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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE27 正体不明!?第五層フロアボス戦!


ハフナー「おい、あれを見ろ!」

先頭を歩くA隊のリーダーのハフナーの声が飛んできた。薄暗い通路の先に目を凝らすと、その先に見えたのは、幅いっぱいに広がっている大階段だった。
視線を上にあげると、天井には真っ暗な大穴が開いていて、階段はその向こうへと消えていた。

レイナ「……取りあえず、残りの通路にも、階段上にもモンスターはいないと思うわ」

レイナが索敵スキルでそう確認したのであれば、しばらくは戦わずに済みそうだ。

キリト「気を付けて進んでくれ!」

キリトの呼びかけにハフナーが応答して、前方はA隊が担当し、B隊が左右を、俺達C隊が後方を警戒しながら歩くこと数十秒。

A隊が大階段の手前で立ち止まっていて、B隊とC隊もそれに追いついた。

キリト「……横に隙間はないな……」

俺「なら、ここを上るしかないだろ」

ハフナー「座標は、タワーの大体中央だな」

キリト「う~ん……登った先にまた通路と扉があるのか、それともいきなりボス部屋なのか……」

シヴァタ「ベータの時は違ったのか?」

キリト「ああ。前は普通に扉があって、それを開けたらゴーレムボスの部屋だった。まあ、ここまでの構造も殆ど変わってたから、階段への変更に大きな意味は無いのかもだけど……」

俺「にしても、先が暗すぎて全く見通しが利かねぇな……松明でも投げるか?」

なんてことを冗談半分で行ってみた時、隣に進み出てきたアルゴが、左手に持ったランカンを掲げながら言った。

アルゴ「ま、覗いてみるしかないダロ」

キリト「そ、そうだな……。んじゃ、いきなりボス部屋だった時の事を想定して、予定通りまず俺が一人で偵察してくるよ」

キリトがそんな事を言い出したが、今度はアルゴが珍しく真剣な声で言った。

アルゴ「待った、こおこはオレッちに任せてクレ」

キリト「え……?」

アルゴ「この階段が気になるんだよナ。もしかしたら、段が床からせり上がって入り口を塞いじまうトラップかもしれナイ―――」

ユッチ「そ、そんなぁ!そ、それじゃーこの先に進めないっすよ!後戻りできないボス戦なんて幾らなんでも鬼畜過ぎるっす!」

アルゴの話を最後まで聞かずに、ユッチが情けない声で鳴きごとを喚きだしていた。だが―――アルゴはそんなユッチを見ても愉快そうに笑いながら―――

アルゴ「だから、そうなっても、オイラなら完全に閉まる前に脱出できル」

そう言いながら、アルゴはつま先で石段を蹴っていた。

エルダ「確かに、段の側面にも子お代文字が浮き彫りで、如何にも何かあり気だけど……キリト君が行くにしても、アルゴさんが行くにしても、偵察とは言え一人だけで行くのは流石にどうかと思うわね」

キリト「……なら、2人で行こう。これは譲れないぞ」

アルゴ「エ~?」

キリト「そんな顔してもダメ!アルゴ程じゃないけど俺だってスピード型なんだからな、階段が動きそうだったらすぐ脱出するくらいの事は出来るよ」

アルゴ「ちぇ、しょーがないナ……」

アルゴも承諾し、キリト達は俺達に階段を見張るように頼んで、先に進む事になった。アルゴが先に階段を上り出し、キリトもそれを追って大階段を上っていくと、やがて二人の姿は暗闇の先に消えていった。

そして、二人の姿が見えなくなってから、とある疑問を口にしたのはエギルだった。

エギル「待てよ、入り口をふさぐトラップから脱するのに必要なのがスピードだって言うなら、そっちのユッチにも向いてるんじゃないか?」

ユッチ「え、ええ!?、な、な、ぼ、僕っすか!?」

エギルの指摘は最もなのだが、自分に白羽の矢が向いた途端にユッチは全身をビクッと震えさせて、狼狽えていた。

ネズハ「ああ、確かにそうですよね?ダガー系の武器は総じて軽量でスピード型のプレイヤーが多いですし、彼も偵察にはうってつけで―――」

ユッチ「うっせぇ!うっせ――――!!」

ネズハ「あ……す、すみませんなんか」

ネズハがエギルの言った事に同意した途端、ユッチは理不尽にただひたすら『うっせー』を連呼してネズハを推し黙らせていた。
詐欺でユッチを騙したネズハとしては、後ろめたさもあるだろうから、ユッチに対しては他の連中よりも押しが弱いのだろう。

