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ハルケギニアの電気工事

作者:東風
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第30話:課題消化!(その5:領内改革の視察は温泉湯治!?)

 
前書き
皇帝御一家も暇ではないと思うのですが、いがいとフットワークが軽いようで。
上級精霊(精霊王)にも会う事が出来て、上機嫌? 

 
 お早うございます。アルバートです。

 今日は、4泊5日の予定で皇帝一家が我が家に来ました。公務は誰に押しつけてきたのでしょうね。とても気になります。

 屋敷到着初日に、私たち家族と一緒に昼食を取った後に領内改革の本部である『改革推進部』の案内をしました。『保健衛生局』を案内した時は、みんな作業で出払っていましたので業務の説明だけを行いました。その後、『事務局』に案内して、事務員の皆さんと顔合わせを行い、僕の執務室の『部長室』を見て貰いました。最後に作業場を見て貰って、暖炉を改造した加硫するための炉と活性炭を作るための炉の説明をしましたが、活性炭用の炉を加熱する方法の説明で火石の事を話さなければならなくなって、火石の入手方法から精霊の話しをした結果、今度は精霊に会いたいという事になりました。
 仕方ないので、屋敷の表に新しく作った池に移動し、池の側で精霊を呼び集め、その有様を皇帝一家に紹介して驚いて貰った訳です。ついでに、どうせいつか会わせろと言われて、同じような場を設けるのも面倒なので、ここで上級精霊も紹介してしまう事にしました。
 初めて、自分から風の上級精霊『ジン』、水の上級精霊『クウィンティ』、火の上級精霊『サラマンディア』、土の上級精霊『ラサ』を呼びましたが、約束通りみんなすぐに来てくれました。
 東屋で精霊が集まるのを見て驚いていた皇帝一家と父上達は、突然現れた上級精霊を見て、みんな固まっていましたが、ただ一人母上だけはとても嬉しそうに両手を胸の前で合わせて頬を染めていました。さすがは母上です。本当にどんな神経をしているのでしょうね?
 さて、このままでは、話が進みませんから目を覚まして貰いましょう。

「皇帝閣下!!」

 大声で呼ぶのと同時に、『ウンディーネ』にお願いして、みんなの顔を軽く撫でて貰いました。バケツで水をぶっかける訳にもいきませんからね。
 こちら側では『ジン』がニヤニヤしていますが、気にしないでおきましょう。

「皇帝閣下。お目覚めですか?上級精霊の皆さんを紹介して宜しいでしょうか?」

「おおっ!?……。これは驚いた。まさかいきなり目の前に現れるとは思わなかったぞ。すまなかったな。続けてくれ。」

「驚かして申し訳ありません。それでは、紹介させて頂きます。皇帝閣下より向かって右側、私の側に浮いているのは『ジン』です。風の精霊『シルフィード』の上級精霊です。次に左側に浮いているのは『サラマンディア』。火の精霊『ファイアリー』の上級精霊です。そして私の隣に立っているのが土の精霊『ノーム』の上級精霊で『ラサ』。池の上に立っているのが水の精霊『ウンディーネ』の上級精霊『クウィンティ』です。それぞれ、精霊達の上位の存在で精霊王と言われる、この世界の自然の理を司る者達です。」

「自然を司る存在とまみえる事が出来るとは、ここまで来た甲斐があったという物だな。それにしても、アルバートはいつの間にこれだけの精霊達と懇意になったのだ?」

「実は、先にご紹介しました精霊達は、私が3歳になった時に廻りにいる事に気付いたのですが、何故かその後すぐに認識する事が出来なくなりました。見えているのに意識出来ないといった感じです。
 そして先週資材調達のために2回目の南方旅行に行った際、ちょっとした切っ掛けで認識する事が出来るようになってから、意思の疎通が出来るようになり、仲良しになることができたのです。」

「その話しは聞いた事がなかったな。精霊を見る事が出来る等という事自体、今まで聞いた事がなかったのだが、3歳の頃から精霊を見る事が出来たとは、やはり、アルバートは普通の子供とは違ったのだな。」

