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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE26 急造レイドパーティー結成!

第五層フロアボス戦のドロップアイテムは、ベータテスターであるキリトの情報から『ギルドフラッグ』である事が語られた。
そのアイテムは突き立てた時に、半径20メートル以内の全ギルドメンバーの全ステータス上昇のバフが掛かると言う代物であり―――ALSとDKBのどちらか一方が入手すれば、取り損ねたギルドが崩壊する可能性すらあるのであった!!

さらにALSの強硬派が大晦日のパーティーをDKBを交えて行う裏で、自分達のみでフロアボスを倒し、ギルドフラッグを獲得しようと暗躍している事が発覚!それを阻止すべく、キリトの招集で中立のプレイヤー達が集められらのであった!! by立木ナレ


キリトは一通りの挨拶を終えると、その背中をハフナーが叩いた。

ハフナー「ブラッキーさんよ、オレとオコさんはきっちりと動機を説明したぜ。あんたも、どうしてこの作戦を主導しているのか……動いだす前に、まずはそこを皆に説明してくれよ」

キリト「ええー?」

俺「なんだよ、そのええー……は?」

まるで面倒な事でも聞かれたかのような反応のキリトはハフナーから視線を逸らしていたが、いつの間にかアスナやアルゴ、ネズハ、エギル一向らも俺達の側に集まり、キリトの答えを待っていた。

キリト「それは、俺もハフナーさんやオコタンさんと……いや、たぶんここに集まってくれたみんなと同じだよ。最前線で戦い続けているALSとDKBは、攻略集団の両輪だ。ちゃんと車輪でつながってないと集団は前に進まないし、どっちかが欠けたら、その場から動けなくなるから、皆に協力を要請したんだ」

俺「それが、お前がこの作戦を始めた動機の全てなのか?」

キリト「え……そうだけど?」

俺「そうか」

俺は今一つ、キリトの奴が他に何かしらの事情を抱えているようになんとなく思ったが、キリトはあくまでそれが全ての動機と言い切ったので、俺の追及もそこまでだった。

ハフナーも難しい顔をしつつも頷き、一歩下がった時だった。アーメットのバイザーを被っているが故にくぐもって聞こえる、メタリックな声で質問をしてきたのはリーテンだった。

リーテン「あの、キリトさん。前から聞いてみたいと思ってたんですが……そんなに攻略集団の事を考えてくれるのに、どうしてギルドに入らないんですか?キリトさんほどの人なら、どっちのギルドでもすぐにパーティーリーダーくらいにはなれると思うんですが……」

リーテンのその質問からして、こいつはビーターと言う言葉も、キリトの微妙な立場すらも知らない様子が伺えた。
第一層で自ら悪のビーターを自称した事で、攻略集団の中で多くの反感や敵意を買っているキリトは果たしてこの質問に対してどう答える気だ?

キリト「それはだな、リンドとキバオウが、俺とアスナが別々じゃないとギルドに入れないとか言ってるからだ」

途端、一同がざわ……となる。こいつは何故、周囲から誤解を招くような言動をこの場で口走るんだろうな――――

アスナ「い、いきなり何言い出すのよ!」

リーテン「さすがです……感動しました!」

エルダ「なんか、ビーター云々以外でも色々と複雑な事になってるのね」

アスナが喚き、リーテンが感心したように言い、エルダが妙に納得したように首を縦に振ると。エギルがはっはっはっ、アルゴがにゃっはっはと大声で笑った。


そして、アルゴが用意した大量のポーションを分配し、時刻は丁度午後3時となった。ALSの主力がマナナレナ村を出発し、主街区に戻るとみせかけて迷宮区タワーを目指す予定時刻はオコタンによると午後6時であり、キリト一向には3時間のアドバンテージがあった。
道案内はアルゴが担当し、以下の16人が第5層フロアボス戦に挑むメンバーである!! by立木ナレ