実際の所、ユッチの敏捷性だけを見れば、偵察に向かわせて、いざって時は脱出する役には向いてるんだろうが。
ユッチの場合、不測の事態にすぐに混乱したり、慌てふためいたりするので、実際にそうなったら、一歩も動けずに役目を果たせない可能性が高いんだよな。

リーテン「どちらにしても、キリトさんもアルゴさんも大丈夫か心配ですよね……もし二人だけの時に、何か不測の事態が起きたりしたら――」

ボス戦未経験のリーテンがそう、気弱な言葉を口にすると、ネズハがリーテンに対して元気づけるように明るい声で話しかける。

ネズハ「大丈夫ですよリーテンさん。キリトさんは何と言っても、攻略集団の中でも最強の片手直剣使いなんですよ!他の人だと、手に負えない事態でも、キリトさんならきっと―――」

が、そんなネズハの元気づけの言葉に水を差す者がスグに現れる。

ユッチ「ああん!?お前何言ってんだよ!!攻略集団で最強の片手直剣使いって言ったら、オズマさんに決まってんだろうが!」

ネズハ「え……そ、そうですかね?」

俺「んな事で張り合わなくて良いっての……」

ユッチが案の定、ネズハに対しては妙に強気かつ高圧的な口調で、キリト最強説を真っ向から否定し、俺を推奨してきた。
まあ、こうなったところでネズハの方が大人しく引き下がるだろうから、この話で無駄に討論する事も無いだろうが―――

レイナ「……それに関しては、私もオズマの方が強いと考えてる。―――オズマとキリト、2人が一対一でデュエルを行えば、オズマの勝率の方が高いと推測できるわ」

なんでそこでレイナが便乗する!?普段なら全然興味なさそうにして、一言も口出しなんてしないはずだろう……

アスナ「ちょっと待ってよ!何を根拠にキリト君の方が不利だって言うわけよ!?」

さらに今度はアスナがキリトの方が強い派に加勢しやがっただと!?お前ら、今その話題で討論する事に何の意味があると言うんだ?

ユッチ「そ、そんな~……アスナさんはオズマさんよりもキリトの方が強いって言うんっすかぁ~?」

そして当然、アスナがキリトの方を庇うような事を言えば、ユッチが自分とは正反対の意見だと捉えて、すぐに凹む。

エルダ「私は……オズマ君の強さはもうだいぶ分かって来たけど、キリト君に関しては噂は聞く程度で、実際の腕前はまだ見てないから何とも言えないわね~」

ネズハ「あの……僕がキリトさんが片手剣使いとして最強だと思ったのは、キリトさんは体術スキルも高めている点でオズマさんに比べて優位だと思ったんですけど」

ユッチ「ははっ!なんだそんな事かよ!いーか、オズマさんだってな第4層でエクストラ―――」

ユッチがこんなところで、俺が習得してそう長くない、エクストラスキルの事を話そうとした時だった。

アスナ「な、なによこれ!?アルゴさんの身に何が起きたの!?」

エギル「HPの減少が続いてやがる!―――まさか、敵がいきなり出てきたのか!?」

アスナとエギルがほぼ同時に、強張った表情でそう叫んだ。どうやら、アルゴの身に何か起こっているようだった。
ふと見てみると、アルゴと同じB隊のメンバー達がその異変に気が付いているようで、その表情は困惑気味だった。

アルゴと同じB隊の連中はアルゴのHPバーも左上に表示されているはずなので、それで異変に真っ先に気が付いたのだろう。
組んでいるパーティーが違うA隊とC隊の者達も、簡略化されているアルゴのHPバーが減少している事にここで気が付いていた。
B隊の動揺は直ぐにこの場にいる連中に、アルゴの。そして、アルゴに同行しているキリトに何かしらの危機である事がスグに伝わり、これからどうするかが問題になる。

