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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE17 フィールドボス戦!そして被害者同盟結成?

アインクラッド各層の圏外フィールドには、フィールドボスと呼ばれる、いわゆる名前付きMobが要所要所に配置され、迷宮区に至る為の関所的役割を担う。
その存在感はまさに、各層の主たるフロアボスの部屋を塞ぐ守護者(ガーディアン)!プレイヤー達は、それらのフィールドボスを倒さずして、各層のフロアボス部屋に辿り着く事は有り得ぬのであった!
そして、このお代にそうは広い北部エリアと狭い南部エリアの二つに分けられ、配置されているフィールドボスは一体のみ、その名は……ブルバス・バウ。その名通り、丸く盛り上がった額で突進攻撃を繰り出す巨大牛であり……その凄まじさは現実世界の日常生活では迫りくる大型トラックの如き恐怖心をプレイヤーに与えるのであった!! by立木ナレ



フィールドボス戦は18人のプレイヤーで行われる事になった。俺とレイナは、ユッチを含めた3人のパーティーで参戦する事になった。
ユッチは第一層のフロアボス戦委は参戦していない新参者で、当初は緑コスチュームのリーダー格のキバオウも青コスチュームのリーダー格のリンドもユッチの参戦を渋る態度を見せたが、俺が面倒を見ると説得して、ユッチも何とかメンバーに加われることになったわけだが――――

キリト「アタッカーはダッシュ回避しろ!」

その叫び声は、このフィールドボス戦に参加していなかったキリトの叫び声だった。ブルバスとの戦いがしばらく続いた後に、青のリンド隊と赤のキバオウ隊が盆地の真ん中でひとかたまりになってジタバタしていた為に、ブルバスはタゲをどちらのパーティーに取っているのか解らなくなり、左右から和牛チャージの軌道に入り込んだ挙句に衝突してしまったらしく、盾持ちのタンクが姿勢を乱して、重装戦士は転倒(タンブル)からの回復に手間取り、防御姿勢を取り損ねたのだった。

キバオウとリンドは右手を振って、俺達を含めた軽装戦士8人が左右に散ろうとしたのだが、僅かに間に合わず――――。

猛り狂うウルバスは、起きたばかりのリンド隊の重装戦士二人に四本の角で襲い掛かる。

重装戦士「―――――ッ!?」

俺「させるかッ!」

俺はその直撃を阻止する為に、真横からブルバスに向かって、約10メートル突進して斬りつける、突進技ソードスキルのソニックリープを発動し、ブルバスへ一撃お見舞いする事で、重装戦士たちへの攻撃を何とか阻止したが、当然ウルバスの狙いの矛先は、ソードスキル発動直後の硬直中の俺に向けられる。

だが―――俺だって自らの危険を考慮せずにこんな事をしたわけじゃない。

俺「おたくらは早く逃げるんだ!それとレイナ、スイッチ!」

レイナ「……了解」

重装戦士「す、済まない!」

俺は倒れていた重装戦士たちに逃げるように指示を飛ばしつつレイナにスイッチを命じる。重装戦士が立ち上がるのと、レイナが動き出すのはほぼ同時だった。
俺にタゲを取ったブルバスに向けて、今度はレイナがショートジャンプからの斬り下ろしを放ち、ウルバスに一定のダメージを与えつつ、更に続けざまにソードスキルを発動する。レイナが発動したソードスキルは剣を振り下ろした後すぐさま振り上げる重い2連撃技のイラプションで、その威力は巨体で重量級のブルバス・バウが軽いノックバックする程だった。

俺「時間稼ぎは……十分みたいだな」

既に体勢を立て直した、キバオウ隊とリンド隊の者達が順次、ウルバスへの攻撃の準備に移っていた。
おかげで、レイナはソードスキル発動直後の硬直中に致命的な攻撃を食らう事無く、後は順調にブルバス・バウのHPを削り続ける事が出来たのだった。


そして、第二層で唯一のフィールドボスのブルバス・バウがその巨体を四散させたのは戦闘開始から約20分後であった!


