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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第58話 とある夜の有栖家

さて、いきなりだけどピンチです。
あっ、俺じゃないです、星とキャロです。

一体何をしているのかというと…………


『金曜ロードショー、汚染都市』

要するにホラーだ。
しかも15禁。
俺的にはキャロには見てほしくないのだが………

「絶対に見ます!」

と頑なに拒否。
キャロも見ることになった。


そして星は…………



回想…………………

「今日、金曜ロードショーで汚染都市やるよ!!」

新聞の番組欄を見ていたライがみんなに言った。
俺的には番組欄とスポーツ欄以外の記事も読んでほしいのだが…………

「確か去年の夏、ホラー部門で人気第1位の作品だっけ?」
「そうだ。ゾンビのリアル感、恐怖度、ストーリー、どれも好評価を得ている作品だ」

さすが夜美、詳しいな。

「面白そうだな、せっかくだし見るか」

フェリアも興味を持ったみたいだ。
今日の夜のテレビはこれで決まりかな?

「ま、待って下さい!!違うチャンネルで『動物ランド、今回はかわいい動物スペシャル』やってますよ!!」

「「却下!!」」

「私は見たいかも…………」

おっとフェリアが傾き、2対2に別れたぞ。

「そうだ、キャロはどっちが見たいですか!?」

「ハウルの動く家」

ジOリだぁ〜!!

「だけどそれDVDだよね?」

「うん!真白ちゃんに借りた!」

キャロの友達、良い趣味してる!!
大人も子供も楽しめるアニメ、それこそジOリ!!

「でもDVDなら、明日にしよう。テレビは今日しか見れないし」

「…………残念です」

ライに言われ、残念そうにDVDをしまうキャロ。
明日一緒に見よう…………

「そういうことで、何を見る?」
「えっと、色々な賞を取っている汚染都市の方が気になるかな………」

キャロがそう言うと、この世の終わりみたいな顔をする星。
まさかキャロまで見たいって言うと思ってなかったのだろう。

「これで決定だね!今日の夜は汚染都市を見よう!」

こうして今日はみんなで汚染都市を見ることになった。





「これで準備はOK………」

部屋を暗くして、飲み物とポップコーンを用意したライ。
他のみんなもポップコーンは無いが、飲み物は用意した。

「…………………」
「星、やっぱりやめた方が………」

既にガチガチになっている星にそう言うが、

「だ、大丈夫ですから………キャロが見るのに私だけ逃げるのは…………」

変な所で負けず嫌いだよな、星も。

「キャロは平気か?」
「ドキドキします!」

キャロは映画館みたいな雰囲気にワクワクが止まらないみたいだ。
今度、ちゃんとした映画館に連れていってあげよう。

「みんな、始まるよ!!」

ライの一声により、テレビの前にみんなそれぞれ集まった。







汚染都市、前世であったバイオハザードを日本版にしたホラー映画。

『もう終わりだ…………こんな世界に希望なんか…………』

金髪のいかにも最初に死ぬだろう青年がセリフを言っている。
そろそろかな…………

そう思ってると物陰からいきなり現れたゾンビに襲われ、食われた。

「「ひぃ!?」」

ゾンビに食われた時と同時に大きな音が響く。
それに大きく反応する俺の両隣の人物。

………………星とキャロである。

二人とも俺の腕にしがみついていて、用意した飲み物が飲めないんだけど…………
俺はソファーに座ってたのだが、その両端に星とキャロが座ってきた。
二人用のソファーなので少々狭いのだが…………

向かい側のソファーにはライと夜美が座っている。
睨まれていたっぽいけどあえて気にしないことにした。

ちなみにフェリアはいつも食事しているテーブルにあるイスに座っている。

「う、動かないで!!お願いだから………」
「お兄ちゃん、私から離れないで………」

もうビビりまくり。
星はともかく、キャロにはやっぱり早かったようだ。

学校のO談辺りが子供向けのホラーだったかな。
星はそれでも駄目だったけど…………

「いや、ちょっとトイレに行きたいんだけど………」

「「なら、私達もトイレに行きます!!」」

マジで勘弁してください…………
結局俺は我慢することにした。







ちょうどCMに入ったので、それぞれ今のところの感想を話し合っていた。

「結構迫力あるね!!」
「そうだな、だがいきなりゾンビが出てくる所を大きな音で驚かそうとする傾向にあるな…………」

夜美の評価は辛口だな。

「フェリアはどう?」
「ドクターが似たような薬品を作りそうになった事を思い出した。これでどこかで使用されていれば、その世界は死んだも同然だったな」

スカさん…………
流石に細菌兵器を作っちゃ駄目だろ。

「レイは?」

「トイレ行ってきていいか?」

そう言うと隣の二人がブンブン首を振る。
頼むから行かせてくれ………

「やはり二人には刺激が強すぎたか………」

「そうだね、二人共怖がりだし………」

怖がりの所を強調するなよ。

「べ、別に怖がりって訳じゃ無いです!!」
「私はお兄ちゃんがいないと………」

キャロは素直だな…………

「分かった、直ぐに戻ってくるから………」

俺はそう言って、トイレに駆け込んだ。
だって結構限界だったんだもん………

しかし…………

「お兄ちゃああああああん!!!」
「キャロ!?」

トイレ内からでも聞こえてくるほどの声が聞こえた。
一体何があったんだ!?

