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身体を怪我しても

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第一章

               身体を怪我しても
 ボロ子さんはドジなせいかいつも怪我をしている、どんな怪我をしてもかなり頑丈な身体の為大怪我になることはない。
 それこそ死ぬ様な怪我でも軽い打撲や捻挫程度で済む、それで周りはボロ子さんについてこんなことを言っていた。
「実はサイボーグとか?」
「アンドロイドとか」
「お昼でも平気な種族の吸血鬼とか」
「お腹の中に虫がいる?」
「某長船さんの親戚とか」
 かつて帝国陸軍にいた伝説の不死身の超人の名前も出た。
「あそこまで頑丈だと」
「普通じゃないから」
「怪我ばかりしていても運がいいから大怪我にならないとか」
「いや、怪我すること自体は運がないんじゃ」
 皆色々と言う、だがボロ子さん自身はというと。
 怪我の多さには困っている、だがそれでも言うのだった。
「身体の怪我ならまだいいのよね」
「いや、そこまで怪我しているのに」
「それでも?」
「毎日何処かに包帯巻いてるのに」
「それでもなの」
「骨折とか靭帯に何かあったとかなかったから」
 そこまでの怪我になったことはないのだ。
「神経や内臓に何かあったことも」
「それはいいけれど」
「そこまで怪我していてもなの」
「ボロ子さんとしては平気なの」
「身体の怪我には慣れてるから」
 だからだというのだ。
「いいの。身体はね」
「ううん、その怪我が問題なんじゃ」
「身体の怪我自体が」
「痛い思いしているのに」
「大丈夫なの?」
「私の身体の怪我は長くても三日で終わるわ」
 そしてその怪我が治ったらすぐに別の怪我を負ってしまう、従ってボロ子さんはいつも包帯だのバンドエイドだののお世話になっているのだ。
 しかしだ、ボロ子さんはその怪我について言うのだった。
「死ぬ様な怪我にもなっていないから」
「これまでは」
「だからいいの?」
「毎日怪我をしても」
「そうなの」
「本当に平気よ」
 微笑んでさえしてだ、ボロ子さんは皆に言った。幾ら怪我をしてもそれでもボロ子さん自身は平気な顔だった。
 そんなボロ子さんが家族にも内緒で行くところがあった、そこは幼馴染みの家だ。
 同じ学校に通っていた、だが今は自分の家の自分の部屋の中から出なくなった。ボロ子さんは誰に内緒で毎日その幼馴染みのところに行っていた。
「また来てくれたのね」
「はい」
 ボロ子さんは幼馴染みの母親に静かな声で答えた。
「あの娘大丈夫ですよね」
「今日もお部屋から出ないわ」
 母親はボロ子さんに俯き加減で答えた。
「相変わらずね」
「そうですか」
「ええ、けれどよね」
「お部屋の前に行きます」
 そうするというのだ。
「そしてあの娘のお話を聞きます」
「そうしてくれるの」
「あの娘のことに気付いていたら」
 悔恨と共にだ、ボロ子さんはその娘の母親にこうも言った。
「そうも思いますので」
「だからなのね」
「はい、ですから」
「いつも来てくれるのね」
「友達ですから」
 そう思っているが故にというのだ。
「また行ってそして」
「お話聞いてくれるのね」
「そうさせてもらいます」
 こう言ってだ、ボロ子さんはその娘の部屋の扉、閉じられたその前まで言った。そのうえで扉の向こうの彼女に声をかけた。 
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