エルダ「キリト君はここで待機するように言ってたど……彼らが戻ってこれなくなってるなら、じっとしてるわけにもいかないわね」

アスナ「当然よ!それに様子を見に行かない事には、どうなってるのか分かりっこないわ!」

アスナはそう叫ぶと、真っ先に大階段に向かって疾走し、スカート装備で色々と見られるかもしれないと言う懸念すら忘れて登り始めていた。

ハフナー「こうなったら、俺達もキリト達の様子を見に行くしかないぞ!皆もそれで良いな?」

シヴァタ「ああ、何か起こってからじゃ遅いからな」

ハフナーが全員にそう確認すると、同じDKBのシヴァタが同意し、他の連中も首を縦に振って、全員でだ階段を上る。

俺達が大階段を上っている間にもアルゴのHPは減少を続けているようで、途中でアスナが1割以上が既に消失した状態になっている事を走りながら伝えてきた。

更にしばらく走り続けていると、ようやくアルゴのHPの減少は止まったらしいが、それで二人が完全に安全になったとは限らないので俺達は階段を上り続けて―――そして、階段を上り切った先にキリトとアルゴの姿を発見した。

ハフナー「――おいっ、大丈夫か!?」

ハフナーを先頭に俺たちは一斉に広間へと駆け上がった。その時俺は、それが何なのか分からないが、足元に青い光のサークルのような物があった事に気が付いた。

レイナ「……あれは!?」

シヴァタ「なんだ、まだボスは出てないのか―――」

レイナが天井に目を向けて何かを言おうとした時、そしてシヴァタが拍子抜けしたような声を出した時、キリトの大ボリュームの絶叫が響き渡った。

キリト「回避!回避――――!!」

俺「――!?こいつのことだな!」

そのキリトの叫び声を聞いて、俺は瞬間的に自分の足許で光っている青のサークルが危険な何かだと察して、大きく飛び退いた。
他のレイドメンバーも同様に、全員が一斉に飛び退いたのだが、狭い範囲にいた14人がバラバラに跳んだ結果、A隊のシヴァタとローバッカが交錯し、バランスを崩してその場に倒れ込んだ。

エルダ「なにか来るわ!!」

二人が倒れた真下に目玉の様な巨大サークルが出現し、それを見たエルダが真っ先に叫んだ。直後に、ゴゴゴ!と轟音が響き渡った。

床から二本の巨大な腕のような物が突き出して、天井から二本の足が降り注いだ。

シヴァタ「ぬああ!?」

ローバッカ「うおおっ」

ユッチ「ひえぇ―――――!!」

巨大な左手が、シヴァタとローバッカをまとめて掴み、高々と空中に運び去ると二人が叫び声をあげて、その光景を見たユッチが、恐怖の叫びをあげていた。

俺「あれじゃ、どう考えても自力脱出は無理だ!」

視界の端で簡略版で表示されている、小さなHPバーが徐々に減少していく。アルゴも恐らくはあの巨大な腕で捕まっていたのだろう。

レイナ「……キリトはどうするつもりなの?」

俺「シヴァタとローバッカが捕まったままじゃ、ここから一旦退散なんて事も出来ないしな」

俺はいっその事あの腕にソードスキルを食らわせてやろうかと思ったが、この狭い場所で複数人がソードスキルを発動すれば、同士討ちが発生してしまいかねない事を考えていた。

キリト「アスナ、腕にパラレル!」

唐突にキリトがそう叫んだ瞬間、アスナは即座に既に抜いていた細剣を構えて、ソードスキル《パラレル・スティング》を発動させた。
同じ細剣使いであるエルダも俺達に何度か披露した技で、高速の二連突きが黒い腕にヒットしていた。

