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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE3 オズマが出会う両手剣使いの少女

世界初のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》はログアウト不可、ゲーム内での死が現実世界の死へと直結するデスゲームと化してから一週間が経過しようとしていた!
2022年11月12日、オズマはまだ生き延び続けていた!by立木ナレ


※ ※ ※


俺ははじまりの街から南東に走り続けた先にある山岳地帯の村の『ルーベル村』を訪れていた。周辺には一見するとNPCのようだが、実際には山賊のMOBが出現する場所で、あの日から一週間近く俺はこの場所で狩りをし、受けられるクエストは受け続けていた。

俺「ようやく、まともな装備が手に入ったぜ」

NPCの鍛冶屋に必要な合成素材を揃えた俺は、NPCショップでは販売していない製造武器である『フェザーソード』と、同じく様々な素材アイテムを集めてようやく製造できる革製防具の『ダークスカイコート』を製造して装備していた。

山岳地帯の奥に進むには、より強力な装備を整えなくてはならないと思っていたので、この一週間近くを費やして俺は、危険を承知でブレンジ―ボアよりも手ごわい山賊モンスター達を倒し続けていた。

俺「準備も出来た事だし、早速クエストを引き受けるとするか」

確か、この村のNPCクエストで指名手配犯の山賊の一団を討伐する高レベルのクエストがあったはずだ、頭にクエストマークが出ているNPCに片っ端に話し掛けて、俺は一人の壮年の男性NPCに当たりを付ける事になった。

だが、ここで一つ問題が起きた。

俺「なんだよ、パーティー専用クエストだったのか……俺一人のままじゃ受けられねーぞ」

クエストをいざ受けようとした俺だったが、メッセージウインドウには『このクエストはPTを組んでいなければ受注できません』と表記されていた。
どこかから適当なプレイヤーを一人スカウトして、クエストが終わるまで付き合ってもらうべきか?

俺「けど、パーティークエストなんだから、それなりに手強い戦いになるはずだな」

俺が製造したフェザーソードは第一層の時点では片手直剣としてはクエスト限定で入手可能のアニールブレードと並んで高位の武器だと言うのは元βテスターのブログから判明しており、同様にダークスカイコートも防御力は革製品防具としては高位かつ、敏捷性を殆ど落とすことの無い防具だ。
だが、いくら一人の力が強くとも、パーティーを組む事を前提としたクエストである以上、2人だけのパーティーで挑むのならもう一人のメンバーも適当なのではなく、レベルや装備を整えている者であることが望ましい。

俺「どうするっかな~……あ?」

後ろを振り向いた瞬間だった、いつの間にか、そこには人が、他のプレイヤーが立っていた。

「…………」

俺と顔を合わせてもその表情は一切変化する事無く、無表情を貫いていたが、その顔は綺麗に整った、端正な顔立ちだった。
年齢は恐らく俺と同年代の美少女と言える容姿の持ち主だ。薄いピンク色のセミロングヘアと黄色い瞳は俺がこのソードアート・オンラインにフルダイブしてから見てきた、どんな女プレイヤー、女NPCよりも端正に見えていた。
そんな可憐な容貌に反して、装備しているのは軽金属の鎧に、背中には俺の片手直剣を軽く上回るであろう重量の両手剣を背負っていた。
一目でその装備がその辺のNPCショップで購入できる代物ではない事は明らかだった。

俺「さっきから俺の後ろで突っ立ってたのか?」

少女「…………」

少女は言葉を発する事無く、小さく首を縦に振って肯定した。

俺「何でまたんな事してんだよ?」

少女「……このクエストNPCのクエストを受けるつもりだったわ」

俺「なんだ、俺と同じかよ」

だが、先に俺がクエストを受けようとしていたわけだが、俺が中々クエストを受けないので、俺が退くのを待っていたと言うとこだろう。
俺は可憐な表情を一切変化させない、その少女プレイヤーに対して言う。

俺「あのな、このクエストはパーティーを組んでなくちゃ受けられないんだよ」

少女「……そう」

それを聞いた少女は、あっさりと諦めが付いたように引き返そうとするが、それは即座にその肩を掴んで止める。

俺「待て待て待て!言っただろ、パーティーを組めば受けられるんだって!つまりだ――――」

少女「……私と貴方で、パーティーを組んで、このクエストを受ければ良いの?」

俺「ちゃんと分ってんじゃねーか……」

分かっていながら、あっさりと引き返そうとした当たり、相手の方から誘いが無ければPTも組まないタイプなのかもしれない。
まぁ、見た感じ自分から積極的に人に話しかける姿など全く想像も付かないタイプで、どちらかと言うと吸湿の片隅で何時も一人で過ごしている姿がイメージできる奴だった。