俺は慌ててトイレから出てきてリビングに向かうと………

「うわああああああん!!」
「レイ〜!!」

キャロと星が抱きついてきた。

「一体何があったんだ?」

「レイが消えた後、直ぐに番組が始まったんだけど………」

「今までよりも過激なシーンがきて耐えられなかったみたいだ」

なんとタイミングの悪い………

「………これじゃあこの二人は続きを見れないか。仕方ない、早いけど寝るか二人共」
「「「えっ!?」」」

「仕方ないだろ、このままだともっと泣き始めるぞ。うるさくて見ていられないだろ」

「そうだけど…………」

「続きは気になるけど、仕方ない。ほら行くぞ二人共」

そう言って俺はくっついている2人を連れて、2人の部屋に向かった。







「今日は星と一緒に寝させてもらえ」

星の部屋にキャロを連れていき、一緒に寝れるようにしたが…………

「お兄ちゃんも…………………」

繋いだ手を放してくれないんだ。

「あのなキャロ、流石に…………」
「駄目ですか……………」

そ、そんな潤んだ目で見るのは反則だろ!?

「あの……………レイ?」

「何だ?」

「私なら……………気にしないですよ……………」

…………………ハァ!?

「いや、でもな…………」
「お兄ちゃん…………」

だからそんな目で…………

「ハァ、今日だけな」

うん、折れました。

「うん、ありがとお兄ちゃん」

そう言って俺は星のベットに俺が真ん中で川の字に…………
って、

眠れるか!!
普通にいい匂いがするし、挟まれるとか緊張して寝られないんだけど…………

「懐かしいですね、こうやって寝るの…………」

「………まあ、そうだな」

星が言ったのはまだ星達が俺と暮らし始めたとき。
最初の頃は布団4枚敷いて、4人で川の字で寝ていた。
まだベットも買ってなかったしな。

だけどな、

「その時とは違うだろうが…………」

「そうですね」

今は同じベットに3人だ。
前の時とは全然違う!

「でも、こういうのはたまには良いです…………」

嬉しそうに言う星の顔はどこか色っぽくて不覚にもドキッとしてしまった。

「まあ確かにな…………」

照れているのを隠しながら、俺の腕を抱いて寝ているキャロの顔を見て俺は呟いたのだった……………










「さて、言い訳を聞こうか?」

翌朝、休みなのに早起きしていたライと夜美に叩き起こされて、俺は2人の前で正座をしている。
ちなみに床の上で…………

「い、言い訳って何の事ですか?」

「とぼけないの!!何で昨日星の部屋で寝ていたの!?」

怒ってるように見えるが、あんまり怖くないよなライは。

「何でって、昨日キャロに頼まれて………」
「頼まれて………?」
「夜美、頼むから睨むな、恐いから………」

夜美も怒らせると星並に恐いからな…………

「星、お前も何か言って…………」

おい星、何で顔を赤らめてクネクネしてるんだ?
そんなんじゃ……………

「「レイ…………」」

「待てって!!誤解だ、俺は何もしていない!!」

だから、デバイスしまってくれ!!
おいキャロ、フェリア助け………

「キャロ、牛乳は?」

「ありがとうフェリアお姉ちゃん」

ちょっと、2人共!?
たった今近くに危険な状況に陥ってる俺はスルーですか?

「「さあ、覚悟はいい?」」

「もう好きにしろ………」

俺は諦めて成すがままになった。







「お兄ちゃん、大丈夫?」

「そう思うなら助けてくれ…………」

あの後、しっかりオシオキされ、「次は僕たちもだからね!」と意味深なセリフを残してそれぞれ部屋に戻っていった。
取り敢えず俺は直ぐに星に説教。
そしてやっと朝飯にありつけたのである。

「だって、ライお姉ちゃん達の気持ちも分かるもん」

キャロは星の味方だった。
気持ちが分かるって、星達もキャロの様に甘えたいって事かな?

「だからって休日もボロボロになるなんてな………」

俺は絶対はげるなこりゃ…………
この年でそんな心配しなくちゃいけないなんてな…………

「酷いですよ、少しくらい余韻に浸ってもいいじゃないですか…………」

「もう星とは一緒に寝ない」

「えっ!?す、すいません!!謝りますので、それだけは!!」

深々と頭を下げて謝る星。
そこまで一緒に寝たいのか?

結構大人になってきたかと思えば、まだまだ子供ってことかな?
だけど、そのたんびに理性を保つ俺の気持ちにもなって欲しいものだ。



結局、今日からライと夜美が俺のベットに潜り込んできて、ぐっすりと寝られなかった。 
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