「私だけが見る事が出来たのか、それとも、他の子供達も、見る事が出来ても忘れてしまうのか解りません。
 精霊と意思の疎通が出来るようになったので、何時までも火の精霊とか風の精霊とか言うのもおかしいかなと精霊達に名前を付けたら、喜んでくれたので『ファイアリー』に頼んで火石を作って貰いました。そうしたら今度は火石を作った事が原因で火の上級精霊がやって来てしまったのです。さすがにまずい事をしてしまったかと思ったのですが、咎められる事もなく、精霊に名前を付ける事の意味を教えて貰って、この時に弾みというか、話しの流れと言うかで、火の上級精霊にも『サラマンディア』という名前を付ける事になりました。こんな感じでお友達になることが出来たのです。」

「普通、精霊に名前を付けようなどと考える者は居ないと思うがな。ましてや上級精霊にまで名前を付けるなど、普通の人間なら腰を抜かして話も出来ないと思うぞ。」

「なぜか、恐ろしいと感じなかっただけですけどね。そんな感じで南方では『サラマンディア』だけと会う事が出来ました。他の上級精霊は、此方の帰ってから個別に来てくれました。
 まず、私が外で一休みしていた時に、風の上級精霊が来て、やはり『シルフィード』に名前を付けた事で話しをして、『サラマンディア』にも名前を付けた事を話したら、『ジン』という名前を付ける事で、友達になってくれました。
 土の上級精霊は、池を掘った後、どうやって水を引こうかと考えていた時に池の真ん中に出てきました。『ジン』から話を聞いて来たそうで、『ノーム』に名前を付けた事や『ジン』にも名前を付けた事で、『ラサ』という名前を付けたら池から地下水脈までの道を作ってくれました。
 最後にその道を通って、ラグドリアン湖から水の上級精霊が来て、池を水で満たしてくれました。この時にも『ウンディーネ』に名前を付けた事から『クウィンティ』という名前を付けることになり、これで全ての上級精霊に名前を付けた事になったのです。
 ただ、全ての上級精霊が一同に集まるのは今日が初めてとなります。」

「それで、ずいぶん豪華な顔ぶれになった訳だ。しかし、わずかな期間で色々な事をやって来たようだな。一歩間違えばどうなっていたか解らないような気がするのだが、もう少し慎重に物事を行うようにしないと、最悪、死ぬ事になるぞ。
 しかし、精霊だけでなく上級精霊にまで名前を付けて友達にしてしまうとはな。いったい、お前はどれほどの幸運の持ち主なのか、一度じっくりと話し合う必要が有りそうだな。」

[皇帝とやら。お前の言うように、たしかに、この子供は類い希な幸運の持ち主なのであろう。エルフの長老のような精霊使いでも我らに直接会う事は殆ど無いからな。大体、この子供の方が、長老達よりよっぽど面白い。]

 『ジン』が話に入ってきました。呼び出して置いてほったらかしはいけませんね。

「『ジン』と申したか。風の上級精霊という事だが、その方のような存在が人の前に姿を現すのは、よほどの事がない限り無いと思うが、このアルバートは特別という事かな?」

[お前達人間には解らない事だろう。目に見える物しか知ろうとせず、見えない物を否定する愚かな存在よ。未だ人間に伝える事は許されない事なので、ここで話す事は憚られるが、この子供には色々な秘密があるという事だ。そういった意味では、確かに特別な存在であろうな。]

 なんか、話がやばい事になってきましたね。『ジン』は話す事が出来ないといっていますが、上級精霊が話せないと言うだけで、何か有るという事が解ってしまいますから、後で突っ込まれそうです。ここは、早く話しを元に戻した方が良いでしょう。

「私が幸運だと言う事は本当だと思います。ボンバード領の改革を行うために、必要な物を探して南方に行けば、交易などにも使えるような珍しい物を見つける事が出来たり、色々と手伝ってくれる精霊達と知り合って友達になる事も出来ました。
 この池もゴーレムを作って池の形を作る時に『ノーム』が手伝ってくれたので、普通より遥かに簡単に作る事ができました。また、『ラサ』と『クウィンティ』の協力がなければ、離れた所にある地下水脈から池に水を引く事もできなかったでしょう。
 この池が出来た事で私達も良い憩いの場を手に入れる事が出来ましたが、今まで水場の関係で行動範囲が限定されていた『ウンディーネ』も自由にこの屋敷で動き回る事が出来るようになりましたし、『クウィンティ』もいつでもここまで来る事が出来るようになりましたから、今日のように上級精霊が揃っている所を見る事が出来るようになった訳です。
 もっとも、余り派手に動き回られると、トリステインのモンモランシ家から『クウィンティ』について文句を言われるかもしれませんから、程々にとお願いしています。」

