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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE12 決着、コボルドロード戦!

 
前書き
今の所、一日で二度のペースで更新していますが、感想もお気に入り登録も新しい評価もなかなか得られず、凹みまくりです。

なにが良くないのでしょうかね? 意見がある方はお待ちしてます。 

 
第一層フロアボス、『イルファング・ザ・コボルドロード』との戦いは、一人の戦死者も出すことなく、ボスの4本のHPバーの内3本を全損させ、最後の一本のHPバーを残すのみとなったコボルドロードは右手の斧と左手の盾を同時に投げ捨て、高らかに吠え、新たなる武器を抜こうとしていた! by立木ナレ


ディアベル「下がれ、オレが行く!」

ボスの無敵モーションが終了し、戦闘が再開されると同時にタゲを取ったディアベルが落ち着いた動作で、単身でボスの初激を捌こうとしていた。

俺「このままいけば、依頼は楽に完了しそうだな」

ここからは、極力ディアベル自身がソードスキルをコボルドロードに浴びせ続けて、より確実にラストアタックボーナスを決める算段なのだろう。

キリト「あ……ああ…………!」

俺「は?」

俺の少し離れた所で、いきなりキリトが喉から、引き連れたような声を漏らしていた。いきなり、なにを言おうとしているんだと俺が思った時だった。

キリト「だ……だめだ、下がれ!!全力で後ろに跳べ―――――――――ッ!!」

俺「ッ!?お前……いきなり何を叫んで―――」

俺はキリトがなぜ叫んでいるのか、ふとキリトがベータテスターである事と、アルゴの攻略本には、コボルドロードに関する情報はあくまでベータ版に則った情報であると注意書きが記されていた事を結び付けて、その理由に目星がついた。

俺「まさか、ベータの時と違うのか!?」

キリト「そうだ!あの武器は俺がベータの時に見たタルワールとは違う!あ……あれは、恐らくは……」

キリトの叫び声はディアベルには届かなかったようで、コボルドロードは垂直に飛んだあと、空中で身体を捻り、タルワールとは明らかに違う刀に威力を込めたかと思うと、落下すると同時に、蓄積されたパワーが、深紅の輝きに形を変えて竜巻の如く放たれた。

ディアベル率いるC隊のプレイヤー6人が、コボルドロードのソードスキルを食らい、HPバーは注意域のイエローゾーンにまで一気に減少した。

俺「範囲攻撃なのに、一撃であそこまでの威力があるってのかよ!?」

レイナ「……それに、スタンしてる」

俺「ああ、あれだな……」

床に倒れ込んだ6人の頭の上を回転する黄色い光は、一時的行動不能状態である、バッドステータス、スタンの証拠だった。

これまでの楽勝ムードから一転して、唐突に訪れた予想外の窮地に、前衛の隊のメンバー達の中で、即座にガバーしに動ける者はおらず、その間にコボルドロードは、大技のソードスキル発動後の硬直から回復していた。

キリト「追撃が……」

俺「間に合わねぇ……」

前衛の方で斧使いのエギル率いる部隊が援護に動こうとしたが間に合わなかった。

コボルドロード「ウグルオッ!!」

再び雄叫びを上げて、両手で握った野太刀のソードスキルで狙われたのは、正面で倒れていたリーダーのディアベルだった。
ディアベルは高く宙に浮くが、ダメージはさほどではなかった。

だが、コボルドロードの動きも止まらない。ディアベルは空中で剣を振りかぶって、反撃のソードスキルを撃とうとしたが―――

俺「ダメだ!動作が不安定でソードスキルが発動しない!」

そして、巨大な野太刀がディアベルを正面から襲った。

レイナ「……ディアベルからの依頼は失敗ね」

俺「…………」

レイナの、感情の籠っていない、冷淡な言葉の意味は、ディアベルがコボルドロードのソードスキルによって止めの一撃を食らい、その身体を青いガラスの欠片へと変えて四散、その命を散らしたことを意味していた。


※ ※ ※


その声は悲鳴なのか……もしくは叫び声なのか……どちらにせよ、ボス中に満ちたのは、レイドパーティーのリーダーであったディアベルが戦死した事による悲劇的な叫び声である事に違いはなく、それはパーティーの崩壊の危機である事を暗示する予兆でもあった! by立木ナレ

レイナ「……理解不能。なぜ、この状況で戦闘態勢を崩す者が現れるの?」

ディアベルの死によって多くの物が、武器を縋るように握りしめて、両眼を見開き、まともに動こうとしなくなる。

逃げるべきか戦うべきかの判断が付かなくなっているのだろうが、レイナはそんな奴らの精神的な混乱による動作の停止も理解不能と一蹴する。

だが―――

俺「お前が正しいな」

レイナ「…………?」

こうなった以上、俺の目的は当初の予定通りだ。フロアボスはここで倒すが、肝心のラストアタックボーナスを決めるのは、ディアベルが死んでしまった以上、キリトにその役目を担ってもらうのが俺にとって一番だ。

