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ソードアート・オンライン~剣と槍のファンタジア~

作者:白泉
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ソードアート・オンライン~剣の世界~
3章 穏やかな日々
  22話 将来の旦那さん⁉Part2

 
前書き
 どうも、白泉です!もうすぐ、もうすぐ夏休みが終わってしまう……!もう不登校になりたいです。



 そんなことはさておき、今回は前回の続き編です。今回のヒロインは前回出てきたミカちゃんです!(これから出番はほとんどありませんが…)

 では、早速本編のほう、どうぞ! 

 
 
全速力でダッシュしながら、改めてツカサは後悔した。

 …索敵スキルを上げておけばよかった、と。索敵スキルの派生で、足跡を追跡できるものがあり、熟練度が上がるほど、時間がたった足跡を追うことができる。


 この間の灼熱地獄のダンジョンで、索敵スキルの熟練度が低いことを嘆いたことを思い出し、今度こそ上げようと心に決める。


 そんなことを考えながら、ツカサは教会周辺をひとまず一周探索することにした。一瞬にして移り変わる小屋や荷物の物陰にも目を配りながら走るが、一向に見つかる気配はない。何しろ始まりの街はアインクラッド最大の街だ。他の攻略組よりもこの街に来ている自信はあるが、さすがに街全体のすべてを知っているわけではない。


 が、その時だった。微かだが、まだ幼さの残る高い声と、男の声。高速で動かしていた脚に急ブレーキをかける。そして、足音を忍ばせ、物陰に隠れながら、その声が聞こえるほうに近寄った。

「おい、暴れんなクソガキ!」
「っ、放してよ…!」

 金髪に、耳に大量のピアスを付けた、いかにもチャラそうな男が、ツインテールの少女を地面に押さえつけ、脇には髭面のガタイのいい中年の男が立っている。両方とも軍の鎧に身を包んでいた。



 少女はキッと、2人の男をにらみつけた。

「いったい私をどうするつもり…⁉」

 すると、髭面の男が少女の顔の横に座り込み、気味の悪い笑みを浮かべた。



「そりゃ、決まってんだろ。売るんだよ」


 少女の顔から、血の気が引く。男はさらに嬉しそうな笑みを浮かべた。


「お前みたいなガキが欲しいっていうクライアントがいてよ、俺にはその趣味が理解できんが、大量の金が報酬なんだよ。悪く思うなよ」


 その時、ペッと、少女が男の顔に唾を吐いた。それは山なりに飛び、男の頬に直撃する。男の顔に青筋が浮かび、男は足で少女の頭を踏み潰した。ガッ!という音がして、少女の顔が苦痛でゆがんだ。


 
 そこでツカサは見ていられなくなり、背から槍を引き抜くと、2人の男に向かって突進した。


 ここは圏内だ。そのため、HPが減らない代わりに、こちらがオレンジになることもない。が、死ぬ心配はなくても、攻撃を受けるというのは純粋な恐怖を作り出す。


「ひぃぃぃ!」
「ぐはっ!」


 あっさりと2人の体はツカサの一薙ぎによって、派手なライトエフェクトを発生させながら吹っ飛んだ。


 ピアスの男はあっけなく意識を失ったようだった。ツカサはゆっくりとブーツを踏み鳴らし、一歩一歩、髭面の男に近づく。恐怖のため、腰が抜けているのか、立ち上がることもできず、後ずさりをする。が、後ろは壁だ。
 

「な、なんだてめぇ!」


 おびえながらも、それを隠すように、髭面の男が声を上げる。腰につるした両手剣を引き抜いた。



「お、おい、近寄んじゃねぇ!」


 だが、その剣はあっけなく、ツカサの槍によってはじかれ、そしてその切っ先はそのまま男の耳のすぐわきを通り、後ろの壁に突き刺さる。


「おい、お前…殺されたいか…?」


 ささやくような小さな声。だが、それは圧倒的密度で男の聴覚を揺さぶり、そして、意識を失わさせるには十分だった。


 ツカサは男が意識を失ったのを確認し、男の両手剣と、ピアスの男の両手剣をヴェンデッタで破壊する。その作業をしてから、少女のほうに向きなおった。


 少女は、体を起こして、こちらを見ていた。少女を見て、顔には出さなかったが、内心少々驚いた。彼女の左半分の首に、赤くただれたような跡があったのだ。あれは恐らく、やけどの跡。リアルで何かあったのだろう。ツカサは一つ息を吐くと、少女にゆっくりと近づいた。



