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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE30 ギルドフラッグは誰の手に?新たなる問題発生!

16人のレイドメンバー達を混乱に陥れた第5層フロアボス『フスクス・ザ・ヴェイカントコロッサス』は、ホリゾンタル・スクエアによって止めを刺されて爆散!

カレラは成し遂げたのであった!―――犠牲者を誰一人出すことなく、16人の急造のレイドメンバーでフロアボス戦を勝ち抜いたのであった! by立木ナレ



シヴァタ「…………終わった」

掠れた声でシヴァタがそう呟いたのを切っ掛けになり――――急造レイドパーティーのメンバーが、一気に完成を爆発させた。

ユッチ「やったすよ!僕たちたったの16人でフロアボスを倒しちまったっす!」

エギル「おう!一時はどうなるかと思ったが、勝ったな俺達!」

エルダ「みんなお疲れ様!流石はボス戦慣れしてるだけあって、良い戦いしてるじゃない!」

ハフナー「何言ってんだよ、アンタだって大したもんじゃねーか!」

メンバー達はお互いを労い、ある者は豪快に笑い合ったりしていた。

レイナ「……オズマ、お疲れ様」

俺「お前もな―――だが、重要なのはドロップしたアイテムだよな」

レイナ「……ギルドフラッグをどうするかね」

無論、それに関してはキリトも解っている事だろう。キリトはと言うと、俺から少し離れた場所で、アスナやネズハと何かを談笑しているようだった。
そこに、シヴァタが俺達に歩み寄って来て、俺の肩を強くパンパンと叩きながら言った。

シヴァタ「オズマ、さっきは本当にマジでありがとうな!―――あの槍、高く売れたのに俺を助ける為に使ってくれるなんてな――」

俺「確かにそれなりに高値で売れそうな武器だったけど、アンタって言う戦力に比べりゃ、安いもんだと思うよ。シヴァタさんはDKBには、欠かせないメンバーだしな」

シヴァタは照れくさそうに苦笑すると、今度はキリトの方に歩み寄り、『おい、やったな!』と笑いながら右手を持ち上げて、キリトとハイタッチを交わしていた。

キリト「……まずはおつかれさま……そしてありがとう。みんなが頑張ってくれたおかげで、ボスを倒す事が出来た。いろいろ予定外の展開、というか偵察がいきなり本番になっちゃったけど、間違いなくこれまでで最強のボス相手に、全員、最高の戦いをしてくれたと思う」

キリトがそこまで言うと、A隊リーダーのハフナーが両手を腰に当てて意外な事を言う。

ハフナー「俺がこんなこと言っちゃうのは立場的にマズいけど……ギミック満載のあのボスを死人ゼロで倒せたのは、16人の少数精鋭パーティーだったから、ってのもあるかもな。フルレイド48人だったら、全員が床のラインを避け続けるのは無理だった気がする」

そこでハフナーは自分の言葉から何か気が付いたかのように、ALSのオコタンに目を向ける。

オコタン「あ……オコさん、もしかしたら、ALSが主力だけでボス討伐を計画したのって、攻略法を掴んだからなのか?」

オコたん「いえいえいえ、まったくの偶然だと思います。それに、私もオフレコでお願いしますけど、ALSの主力3パーティーじゃ死亡者0の攻略は難しかったと思います。うちはメンバーにビルドの指示とかはしないので、しんどいわりに経験値効率の悪いピュアタンクが古参にはいないんですよ。リーテンをスカウト出来て、ようやくタンク事情が改善されると……それこそベア、いえクマの様に活躍してくれると思っていた所です」

リーテン「ちょっとオコさん、熊は酷いですよ」

俺が、熊と言おうとして、なんでベアって言いかけたんだろう?などと言うどうでも良い疑問を抱いていると、リーテンの抗議にオコタンは焦ったような笑みを浮かべて、シヴァタやハフナー、エギルにユッチも声を出して笑った。

他のメンバー達も談笑を始めて、広間に幾度も笑いが広がりかけた時、キリトが右手を挙げてそれを遮った。

キリト「皆、あまり時間が無い。急いで6層に上がりたいけど、その前にひとつ、大事な事を済ませなきゃいけない」

キリトの言葉を聞いて、一同の顔に真剣さが戻った。それが何なのか俺を含めて全員知っているからだ。

キリト「――この作戦のそもそもの目的……ギルドフラッグがフスクスからドロップした人は、いま申告してほしい」

エギル「おお、そういやそうだったな。すっかり忘れてたぜ」

エルダ「エギルさんったら……けど、戦いに夢中になり過ぎて、途中でそれどころじゃなったから無理ないわね」

エギルがそんな言葉を発しながら、自分は違うと両手を広げて、苦笑していたエルダもそれを真似する。

エギルの仲間達も同じように肩をすくめたり、首を横に振ったりし、ALSの二人とDKBの二人も同じような反応を返す。
ユッチもドロップしていないようでへらへらと笑いながらアイテムストレージを確認して「無いみたいっすね」と言っていた。

