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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE11 第一層フロアボス戦開始!コボルドロード!

第一層フロアボス戦の攻略パーティーが組まれた。オズマとレイナはキリトとアスナのコンビを加えた4人んのパーティーになった矢先……レイドパーティーのリーダーのディアベルから呼び出されて、ベータテスト時代にラストアタックボーナスを幾度も掻っ攫ったキリトの妨害の依頼をされたのであった! by立木ナレ





俺「分かった、やれるだけの事はやって見せる」

俺はディアベルの依頼を請け負う事にした。

ディアベル「ありがとうオズマ君!――こんな事を頼んでしまって、失望されるんじゃないかと思ってたけど、ちゃんと聞いてくれた上に、引き受けてくれて感謝する」

俺「気にしなくて良いって、俺もこれから特定の誰かが頭一つ飛びぬけた強さのプレイヤーとしての地位を確立するとしたら、それはソロプレイヤーのキリトよりも、バラバラだったプレイヤー達をまとめ上げたディアベルさんが一番相応しいと思ってるぜ」

実際、これから攻略パーティーのリーダーとして、俺達を先導していくディアベルには、相応のレベル的ステータス、装備による強さが必要不可欠だと考えている。

一方で、俺がディアベルの依頼を二言返事で引き受けたのは、他にも狙いがあるのはまた別の話だ。―――そして、ディアベルは俺とレイナに何度も礼の言葉を述べて(レイナはずっとパスタを食べ続けていただけ)。先にレストランを後にして去って行った。

レイナ「……何が狙いなの?」

俺「目聡いな、レイナは」

ディアベルが店から姿を消した途端に、レイナが俺の別の意図に感づいたように、そう聞く。

俺「俺は当然、ディアベルの依頼を果たせるように尽力するが、今の依頼を引き受けた事で、どっちに転んでも俺が得する事になるんだよ」

レイナ「……ディアベルが無事にラストアタックボーナスを決められれば、依頼の報酬の奥義強化書を貰えて―――そして、キリトがラストアタックボーナスを決めてしまった場合でも、後からキリトが手に入れたレアドロップアイテムを強請で得る事が出来る、から?」

俺「ご名答だ、無論、ディアベルがラストアタックボーナスを決めて、俺達が依頼報酬を受け取った後でも、キリトにはキッチリその後に例の記憶結晶で録音したベータテスターであることの証拠をネタに、金とアイテムを出してもらうわけだがな」

レイナ「……オズマ、凄くエグイ」

無表情のまま、さらりと『エグイ』等と言ってくれるレイナに対して俺は、レストランで注文したビールを飲みながらこう答える。

俺「言ったろ、義賊だよ……一般プレイヤーを顧みないで情報やアドバンテージを独占してるベータテスターを狙うな」



※ ※ ※


12月4日、日曜日。

このデスゲームが開始されたのが、11月6日だったので、既にそろそろ四週間が経過する頃だった。

キバオウ「おい」

俺達4人パーティーの後ろから有効的とは言い難い声を掛けてきたのはキバオウだった。俺達と言うよりは、正確にはキバオウが声を掛けた相手は主にキリトに対して向けられているように俺は感じた。

唖然とするキリトを、睨み付けたキバオウは、いっそう低い声で言った。

キバオウ「ええか、今日はずっと後ろに引っ込んどれよ。ジブンらは、わいのパーティーのサポ役なにゃからな」

キリト「…………」

キリトは何かに驚いているのか、呆気に取られたような顔で黙り込んでいる。キバオウは憎々しげに頬を歪めた顔をもう一段階突き出し、吐き捨てる。

キバオウ「大人しく、わいらが狩り漏らした雑魚コボルドの相手だけしとれや」

ついでに唾を地面に吐き捨てて、キバオウは身を翻して仲間のEパーティーの方に戻って行った。

アスナ「……何、あれ」

キリト「さ、さあ……。ソロプレイヤーは調子乗んなって事かな……」

俺「キリト……キバオウと何か浅からぬ因縁とかでもあったりしないよな?」

キリト「い、いや……。そもそも今、初めて口を聞いたばっかりだしな……」

キバオウの言動からして、奴はキリトの事で、何かしらの敵意を感じるような、噂か情報を知っているようにも思えてならなかった。
俺とレイナがそうだったように……ディアベルが何かしらの手段でキリトがベータテスターである事を知り得たように、もしかしたらキバオウもキリトがベータテスターであると言う情報を掴み、それでベータテスターに対して、極端な反抗心を抱くキバオウはキリトに突っかかったと考える事も出来る。

