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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE19 窮地のレイドパーティー!招かれざる客の出現!

麻痺したスピア使いにバラン将軍がめざとくタゲを取った。そして右足の踏みつけ攻撃で、その身体を押しつぶそうとする――――

ユッチ「ぼ、僕があ、相手だぁ――――――――!!」

スピア使い「え……?」

―――が、その直前に半泣き状態のユッチが、ダガーナイフでバラン将軍の左足を突き刺し、それによってバラン将軍の攻撃の矛先はユッチに向けられていた。

シヴァタ「良し!彼もやれば出来るじゃないか!」

シヴァタが右手の拳を握り締めてガッツポーズを取った。ユッチには強引な命令ではあったが、バラン少雨軍に単独で攻撃して、奴の注意を引き付けるように指示を出しておいた。
敏捷性に優れたアイツなら、一撃加えた後に離脱でバラン将軍の攻撃から逃げ切れる可能性が高いと踏んで、俺はユッチに問答無用で囮役をやらせたのだった。

俺「レイナ、出番だ。俺とシヴァタでちゃんとフォローはする!」

レイナ「……任せて」

次にレイナを先頭に、続いて俺とシヴァタと、同じパーティーメンバのC隊の二人が続いてバラン将軍に向かって走り出す。
まだ、バラン将軍の憎悪値(ヘイト)はユッチに向けられている今なら間に合うはずだ。

レイナ「……今から離脱するわ」

スピア使い「す、済まねぇ……」

俺達6人のパーティーで最も筋力ステータスが高いのは、両手剣使いのレイナだった。細身で華奢な体躯に似合わず、大の男一人を単身で抱えると、そのままレイナは壁際に向かって離脱を開始する。

シヴァタ「女の子に力仕事を任せるのは、少々気が引けるが―――そんな悠長な事を行ってられる状況でもなさそうだな」

俺「ホントだよ……連中が回復するまで、ここからは俺達が踏ん張らねーとな」

レイナがスピア使いを運んだ先には、既に麻痺で倒れているプレイヤーが8人。自由にならない腕で麻痺回復のポーションを何とか飲もうとしている最中だった。
奴らは皆《二重ナミング》を食らった者達だろう。

ユッチ「お、オズマさん!も、もう……もう限界っすぅ――――!!」

俺「ああ、もう充分だ!後は俺達が引き受けるから、お前は麻痺してる連中に回復POTを飲ませるんだ!」

ユッチ「は、はひぃ――――!!」

ユッチは、幾度もバラン将軍のハンマー攻撃の直撃を食らいそうになりながらも、逃げに徹する事で辛うじて大ダメージは回避し続けて、そのまま俺達の横を駆け抜けて、レイナと麻痺者達がいる壁際に向かって走って逃げおおせた。

丁度その頃、ナト大佐と戦っていたはずのH隊のキリトが、リンドの側に駆け寄って、何かを話しているようだが、今は俺達は俺達のやれることをやるだけだ。

シヴァタ「バラン将軍がハンマーのモーションを取ったぞ!」

俺「手筈通りやれば良いだけだ!一撃目で食らっても、さっきみたいなヘマはしなければ良い!」

稲妻を帯びたハンマーが振り下ろされ、そこから俺達の方に衝撃波が発生した直後に、稲妻の渦が発生していた――――が、バラン将軍がハンマー攻撃のモーションに入った時点で既に離脱していた俺達にその攻撃は当たらない。

無論、二連撃目の攻撃も今度はしっかりと予測していたので、慌てて接近するような真似はせず、バラン将軍の攻撃が終わった直後に、俺達は一斉にバラン将軍への攻撃を開始した。

俺とシヴァタ、他のC隊メンバー2人の計4人だが、ソードスキルでのスイッチを行うには十分な人数で、一人ずつソードスキルを交代で浴びせてを続ける、これだけでバラン将軍に大きなダメージを与え、尚且つ麻痺者の回復の時間稼ぎにもなった。