そうすれば、キリトが手に入れるレアドロップアイテムは、俺が奴を強請り、大量の金と共に徴収する事が出来るのだから。

そして、そのキリトはと言うと、他のプレイヤー達と共に、膝を突いていたE隊のリーダーであるキバオウの左肩を掴み、無理やり引っ張り上げていた。
そして、キバオウと何か言い合った後、俺は一瞬だけ《聞き耳》スキルを発動し、確かに奴が自分の口からそう宣言するのを聞いた。

キリト「……ボスのLAを取りに行くんだよ」

そうだ、それで良い。こうなった以上、ボスのLAを取るのはお前だ、そしてお前が手に入れた、ゲーム中で一つしか存在しないレアドロップアイテムは後で俺が貰うんだ。


ディアベルの死により、オズマ自身にとっても計画がとん挫したものの、すぐに頭を切り替えて、キリトにLAボーナスを取らせる計画に移行!―――それには是が非でも、ここでボスを倒さなくてはならない! by立木ナレ


レイナ「……キリトがLAを取るのを可能な限りサポートすれば良いのね?」

俺「そうだ、他の奴には極力LAを取らせるな……無論、いっその事俺達がLAを決めるってのもありだが、さっきのコボルドロードがベータの情報と違う武器を使って来たように、アルゴの攻略本の情報にない行動を取って来るパターンが幾らでも考えられるから、リスクは避けられるだけ避けた方が良い」

レイナ「……けど、ボスを倒すのは、私達のパーティーだけでは不可能よ」

無論それは当然だ、この状況下でパーティーのパニック状態を鎮めて、まともな戦闘が出来る状態に戻さなくてはならない。

その時、俺の前を激しくはためくフード付きケープを邪魔そうに掴み、一気に引き剥がしたパーティーメンバーが目の前を走り去った。

俺「あれがアスナか……」

レイナ「……初めて素顔を晒したわね」

長い髪を靡かせて疾駆するアスナの姿は、恐慌状態のプレイヤー達ですら、その美貌に目を奪われて沈黙する程だった。
俺のすぐ隣にいる、薄いピンク色の髪と、黄色い瞳のレイナにも引けを取らない美少女ぶりだった。

キリト「全員、出口方向に十歩下がれ!ボスを囲まなければ、範囲攻撃は来ない!」

キリトの叫びを合図に、最前線のプレイヤー達が一斉に後方へ動き出していた、それを追うようにコボルドロードも体の向きを変えて並んで走るキリトとアスナと正対していた。

俺「レイナ、アイツらがスイッチで連続でソードスキルを叩き込むはずだ!奴らの相手をしてる所に、まずは可能な限りHPを削れるところまで削るぞ!」

レイナ「……分かった」

前方ではキリトの片手剣基本突進技《レイジングスパイク》の軌道とコボルドロードの野太刀の軌道が交差し合っていた。
キリトとボスはお互いの剣技を相殺させて二メートル以上もノックバックし、そこで生まれタスキをアスナが――――

アスナ「セアアッ!!」

細剣の高速突刺技の《リニアー》でコボルドロードの右腹を撃ち抜いていた。

俺「オラァッ!!」

俺はコボルドロードの背後に回り、Vの字斬りの2連撃技の《バーチカルアーク》を叩き込んだ。このソードスキルは、現時点で俺が唯一、使用する事が出来る連続技のソードスキルで、V時の斬撃がコボルドロードに刻み込まれる。

そして、手筈通りに攻撃は続く。コボルドロードは背後からソードスキルを叩き込んだ俺に狙いを向けるが、すぐにその隙をレイナが狙いを付ける。

レイナ「…………」

レイナが上段ダッシュ技の《アバランシュ》による、突進しながらの斬り下ろしをお見舞いしていた。


ボスモンスターは、その巨体故に複数人で同時攻撃が可能と言うのがプレイヤー側の大きな優位性であった。
それ故にキリトは、出来ればもう数人のアタッカーがいる事でさらに追撃のソードスキルを続けられる事を望んでいたが、背後に下がったA~G隊までのパーティーは殆どがHPを大きく減らしており、ポーションでの回復が済むまで呼ぶわけにはいかず、それ故に、キリト、アスナ、オズマ、レイナの四人でやれるところまでやるしかない! by立木ナレ


キリト「しまっ……!!」

キリトはコボルドロードの攻撃を、自身のアニールブレードで相殺し合うギリギリの綱渡りの打ち合いを続けていたが、それも15回目くらいで途切れていた。

アスナ「あっ……!」

俺「不味い、キリトがやられたら――――」

既に、コボルドロードの真下から跳ね上がった野太刀が、キリトの身体を正面から捉えていた。その鋭い衝撃で俺のウィンドウで常に表示されている、キリトのHPケージは三割以上が減っていた。

