| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE15 ダガー使い少年との出会い

第二層の主街区のウルバスの西門付近を中心に出現する飛行Mobのウインドワプスは狩るのが面倒なモンスターだったが、その分経験値効率は良く、俺とレイナはワプス狩りに勤しんでいた。

レイナの索敵スキルのおかげで、遠く離れた場所で出現したワプスも見つけ易いので、レイナが見つけ次第、そちらに突撃。

そして、俺の聞き耳スキルも、遠くで飛んでいるワプスの羽音を聞き取るのに役立つので、それもワプスを狩るのに活用していた。

俺「とどめっ!!」

俺は、こちらに向かって毒針を向けて飛んでくるウインドワプスに向かって、下段突進技の片手剣ソードスキルのレイジスパイクでの突進付きで、撃破した。

レイナ「……あの程度の残りHPなら、ソードスキルを使うまでも無く倒せたと思うわ」

俺「別に良いじゃねーか。もう、近くに他のモンスターはいないんだからよ。硬直中に攻撃されて、お前の手を焼かせるヘマはしないって」

レイナの言う通り、残りのHPが既に危険域(レッドゾーン)だったワプスを相手にソードスキルを食らわせるのは、オーバーキル気味だったが、それも無論――ソードスキル発動直後の硬直中に攻撃される心配がない事を確信しての行動だった。

俺「だけど、結局、あのウエイトソードはあれから一つもドロップしないままか……」

鍛冶屋の武器強化によって消滅してしまったウエイトソードを思い出して、俺はらしくもなく、気の滅入る表情を浮かべていた。

あの剣を使って狩りをやっていれば、今頃もっと、ソードスキルの熟練度は向上していただろうが、手元にないんじゃどうしようもない。

レイナ「……あの剣をドロップするのに、ウルバス周辺での狩りを3日間も続けてようやく一つだったから、そうやすやすと手に入るようなドロップ率じゃないわ」

俺「せめて、他のプレイヤーが露店とかで売ってれば、値段次第じゃ買うんだけどな」

それから更にしばらく狩りを続けて、そうしている間に日が暮れ始めて来て、今日は一旦、ウルバスに戻り、晩飯を食ってから休もうかと思っていた時だった。

レイナ「……他プレイヤーが近くにいるわ」

俺「そりゃいるだろ。俺達みたいに最前線で狩りを従ってる連中とかな」

最前線から遠いプレイヤー達は今でも、安全マージンを最優先して第一層のはじまりの街の周辺で地道な狩りを続けているだろうが。
第一層のフロアボス戦に参加したプレイヤーと、それに近い実力を持つプレイヤー達は既に殆どが、この第二層を狩場に行動しているので、別に他のプレイヤーと遭遇するのは珍しくも何ともない事だ。

レイナ「……ソロプレイヤーで、ウインドワプスの群れに追い詰められて、非効率な行動で更に不利に陥り続けてるわ」

俺「……っ!興味本位でここまで来たわ良いけど、仲間もいない状態なもんで、第一層の敵との違いに対応できなくなって、ヤバくなってるってか―――そこまで案内してくれ!」

レイナ「……こっち」

レイナが索敵スキルで発見したと言うプレイヤーの元に辿り着くまで走り、せいぜい一分かそこらだった。

少年「ひぃぃ―――!し、死にたくないよ!だ、誰か……だ、誰かお助けをぉ―――――!!」

俺「好奇心で、やばい所に入っちまう、典型的な子供だな」

そのプレイヤーは男だったが、身長はせいぜい150㎝そこそこしかなく、年齢は小学生かも知れないと見間違うほどの幼さを感じさせるプレイヤーだった。
右手に持っているダガーを振り回しているが、リーチの短いダガーは、高い位置で飛び続けているウインドワプスにはまるで当たらない。

俺「ワプスは三体か……一匹目は俺が通常攻撃で弱らせるから、その後に大技で止めを頼むぞ!」

レイナ「……分かったわ」

俺は少年プレイヤーに毒針を突き刺そうと迫っていた、ウインドワプスに全速力のダッシュからの斬り払いを食らわせた。
残りの二体が俺に攻撃の対象を変えてきたので、俺は斬り払いを食らわせた後も、走るのを辞めなかった。
これで、二体のワプスはあの少年プレイヤーからも離れたはずだ。