俺「俺にとってもお前にとっても得なクエストだと思うぜ、ここは組める相手がいるうちに組むべきだろ?」

少女「……分かったわ」

あっさりと俺の申し出を受け入れた少女だった。まぁ、この一週間俺は、同年代の女子を抱く機会に全く出会えず、所謂思春期の性衝動を溜め込んだ状態であった事も有り、下心が全くないわけでもなかったが、取りあえずパーティークエストを共にするうえで持って来いの相手が見つかったわけだ。
ひとまず俺がパーティー申請をすると、相手の少女はそれを受けて、右上のHPバーは俺の下に、パーティーメンバーとなった少女のキャラクターネームとHPバーが表記されるようになった。

俺「……この『Reina』ってのは、そのままローマ字読みでレイナで良いのか?」

レイナ「……そうよ」

俺「ああ、なら良かったぜ。後、俺の方もOzumaだからオズマで良いからな」

英語が全く分からない俺にとって、プレイヤーネームにアルファベットしか使用できないSAOは鬼畜極まりなかった。
結局俺は、自分のキャラクターネームを設定する際に、アルファベットで唯一理解できるローマ字でキャラクターネームを決めざるを得なかったわけだ。

レイナ「……クエストNPCの説明では、指名手配犯の山賊一団ははじまりの街に逃げ込んだみたいよ」

俺「また、あそこに戻らなくちゃならねーのか……」

ソードアート・オンラインがデスゲームと化してから、一度も戻っていないはじまりの街だが、流石に既にあのバカ騒ぎは沈静化している頃だろうか?
探すのはNPCのMOBである指名手配の山賊なので、最悪他の一般プレイヤーは無視しても構わないが、はじまりの街に紛れているのならプレイヤー達からの情報収集は重要になる。

俺「まともに話の利ける奴らが、どれくらいいるだろうな」

レイナ「……それは、実際に行かなくては分からないわ」


※ ※ ※


約一週間ぶりに訪れたはじまりの街は意外と騒がしくはなかった。一万人いるプレイヤーの殆どが、未だにここを拠点に留まっているのにもかかわらず窮屈しないで済むのは、このはじまりの街がアインクラッド第一層の他の村や町と比べても比較にならぬ広大な面積を占めている事が最大の理由だろう。

俺「んで、クエストで討伐しなくちゃならない山賊共ははじまりの街に出てくるわけだが、どの時間帯に何時頃出てくるんだろうな?」

この辺りにいる奴らから片っ端に聞いたくらいで、それらしい情報を得る事が出来るかどうか当てがないが、それでも話を聞くしかなく、俺とレイナは片っ端から街にいるプレイヤー達に話を聞いてみる事にした。

そして、話を聞いているうちに、露天商を営んでいる、そばかす顔で茶髪の俺と同年代と思わしき女プレイヤーから有力な話を聞けることになった。
その露天を営んでいる女プレイヤーはリズベットと名乗り、俺達の話を聞いてくれることになった。

リズベット「その手の話なら、情報屋の鼠のアルゴって人に聞けば良いわよ」

レイナ「……情報屋の鼠のアルゴ?」

俺「まずは、そのアルゴって奴の事から聞かせてくれないか?」

リズベット「そうね……」

リズベットは人差し指を口元に立てた状態で少し考えこみ、言葉を選びながら話を再開する。

リズベット「ベータテスターなのよね。その情報屋さん」

俺「まぁ、情報屋をやってるならβテスターの可能性も高いだろうな」

リズベット「アルゴさんが他のベータテスターと違うのは、あの茅場晶彦の演説で皆が混乱してる中で、あの人は一般のプレイヤーを置いていかずに、自分がベータテスターだって事を宣言して、必要最低限の第一層での情報が掛かれたガイドブックを作ってくれたのよね」

俺「ベータテスターにしては随分と殊勝な事してる奴もいるんだな」

リズベット「そうでしょ~、殆どのベータテスターの人達はあの演説の後、自分達がベータテスターだって事を隠したまま、はじまりの街からいなくなっちゃったみたいだけど、アルゴさんだけは敢えて自分が元テスターだって事を宣言して色々としてくれてるのよ、右も左も解らないこっちとしては大助かりだわ」

そう言いながらリズベットが俺達に見せたのは『アルゴの攻略本だよ』と書かれた小さな本だった。リズベットの話によると、その本には第一層でのモンスターの適当な詳細や、はじまりの街で受けられるクエストの事などが掛かれているらしい。