「そういえば、モンモランシ家はラグドリアン湖を抱える領地を持った、『クウィンティ』との交渉役だったな。たしかに、ゲルマニアの貴族が水の上級精霊とのルートを持っていて、『クウィンティ』という名前まで付けている事が解ったら、色々と面倒な事になりそうだ。もっとも、儂に言わせれば『クウィンティ』の方からお前に会いに来るのだから、文句の付けようがないと思うがな。」

「それで通じる相手なら良いのですが。今は良いでしょうけど、万一、モンモランシ家が何かの弾みで『クウィンティ』を怒らせるような事をして、交渉役を降ろされるような事があれば、トリステイン側の交渉役が居なくなって、ゲルマニアにいる私だけが『クウィンティ』と話の出来る存在となってしまい、ますます問題になりますからね。」

 この辺は、原作知識という奴ですね。このまま行けばモンモランシ家は水の精霊を怒らせて交渉役から降ろされるはずですから。自業自得とは言え、その後のモンモランシ家の状況はかなり悲惨ですから、出来ればそんな事にならないで欲しい物です。

[そのような事をお主が気に病む事はない。我が誰と会おうと古き血の盟約者には文句を言うことはできぬ。我は我の意志で相手を選んでいるのだからな。かの古き血の盟約者との約束とお主との事は別じゃ。]

 『クウィンティ』はそう言いますが、トリステインの貴族連中がそんなに話が解るとは思えません。バレれば絶対難癖付けてくるでしょうね。もっとも、いざとなったら上級精霊にお願いして、トリステインから全ての精霊を離してしまえば、雨が降らなくなって、作物は育たなくなるでしょう。家事で火を使う事も出来なくなりますし、多分魔法も使えなくなるはずですから、魔法しかないトリステインは戦争なんてやっていられなくなるでしょうね。

「まあ、あまりおおっぴらにしない方が良いでしょう。ロマリアなんかに知られたら、間違えなく揉め事が起きるでしょうから。ロマリアと事を構えるなんて面倒くさい事はやりたくありません。」

[まあ、お主がロマリアとやらと関わりを持ちたくないという事は解った。だが、いくら秘密にしようと思っても、遅かれ早かれ知られる事になるのは確かだと思うぞ。]

 『ジン』が嫌な事を言い出しました。たしかにこんな存在感のありすぎる上級精霊なんていう物が堂々と現れているのですから、どこで誰が見ているか何て解りません。それでも、隠しておけるだけは隠しておきたいと思うのですよ。

 僕の気持ちは置いておいて、皇帝にもちゃんと紹介出来ましたから、精霊達には解散して貰う事にしました。それこそ、今の状況を他人に見られるととんでもない事になりますから、余りゆっくりしてもいられません。

「お呼び出しして申し訳ありませんでした。これで紹介を終わりたいと思いますので、皆さん解散して下さい。」

 そして、精霊達はそれぞれに消えていきました。

「それにしても、アルバートには驚かされる。使い魔の『ヴァルファーレ』にも驚いたが、今度の精霊達にはもっと驚いた。どんな経緯で知り合ったのか詳しく知りたいものだな。」

「その辺の事は、晩餐の後でゆっくりお話しします。そろそろお茶の時間ですから、屋敷の方に戻りましょう。」

 何とか、精霊の紹介も無事に終わりましたので、一旦屋敷に帰ってお茶にしましょう。さすがに喉がからからです。
 先日、『クウィンティ』と『ラサ』が来た時も、屋敷の人たちが遠巻きに見ていましたが、今日もみんなが来ていました。皇帝が居るので余り近くに来られなかったようですが、充分見える所に陣取って、屋敷の人たちも『事務局』の人たちも居ましたから、精霊と上級精霊の全員集合を見る事が出来て、満足している事でしょう。後でみんなに口止めしておかないといけないのでしょうけどね。