すると拳が開き、シヴァタとローバッカを解放して、十メートルの高さから落下した二人を、リーテンとハフナーが辛うじて受け止めた。

俺「どーやら、あのラインが足元にあると、さっきの腕に捕まっちまうらしいな」

エルダ「一度捕まったら、仲間の助けなしじゃ、まずは逃げられないわね」

そして、緊迫状態はまだ続く。階段のすぐそばに立っているネズハの足許と、その近くのオコタンとナイジャンとユッチの上空に、新しいサークルが出現していた。

アルゴ「もう退避は無理ダ!」

アルゴの判断は最もだろう。床のラインは、外周部が最も隙間が大きく、階段に近い程密になっており、この人数で全員がラインを踏まずに階段を下りられるとは俺も思えなかった。

キリト「―――みんな、最寄りの壁際まで走れ!」

キリトが再び大音量で叫び、俺達は瞬時に全員ダッシュしていた。直後に、階段の側のサークルから手が突き出し、その近くを二つの足が激しく踏みつけていた。

あそこでボーっとしてたら、思い切り踏まれてた所だったな。

キリト「壁まで行ったら、床のラインを踏まないように止まるんだ!!」

俺達はその言葉を聞いて、走りながら足許を見た。こうラインの動きが不規則変動だと、回避し難いな。
ラインの動きが徐々に速度を落とし、確認しやすくなって――――


キリト「――ここだ!!ラインを避けて止まれ!!」

キリトの再びの絶叫に、俺達は動きを止めていく。

レイナ「……ターゲットサークルは出ない……みたいね」

ネズハ「あっ……」

少し離れた所から、そんな細い声が聞こえてきた。キリトの方に走っていたネズハが、片足たち状態で両手をぐるぐる動かしながらバランスを取ろうとしていた。

俺「なにしてるんだアイツ?すぐ近くに結構大きめの隙間があるだろ……」

にも拘らず、宙に浮いている右足をそこに降ろしかねているようだった。

エルダ「まさか彼……FNC?」

俺の近くで、エルダがそんな、聞き慣れない単語を呟いていた時だった。

キリト「もうちょっと頑張れ!」

キリトがネズハに声を掛けて、ラインの隙間だけを踏みながらネズハに近づいていた。床に倒れそうになったネズハが伸ばした左手をキリトがしっかりと掴み、支えた。

キリト「だいじょうぶ、そこに足を降ろせ……真下で良い、そう、OK」

ネズハ「す、すみません……」

そんな、キリトとネズハの妙なやり取りの後はさっきまでの騒動が嘘のように静かになった。どうやら、全員がサークルから足を話した状態になった事で、敵の動きも止まったらしい。

キリト「ダメージを受けた奴は、POTを飲みながら聞いてくれ!とうやらさっきの腕と足がこのフロアのボスみたいだ!」

ユッチ「じゃ、じゃあ……あ、あの、床の青いラインを踏むと、手足に攻撃されるって事!?」

キリト「そうだ!それを踏むと、床と天井のラインがランダムに動き始めて、踏んだ奴の足許か頭上にターゲットサークルが出る!ラインの動きが止まると、床からは腕が生えて掴み攻撃、天井からは足が生えて踏みつけ攻撃をしてくるんだ!」

エギル「ってことはぁ、こうやって線を跨いで止まってる間は、腕も足も攻撃してこねーのかぁ―――!?」

キリト「そう言う事だ!最大で、腕が二本、足が二本、同時に攻撃してくる!腕に掴まれると、10メートルくらい持ち上げられて、HPと防具の耐久度に同時にダメージを受ける!けど、片手武器の二連撃クラスのソードスキルを命中させると、掴まれた奴を解放できる!」

俺たち全員が頷くとキリトの説明はさらに続く。

キリト「足の方は、まだ踏まれてないから攻撃力は分からないけど、多分腕よりダメージはデカいと思う!あと、二層のバラン将軍みたいに、踏んだとところから衝撃波が広がるから、それに足を取られると転ぶ危険があるぞ!」

再び全員が頷く。

キリト「えーと、以上!」

腕と足のみの攻撃を繰り出す謎のボスモンスターの遭遇に、一行は困惑するが、キリトの指示によりひとまずの方針は固まった!――――謎多き、第5層フロアボス戦開始!! by立木ナレ 
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