レイナ「……その情報屋にはどこに行けば会えるの?」

リズベット「何処って言われてもね~……あの人って神出鬼没なのよね~」

リズベットはアルゴのいる場所には心当たりが無いのか、左手で頭を抱えながら言い淀んでいた。

俺「まぁ、知らないなら仕方ねぇよ。もう少しばかし聞き込みして、何とか見つけてみるさ――――あ
?」

レイナ「……どうしたの?」

俺は自分の目の前に、いきなり小さなウィンドウメッセージが出現した事に気が付いた。メッセージウインドウには『メールが届きました』と表示されている。

俺「誰かが俺にメッセージ機能を使ってメールを送って来たみたいだ」

レイナ「……誰から?」

俺「今確かめてみる」

だが、俺が今の所フレンド登録をしているのは、さっき初めてパーティーを組んだ相手であるレイナしかいないはずだ。
ギルドメンバーでもなく、フレンド登録すらしてない相手に対してメッセージを送る場合は、キャラクターネームを正確に入力しなくてはならない。(しかも当然アルファベットで)

つまり、俺にメッセージを送ってきた相手は俺のキャラクターネームを知っている事になる。この一週間で他のプレイヤーとあまり接触していない俺だが、一体誰が俺のキャラクターネームを知ったうえでメッセージを送って来たんだと思って確認してみる。
レイナやリズベットにも見えるように可視化しさせる事を忘れずに、メッセージを表示させると、その送り主は俺が求めていた人物だった。


『まっすぐ歩いた先にある宿屋の二階の一番東の部屋においで、部屋の前に来たらノックを4回するんだナbyアルゴより』


俺「……なんだって、アルゴだと?」

レイナ「……なんでアルゴからメッセージが?」

俺「んな事俺が知りてーよ。これからどうやってアルゴを探そうかと思ってた矢先に向こうからメッセージが届くなんて、どうなってやがる?」

俺のそんな疑問に対して一つの意見を出したのは話を聞いていたリズベットだった。

リズベット「もしかしたら、隠匿(ハイディング)スキルで姿を隠して今の話を聞かれてたのかもしれないわね……アルゴさん本人に」

レイナ「……アルゴは隠匿スキルを取ってたのね」

隠匿(ハイディング)スキル。通称『ハイド』とは、その名通り、姿を隠すことができるスキルである。
主にモンスターとの戦闘を回避したい時、他プレイヤーから姿を隠したい時、そう言った際に重宝され、オズマもこのソードアート・オンラインがデスゲーム化した直後に習得した、片手剣スキルに次ぐ二つ目の習得スキルであった by立木ナレ

レイナ「……どうするのオズマ?」

俺「これから会う張本人が、アルゴだとは限らねぇがな……」

もしかしたら、アルゴを名乗る詐欺師染みた奴か、もしくはアルゴが用意した代理人を会う事になる可能性だって0ではない。
だが、他にアルゴに会う当てがあるわけでもないので、このタイミングで届いたメッセージは唯一の当てだった。

俺「ま、いいさ。どのみち街の中は安全圏内で攻撃されたところでHPは減らないからな」

レイナ「……会いに行くのね」

俺「そう言う事だ、それじゃーなリズベット。色々と話をありがとな」

リズベット「はいはい、次は何か買いに来なさいよね~。あ、それとアタシさ、いずれは鍛冶スキルを取って見ようかと思ってるから、もしアタシが鍛冶師になったらアタシの所に来なさいよね~」

そんな商売人としての宣伝行為も忘れないリズベットと俺達はフレンド登録を済ませて、メッセージに指示された通りの宿屋の二階の一番東の部屋を尋ねる事にした。

俺「ノックを4回だったな」

メッセージの内容通り、俺は部屋の扉を4度、コンコンと叩いて音を鳴らす。

声「お、来たな、取りあえず入りナ」

レイナ「……女性の声」

俺「鼠のアルゴは女だったのか」

そして、俺とレイナが宿屋の部屋の中に入ると、そこにいたのは、金褐色の巻き毛でショートヘアーで小柄な女性プレイヤーだった。

俺は当初、これから会う相手が本物のアルゴかどうかを疑っていたが、その顔を見て俺は間違いなくこいつがアルゴだと感じる事になった、何故なら―――――

俺「鼠っぽい髭だな……」

レイナ「……フェイスメイクね」

まるで鼠を思わせるような、頬にネズミのヒゲような三本線が描かれており、まさに鼠のアルゴとはこいつの事で間違いないと思わしめたのだった。

アルゴ「にゃははっ!オレッちがアルゴだよ~。よろしくな、オー坊にレイた~ん」 
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