1.キリト、レベル18、片手直剣、革防具。
2.オズマ、レベル18、片手直剣、革防具、ソードブレイカーあり。
3.アスナ、レベル17、細剣、軽金属防具。
4.レイナ、レベル17、両手剣、軽金属防具。
5.エルダ、レベル17、細剣、軽金属防具、盾あり。
6.エギル、レベル16、両手斧、軽金属防具。
7.ハフナー、レベル16、両手剣、重金属防具。
8.シヴァタ、レベル15、片手直剣、重金属防具、盾あり。
9.オコタン、レベル15、両手斧槍、軽金属防具。
10.ウルフギャング(エギル組)、レベル15、両手剣、革防具。
11.ローバッカ(エギル組)、レベル15、両手斧、軽金属防具。
12.ナイジャン(エギル組)、レベル14、両手槌、重金属防具。
13.ユッチ、レベル14、ダガー、革防具。
14.リーテン、レベル13、ロングメイス、重金属防具、盾あり。
15.ネズハ、レベル12、チャクラム、軽金属防具。
16.アルゴ、レベル不明、クロー、革防具。


※ ※ ※


第五層迷宮区はフロア北東の隅にそびえ立ち、半径5百メートルの巨大迷路がそれを半円形に取り囲んでいた。つまり、高い石壁の両端は、それぞれのフロアの外周部に接している。
道案内人のアルゴが目指したのは、南東側の橋だった。道から外れたために何度かフィールドMobと遭遇したが、16人もいるので、呆気なく瞬殺できてしまう。
そして、目的地に到着したのは午後3時45分だった。

アルゴ「おつかれサマー、取りあえずフィールドの移動はここで終わりだヨー」

アルゴの声に、一同が足を止める。

ユッチ「これでようやくフィールド移動が終わり……けどこれからボス部屋まで歩かなくちゃならないんっすよね……」

アルゴ「おいおいユー坊。子供は風の子だロ?もっと元気にはしゃごうゼ!」

真っ先にヘタレ始めている最年少のユッチに対してアルゴがそう言いながらにゃははと笑いながら言った。

俺「んで、何処から入るんだ?お前がさっき披露してくれた伝承では、巨大迷宮の中心には古の王国の秘密兵器開発施設とかがあって、迷路には侵入者を防ぐために築かれたんだったな?」

アルゴはライム水を飲んでいて、口元をぬぐってから不敵な笑みを浮かべて、マントの内側から光るものを引っ張り出した。
それは長さが15センチほどある巨大なカギだった。