俺「レイナ、お前ドロップしたか?俺のアイテムストレージには無いみたいだが」

レイナ「……ボスが倒された後に確認済み。だけどなかった」

そして、アスナ、アルゴ、ネズハの三人も違うようだった。

ウルフギャング「当然、キリトも違うんじゃよな?」

キリト「ああ……俺にもドロップしなかった」

ウルフギャング「ってことは、正式サービスの5層ボスは、そのフラッグとやらを持ってなかったっちゅう話かい?」

狼男を思わせる風貌のウルフが呆れたように長い髭をしごくと、華麗状に毛むくじゃらなローバッカが両手を上げて言った。

ローバッカ「なんつう人騒がせな話ったい!オイたちの苦労はなんじゃった……と……」

その言葉が減速して、途切れたのはローバッカも気が付いたんだろう。だが、それは俺もこの場で口にすべきかどうか判断に悩んだ。

厄介な事にだ、この場の誰かが、本当はドロップしたギルドフラッグを申告せずに、アイテムストレージに隠匿してる可能性が有り得るのだ。




勝利後の高騰した空気が跡形も無く霧散していく!ボス戦の間は確かに一つになっていたメンバー達の心―――だが、猜疑心を宿した眼で互いを見合う様子を誰もが感じていた!
一定時間の沈黙が続き、重苦しい空気が続いたその時であった―――奴らがまるで揺さぶりを掛けに来たと言わんばかりに姿を現したのは! by立木ナレ



ガチャモン「いや~、いよいよ2023年が間近に迫って来たね皆~。このアインクラッドにいたんじゃ、年末の特番とかは見れないけどさ。せめて年越しそばくらいは食べて、大掃除も済ませて、新年を新しい気分で始めようじゃないか~」

モック「って、あれ?十六人?十六人しかいないじゃないですか貴方達!――フロアボスが倒されたから、48人のレイドメンバーの方達がいるかと思いきや、一体全体どうなってるですか!?」

ネズハ「うわっ!ガ、ガチャモンとモック!!」

エルダ「こうして、間近で見るのは初めてになるわね……一体貴方達が何の用でここに来てるのかしら?」

アスナ「貴方達に用はないわよ……!」

大体予想通り、ガチャモンとモックが現れて、フロアボス戦の直後でありながら16人しかいない事に、モックが驚いたような素振りを見せるが、どうせ奴らはこの事も最初から分かっていたに決まっている。

ネズハが目の前に現れたガチャモンとモックに怯み、エルダが嫌悪感を感じさせる表情で睨み付けて、アスナはそれ以上に氷のように冷たい視線で二人を睨み付けていた。

ガチャモン「またまたそ~やって、人様を邪魔者扱いするんだから~、仲間外れやシカトは虐めのはじまりだから、皆、気を付けなくちゃダメじゃないか~」

モック「ぐほほっ!実は我々はちゃ~んと分ってますですぞ。ALSの強硬派たちがギルドフラッグを抜け駆けで手に入れようとしていたので、それを阻止する為に少人数でのレイドパーティーでALSに先んじてここに訪れたですな~?」

レイナ「……やっぱり、プレイヤー達の行動は貴方達には全て筒抜けなのね」

エギル「しかも、ベータテスターしか知らねぇ、ギルドフラッグの事まで知ってやがるのか。オメーら本当に茅場の差し金じゃねぇんだろうな?」

最早ガチャモンとモックが、ゲームのシステムにかなり深く干渉できることは明白だ。だが、奴らは今の所自分たちが茅場晶彦の共犯である事は一度たりとも認めておらず、かと言ってそれをハッキリと否定もしないと言う一番ややこしい態度を取り続けていた。

ガチャモン「はいはい、関係ない質問はいいからさ、今の君達にとっては、ここにいる誰がギルドフラッグを手に入れたのかを確認する事―――でしょ?」

そのガチャモンの変わらぬ表情から発せられた言葉を聞いた途端―――俺は、これからこいつがこの場にいる者達の疑心暗鬼を更に煽ろうと企んでるんじゃないかと言う、疑心を感じた。