ユッチ「いや~、流石はオズマさんにレイナさんっすね~!お二人がいれば怖いものなしの百人力っすよぉ~」

俺「俺とレイナだけで倒したわけじゃねーよ。18人パーティーで倒したんだ」

初めてのボス戦とだけあってか、あまり積極的に攻撃に参加できなかったユッチに対して、俺はそう言っておく。
最も、本来であれば1パーティーでも倒せた相手なのかもしれないとも考えらえるのだが。

そして、ブルバスを倒してすぐに、一人の青コスチュームの重装戦士が俺達に近づいてきていた。

重装戦士「さっきは助けてくれてありがとう。ブルバスの角が眼前まで迫ってきた時は、本気でヒヤッとしたもんだよ……」

その重装戦士は転倒していた所を、ブルバスに襲われかけたところを俺がソニックリープで助けた、重装戦士の一人だった。
リンド組のメンバーである象徴の青コスチュームで、メンバーの中でも主力の男だった。名前は確かそうだ――――

俺「シヴァタさん――だったよな?ヤバくなった時はお互い様だろ、少なくとも、同じパーティーで戦ってる間はな」

シヴァタ「それでも、あんな危ない所を助けてくれたんだから、礼を言わなくちゃこっちの気が済まないさ。本当にありがとうなオズマ――それと、レイナさんも助けてくれてありがとう」

改めて、俺とレイナに感謝の言葉を口にするシヴァタだったが、ふと俺が気になったのは、シヴァタがこの戦闘で使っていた剣が、第一層のフロアボス戦で使っていたスタウトブランドと言う、現時点ではアニールブレードやフェザーソードに次ぐ、片手剣としては高位の剣ではなく、更に二グレード程下の既製品である、ブロードソードを使っていた事だった。

俺「あのさ、シヴァタさん。アンタの愛剣のスタウトブランドはどうしたんだよ?あれを使ってりゃ、今回のフィールドボス戦だってもっと楽になっただろ?」

自分でも、少々踏み込み過ぎたかと思ったが、何となく俺は、シヴァタが以前よりも格下の剣を使っている事に付いて、引っかかるところを感じて、敢えて聞いてみる事にした。

シヴァタ「ああ、気が付いてたのか……昨日、不運な事が起きてしまってな―――」

シヴァタは少し暗い表情を浮かべてそう口にした。まさか……シヴァタも俺とユッチと同じかもしれない。

俺「不運ってのはさ、プレイヤーの鍛冶屋にスタウトブランドの強化を依頼したら、何かしらの大失敗で無くしちまったり、使い物にならなくなっちまったとか……だったりするか?」

シヴァタ「え……!ど、どうして?どうして、それを!?」

図星だったようだ、シヴァタは俺がメインの武器を喪失した理由を言い当てた事に驚き、何故それが分かったのだと疑問を感じている。

俺「実はな―――」

ユッチ「僕もなんっすよ!僕も……僕やオズマさんもあのプレイヤーの鍛冶屋に……いや、あの詐欺師野郎に武器を取られたんっすよ!!」

俺が説明する前に、武器を騙し取られた事の悔しさをまたしても思い出して、涙目を浮かべているユッチが、大声で叫んでいた。
だが、このままユッチに詳しい説明まで任せるのは、大いに不安なのでこの先は俺がシヴァタに説明する事にした。
俺はウエイトソードを、ユッチはストロングダガーを鍛冶屋に強化依頼を頼んだ結果、従来の武器消滅ペナルティにはあり得ないはずの、武器消失を引き起こしてしまった事と。
そして、ユッチのストロングダガーは一時間以内に全アイテムオブジェクト化で本人のと元に戻ってきたことを説明したのだった。

俺の説明を全て聞いたシヴァタのその表情は、僅かに険しそうに変化したが、俺達に対しては至って冷静な態度を崩さないまま、話を再開する。

シヴァタ「つまり、俺のスタウトブランドも、実際には強化失敗のペナルティで消滅したんじゃなくて―――あの鍛冶屋にすり替えられてたのが真実だったわけか」

俺「酷な話だが、そう言うわけだ。騙し取られてから60分以内なら、こいつのストロングダガーの時みたいに全アイテムオブジェクト化で取り返せたんだけどな」

聞いた話によると、シヴァタのスタウトブランドが取られたのは既に前日の夜中の出来事だそうで、今となってはシヴァタのスタウトブランドは完全にあの詐欺師の手の中にあり、早ければとっくに金に換えられている頃だろう。

レイナ「……貴方の仲間に、他に強化失敗で武器を失った人はいないの?」

シヴァタ「ああ、いるよ。今回の戦闘には参加してないけど、今は新しい武器を手に入れる為のクエストに出てる仲間が一人いる。それと――確かキバオウ隊のメンバーでも同じようなトラブルで武器を失ったプレイヤーがいると聞いたぞ」