リンド「よい、E隊、後退用意!G隊、前進用意!次のディレイで交替するぞ!」

そこで、リンドが何かを決断したようで、バラン将軍と戦っているメンバーの入れ替えを指示していた。

シヴァタ「リンド、どうするつもりなんだ?」

俺「キリトの奴と、リンドとキバオウの三人で何か話してたみたいだからな。その話し合いの結論って事だろ……」

そして、そのキリトとキバオウは既に自分の持ち場に戻っていた。



更に戦闘続行!キリト、リンド、キバオウの間では、あと一人麻痺者が増加した場合は、ボス戦からの撤退と言う形で話し合いを終えて、その後はリンドのディレイ交替の指示も功を為し、バラン将軍のHPバーは最後の一本を残すのみとなり、ナト大佐のHPバーも残り半分のイエロー領域まで減少―――第二層フロアボス戦の勝利が見えてきたと思っていた矢先――― by立木ナレ



ごごぉん!

そんな轟音が、フロアボス部屋に木霊した。音が聞こえたのはコロシアムの中央だが、そこには何もない。
ただ、牛のレリーフが施された青黒い石材が敷き詰められてるだけだった……

俺「なんだよ、動いてやがるのか?」

三重の円を描く敷石が、スピードを変えながら反時計回りにスライドする光景を見て、俺はこのフロアボス戦の本番は、まだまだこれからなのではないかと言う、根拠のない不安を感じていた。

ユッチ「ひぃぎゃあぁ――――――!!な、なんなんっすかありゃ――――!?」

俺のそんな当たってほしくない不安が的中すると、ユッチがある意味、さっきの轟音よりも響く大声で喚いていた。

俺「なんてこった……俺達が今まで戦ってたバラン将軍が……本当のフロアボスの取り巻きだったとはな」

俺は半笑いで、思わずそう言葉を濁していた。新たに出現した王冠を被った牛人のボスモンスターは天井に達する程の場所に出現した6段ものHPバー下部の文字列を眺める―――が、アルファベットで書かれているので、事前情報も無かった事も有り、俺は全く読めないのだが、そこはレイナがスグにフォローをしてくれるのだ。

レイナ「……正式名称は《アステリオス・ザ・トーラスキング》よ。アステリオスは雷光を意味するわ」

俺「もう、トーラス王で良いだろ……」

そしてその後、エギル率いるH隊が丁度、ナト大佐を倒したようだったが。トーラス王の出現で事態は好転したとは言い難い状態になってしまっていた。

そして、その直後だった。自分たちの役目をようやく終えたばかりのキリトとアスナが、今度はバラン将軍を倒すと言わんばかりにこちらに走ってきたのは。

レイナ「……私たちはどうする?」

俺「やる事に変わりはない……余裕があるうちにボスを倒す」

幸いにも、俺達のパーティーは未だにHPは全員グリーンの状態だった。レイナとユッチは麻痺者の回復をしている間に、自分達も回復POTを飲んだようで、そのHPバーはフル状態になっていた。

シヴァタ「よし、トーラス王の攻撃パターンに関しては全くの未知数だが、まずは盾持ちのメンバーが前衛に出て、奴らの攻撃を防ぎつつそのパターンを掴む!」

俺「ああ、そう言うのは俺等には不向きだから頼んだぜ!」

だが、トーラス王の主な攻撃方法はブレス攻撃だった。口から吐き出されたブレスは毒でもなく、炎でもなく、雷だった。
それを認識した時には、俺達も、キリトやアスナ、そして20人を超えるプレイヤーは白い閃光に包まれていた。

発射された直後には、既に最大射程距離にまで届いたようで、その攻撃速度の前には、前衛のタンク達が盾を構える暇すらなかった。

そしてその直後、俺の目の前を薄いピンク色のセミロングの髪をなびかせながら、レイナが両手を広げて、俺の前に立ちはだかる―――いや、俺を庇ったのか!?

そして、レイナを含む、トーラス王のブレス攻撃を食らったプレイヤーの殆どは、バーの周囲に水泥色の枠が点滅し、麻痺状態のデバフアイコンが表示される。
だが、レイナによって、ブレス攻撃の直撃を免れた俺は、HPバーが僅かに減少するだけにとどまり、麻痺状態になる事も無かった。

俺「お前……なんで?」

何でこんな真似をした?―――と、聞く前に、レイナが痺れる身体で切れ切れの掠れ声で言った。

レイナ「あの……ままだと。貴方も私も……麻痺していたから、だから」

俺「攻めて俺だけでも麻痺から守ろうと咄嗟に判断したのかよ……」

いつも、無表情で感情を表に出すことなく、何が起こっても冷静で冷淡で一切の動揺を見せ無いレイナが、このSAOの中で知り合ったに過ぎない俺を命懸けで守る事になるなんてな―――いや、現実世界での記憶が無いレイナにとっては、このSAOでの記憶が自分にとってのすべての出来事だからだろうか?