そして、それは予想を裏切る事無く。

ガチャモン「僕はね、ボランティアがマイブームなんだよ」

ユッチ「お、お前らがボランティア~?だ、だったらさっさと僕らをログアウトさせろよ!お前らにはそれが出来るんだろう!!」

ユッチが、この場でガチャモンとモックに対してログアウトさせろなどと喚き命令するが、当然そんな事が叶うわけがない。

モック「ぐほほ、ガチャモンっては2018年に2歳の女の子を救助したお爺さんのボランティアの人の動画を最近になって見ましてですな、その時のあのお爺さんの人気ぶりを目の当たりにして―――まぁ、目覚めちゃったんですな~」

ハフナー「4年も前の話じゃねーか!それなら俺も見たけど、それで今更ボランティアに目覚めただぁ!?」

リーテン「し、信用できません!余計な事が目的なら消えて下さい!!」

ハフナーが声を荒げて、不信感に満ちた目付きで二人を怒鳴り付けて、リーテンが強気な口調で辛辣な言葉を浴びせるのだが――――

ガチャモン「シャラップ!黙れゴミ共がぁ!!」

ユッチ「ひぃ!す、すみませんでした!!」

リーテン「きゃっ!」

ガチャモンの怒気に満ちた一喝によってリーテンは気圧され、何も言ってなったユッチが一番ビビっていた。

シヴァタ「お、お前ら……!」

ガチャモン「はいはい!ボランティアの内容を発表します!これをどうぞ!」

そう言いながらガチャモンがオブジェクト化したアイテムは――ただの懐中電灯のようなアイテムだった。
そして、俺達がこんなのが何だと思っているのを予想したかのように、モックの説明が始まる。

モック「このアイテムを持っている人は、アイテムの名前を呼んでから、プレイヤーの誰かに光を当てると―――あら不思議!そのアイテムが強制的にオブジェクト化されると言う優れものすぞ――――!!」

その説明を聞いて、俺は直ぐにこいつらが何をしたいのか理解した。

ガチャモン「くすす、まさにアイテムの秘匿行為、何て言う事してやがる、不届き者を炙り出すにはうってつけのアイテムだねぇ~」

モック「これはお得!これは使うっきゃありませんですな~!」

嬉々とした声で、語り合うガチャモンとモック。こいつらは俺達にそのアイテムを使って、ギルドフラッグを秘匿している者を炙り出して、最終的に俺達がそいつにどんな罰を下すのかとか―――そんな事を期待してやがるのか。

ガチャモン「じゃ、僕たちはこれで失礼しま~す。2023年もガチャモンをよろしくね~」

モック「ちょっとちょっと!自分だけですか!?私は仲間外れですか!?ちょっとガチャモン!!」

そんな、バカなやり取りをしながら、ガチャモンとモックは転移でその場から消えたのだった。―――そして、俺達の目の前にはガチャモンとモックが残した、アイテムを強制的にオブジェクト化させるライトが転がっている。

誰もがそれをじっと見ているが、それを拾おうとする者は誰もいない―――

アスナ「キリト……君?」

と、思いきや、キリトが無言でライトにゆっくりと歩み寄り始めていた。キリトは右足がライトのすぐそばまでの距離まで歩くと、その場で停止し、数秒間ライトをじっと見降ろした直後だった。

バキンッ!――と、何かが壊れる音が聞こえたのは、キリトが無言でガチャモンとモックが残したライトを足で踏みつけて破壊したからであった。

ユッチ「え……でぇ―――――!?な、な……何っつー事してるんだよ!!こ、これ無しで、どうやって誰がギルドフラッグを持ってるのか―――んぐ」

俺「少し黙ってろ、キリトがこうしたからには、アイツなりのやり方でこの問題に蹴りを付けるって事だろ」

喚き散らすユッチの口を俺は右手で無理矢理塞いで黙らせておいた。キリトは俺の方を振り向くと、何となくだが―――『助かったよ』と、言っているような視線を送ってきた。

さて、キリトはこのお互いが疑心暗鬼にありつつある状況をどう収めるんだ?キリトがこの状況を解決できないのであれば、最悪無理矢理にでもアイテムストレージを可視化させて確認なんて事も有り得るぞ……


オズマは、この問題の解決のすべてをキリトに託したのであった!ギルドフラッグを巡る騒動、次回完全解決!!
 
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