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楽園の御業を使う者

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CAST34

「ふーん…。なるほどそう言う方面で攻めれば戦争を回避しつつダメージを与えられるのね」

「ええ。俺は七草に恨みはありませんけど七草真由美には恨みがありますからね」

白夜が部屋に戻ると真夜と水波が待っていた。

白夜は真夜に手招きされるままにベッドの上に向かい、膝の上にのせられていた。

「白夜様…それは流石に…」

「あ、そう言えば真夜さんもあの時悪乗りして俺にドレス送りつけてきましたよね?」

「い、いいじゃない…。私も白夜君のドレス姿が見たかったのよ」

「いえ、真夜さんの頼みなら俺は着ますよ?」

「あら、そうなの?」

「そうじゃないならこんな格好してませんよ?」

白夜がワンピースの裾を持ち上げる。

「はしたないからやめなさい」

ソレを真夜が上から手を重ねる。

重ねる、というか絡める。

二人がいい雰囲気を出していると…

「あの、真夜様。いい加減私の部屋の鍵をいただけないでしょうか」

「あら?貴女の部屋はここよ?」

「では白夜様が別室なのですか?」

「いえ、私も白夜君もこの部屋よ?」

「ベッドが二つしかありませんが…」

「そうね…1日交代でどうかしら?」

「………………わかりました」

「ねぇ待って。何の取引が成立したの?」

白夜が水波に問う。

「白夜様の所有権です」

「ナニソレコワイ」

「今日は白夜君は私の物。私と寝るの。
でも明日は白夜ちゃんは水波ちゃんと寝る。
どう?」

「どうって言われても……」

「白夜様。両手に花ですよ」

「お前と寝るときは花だけになるんだがな」

「いえ、明日は丸1日白夜ちゃんモードでお願いします」

「達也が不憫すぎるっ…!?」

なお深夜、達也、深雪、穂波も同じホテルに泊まっている。

部屋割りは深夜穂波と深雪達也のミストレス/ガーディアンだ。

白夜が女体化した場合男女比が1:6である。

「大丈夫よ。達也さんは紳士だもの」

紳士っつーか執事ですかね、と白夜が呟く。

「あのシスコンオニイサマ(笑)は置いておくとして…真夜様、白夜様、そろそろお風呂に入られては?」

「え?」

「そうね。そうしましょうか」

「え?」

「白夜様の着替えはこちらです。真夜様のは…」

「ちゃんとあるわ。バスローブでもいいのだけど、穂波さんが持ってきてくれたの」

「え?」

「さ、いきましょ、白夜君」

「え…?」

白夜は真夜に手を引かれ、バスルームに連れ込まれた。

「白夜様…ぷ…くく…あはは…!」

部屋に残されたのは主の困惑顔を思い出して爆笑するガーディアンだけだった。











白夜と真夜がバスルームから出てくる。

真夜は心なしかつやつやしている。

白夜の方は顔を赤く、そして若干ぐったりしていた。

「おやどうされました白夜様?」

「ちょっと…血流操作のせいで疲労が…」

「血流操作…ああ、勃っ」

「はしたないですよ水波ちゃん?」

「は、すいません」

「でもねぇ、血流操作ってわかっていても女として自信を無くしそうだわ」

「いや無茶言わないでください真夜さん…」

「白夜様。恋人を大切にするのは結構です。
しかし据食わぬは、とも言います」

「待て水波。なぜそんな言葉を知っている」

「………まぁ、女子にはいろいろあるんですよ」

なお21世紀末の現在において、婚前交渉はあまり歓迎されない。

そういった事もあり、白夜はチキンっぷりを発揮していた。

大亜連合からマヘーシュヴァラと並びヘイスーフーデイエと恐れられる男がチキンとはこれ如何に。

「はぁ…っていうかなんで女体化したらダメなんですか真夜さん…」

「だって白夜ちゃんは水波ちゃんの物でしょう?」

真夜はそこだけは律儀に守るようだった。

「でも今日は、ね?」

真夜の艶やかな姿に、ドキリと心臓が跳ねる白夜だった。













所かわって七草の双子はと言えば姉とその親友の部屋の前に来ていた。

「本当にやるの? 踏み倒しちゃわない?」

「いえ…それはだめでしょう。今回の一件は私達に非があります…」

「そっか…発端はお姉ちゃんだもんね…」

「ええ。いきますよ香澄ちゃん」

「わかったよ。泉美ちゃん」

コンコンと二人がドアをノックする。

出てきたのは渡辺摩利、姉の親友だ。

「ん?香澄と泉美か。どうしたんだこんな時間に?」

「そ、そのっ、暇、だったから」

「え、ええ、そうなんです」

「まぁ、いいや。とりあえず入れ」

摩利が二人を招き入れる。

二人が入ると姉がベッドでぐったりしていた。

「ど、どうしたのお姉ちゃん?」

「………この脳筋ののろけ話を延々聞かされていたの」

「のろけ!? 摩利様に恋人ですか!?」

「違うのよ泉美ちゃん。このバカ延々片思いで横恋慕なのよ」

「「え…?」」

双子の視線が摩利に付き刺さる。

「いいではないか。私が誰を好きになろうと」

「でもあの悪魔よ?」

「それはお前が原因だろう?」

摩利はふふん、と笑みを浮かべる。

「それで?貴女達はなんでここに来たの?」

「ヒマダッタカラ」

と香澄が答える。

「なんで棒読みなのよ…」

「そ、そうだお姉ちゃん。飴食べますか?」

泉美がポケットから飴を取り出す。

真由美は少し迷って…

「そうね。嫌なこと思い出したし美味しい飴で上書きしようかしら」

その飴を受け取った。

ちりちりと包みを開けて、口に含む。

真由美が最初に感じたのは一般的なイチゴキャンディの味だ。

悪魔からもらった飴はメロン味だったな、と考える真由美。

だが、次の瞬間真由美は困惑した。

飴から魔法が放たれた。

正確には、飴に仕掛けられた遅延発動術式が発動した。

定義は周囲3センチとの相対位置固定。

刹那、強烈な刺激が真由美を襲った。

「~~!?~~っ!?」

口元を抑え、ベッドの上でのたうち回る真由美。

「真由美!?」

摩利が親友に駆け寄る。

「どういう事だ泉美!?」

だが彼女が振り向いた先には誰も居なかった。

双子は逃げ出した。脱兎の如く。

「ま……まり………み……みず……」

「わかった!」

摩利は大急ぎでミネラルウォーターを取りだし、親友に手渡した。

親友はミネラルウォーターを口に含んだまま、飲み込まない。

「………………………」

「真由美?」

真由美は枕元のCADを手に取った。

ソレを操作し何かしらの魔法を発動させると口に含んでいた水を飲み込んだ。

「はぁ…はぁ…」

「真由美。なんだったんだ?」

「…………………あの悪魔今度会ったらただじゃおかないんだからっ!」

「………?」














「あ、シロップ渡すの忘れてた。
ま、いいか」
 
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