そして、手筈通りレイナのとどめのソードスキルが俺の攻撃でHPを減らしたウインドワプスに回転エネルギーを加え、剣を振り抜く、両手剣ソードスキルのアラウンドが炸裂した。

両手剣ソードスキルの中では比較的動きが速く、ウインドワプスを逃すことなく、一撃で残りのHPを完全に削り切った。

少年「え……?え、えぇ!?――――な、な、なんなに?」

レイナ「……死にたくなかったら、ここから離れて」



そして、オズマとレイナは残りの二体のウインドワプスも撃破!自身が防戦一方に追い詰められていた、ウインドワプスを圧倒するオズマとレイナの実力を目の当たりにした、少年プレイヤーは死の恐怖で泣きじゃくっていた顔から一転、まるで自身の窮地に颯爽と現れたヒーローを見るような、子供らしい済んだ目付きでオズマとレイナを見ていたのだった!

だが、その少年が無邪気に浮かれるのも無理はない―――彼は、リアルでは中学一年生の少年であり、そんな少年の元に、自らの絶体絶命の窮地に現れて、命を救ってくれる者たちは、それが誰なのか、分からずとも、会ったばかりだとしても、少年の目にはヒーローとして映る! by立木ナレ



少年「あ、あ……ありがとうございます!お、お二人のおかげで―――助かったっすよ!!」

ダガー使いの少年プレイヤーは、俺とレイナが三体のウインドワプスを全滅させたのを見るや否や、おぼつかない足取りで、こちらに駆け寄る。
そして、俺の手を一方的に掴んで、感謝の言葉を口にしていた。

俺「助かったのは良いがな、毎度毎度都合よく、誰かが助けに来てくれるとは限らねーんだから、狩りに出る時は自分の身の丈に合ったやり方に気を付けろ」

少年「えへへ、ほ、本当にお世話掛けましたっす……。あ、ああ!ぼ、僕の名前はユッチっす!」

別に名前を聞いてはいないのだが、向こうが先に名乗って来たので、こちらも名前を教えた方が良いかと思い俺とレイナもそれぞれ名前を名乗ると、ユッチは口を限界まで間抜けの様な顔つきで開き、レイナの方を向きながら、ガタガタと震え始めていた。

ユッチ「れ、れ、レイナさん!?こ、この人がレイナさんっすか!?」

レイナ「……そう言った」

レイナの名前を聞いたユッチが、なににそんなに驚いているのかは知らないが、レイナはユッチの動揺っぷりとは対照的に表情や挙動にまるで変化の無い対応をしていた。

俺「お前、レイナの事を知ってるのか?」

もしかしたら、現実(リアル)での記憶喪失になっているレイナの事を何か知っている奴なんじゃないかと、俺は僅かに期待を感じて、ユッチと名乗ったプレイヤーにレイナの事を聞いてみるが、そのユッチの返事は、俺の期待とは大きく外れた返答だった。

ユッチ「勿論っすよ!レイナさんって言ったら、第一層のフロアボス戦に参戦したプレイヤー達の中でも、アスナさんと並ぶ、たった二人の美少女プレイヤーとして、既に名前が知れてるんっすから!一部のファンの間では、既にアスナさん派とレイナさん派でファンクラブでも作ろうかなんて、話も上がってるくらいっす!」

俺が知らぬところで、アスナだけでなく、レイナのファンクラブまで出来ようとしているとは……人気アイドルの常と言う奴だろうか?

そんなアイドル的人気を得ようとしているレイナとコンビを組んでいる俺は、ファンクラブの連中とやらにさぞ、目の敵にされるのも時間の問題だな。

そして、この事をキリトが知っているのかどうかは知った事じゃないが、奴もアスナと行動を共にし続けていれば、何れはファンの連中から嫉妬、嫉み、憎悪を買う事だろう。

そして、ユッチはと言うと、何でも自分が使用しているダガー武器の製造限定品である『ストロングダガー』を製造する為に、第二層でなくては手に入らない、必要な素材アイテムを手に入れる為に、無茶を承知でここまで狩りに来ていたとの事だった。