 その後、午後のティータイムにかなりの時間を使ったので(色々話しがあって時間が掛かりすぎました。)夕方になってしまいましたから、晩餐前に今回の目的の一つである公衆浴場で入浴する事になりました。
 皇帝一家と家の家族で風呂道具を持って公衆浴場まで歩いて行きます。一人に一つずつ風呂桶を作っておきましたから、中に石けんとシャンプー・リンス等をいれて、その上に手拭いとバスタオルを乗せて風呂敷で包んでいます。完全に日本の銭湯スタイルです。こういった物は今回の行幸に会わせて作っておいたのですよ。そして、もう一つ目玉商品(?)として浴衣と団扇も作っておきました。こちらは僕がスケッチを描いて、それを基にメイドさん達に縫って貰いました。帯もおそろいで作ったので良い感じになっています。母上に着方を説明しておきましたから姫様達の気付けも大丈夫でしょう。皇帝には父上から教えて貰います。湯上がりに縁側で団扇を使って涼んで貰いましょう。
 皇帝一家も珍しがって喜んでいますから、一式セットで持って帰って貰うとして、後は牛乳(コーヒー牛乳でも可)とか下駄や草履も欲しいですね。今度作ってみましょうか。

 公衆浴場について、入口で男湯と女湯に分かれ、僕も皇帝と一緒に男湯に入ります。番台は形だけで、まだ誰も座っていません。当然、入浴料も取られませんよ。
 脱衣所で服を脱いで、備え付けの篭に入れて棚に置いてから風呂桶と手拭いを持って洗い場に入ります。脱衣所と洗い場を隔てるガラス戸の大きさに皇帝が驚いていましたが、中に入って湯船の向こうに書かれた絵にまたビックリしています。女湯の方からも喚声が上がっているので、大成功といった所です。

「これはどこの景色を描いた物なのかな?こうしてみるとなかなか風呂場に合う絵だが、見た事のない景色だな。」

「これは、東方の書から見つけた風景画を元にして描かせた絵です。一目見た時から、こういった場所に描いたら良いだろうなと思っていたのですが、良い物でしょう?」

「ああ、良い感じだ。風呂も大きいな。2つ並んでいるがどうやってはいるのかな?」

「右の方が温めの湯で、左の方が熱い湯です。まず、此方の洗い場で身体に湯を掛けて、ざっと汗などを流します。それから、お好みの方にゆっくりと浸かって下さい。注意事項としては手拭いを湯の中に入れない事だけです。」

 洗い場でお湯と水の出る水道の使い方を説明し、ざっと身体を洗って湯船に入ります。 日本式の湯船で馴染みがないから少し戸惑っていたようですが、僕が頭の上に手拭いを載せてお湯に浸かっているのを見て、皇帝も同じように入っています。少し高い所にある大きな窓から、空を流れる雲が見えたりして、何とものんびりした雰囲気になりました。誰かさんの言葉ではありませんが、お風呂は命の洗濯よ!!なんてね。
 ゆっくりと手足を伸ばして湯船に浸かると、一日の疲れがお湯の中に染み出して、身体が軽くなるような感じがします。おもわず何か歌いそうになりましたが我慢しました。軽く暖まってから洗い場に出て、シャンプーの使い方を説明しました。まだ、シャワーまでは作っていないので、桶にお湯を貯めて頭を洗う事になります。
 考えてみると、皇帝って普段のお風呂は侍女とかが付きっきりで身体を洗ってくれているのですよね。自分で洗う事なんて無いのではないでしょうか?皇帝にとって結構貴重な体験になったりして。壁の向こうからは、母上や姫様達の声が聞こえて来ますが、あちらも普段と違う体験に、黄色い声が響いて楽しそうですね。
 何とか身体を洗い終わって、もう一度湯船に浸かります。
 余り浸かりすぎても湯あたりしてしまいますから、適当な所で出る事にして、最後にちゃんと身体を拭いてから出る事も教えて、脱衣場に出ました。
 バスタオルで身体を拭いて、下着の上に浴衣を着ます。僕は慣れているので大丈夫なのですが、父上も余り慣れている訳ではないのでちょっと苦労していますね。皇帝はそれこそ初めて着るので、良く解らないようです。僕が所々で教えて、何とか着る事が出来ましたが、やっぱり違和感がありますね。慣れれば大丈夫だと思いますが。
 団扇を片手に脱衣場からそとの庭へと出ます。この庭はぐるっと高い木で囲んであるので外からは見ることが出来ません。置かれたベンチに座って、団扇で軽く扇ぐと良い気持ちです。そうして夕涼みがてら涼んでいると、女湯の方も上がったようなので引き上げる事にしました。外に出ると、女湯側から母上達が出てきました。母上の浴衣姿はしっかりと決まっていましたが、姫様達の浴衣姿もなかなかでしたよ。思わず、父上と皇帝が見とれていました。やっぱり湯上がりの女性の浴衣姿って色っぽいですもんね。 
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