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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE23 ドラゴンに襲撃されたアキバ

2022年12月28日。ガチャモンとモック曰く、親睦会を兼ねた忘年会により、全プレイヤーは強制的に転移で呼び出される。だが―――そこで始まったのは……あまりにも幼稚!あまりにも滑稽!あまりにも茶番染みた―――ガチャモンの『いないいないばぁ』であった!

オズマを始めとしたプレイヤー達が呆れ果てていたのは言うまでも無かったが。そんな矢先に、ガチャモンに驚かされた一人の女性プレイヤーがガチャモンを突き飛ばしてしまうというトラブルが発生した! by立木ナレ




体育館のステージの中央に出現したのは、砂嵐のような映像が流れている巨大なスクリーンだった。そして、ガチャモンとモックは、ガチャモンを突き飛ばしてしまった女性プレイヤーに対して処刑を宣言する。

ガチャモン「では、僕を突き飛ばしてくれた『サニーナ』さんには―――早速処刑ゲームを始めてもらいま~す!」

サニーナ「止めてぇ――――――――――」

女性プレイヤーのサニーナの叫び声は、彼女自身がこの場から強制転移させられていなくなったことで、一瞬にして途絶えた。
そして、それと同時にスクリーンの映像が切り替わったかと思うと、その映像に映し出されていたのは――俺の記憶にもある、確かに見覚えのある光景だった。

ユッチ「あ、あれ?あ、アキバ……?」

俺「秋葉原だって!?」

ユッチがアキバとこぼしたのを聞いた俺は、ユッチの方を振り向いてそう聞き返すと、ユッチは相変わらず体を震えさせながら、首を何度も縦に振る。

スクリーンの映像がアップになると、とある電化製品店の側に一人たち尽くす女性―――さっき強制転移させられたサニーナの姿があった。

ユッチ「あ、あれ―――?あ、アキバに、あの人がいるって事は……あの人もしかして、現実世界にログアウトしたって事っすか!?」

レイナ「……それはない」

ユッチが自らももしかしたら、ログアウトできる可能性を見出したかのように、そう叫ぶが、その可能性はレイナがハッキリと否定する。

ユッチ「な、何でっすか!?」

俺「ログアウトしてすぐに、アキバの電化製品店の側に突っ立ってるわけないだろ。俺らの現実世界の身体は、今頃病室で寝てる頃だろうからな――――」

それに、俺が感じた違和感はそれだけではなかった。秋葉原と言えば、昼夜を問わず、大勢の人間でごった返しているイメージがあり、現在の時刻はまだ午後の8時を回った程度なので、人通りが多くて当たり前のはずの秋葉原が、どう言うわけかサニーナ以外の人間が誰一人として歩いておらず、異様な静けさを感じさせていた。

サニーナ『だ、誰か……誰かいないんですか―――!?』

スクリーンに映っているサニーナも、現実世界に返ってきたのだと一瞬は思ったのかもしれないが、自分が置かれた異常な事態に困惑して、周囲に向かって叫び散らしていた。
だが、誰からの応答も無く、周囲には他の人間が一切誰一人としていない状態が続く。

俺は、これまでのあのスクリーンに映る光景の様子を見て、流石にそろそろ否応でも理解する事になる。
スクリーンに映っている、一見すると俺が見た事のある秋葉原の光景が実は――――

俺「あの秋葉原も――仮想世界なんだな!」

ユッチ「え?あ、あのアキバがVRゲームの世界って事は―――あの人はまだ……」

レイナ「……ログアウトはしていない、仮想世界の別の場所に転移させられただけ」

そして、そんなレイナの冷淡で的確な指摘を裏付けるように、スクリーンに映し出されている仮想世界の秋葉原にはすぐにその異変が起こった。
最初に叫んだのは誰の声か知らないが、その異変が起きた直後だった。

「お、おい、なんだよありゃ!?なんであんなのが秋葉原に出てくるんだよ!?」

「ど、ドラゴン!?ドラゴンじゃねーかよありゃ!!」

プレイヤー達がその姿を見たのは、秋葉原の上空から一斉に、何十体、何百体もの大群で飛びながら降りてきた、ドラゴンの大群だった。

まさに現実世界の秋葉原では決してあり得ぬ光景、それをまじまじと見た事で、この場にいる者達は誰もが、スクリーンに映し出されている光景が現実世界の秋葉原ではなく、あそこもまた仮想世界なんだと理解されされただろう。