ユッチ「第一層じゃ、ボス戦どころか、何処のパーティーにも相手にされなかったんすけど。あの、ストロングダガーを手に入れれば、戦力が大幅にアップして、今度こそ最前線で戦えるかもしれないんっすよ!アルゴの攻略本にもストロングダガーの性能はばっちり書いてあったっすからね!」

そう言いながらユッチが腰のポーチから取り出したのは、最近新しく出されたばかりの、アルゴの攻略本だった。

俺「なるほど、その攻略本に書かれてた武器欲しさに、素材集めにここまで来ちまったってわけか」

ユッチ「はい、それで何とか苦労して素材アイテムの採取とか、モンスターを倒さなくちゃならない素材アイテムも、苦労してようやく集めたんっすよ。けど……いざ帰ろうって時になって、ウインドワプスの群れに襲われて、ああなってたってわけっす」

ユッチは、恥ずかしそうに、思い出しながら、はにかんだような表情で頭をポリポリと掻いていた。

俺「取りあえず、製造に必要な素材が集まったんなら、こんなところで何時までも留まってないで、早い所武器を造るべきだろ。そうすれば、狩りも今までに比べて危険度も減るはずだからな」



オズマとレイナは、主街区のウルバスに戻るついでに、ユッチを送り届ける事にした。道中、幾度かウインドワプスを始めとしたモンスターに襲撃を受けるが、オズマとレイナはそれを撃破!討伐!殲滅!殆ど寄せ付ける事無く、倒し続けて、難なくウルバスへ到着した! by立木ナレ



ユッチ「それでは、オズマさんにレイナさん、今日は本当にお世話になりましたっす!良かったら、僕とフレンド登録してくれませんっすか?」

俺「分かった分かった、登録したら早い所武器を作りに行きな」

ユッチ「へへ、よろしくっす~」

ヘラヘラと笑みを浮かべるユッチから、フレンド登録を申請されて、俺とレイナはそのままユッチのペースに巻き込まれるような形だったが、フレンド登録に同意していた。
気のせいか、俺とフレンド登録をした時よりも、レイナとフレンド登録をした時の方がユッチの表情が嬉しそうにニヤニヤと歪んでいるように見えたわけだがな。

レストランに入り、食事を始める事には既に時刻は午後の7時に迫り、フィールドに出ていたプレイヤー達の多くが街に戻ってくる頃だった。

俺「なんか、感じが狂うんだよな」

レイナ「……何が?」

俺はレストランで注文した、サイコロステーキを口に入れながら、そう呟く。

俺「俺が前にプレイしてたMMOだとな、午後の7時くらいの時間帯ってのは、むしろゲームが始まる時間帯って言うか、ログインするプレイヤーが増え始める頃合いなんだよ」

レイナ「……それは、学校や仕事を終える人が多い、時間帯だから?」

俺「だろうな、俺みたいに学校にも行かずに、気が向いた時に、日雇いの仕事や空き缶拾いしてるだけの奴には関係ねーんだがな」

何気に、現実世界での記憶の無いレイナでも、現実世界での常識とか、世界がどうなっているなどについての記憶はやはり失っていないらしいと思いつつ、俺は話を続ける。

俺「けど、このSAOじゃ四六時中、ログアウトも出来ずにゲームに閉じ込められてるもんだから、どいつもこいつも現実世界(リアル)での生活習慣のままの時間帯で活動してるんだなって思っただけだよ」

レイナ「……私は、現実世界でどんな生活をしていたのか、それも覚えてないけど―――あなたと会う前から、大多数のプレイヤーと同じように、活動時間は朝方から、夕方の時間に偏っていたから、もしかしたら私も現実世界では一般的な昼型の生活を送っていたのかもしれないのかしら……?」

俺「お前の見た目の年齢からして、中学生くらいの可能性が高いから、普通に学校に行ってたとしたら、そうなるのは必然なんじゃないか?――――てか、お前もやっぱり、記憶にない現実世界での自分がどうしてたのとか、気になったりするのか?」

俺は、レイナが珍しく、現実世界の自分の事に付いて、僅かにも疑問を感じ、言及したことが珍しく思い、そう入り込んだ事を聞いていたが―――

レイナ「……別に、今の私には、現実世界の私がどうしてたのかなんて、興味ないわ」

レイナは素っ気なく、自分の現実での事に興味が無いと言い切っていた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