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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE20 決着、トーラス王戦!

第二層の真のフロアボス、《アステリオス・ザ・トーラスキング》出現! 口から吐き出す雷のブレス攻撃により多数の麻痺者が発生!レイド崩壊の窮地に現れたのは――オズマ、ユッチ、シヴァタなど、多くのプレイヤー達から武器を騙し取った容疑のある鍛冶屋を騙った詐欺師のプレイヤーであった! by立木ナレ



詐欺師「僕がギリギリまでボスを引き付けます!その間に、体勢を立て直してください!」

突然ボス部屋に現れて、詐欺師が毅然と叫んだ。俺はまるで自体が飲み込めなかった。奴の詐欺の被害者が集まるこのボス部屋に奴はいったいなぜ?

シヴァタ「アイツの、チャクラムってレアドロップ品だよな?と言う事はもしかして――」

俺「詐欺で儲けた金で買ったんだろうな」


自身も詐欺の被害者であるシヴァタが、唐突に現れた詐欺師を訝しみ、愈々疑いの目を強めるが、今はそれを問い詰めている場合ではない。

ユッチ「あ、あの野郎!インチキ詐欺師の癖に、いきなり現れて何言ってやがるんだ!!」

一方で、今にも詐欺師に飛び掛かりそうなユッチを、俺は左手を出して制する。

俺「慌てるな!まずはトーラス王を倒すのが先だ!奴を問い詰めるのはボスを倒した後だ!」

ユッチ「う……クソ!」

予想外の事態だが、奴の方から詐欺被害者が大勢集まるこの場に来てくれたのは好都合だ。詐欺被害者達の前で奴が詐欺師である事を証明し、言い逃れ出来ず、周囲が敵だらけの状況を作るチャンスだ―――だが、それを実現するにはまずはこのボス戦を勝ち抜かねばならない。

「避けろ!!」

レイドメンバーの誰かの叫び声だった。おそらく、詐欺師にブレス攻撃を避けるように叫んだのだろう。だが、それよりも一瞬早く、詐欺師は俊敏な動作で左に跳んでいた。

直後に口の中から純白の稲妻が迸るが、詐欺師は比較的余裕を持って回避していた。

レイナ「……今の動き、ブレスの回避タイミングを知っているみたいね」

ユッチ「まさかベータテスターっすか!?」

俺「そうじゃない、そもそもトーラス王はベータ版にはいなかったみてーだから、ベータテスターだったとしても事前情報は何もないはずだ」

―――と、その時に聞こえてきたのは、本来であればこの場にいないはずの者の声だった。

アルゴ「ブレスを吐く直前、ボスの眼が光るンダ」

俺「アルゴ……お前、何か情報を掴んできたのか」

もしかしたら、アルゴは第二層のフロアボスがトーラス王である事と、弱点が王冠である事を、何かしらの手段で知り得て、それを知らせるためここに来たのかもしれない。
何故、詐欺師も一緒なのかはまだ分からぬままだが。



その後、詐欺師の援護により、麻痺したプレイヤー達は救助に成功!アルゴはボスの情報をレイドメンバーに提供――――リンド、キバオウは戦闘の続行を継続し! by立木ナレ



リンド「よし……攻撃、始めるぞ!A隊D隊、前進!」

リンドの指示に従い、重装甲の部隊がトーラス王に突っ込んでいった。体当たりの様な近距離攻撃が脚部分にヒットした事で、トーラス王のタゲが詐欺師から外れていた。

詐欺師「やあっ!」

輝くチャクラムが高々と舞い上がる。大型ハンマーを振りかぶろうとしていたトーラス王の冠に命中する。
再びトーラス王はディレイして、状態を大きく仰け反らせていた。

俺「色々と気に食わないが……この隙を逃すな!」」

ディレイしたトーラス王に俺は2連撃剣技のソードスキル『ホリゾンタル・アーク』を叩き込んだ。左からの斬り、更に右からの斬りでトーラス王のHPバーを削り取る。
そして、その直後にはレイナの両手剣ソードスキルの単発上段斬りである『カスケード』が刻み込まれていた。

そして、そのままアルゴのボスの情報を基に攻略パターンが確立された事も有り、ボスのHPは着実に減り続ける。

シヴァタ「それにしても、ブレイブスの5人は大したもんだな。ナミングをかなりの近距離で食らってるのに、ほとんどスタンしてないなんて……」

この大詰めで特に存在感を放っているG隊のレジェンド・ブレイブスを見て、シヴァタがそうぼやいていた。
シヴァタの言うように、トーラス王がハンマーを垂直に振りかぶった場合、他のパーティーは俺達も含めて、退避を余儀なくされるわけだが、G隊だけは張り付いたまま攻撃を続けられる。

レイナ「……彼らの防具はどれも阻害効果に対して高い抵抗値を持ったレア防具だわ」

俺「その抵抗値も、徹底的な強化でしっかりと引き出されてるからな」

一帯あれだけのレア防具を揃えて、あそこまで強化した状態にするのにどれだけのコルを費やしたんだ?
それも5人も、あの5人の中にベータテスターがいて、そいつが第二層で効率よく金を得る手段を知っていて、それで―――と言ったところだろうか?