サニーナ「いやぁぁあぁぁぁぁっ!!」

当然、その仮想世界の秋葉原でたった一人のサニーナの恐怖心は限界を超えて、スクリーン越しからでもその恐怖が伝わるほどの叫び声をあげていた。
既に彼女の周囲には、体長が4~5メートル以上はありそうなドラゴンが4体で取り囲んでおり、もはや逃げ場など無い事は目に見えて明らかだった。

サニーナ「たすけ―――――ッ!」

ユッチ「ひえぇ――――――!?」

叫び声が途中で途切れたのは、サニーナがドラゴンの一体に捕食されて、呆気なく飲み込まれたからであった。



スクリーンでその、あまりにも理不尽―――あまりにも残忍―――あまりにも救いようのない処刑に、誰もが言葉を発する事が出来ず、中にはその光景を目の当たりにして涙を浮かべる者すらいた! by立木ナレ




モック「これぞまさにドラゴンの脅威……実際に東京にあれだけのドラゴンが出現でもしたら、人類は己の生存圏を守り切る事が出来るのでしょうかね~?」

ガチャモン「取りあえず、何時ドラゴンが襲来してきても対処できるようにさ、迎撃用のミサイルは常に準備しておいてって感じだよね~」

呆然としているプレイヤー達の代わりに、まるで他人事のようにそんな会話を始めたのは、処刑を実行した張本人たちだった。
そして、ついにプレイヤー達の中の一人がガチャモン達に対して、憎悪の籠った叫び声をあげる事になる。

「この人殺し!テメーら、こんな事してタダで済むと思ってやがるのか―――!?」

「もう止めてくれ!何時まで俺等にこんなことさせれば気が済むんだよ!?」

「誰かアイツらを何とかしてよ!このままじゃ、私達だって危ないじゃない!!」

誰がどう叫んだところで、奴らを消す事も、奴らの間の手から誰かを守る事も、奴らの悪意から逃れる事も出来やしない、誰もがそれを分かり切っているだけに、己の無力感を悲観したかのように、叫びだす者たちが現れ始めていた。

ガチャモン「くすす、何時までこんな事させればだなんて―――早く現実世界に返りたいならさ、さっさとアインクラッドを第百層までクリアすればいいって、何度も言ってるじゃんか、全くもぉ~」

モック「いやはや、困りものですな~。答えが分かり切ってる質問に何度も何度も同じ答えで返答すると言うのも……」



結局、その日の親睦会、忘年会などと称した、単なる理不尽な処刑ショーはそこで終了となり、プレイヤー達は強制転移によって元の場所に戻されたが、彼らの心の奥底には改めて、ガチャモンとモックの脅威、圧倒的な権限による力の差を思い知らされる形となるばかりであった!


※ ※ ※


ガチャモンとモックによる悪魔的な処刑ショーが行われた次の日の12月29日。俺とレイナは、第五層主街区のカルルインにいるNPCから受けたクエストで、遺跡エリアの発掘場を占拠する人型岩石モンスターの討伐を依頼されて、主街区を出発したところだった。

ユッチ「はぁ……僕たち、本当にアインクラッドの第百層をクリアするまで、ログアウト出来ないんっすね……」

俺「んな事は、正式サービスの初日に思い知らされたことだろうが。今更深いため息ついて、凹んでどうするんだよ」

ユッチも、こんな感じで昨日の一件で精神的に打ちのめされつつも、今日のクエストに同行する事になった。
レベル的には俺やレイナとは多少の開きがあり、この第5層での安全マージンは微妙なところがあるのだが、そこはまぁ―――俺とレイナがフォローしてやっている状態だった。

この第五層は今までの横に広がるような階層とは異なり、縦にも広がる階層である事が特徴で、地下基地やら、下に延びる遺跡ダンジョン、地面を掘って作られた街などがある。

そして、しばらく歩き続けて、俺達は遺跡エリアに辿り着き、発掘場を占拠するように仁王立ちしている、2メートル半ほどの巨体の人型だが、全身が岩で出来ているMobを発見した。

俺「アイツが、クエストを受けたパーティーが近づくと出現する、中ボスクラスのモンスターで間違いないみたいだな」

顔には赤い丸く光る眼がこちらをじっと、見据えていた。試しにタゲを取ってみると、モンスターのHPバーの下に『rock・golem・fighter』と言う、アルファベットでモンスターの名前が表記されていた。

