていた。

俺「させるか!」

レイナはソードスキル発動後の硬直状態だったので、俺は剣を鞘から抜かないまま、ミミックを殴打していた。
納刀術スキルを習得している俺は、剣を鞘から抜かずとも、鞘から抜いた状態と同等のダメージじを与える事が出来る。
総じて防御力の高いミミックには、通常攻撃の一撃は微々たるダメージに過ぎなかったが、敵の注意を俺に引き付ける事には成功したようだった。

すかさず俺は蹴りと殴打を交えた三連撃の納刀術ソードスキルの刹牙(せつが)を発動し、ミミックよりも先に蹴り→蹴り→鞘での殴打の三連続でのダメージを与えた。

俺「まだまだぁ!」

そこから更に、鞘から剣を抜き放つ納刀術ソードスキルの抜刀(ばっとう)でミミックを居合斬りの要領での一撃を食らわせた。

このソードスキルは発動すると、必然的に剣を鞘から抜いた状態になり、癖の強いソードスキルではあるのだが、直前に発動した納刀術ソードスキルの硬直をキャンセルして、即座に発動できることに加えて、抜刀を発動後の硬直も、他のソードスキルを即座に発動する事でキャンセルし、更に連携につなぐことが出来る――まさに、この抜刀は納刀術ソードスキル→抜刀→片手直剣ソードスキルへとソードスキルの連携を成り立たせる繋ぎとして、俺は習得直後からかなり重宝していた。

抜刀の直後に剣を鞘から抜いた状態になった俺が発動した片手直剣ソードスキルは3連撃のソードスキルのサベージ・フルクラムだ。
右から水平斬り、更に剣を垂直に跳ね上げて斬り割き、最後の一撃で垂直斬り下ろしを食らわせると、ついに頑丈な防御力を誇るミミックも、レイナのソードスキルでダメージを受けていた事もあり、俺の3種類のソードスキルの連続攻撃には耐えきれずに、HPバーをついに完全に喪失していた。
ミミックの身体がバラバラに砕け散ると、直後にリズベットが驚嘆の声を上げていた。

リズベット「な、なんなの今の!?ア、アンタ……今、三種類くらいソードスキルを連続で発動してたわよね!?硬直もしないで、あんなこと出来ちゃうわけ!?」

俺「今の所は、だいたいあれが精一杯だな。抜刀の後に片手直剣のソードスキルを即座に発動できるのは良いんだが、その後は結局はそのソードスキルの硬直は避けられないからな」

だが、そんなソードスキル3種類の連続でミミックを倒したことにより、俺はリズベットからの依頼を果たす事が出来たわけでもある。

俺「アイテムをドロップした。こいつがお求めのアイテムなんじゃないのか?」

俺がそう言いながら、ミミックからドロップしたばかりのアイテムをオブジェクト化すると、リズベットは目を輝かせてそれを即座に手で握っていた。

そのアイテムは一見するとただの木槌の様にしか見えないが、取っ手の部分には『匠』と文字が書かれていた。

リズベット「そ、それ!それよそれ!匠の木槌(たくみのきづち)だわ!金属鎧を製造するのに特化してるのよそれ!」

レイナ「……リズベットが探してた、鍛冶職人の為のアイテムは、ミミックのドロップアイテムだったのね」

リズベットは目を輝かせながら匠の木槌を手に取ると、それを両手でしっかりと握りしめると、その場で高く飛び跳ねまくっていた。

俺「じゃ、依頼はこれで達成って事で良いな?後は主街区に戻るだけだ。主街区に戻るまでは敵が何時襲ってくるか分からねーから、俺達から離れるなよ」

リズベット「分かってるわよ、早く主街区に戻って、この木槌で鎧を造ってみたいわね~」

俺とレイナはリズベットを連れて、主街区に戻る為に野営地を離れる事にした。野営地に出てくるMob達を次々と倒し続ける俺とレイナ。

リズベットはと言うと、俺とレイナの後ろで手に入れたばかりの木槌を大切そうに握りしめていた。すぐにオブジェクト化してアイテムストレージに入れてしまえば良いのだが、アイテムを手に入れた実感を味わいたいのかもしれない。

まあ、その気持ちは俺も分からないわけじゃない。俺も最近になってようやく第二層のフロアボス戦でドロップした皮製の防具の『剣豪の防衣(けんごうのぼうい)(きざし)』を装備するのに必要なレベル35となった時は、初めてこいつを手に入れた実感を感じた事も有って。しばらくはオブジェクト化した状態の『剣豪の防衣』をしっかりと眺めて、改めて自分の物だと言う実感を身に沁み込んでから、今こうして装備している。