ま、全ては想像の範疇に過ぎないのだが。

それから少し時間が経過して、例の噴水の縁に立っていたディアベルが美声を張り上げた。

ディアベル「みんな、いきなりだけど―――ありがとう!たった今、全パーティー46人が一人も掛けずに集まった!!」

途端に、歓声が広場を揺らす。次いで、滝のような拍手の音。

ディアベル「今だから言うけど、オレ、実は一人でも欠けたら今日は作戦を中止にしようって思ってた!でも……そんな心配、みんなへの侮辱だったな!オレ、すげー嬉しいよ……こんな、最高のレイドが組めて……。まあ、人数は上限にちょっと足りないけどさ!」

笑う者、口笛を吹きならす者、ディアベルの様に右手を突き出す者。

俺「流石、大勢のプレイヤーを率いるだけの事はあるよな。利己的で保身主義のプレイヤーにはあんなリーダーシップはまずないもんな」

キリト「ああ……ああ言うのが、人に慕われるんだろうな……」

アスナ「……?いきなり、何の話を始めてるの?」

レイナ「…………」

この中で唯一、俺とレイナがキリトを強請っている事、キリトがベータテスターである事を、恐らくは知らないであろうアスナは、勘ぐるよう声でそう言った。

一方で、皆がひとしきり喚いたところで、ディアベルはようやく両手を掲げて歓声を抑えた。

ディアベル「みんな……もう、オレから言う事はたった一つだ!……勝とうぜ!!」


※ ※ ※


午前十一時、迷宮区到着。 午後十二時半、最上階踏破。

レイナ「……あれが、フロアボスの部屋」

俺「見るからに、お山の大将の根城って感じだな」

集団の後方から俺達は、ついに姿を現した巨大な二枚扉を仰ぎ見る事になった。
灰色の石材表面には、獣頭人身の怪物がレリーフされている。

俺「コボルトと言えば、普通のMMOだと、その辺の雑魚モンスターに過ぎないけど、このSAOじゃ、中々の強敵なんだよな」

レイナ「……このソードアート・オンラインでは、亜人族を含む、人型のモンスター全般が、剣や斧を装備していて、ソードスキルを使用してくるからね」

レイナが俺の方を見ながら、俺の言った事の意味を、的確に答えてくる。

俺「あのクエストの山賊連中もそうだったしな。ソードスキルは、通常の攻撃に比べて威力も、攻撃速度も格段に優れてる」

例え、第一層現在で使われている初等技でも無防備状態でクリティカルを食らえば、それだけでHPケージを著しく失う致命傷になり得る。

キリト「少し良いか?」

俺とレイナがそんな事を話していると、キリトが俺の肩を軽く叩きながら声を掛けてきた。

俺「戦いの前の打ち合わせか?」

キリト「ああ、俺が奴らの長柄斧(ポールアックス)をソードスキルで跳ね上げさせたら、アスナがスイッチで飛び込む手筈になってるんだ」

俺「なるほどね、そっちはそっちで息の合ったコンビで上手くスイッチするから、俺達は俺達でやればいいわけか?」

キリトは無言で首を縦に振った。無論、俺とレイナもこの一ヶ月で何度もソードスキルを使ったスイッチはやっているので、無理にキリトやアスナと合わせるよりはその方が俺達としてもやり易い。

ディアベル「―――行くぞ!」

と、ディアベルは左手を大扉の中央に当てて、短く一言だけ叫び、思い切り押し開けた。

扉の先のボス部屋は、長方形の空間だった。左右の幅はだいたい二十メートル、扉から奥の壁が百メートルと言ったところだった。

ほぼ暗闇に包まれていたボス部屋の左右の壁で、音を立てて松明が燃え上がった。松明は次々に奥へ向かって数を増やしていく。
ボス部屋がだいぶ明るくなってくるにつれて、ひび割れた石床や壁。各所に飾られた大小無数のドクロ。
部屋の最奥部には巨大な玉座が置かれていて、そこに何者かのシルエットがあった。

A隊を筆頭に総勢46人の攻略部隊は一気に大部屋に雪崩込む。A隊が玉座との距離が2メートルを切った途端に、それまで微動だにしなかった巨大なシルエットが高く飛んだ。

空中で一回転し、地響きと共に着地し、そしてそいつは吠えた。

『グルルラアアアアアッ!!』

俺「コイツが……第一層のフロアボスか!」

レイナ「正式名称『イルファング・ザ・コボルドロード』ね」

一応、モンスターの名前はカーソルの下に表記されているのだが、アルファベットで書かれているので俺には読めないが、事前の攻略会議で何と呼べばいいのかは俺でも分かっていた。