俺「レイナ、読んでくれ」

レイナ「……ロック・ゴーレム・ファイターよ―――そのまま、岩の戦士と言う意味で良いと思うわ」

俺「そうか、んじゃ―――早い所片付けるか!」

そう俺は叫んでから、地面を蹴り付けるように、その場からダッシュして―――一気にゴーレムーの眼前に接近した直後に走り抜けながらの横切りの一撃をお見舞いしてやった。

ユッチ「だ、駄目っす!HPバーがほんのちょっとしか減ってないっすよ!」

俺「ほぉ、流石に岩で出来てるだけあって堅いな」

流石に通常攻撃では中ボスクラスのモンスターには大したダメージにはならないようだな。だが、俺の横切りの一撃で奴が俺に攻撃しようとした直後に、今度はレイナのソードスキルが的確にゴーレムを狙い撃つ。

「グガワァッ!!」

口も無い人型岩石モンスターがどこからそんな叫び声をあげているのかは知らないが、レイナの横薙ぎ技のソードスキルのブレイクタイムによって、標的となったゴーレムは守りを大きく崩されて倒れかけていた。

俺「ユッチ、今なら奴にまともなダメージが与えやすいぞ!」

ユッチ「あ、は、ふぁい!!」

ソードスキル発動後の硬直中のレイナに代わり、俺とユッチがそれぞれ、片手剣とダガーでゴーレムに一撃を見舞ってやった。

そして、その後もロック・ゴーレム・ファイターの頑丈で長い腕の打撃に注意しつつ、俺達は着実にロックファイターのHPを削り続けて、ついにゴーレムの残りのHPもレッドゾーンにまで削られたのだった。

「ギィィ―――――!!」

レイナ「……効かないわ」

ロックファイターが岩で出来た両手を組み合わせて、レイナに叩きつけるが、スバ抜けた筋力ステータスを誇るレイナが構える両手剣はその一撃すら防ぎ切り、ゴーレムの振り下ろされた拳を食い止めていた。

ユッチ「さっすがレイナさんっす!覚悟しろよ、石ころ野郎!」

当初は、ゴーレムの威圧感に恐れ戦いていたユッチも、優勢な状態が続くと、あっさりと楽勝ムードになり、強気かつ、調子づいた口調でそう叫びながら、ダガー用の連続攻撃ソードスキルのファッドエッジで、両手がスグには使えないゴーレムの後ろから左足を突きまくっていた時だった。

俺は見た、ゴーレムの首が180度回転し、すぐ後ろのユッチを見下ろした直後に、そのマルク赤い光を放つ一つの眼が、黄色く点滅するのを。

俺「ユッチ、やばいぞ!」

ユッチ「え―――?いったい何が―――ぎゃはぁッ!!」

俺の警告はそもそも、ユッチがソードスキルを発動してしまった時点で間に合わなかっただろう。ゴーレムの黄色く点滅した目からは、一本の光線が発せられて、その車線上にいたユッチを、ちいさな爆撃音と共に吹き飛ばしていたのだった。

レイナ「……遠距離攻撃だわ」

俺「マジかよ、あんな技を使いやがるのかよ……」

今までも、背後からゴーレムへの攻撃は何度もやっているのに、ここに来て初めてこんな事をしてきたのは、おそらくだが、奴のHPバーがレッドゾーンにまで減少した事がトリガーになったのだと俺は思った。

だが、俺がそんな分析をしている矢先に、ユッチの方を向いたままのゴーレムの首は、再び黄色い点滅を一瞬だけはなったのだった。

ユッチ「いてて……あ、あんなのあ、ありなのかよ」

愚痴ってないで逃げろ!――と叫ぼうにも、既にゴーレムの黄色く点滅した目から発せられた光線を止める事は出来ず、二発目がユッチに向かって放たれた直後だった―――

「君、戦闘中にボーっとしない!」

ユッチ「はい……うぐわぁッ!!」

ほんの僅差だった、ユッチの真横から現れた、左手に細剣を、右手に盾を構えた女のプレイヤーがユッチを狙っていた光線を盾で守ってくれたのは。


オズマ達の前に現れた、盾持ちの細剣使いの謎の女性プレイヤーは一体?そして次回、前代未聞の小人数でのフロアボス戦の計画始動!? by立木ナレ

 
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