俺「ま、そんな事は今は気にしてる場合じゃねぇだろうな……」

今の攻撃で10人以上が麻痺してしまい、その中にはキリト、アスナ、更にはリンドとキバオウまでもが同様の状態で、リンドとキバオウに至っては、トーラス王に比較的近い場所で動けぬ状態と化してしまっていた。

ユッチ「お、オズマさん!だ、大丈夫っすか!?」

俺「俺は見ての通り何ともない……つか、麻痺してないならとにかく動け!麻痺してる奴の救助とかをな……」

見てみると、麻痺を免れていた30人以上のプレイヤーの多くは、リーダー格のリンドやキバオウが麻痺して、命令する事もままならない事も有り、どう行動すべきか判断が付かない様子だった。

シヴァタ「俺が甘かった、トーラス王のブレス攻撃でこんな事になる事を、想定できなかったとはいえ……行動はもう少し慎重になるべきだったかもしれない」

俺「トーラス王の攻撃を予測できなかったのは俺も同じだよ。だから―――今は反省する前に、やれることをやれるだけやるべきだろ?」

シヴァタ「ああ、済まないな。こんな時だって言うのに……」

とにかく、俺とシヴァタで麻痺しているレイナを安全なボス部屋の出口付近まで運んで、レイナはこれで無事なはずだが。
麻痺状態のプレイヤーは未だに9人、そいつらを今から助けるのは、かなり困難―――と言うか、不可能に近い作業だろう。

果たして一体あの中から、何人を助ける事が出来、何人を犠牲にしてしまうのか、そんな鬱な事を俺が考え始めていた矢先だった。
ハンマーを振り下ろそうとしていたトーラス王の額の王冠に向かって、飛んでいく何かを見たのは。

レイナ「……投擲スキル?」

俺「ボスの王冠を直撃しやがった!?―――けど、何故落下しないんだ?」

通常、投擲スキルで投げられたナイフや石ころは、その場で落下して消滅するはずなのだが、それはまるで何かに引かれるように後方に戻って行った。

俺溜まるレブーメランのような動きで、後方に戻るそれを目で追うと、その先にいたのは、俺達を散々コケにしてくれた……

俺「あ、あの野郎!?」

ユッチ「なんで詐欺師野郎が!?」

俺とユッチだけでなく、ボス部屋に突如現れた48人目のプレイヤーを見て、誰もが驚愕の表情を浮かべていた。
この時すでに、麻痺していたプレイヤー達をエギルとその仲間3人が一人ずつ助け出していたのだったが、それすら視線に入らぬくらいに、プレイヤー達の注目を浴びていたのは、このタイミングで現れるはずの無い詐欺師だった。

レイナ「……あの武器はチャクラムだわ」

回復POTで麻痺から解放されたレイナが、詐欺師の手にある武器を見てそう口にした。チャクラムは確か、投擲スキルの他に、体術スキルを同時習得して使える、ブーメランのような要領で使えるSAOでは数少ない遠距離攻撃の武器だったと覚えている。

俺「体術スキルなんて……どこで習得しやがったんだ?」

それは、俺もベータテスターのブログを見てその存在を知り、自分も是非とも習得してみたいと思っていたが、未だに習得方法が分からず仕舞いで、アルゴの攻略本にも書いていない状態だと言うのに、何故奴が?

シヴァタ「待てよ……一瞬だったが、キリトもそれらしき体術の様な技を使っているのを見た気がする」

シヴァタはあの戦いの中でキリトの戦闘も僅かながら見ていたようで、そう思いだしながら口にするが、ベータテスターであるキリトなら、現時点で習得可能ならば、体術スキルの習得方法を知っていたとしてもおかしくはないだろう。



レイドパーティーの危機に現れたのは、招かれざる客であった!48人目のメンバーとして現れた詐欺師により、次回―――第二層フロアボス戦に決着!? 
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