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人徳?いいえモフ徳です。

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十八匹め

スライムを倒した二人は王都リベレーソに戻り、ギルドに報告しに来ていた。

「おねーさん」

「いらっしゃいませシラヌイ様。此度はどのようなご用件でしょうか」

シラヌイの身長が身長なので、受付嬢はカウンターから身を乗り出すようにして問いかける。

「スライム三匹倒したからほーしゅーちょうだい」

そう言ってワンピースのポケットからスライム・コアを3つ取り出し、カウンターに置いた。

なおボーデンはギルドの入り口で背伸びしながらコアをカウンターに置くシラヌイを見てにやついている。

「スライム…貴方がやったのですか?」

「うん!」

受付嬢がボーデンに目を向けると手を振られただけだった。

「あの、参考までにどのようになさったのか…」

「おもいっきり魔力流し込んだらただの水にもどったよ。
あとねあとね!氷剣ぶっ刺して凍らせてから氷鎚でぶっ叩いたらキレイに割れたよ!」

褒めて褒めてー! と言わんばかりに尻尾を振って笑顔を見せるシラヌイ。

受付嬢はそのはしゃぎ様からどうやら本当らしいとさとった。

「わかりました。報酬ですね?
…コアの色は………へ?」

「どしたのそんなすっとんきょうな声あげて」

「失礼ながらシラヌイ様。貴方が討伐したスライムの粘液は何でしたか?」

「ボーデンはただの水っていってたよ?」

受付嬢が手に取ったスライム・コアの色は白だった。

「おかしいですね…青いスライムのコアは透明なはずですが…」

「そうなの?」

「はい。白いコアは見たことがありません…」

「えー…じゃぁ報酬は?」

しゅん、と尻尾と耳をしおれさせるシラヌイに、受付嬢はすこしたじろぐ。

「いえ、通常のスライム討伐報酬は支給します」

「一匹幾らなの?」

「スライム一匹につき銀貨一枚です。
コアの買い取り価格は一つ銀貨二枚です」

なお銀貨一枚は日本円で1000円に相当する。

「討伐報酬とコアの買い取りって別?」

「はい。スライムはペットになり得ますから」

「ふーん…家にはいなかったな…」

「上手く育てれば部屋を勝手に掃除してくれますよ。
スライム・コア、どうされますか?」

「んー…なんか珍しいっぽいし、持って帰るよ」

「わかりました。ギルドカードをいただけますか?」

「ん!」

ギルドカードを差し出したシラヌイはドヤ顔だった。

ムフー、といった感じだ。

受付嬢にギルドカードを渡し、すこし待つ。

すると受付嬢はギルドカードと銀貨の入った封筒、加えて領収書をシラヌイに渡した。

「こちら、報酬と領収書となります」

「ありがとっ! おねーさん!」

「またのお越しをお待ちしております」

「うん!またくるねー!」

とてとて、と入り口で待つボーデンの所へ走っていくシラヌイ。

「よ、シラヌイ。どうだった?」

ボーデンがシラヌイの頭を撫でる。

「銀貨三枚だって」

「しょっぺぇ…」

「そう?スライム一匹なら妥当じゃない?
むしろもっと安いと思ってたもん」

「お前からすればそうだろうが、ありゃ魔法が使えない奴にはキツい相手だぞ」

「ふーん…?」

「ま、兎に角飯だ飯」

「どこいくの?」

「アタシの行き付け」

ボーデンはシラヌイの手を握り、ギルドをあとにした。







「ボーデンの行き付けってここ?」

「おう。メディオセ食堂だ」

ボーデンがシラヌイを連れてきたのはそれなりに大きな食堂だった。

王都のメインストリートというかなりいい立地条件である。

「安くて早くて旨い。忙しい商人とかに人気の店だぜ」

「商人…ね」

浮かない顔をするシラヌイ。

「ん?どうしたんだシラヌイ?」

「いや、なんでもない。杞憂さ」

シラヌイの懸念した事は、確率の低い事であり、そう起こりうる事ではない。

「ま、入ろうぜシラヌイ」

「ゅ」

こうして二人は昼食にありつくのだった。
 
 

 
後書き
次回!新キャラ登場! 
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