俺「随分と派手に活動してやがるみたいだな……」

だが、最前線のプレイヤーに被害者が多ければ多い程、足が付きやすくなる。俺が狙うのは、最前線のプレイヤー達が最も集まる場所、そうフロアボス戦の時だった。

俺「フロアボス戦の後にでも、この事を話してみようかと思ってる。おそらく、その時が最も詐欺の被害に遭ったプレイヤーが多く集まる可能性が高いだろうからな」

シヴァタ「分かった、出来る事なら俺もスタウトブランドを取り戻したいと思ってる。なにより、そんな事をこれ以上続けさせるわけにもいかない―――こんな事が続けばゲームの攻略に支障が出るばかりだ!」

シヴァタは、自身が被害を被ったこと以上に、詐欺被害が広がる事でゲーム攻略に支障が出る事の方を危篤しているようだった。
その辺りは、大人の考えと言うべきか―――無茶苦茶に泣き喚いて、詐欺師をとっちめてやると騒いでいたユッチとは大違いだ。

ユッチ「ああもう!煩わしいっす!一分一秒でも早くあの詐欺師野郎を半殺しにしてやりたいのに―――!!」

俺「何度も言ってるけど、先走った行動は止めとけよ。奴はお前から盗んだつもりだったストロングダガーがアイテムストレージから消えてるもんだから、お前に対して何かしらの警戒心を抱いてるだろうからな」

レイナ「……けど、ユッチとオズマの繋がりには気が付いていないから、そこを付け入れるかもしれない」

俺「そう言う事だ」

俺とレイナに諭されて、ユッチは深いため息を付いて、多少落ち着きを取り戻してから口を開く。

ユッチ「そんじゃ、せめて二層南部フィールドの一番乗りは頂くとしましょうよ!キバオウさんとリンドさんは補給とメンテの為に、近くの村のマロメに向かった見たいっすけど。僕らは3人だけで回復アイテムもまだまだ余裕だからこのまま行けるっすよ」

俺「そうだな、シヴァタもリンドに付き合って一度マロメに戻るみたいだし、先に新天地を見に行くのも悪くないか―――」

と、俺が言いかけた所に、レイナがザックリと切り伏せるように口を挟んだのはその時だった。

レイナ「もう先に、キリトとアスナがさっき行ったわ」

俺「あいつ等か―――高みの見物だったから、補給も何も気にしなくても良いからな」

まんまと漁夫の利を得やがってと、内心で俺が軽く毒づいていた時だった、もう聞き飽きてきた泣き喚くユッチの声が俺の耳につんざいたのは。

ユッチ「き、キリトの野郎が……アスナさんの二人っきりで抜け駆けっすか!?」

レイナ「……何で抜け駆けと言う表現になるのかは分からないけど、2人で先に行ったのは間違いないわ」

ユッチ「畜生!キリトの野郎チックショ――!!」

ユッチは、まるでキリトを親の仇でもあるかのように、憎々し気に喚きながら、地団太を踏み始めていた。

俺「泣いたり、喚いたり、騒いだり、お前は本当に忙しい奴だな……キリトがそんなに嫌いなのか?」

と言っている、俺も奴の事はあまり好ましくは思っちゃいないがな。だが、ユッチがキリトに対して抱いている感情は俺の比ではなかったようだった。

ユッチ「当たり前っすよ!あの野郎……情報を独占して一般プレイヤーを見下してるビーター野郎の癖に!よ、よりにもよって……」

そこまで言ってから、再びユッチの目からは悔しみを感じさせる涙を零し始めていた。

ユッチ「よりにもよってあの野郎!ビーター野郎の分際で、レイナさんと双璧を為す美少女トッププレイヤーのアスナさんを独占してやがるんっすよ!オズマさんみたいに義に厚い人が、レイナさんと二人で行動してるならともかく、あんな野郎がアスナさんと一緒にいるなんて許しちゃ置けないっすよ!理不尽っす!!」

俺「…………」

レイナ「……理解不能」

ああ、俺も流石に今のユッチの、ここまでの悔しがりようは理解不能だった。

ユッチ「ま、まさか!アスナさんはキリトの野郎に弱みを握られて、仕方なく一緒にいるとか?だ、だったらアスナさんを助けなくちゃいけないっす!」

俺「早く、行こうぜ」

 
 

 
後書き
次回はいよいよ、第二層のフロアボス戦の開始です。 
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