リンド「E隊、後退準備!H隊、前進準備!」

リンドの指示が響き渡った。前身の命令を受けたH隊はキリトが含まれるエギルの部隊だった。奴は恐らく、第一層でコボルドロードのLAを取ったことに加えて、ナト大佐、バラン将軍のLAまで取って言える可能性が高い。

俺「そうはいくか……!」

これは恐らく、俺のゲーマーとしてのキリトに対する対抗心だ。同じ、一人のプレイヤーがボス戦での最大の見せ場であるLAを独占し続けるのが気に食わないと言う、譲れない気持ち……!

「ヴォラ―――――――ッ!!」

トーラス王が咆哮と共にハンマーを振り下ろした。

アスナ「せい……りゃあああっ!」

アスナが苛烈な奇声と共に細剣突進技の《シューティングスター》を吐く宇宙発動させていた。

キリト「おおお……らああああっ!!」

続いてキリトが片手剣突進技《ソニックリープ》を発動し、殆ど垂直に近い角度で飛翔しながら、トーラス王の弱点の王冠に―――いや、キリトが狙っていたのはその額だった。

だが―――ブレイブス三人の繰り出したソードスキルの光が立て続けに閃いた直後―――巨大な王冠を額事貫いたのは、キリトでもアスナでもない!

キリト「――――なっ!?」

俺「もう、充分だろ……ビーターさん?」

俺はキリトのアニールブレードが王冠に届くよりも先に、下段突進技のレイジスパイクでトーラス王の王冠を貫き、額を深々と貫いた。

俺はレイナの筋力ステータスを利用し、レイナに投げ飛ばしてもらい、そこから更にレイジスパイクを発動し、キリトよりも先にトーラス王にとどめのソードスキルを突き刺したのだ。

そして、王冠が粉々に砕け散り、更にトーラス王の巨体も爆散して散ったのだった。


※ ※ ※


シヴァタ「お見事だったぜ!あんなやり方でキリトを出し抜いてLAを決めるとは、やっぱり黒のビーターのライバルなのか?」

俺「バカ言え、同じ奴が何度も何度もLAを掻っ攫うのがつまらないと思ったからだよ。アイツ、第一層のフロアボス戦の時に加えて、ナト大佐とバラン将軍までLA決めてやがるんだからな」

キリトのライバルと言う部分は、ハッキリと否定させてもらい。俺はシヴァタと右手をパンっと音を立てて叩き合わせていた。

ユッチ「マジ凄いっすよオズマさん!キリトの野郎の、呆気に取られた間抜け面とか、もう最高っすよ!そう何度も何度も好き勝手させるかって話っすよね!」

俺「だからそんなつもりでやったんじゃねーっての」

まぁ、キリトに対してゲーマーとして対抗心が湧いたのは一概に否定出来ないのも確かだがな。そのキリトはと言うと、アスナを含めた三人で詐欺師と何かを話しているようだった。

レイナ「……あまり、話している時間は無いと思うわ」


勝利の中で沸き立つレイドの中で、レイナは一切騒ぐ事も、舞い上がる事も無く、冷静な眼差しで詐欺師の方を一瞥してから俺にそう言った。

俺「そうだな―――行くか、シヴァタさん?」

シヴァタ「ああ、取り返せる物なら、取り返したいからな」

シヴァタは険しい眼差しで首を縦に振り、了承してくれた。シヴァタ以外にも同じ詐欺の被害に遭ったリンド隊のプレイヤー一人と、キバオウ隊のプレイヤー一人、更に俺とレイナとユッチを加えた6人で、レイド本体から離れて、アスナやキリトと何かを話しているところだった。

俺達が近づくと、ようやくキリトが最初に俺達に気が付いてこちらに目を向ける。俺達が詐欺師を労いに来たわけではない事は、シヴァタ達の険しい表情を見れば流石に分かるだろう。
と言うか、ユッチに至っては、今すぐにでも詐欺師に食って掛からんばかりの怒りを露骨に表情に出し過ぎだった。