吹き飛ばされたキリトの代わりにアスナがコボルドロードに突っ込んでいたが――――

エギル「ぬ……おおおっ!!」

太刀がアスナを襲う寸前、雄叫びを轟かせて、巨大な両手斧ソードスキルのワールウインドが回転する両手斧と激突していた。

エギル「あんたがPOT飲み終えるまで、俺達が支える。ダメージディーラーに何時までも(タンク)やられちゃ、立場無いからな」

キリト「…………すまん、頼む」

キリトは短く答えて、回復ポーションを取り出していた。前進してきたのはエギルだけではなく、エギルのメンバーであるB隊をメインに数名。

俺「傷が浅かった連中から回復し終えて戻って来たのか」

エギル「ああ、こっからは、俺達が壁をやるから、アンタも出来るだけ、HPに余裕があるうちは奴のHPを削るのを続けてくれ」

俺「分かった」

レイナ「…………」

俺は短く返事をして、レイナは無言で首を縦に振った。

キリト「ボスを後ろまで囲むと全包囲攻撃が来るぞ!技の軌道は俺が言うから、正面の奴が受けてくれ!無理にソードスキルで相殺しなくても、盾や武器できっちり守れば大ダメージは食わない!」

エギル「おう!!」

エギル達6人のパーティーは、キリトの指示通りイチかバチかの相殺は挑まずに、盾や大型武器でガードに徹していた。
奴らは元々(タンク)型のビルドのプレイヤー達だからかHPも防御力も高いが、それでもボスの放つソードスキルを0ダメージに抑えるまでには至っていなかった。

そんなエギル達の間を俺とレイナとアスナが、決してボスの正面と後背には回らず、そしてコボルドロードが少しでも硬直すれば、その隙にソードスキルを叩き込むを繰り返す。

それをやっていると、ボスのヘイトが俺達に向けられるが、壁の6人が威嚇(ハウル)などの幾度か使用してターゲットを取り続ける。

そして、ついにボスのHPが残り三割を下回り、最後のゲージが赤く染まった頃、一瞬気が緩んだのか、壁役の一人が脚をもつれさせて、よろめいて、立ち止まったのはコボルドロードの真後ろだった。

俺「そこから動け!」

だが、それは僅かに間に合わなかった。コボルドロードはそれを取り囲まれた状態と認知したのか、キリトが警告した通り、範囲攻撃のソードスキルのモーションに入る。

レイナ「……旋車(つむじぐるま)がくる」

俺「させるかっ!」

俺は残りのHPが辛うじてまだ、5割以上のグリーンゾーンである事を確認して、地面を蹴り付けるように飛び出し、片手剣突進ソードスキル《ソニックリーブ》を使った。
軌道を上空にも向けられるソードスキルだった。

キリト「届……けぇ―――ッ!!」

俺と同じことを考えた奴がもう一人いた、しかもそのキリトはまだHPの回復が全快していないにも関わらず、ジャンプの頂点に達したコボルドロードに向けて、アニールブレードの切っ先をツムジグルマを発動寸前のコボルドロードの左腰を捕らえていた。

そして、丁度俺のソニックリーブはコボルドロードの右の脇を狙っていた所だった。

鋭い斬撃音の次の瞬間、コボルドロードの巨体は空中で傾き、必殺の竜巻を発動しないまま床に叩きつけられていた。あれは、人型モンスターにある、特有のバッドステータスの転倒(たんぶる)状態だった。

俺とキリトは、どうにか倒れる事無く着地し、その直後に大声でキリトが叫ぶ。

キリト「全員―――全力攻撃!!囲んでいい!!」

エギル「お……おおおお!!」

レイナ「…………」

エギル達6人が叫びながら倒れたコボルドロードを取り囲みながら、ソードスキルを同時発動していた。レイナは、そんなエギル達とは対照的にやっぱり、無口で淡々とした表情のまま、ソードスキルを発動していた。

俺「だが―――いくらなんでも目立ち過ぎじゃないのか?」

俺の小さな独り言は、キリトに対して向けられた言葉だったが、それはキリトには聞こえてなかった。ディアベルが死んでからのキリトのパーティーに対する指揮は今の所、的確だと言い切れる。
だが、その的確な指揮は殆ど、コボルドロードが攻略本の情報とは違う技や行動パターンを概ね把握している事を熟知しているならではの命令だ。

これでは流石に――――

俺「俺はベータテスターですって言ってるようなもんじゃないか?」

俺以外のプレイヤーの中からキリトがベータテスターである事に気が付いてしまう者が現れたら、俺がキリトを強請る計画は綻んでしまう。
この計画はキリトがベータテスターである事を知っている者が極力少ない状態であるからこそ意味があるのだから。

キリト「アスナ、最後のリニアー、一緒に頼む!!」

アスナ「了解!!」

そんな俺の懸念に、キリトがどのくらい気が付いているのか分からないが、アスナに指示を飛ばしながら、ボスに向かって走っていた。

ボスの残りHPは僅か3%、レイナとエギル達はソードスキル発動後の硬直で動けない。このままいけば、俺の目論見通りキリトがLAボーナスを決めてくれる可能性はかなり高い。

キリト「お……おおおおッ!!」

俺がコボルドロードに食らわせたソードスキルと同じ、V字の軌道を描く、片手剣二連撃技のバーチカル・アークがコボルドロードの残りのHPゲージの最後を削り切り、ボスの巨体は無数のひびが入ったかと思うと、バラバラの硝子破片と変えて四散したのだった。 
 

 
後書き
ようやく、第一層フロアボス戦の終了です。ですが、次回はまだボス戦後の一騒動になりますね。 
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