レイナ「……止まって」

俺「どうしたレイナ?」

俺のそんな考え事を打ち切ったのは、真剣な声のレイナが制止を促す声だった。レイナがこう言うと言う事は、索敵スキルで何かを発見したのだろう。

リズベット「どうしたのよいきなり。――――早く主街区に戻るんじゃないの?」

レイナ「……プレイヤーが3人、隠れているわ」

俺「へえー、一体何の目的で、プレイヤーが身を隠しながら俺達をじろじろと眺めてるんだろうな~?」

俺はワザと、隠れている三人のプレイヤーに聞こえる声量でそう言った。俺とレイナの後ろのリズベットは、ここで只ならぬ状況にある事を察して、不安そうな表情を浮かべていた。

すると、そんな俺達から姿を隠し続けるのを諦めたのか、三人のプレイヤーが俺達の前に堂々と姿を現した。
そいつらが、ただのプレイヤーであれば、ひとまず俺達は話し合いから始めようと思っただろう―――だが、俺達はそのプレイヤー達の頭上のカーソルの色が一般プレイヤー達と同じグリーンではない、犯罪者プレイヤーの証であるオレンジカーソルである事に気が付き、容易に話が出来る相手ではないと気が付いた。



犯罪者(オレンジ)プレイヤーとは――盗みや傷害、あるいはPK(プレイヤーキル)といったシステム上の犯罪を行ったプレイヤーの通称。犯罪を行ったプレイヤーはカーソルが緑からオレンジに変化するのが特徴である!

オレンジプレイヤーが『圏内』に入った場合、悪魔的な強さを誇るNPCガーディアンに大挙して襲われるため事実上『圏内』へ立ち入ることは不可能。

転移門は『圏内』にのみ設置されているため、オレンジプレイヤーが層を移動する方法は限られる上に、通常のプレイヤーがオレンジプレイヤーを攻撃してもオレンジ化することはないため、オレンジプレイヤーには犯罪者狩りや襲撃した相手の過剰防衛による死のリスクが付きまとってしまうなど、様々なデメリットを背負う事となり、一度カーソルがオレンジになると、カルマを回復するためのクエストをクリアしない限り解除は有り得ぬのである! by立木ナレ



槍使い「おいおい、俺等の隠蔽(ハイド)見破るたぁ、あの女―――相当な索敵スキル持ってやがるぜ」

曲刀使い「良ーんじゃねーの?狩る獲物が強けりゃ、つえー程……狩った時の達成感はデカいんだしさ!」

槍を持った男のプレイヤーがレイナの索敵スキルを警戒するようにそう呟くと、隣の曲刀使いはむしろ上等だと言わんばかりにテンションの高そうな声を上げていた。二人のプレイヤーは声からして男だと言う事は分かるが、どちらも仮面で顔を隠していた。
そして、その二人に比べて明らかに小柄で身長が精々140センチ大半ば程度しかなく、目から赤い血を垂れ流しているような、グロテスクなウサギのマスクを被っていて、小柄な体格と比較すると大きすぎるくらいに見える、(なた)を持っていた。

ウサギマスク「アタシ、女になんて興味な~い。アタシが興味あるのはね、あっちのイケメンのお兄さんだけだから、他の女二人は好きにやっちゃってね~」

リズベット「え……も、もしかして女の子!?それも――アタシ達より年下なんじゃ……?」

ウサギマスクの小さな身体つきと、その幼さを感じさせる声からリズベットは驚嘆に満ちた声を上げていた。
リズベットの言った通り、恐らくあのウサギマスクは俺やレイナ、リズベットよりも間違いなく年下の少女だろう。

そして、この集団が何者なのかはすでに心当たりがあった。第10層を超えた頃からアインクラッドで噂になり始めていた、プレイヤーキルを繰り返す危険な連中―――PK集団とか呼ばれている連中だろう。

俺「PKやりたさに最前線にまで赴いてきやがるなんて、ご苦労なこったな。ここで出会う俺達が、その辺の中層のプレイヤーじゃねーって事くらいはアンタらも分かるだろう?」

曲刀使い「分かってるってばよ。そんな事はな!けど、そーんな強いプレイヤーを殺してこそ、PKってのはやり甲斐があるもじゃねーか!」

俺の警告を含んだ言葉に対しても、曲刀使いは剣を鞘から抜いた状態で、意気揚々とした声色でそう叫んでいた。

リズベット「な、なに言ってんのアイツ?―――こ、この世界で他のプレイヤーのHPをゼロにする……PKするって事はつまり―――こ、殺すって事だってあんた達分からないわけ!?」

リズベットは震える身体で、目の前の殺人集団を前にして、己を奮い立たせるようにそう叫んだが、三人の殺人鬼たちはそんなリズベットの言葉に対して、まるで滑稽な者を見ているかのようにゲラゲラと嘲笑い始めていた。

レイナ「……話し合いの余地――0%ね」

対峙するオズマ達と危険極まりないPK集団!次回、PK集団の殺意がオズマ達に向けられる!オズマ達はどう切り抜けるか!? by立木ナレ 
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