シヴァタ「あんた……何日か前まで、ウルバスやタランで営業してた鍛冶屋だよな」

詐欺師「……はい」

シヴァタ「なんでいきなり戦闘職に転向したんだ?しかも、そんなレア武器まで手に入れて……それ、ドロップオンリーだろ?鍛冶屋でそんなに儲かったのか?」



気が付けば、勝利に沸いていた他のレイドメンバーも、リンドやキバオウ、やエギル達も沈黙し、事の成り行きを静観!
まさに緊迫した空気が、フロア全体を漂うのであった! by立木ナレ



詐欺師「……僕が、シヴァタさんと、そちらのお二人の剣と、オズマさんの武器を強化直前にエンド品にすり替えて騙し取りました――――そして、そちらの少年の武器も一度は騙し取りました。」

その言葉を聞いた途端に、ユッチの表情はさらに激しく強張った。左右に立っている二人は暴発寸前の顔つきだが辛うじて自分を抑えている状態。
一方でシヴァタの自制心は見事なもので、眉間に谷を刻んだだけだった。

俺「……お前が俺等から騙し取った武器は、まだ持ってるか?」

今度は俺が肝心な事を問いただすと、床に手を付いたままの詐欺師は、頭を左右に振る。

詐欺師「いえ……。もう、お金に替えてしまいました……」

か細い声が流れた途端、シヴァタは両目をつぶったが、俺と同様にその答えをある程度予期していたらしく、短く「そうか」とだけ言った。

俺「だったら、その金での弁償は出来るのか?俺らの武器を売った金は残ってるのか?」

だが詐欺師は直ぐには答えなかった。沈黙がしばらくの間続き、俺の隣のユッチがついに耐え切れずに、声を張り上げる。

ユッチ「どーなんだよ!払えるのか、払えないのかサッサと答えろよ!!」

小柄な詐欺師は、額を床のタイルに擦りつけながら答えた。

詐欺師「いえ……弁償も、もうできません。お金は全部、高級レストランの飲み食いとか、高級宿屋とかで残らず遣ってしまいました」

その言葉を詐欺師が口にした途端、今度はシヴァタの隣に立つ、リンド隊のメンバーが堪忍袋の緒を切らした。

「お前…………お前、お前ェェ!!」

そいつは、右足のブーツで何度も床を踏みつけながら叫ぶ。

「お前、解ってるのか!!オレが……オレ達が、大事に育てた剣壊されて、どんだけ苦しい思いしたか!!なのに……オレの剣売った金で、美味いもん食っただぁ!?高い部屋に寝泊まりしただぁ!?あげくに、残りの金でレア武器買って、ボス戦に刷り込んで、ヒーロー気取りかよ!?」

更に、左だがのキバオウ隊のメンバーも裏返った声で叫ぶ。

「オレだって、剣無くなって、もう前線で戦えないって思ったんだぞ!そしたら、仲間がカンパしてくれて、強化素材集めも手伝ってくれて……お前は、オレ達だけじゃない、あいつらも……攻略プレイヤーも全員裏切ったんだ!!」

そして、それに続くようにユッチも、はち切れんばかりの怒声をぶつける。

ユッチ「表面上じゃ、申し訳なさそうな顔して『すみません』とか『代わりの武器をどうぞ』とか言っておいて、腹の底じゃ大笑いしてやがったんだろう!このクズやろうが!!」

三人の絶叫を皮切りに、これまで後方で琴の成り行きを見守っていた多くのプレイヤー達が、一斉に爆発した。

―――裏切り者!!

―――自分が何をしたか解ってるのか!!

―――お前のせいで攻略が遅れたんだぞ!!

―――今更謝ったって、何にもならんぇんだよ!!

数十人の叫び声が合わさると、轟音になって部屋を震わせていた。だが、これこそが俺にとって望んでいた展開でもある。

俺「そうだ、これで良いんだ。周囲が一団となって、あの詐欺師の敵になって、誰も奴の味方がいない、誰もが奴を責め立てる、詐欺師が完全に孤立させる必要があったんだ」



そう、これこそがオズマの求めていた状況!!心情的に周囲を味方につける事により、詐欺師がのらりくらりと周囲を言いくるめるような真似をできなくし、詐欺師を完全に無縁孤立のっ状態に追い込み、しかるべき徹底した制裁を下す事がオズマの狙いであった! by立木ナレ 
 

 
後書き
フロアボス戦は終結しましたが、詐欺師への処遇に関するやり取りはもう少し続きます、長くて申し訳ございません…… 
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