コボルドロードは2メートルを軽く超える巨体で、赤金色に輝く隻眼。右手に骨を削って作った斧、みだり手には革を張り合わせたバックラーを携えて、腰の後ろには差し渡し一メートル半ほどの湾刀(タルワール)を差していた。

コボルドロードは、右手の斧を高々と掲げると、A隊リーダーに向けて叩きつけてきた。それを、分厚いヒーターシールドが受け止めて、強烈な衝撃音が響き渡った。

そして、その音を合図にするように、左右の壁の高い所から開いた穴から、三匹の重武装モンスターが、取り巻きのルインコボルド・センチネルが出現した。

こいつらはキバオウ率いるE隊と、それを支援するG隊が三匹に飛び掛かり、タゲを取る。俺達4人パーティーはその取りこぼしを倒せばいいと言うわけだ。


そして、12月4日午後12時40分。ついに最初の対ボスモンスター戦闘が開始された! by立木ナレ


イルファングのHPケージは4段。三段目までは右手の斧と左手の盾を武器にするが、4段目に突入すると、それらを捨てて、腰のタルワールを抜いて、そこから攻撃パターンが変わると言うのが、アルゴの攻略本に掛かれていた情報だった。

E隊とG隊からこぼれてくるセンチネルコボルドの相手をしつつ、俺は一度最前線の様子も確認してみるが、戦術は今の所、狂いが生じている様子はなかった。

レイナ「……あの人たちが気になるの?」

俺「いや、ディアベルに限らず、どいつもこいつも第一層のフロアボスとやり合うには十分なレベルと装備になってるはずだ、心配しなくたってやられやしないだろ」

コボルドロードと戦っているディアベル達に視線を向けている事に気が付いたレイナが、声を掛けてきたので、俺は特に気にしていない事を強調するようにそう答えておいた。


※ ※ ※


コボルドロードとその取り巻きVS46人のプレイヤーの戦いは順調に進んでいった。
ディアベルのC隊が一本目のHPケージを、D隊が二本目のケージを削り、現在はF隊とG隊がメイン火力となって三本目を半減させていた。

今の所はA隊とB隊メンバーが何度かHPをイエローまで減少させた程度で、レッドゾーンの危険域まで減少した者は誰もいない。

俺が背後からの斬り下ろしで弱らせて、さらにレイナが三匹目の獲物に止めのソードスキルで倒したルイコボルド・センチネルはこの場所でしか沸かないレアモンスターでもあり、ボスほどではないが経験値と金を大量に落としてくれる。

金はレイドパーティー全員に均等に分配されるわけだが、経験値の方はそのモンスターを倒すのに共闘したプレイヤー同士だけで分配され、ドロップアイテムは最後の一撃を命中させたレイナがそれを得る事になる。

俺「良い動きだぞ、その調子で、次々に出てくるセンチネルを片っ端から倒してやれ!」

レイナ「……私達が倒すのはあくまで、E隊とG隊の倒し損ねの討伐」

確かに俺が少し調子に乗って、キバオウたちが苦戦しつつも、何とか倒そうとしていたセンチネルにソードスキルを叩き込んで止めを刺した時は、キバオウも口に出しては言わなかったものの、あまり面白くなさそうな顔でこちらを睨んでいたのを俺は覚えている。

流石に何度もそれをやると、『ジブン、でじゃばり過ぎやろうが!!』とか怒鳴り付けてきそうなので、ここは立場を弁えて、従来通りの役割に徹するとしよう。
そもそも俺とレイナのフロアボス戦での最大の役目はキリトがラストアタックボーナスを決めるのを阻止する事にあるのだから。

今思えば、ディアベルがキリトを含む俺達のパーティーを取り巻きのセンチネルの討伐に回したのも、キリトにラストアタックボーナスを取られるのを警戒しての措置だったのかもしれない。

「ウグルゥオオオオオ―――!!」

と、そんな時だった。三段目のHPバーを全損し、ついに最後一本を残すのみとなったコボルドロードが雄叫びを上げたのは。

同時に、壁の穴から最後のセンチネルが三匹飛び出してきた。

俺「アイツら……なにを話してるんだ?」

丁度そんな時、キリトとキバオウが、俺とレイナから離れた場所で何かを話している様子だったが、周囲の戦闘による雑音で、ここからその会話は全く聞こえず、俺も大してそんな事を気にする事なく、取り巻きのセンチネルを迎え撃つ態勢を取るのだった。 
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