キリト「おお……それ、ボスクエでゲットしたのか?」

アルゴ「そーゆーコト」

アルゴは何かを探す素振りを見せてから、とある隙間に鍵を突っ込んで、ガチャッと回した。

石壁が震え、幾つかのブロックが奥に十五センチばかり引っ込み―――それで終わりだった。

キリト「え……アルゴ、隠し扉は?」

アルゴ「ないヨ、そんなモン」

アルゴは鍵をポケットにしまって、ブロックが引っ込んで出来た窪みに右手を掛けて、三メートルほどよじ登った。

エルダ「そっか、ブロックが引っ込んだおかげでハシゴみたいになったのね」

エギル「お……おいおい、まさかそこを登るのか?」

エギルの慌て声に、アルゴは壁に片手片足を引っかけた状態で振り向き、にんまりと笑う。

アルゴ「オヤ、フロントランナー一のタフガイさんは、高いトコが苦手なのカナ?」

エギル「そ、そういうわけじゃねーけど……これ、落ちたらただじゃ済まねぇだろ」

と言い返すエギルの心配も最もだった。

俺「そうだな、この石壁の高さって20メートルくらいだよな?天辺付近から落下して、頭からぶつけちまったら、HPの低い奴はそのまま即死しちまいそうだぞ」

レイナ「……命綱くらいは用意した方が良いわね」

レイナがアイテムストレージから命綱として使えるアイテムをオブジェクト化しようとする前に、

アルゴ「しょーがないナ、、特別サービスだゾ」

と、言いながら片目をつぶったアルゴが、ウインドウを開いて巨大な物体を次々とオブジェクト化させた。

ユッチ「これってハウジング関連のショップで売ってる大型クッションっすよ!」

俺「よくこんなにも、アイテムストレージに溜め込んでたもんだな。今の所は、殆どのプレイヤーに問っちゃ、ハウジング関連ショップのアイテムなんて無縁だろうに」

ハシゴの真下に積みあがったクッションの下に、アルゴはその上に背中から落下した。ぼっほーん、と音が響くがダメージを受けた様子はなかった。

アルゴ「オイラは最後のこのクッションを回収するカラ、戦闘はキー坊に譲ってやるヨ」

キリト「え……お、俺?まあ、いいけど……」

そして、キリトを先頭に、次はハフナーが登り、10分ほどかけて全員が登り終えるが、結局落ちた者は一人もいなかった。

石壁上の通路を一列になって移動し、迷宮区タワーの接合部に設けられた小さな望楼で、再び軽く休憩をとった。

アスナ「みなさん、よかったらどうぞ」

そこで、アスナがストレージが取り出したのは、大きなロールケーキだった。それを見た途端に、ユッチが真っ先に反応し、目を輝かせながら声を上げた。

ユッチ「美味そうじゃないっすか!こ、これってアスナさんが料理スキルで作った手作りっすか?いや~、アスナさんの手作りロールケーキ、いただきやす!」

アスナ「あ、そ、そうじゃなくってね。こ、これはその――――」

手作りの料理ではないと言おうとしているのだろうが、俺はその先の事をアスナが言う前に、右手を前に出してアスナを止める。

俺「アンタの手作りって事にしておいてやってくれ、そっち方がこいつは士気の向上になるんだよ」

アスナ「な、なんか心苦しいんだけど……」

取りあえず、アスナに差し出されたロールケーキは好評だったようで、ユッチやエギル一向やハフナーは「うめっ!うんめっ!」と唸りながら手づかみでガツガツと食いまくる一方で、壁際に並んでいるシヴァタとリーテンが仲睦まじそうに食べていて、いつの間にか仲良くなったオコタンとネズハも談笑しながら食べ始めていた。

エルダ「美味しいじゃないこれ!脳を働かせるための、糖分の補給なんてサプリメントか角砂糖くらいで充分だと思ってたけど、考えを少し改めた方が良いかもしれないわね……」

アスナ「そ、そう?喜んでもらえたなら嬉しいわエルダさん。レイナさんはどう?甘い物って好き?」

アスナとレイナは同じ攻略集団の数少ない女性プレイヤー同士でありながら、あまり口を聞く事は無かったが(原因は概ねレイナが無口である事)、今回は普段よりも少数での移動である事も有ってか、今までレイナと話したことの無いような、戦闘や攻略以外の話を振っていた。

レイナ「……食べ物の好き嫌いはないつもりよ、だけど―――このロールケーキは悪くない」

俺「そこは素直に美味いって言っておいてやれ」

そして、一通りケーキを食い終えて、全員が再び集合すると、キリトが咳払いをして数歩前に出る。

キリト「……それじゃみんな、いちおう編成を考えたから聞いてくれ。A隊がハフナー、シヴァタ、オコタン、ローバッカ、ナイジャン、リーテン。B隊が、俺、アスナ、エギル、ウルフギャング、ネズハ、アルゴ、C隊はオズマ、レイナ、ユッチ、エルダ。この分け方で行こうと思うんだけど、どうかな」

どうやら、俺が含まれるC隊だけは何の意図があるかは知らないが4人だけになっているが、そこはおいおいと聞くとしよう。

シヴァタ「……つまり、A隊にタンク、B隊にアタッカーを集めたわけか?」

キリト「そんな感じだ」

俺「俺達C隊だけ4人なのはなんでだ?」

キリト「オズマ達は、エルダを除いて三人は普段から一緒に行動してる事が多いから、その分普段通りの連携を取り易いと思ったんだ」

他にもキリトは、部隊を均等に割らなかったのは、そうするとタンクが足りない事、純粋なタンクであるシヴァタとリーテンを違うパーティーにすると、POTローテが間に合わないことを懸念していると説明した。

キリト「もちろん、最初に俺がボスをじっくり偵察して、想定外の攻撃パターンがないか確かめる。実践が始まってからも、ボスのHPケージが終わるタイミングでは必ず部屋の外に退避できる姿勢を取って、未知の攻撃パターンに備える。たった3パーティーでのボス戦だけど、勝算は充分にあるし、一人の犠牲者も出すつもりはない。――――シヴァタとリーテンが企画してくれたカウントダウンパーティーを成功させるためにも、みんな……力を合わせよう!」

キリトにしては珍しく、周囲を奮い立たせるような演説だった。

エギル「うおっしゃあ!やったろうぜ!!」

そしてエギルがこぶしを突き上げて叫び、それに全員の「おう!」という声が重なった。



2022年12月31日午後4時15分。急造のフロアボス攻略部隊は、鋼鉄の扉を開き、迷宮宇久タワーへと突入! by立木ナレ




 
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