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ブルーリーダー

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第三章

「三人のね」
「彼女達とですね」
「雑誌モデルやってもらうから」
「一緒に撮影場所までですね」
「行って仕事しようね」
「わかりました」
 星司はマエージャーの言葉に素直に頷いた、そうしてその娘達と仕事に赴いたが。
 その娘達を時には諭し時には宥め時には励ました、それでだった。
 その娘達は星司本人にだ、こう言った。
「今日は有り難うございます」
「何かとよくしてもらって」
「まるでお兄さんみたいでした」
「いや、僕は何も」
 そう言われても特に特別なことをした覚えはないのでだ、星司はこう返した。
「していないよ」
「いえ、何かと教えてもらったり」
「励ましてくれたり」
「お陰で今日は凄く気持ちよくお仕事出来ました」
 こう言うのだった。
「お仕事のことも教えてもらって」
「気配りもしてもらって」
「本当に有り難うございます」 
 三人の娘達は星司に言うのだった、だが。
 星司自身は何かした覚えはなくだ、マネージャーと二人になった時に言った。
「何かあの娘達随分僕に感謝しているけれど」
「うん、実際にかなり感謝しているよ」
「僕は何も」
「していたよ」
 マネージャーは星司に笑顔で答えた。
「いつも通りのことをね」
「いつも通りですか」
「そう、いつも通り知的なリーダーとしてね」 
 そのポジションとして、というのだ。
「ちゃんとしていたよ」
「そうでしたか」
「そしてそれがね」
 そのことがというのだ。
「よかったんだよ」
「あの娘達にとっても」
「そうだったんだ」
「そうでしたか」
「そう、そしてね」
「そして、ですか」
「そうした子だからね」
 星司がというのだ。
「だから社長さんも君をユニットのリーダーにしたんだよ」
「そうでしたか」
 最初に社長に言われた時にも納得していた、だがこの時は言われた言葉を鵜呑みにしていた。そう言われるとそうなのかと思ったのだ。 
 だが今はだ、その話を聞いてだった。彼はわかったのだ。
「僕がこうした人間だから」
「そうだよ、だから今回もね」
「あの娘達もですね」
「感謝しているんだよ、ではね」
「これからもですね」
「そう、頑張ってね」
 アイドル、そのユニットのリーダーとしてだ。マネージャーは星司に笑顔で言った。そして星司もだ。
 笑顔で頷いて応えた、そうしてユニットのリーダーとして活動していく決意をあらたにするのだった。


ブルーリーダー   完


                 2018・8・27 
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