「…怪我は、ないか?」

 ある程度距離を開け、目線を合わせるためにしゃがみこんだ。


「あなたは…?」


 震えるか細い声で、少女は問う。

「俺はツカサ。サーシャさんに頼まれて来たんだ。…ミカ、だよな?」


 こくり、と少女…ミカは頷いた。恐らく、サーシャとつながりがあると知って安心したのだろう、安心したような表情を見せ、そして…ツカサにはよくわからない、ひどく熱っぽい色が瞳に浮かんでいた。

 なんだろう、と思うが、そのことは口には出さなかった。


「…帰ろう、サーシャさんが待ってる」


 そういって、手を差し出しミカを立ち上がらせた。




―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―




「ねーねー、姉ちゃん、今日は何してたの?」
「なんか面白い冒険の話、聞かせて!」
「悪いやつ、やっつけた話してよ!」
「迷宮区ってどんな感じ?」


 次から次へと途切れることがない子供たちからの質問の相手をしながら、リアは教会の台所に立ち、彼らのために夕飯を作っていた。今日は子供たちが大好きなシチューだ。そろそろ寒くなってきた今にぴったりだろう。

「ほらほら、一人ずつじゃないと答えられないよ?」

 そんなふうになだめている時だった。入口のほうから騒がしい声が聞こえた。すぐに聞き耳スキルを発動したが、その耳がとらえたのは高速で走り去る誰かの足音のみ。ここまで一つ一つの足音の間隔が狭く走れるのは一人しかいない。


「どうしたんですか!?」

「リアさん!」

 キッチンのほうから大広間に入ってみると、中には取り乱してオロオロするサーシャ、その隣には今にも泣きそうなアカリ。そして部屋の隅のほうでは動揺しているギン。


「子供の一人が外に出たまま帰っていないんです、それでツカサさんが探しに…」
「っ、それは困りましたね…!」

 ここ、始まりの街は最近軍の連中に占拠されつつあるという話を聞いた。人を無条件で捕まえたり、ひどいときには売る連中もいるらしく、とてもじゃないが、治安がいいとは言えない。

「…私は出ないほうがいいですか?」

 軍の連中がのさばっていることを知っているため、リアが問うと、サーシャは頷いた。
「ええ…万が一、ツカサさんが見つけられなくて、あの子が捕まっていた場合、ここの教会をゆすりに来る可能性があるんです。ここはリアさんとツカサさんのおかげで随分裕福な暮らしをさせてもらっていますからね、目を付けられ始めていて…」
「なるほど、事情は分かりました。ひとまず、ここで待機しておきますね」
「よろしくお願いします」

 リアはメニューウィンドウを開くと、この教会に入る前に解除していた武装を再び装備する。といっても、私服に愛剣であるテンペストをぶら下げただけだが。圏内ではダメージが与えられないため、防具は必要ないのだ。


 聞き耳スキルと索敵スキルを発動させたままにして、サーシャに詳しいことを聞くことにする。

「ちなみに、いなくなった子は誰なんですか?」

 ここには毎月のように通っているため、全員の子供の名前と顔は一致いている。

「ミカという10歳の女の子です。つい最近来たばかりの子なので、リアさんとツカサさんとは面識がないとは思います。」
「最近ですか?珍しいですね」

 サーシャは定期的にこの始まりの街を巡回し、一人になっている子供がいないか、いた場合は保護するという活動をしている。しかも、小さな子供関連の情報は出回りやすいため、ここの教会にいる子供たちも、全員SAO開始から半年以内にサーシャに引き取られていた。だが、もうすぐ2年が経とうとしているこの時期に、今更ポッと出てくるだろうか?今まで一人で生きてきたのだから、レベルはある程度上げているだろうし、わざわざ今になって大人に保護される必要性はない。

 そんなリアの思考を察してだろう、サーシャは言いにく気にまつ毛を伏せた。

「最近まで、父親と2人で暮らしていたそうなんです。彼女の父親がフィールドに出て、モンスターを倒して稼いでいたそうなのですが、半月前、その父親が殺されてしまったらしくて…一人で始まりの街を歩いているところを保護しました」

「じゃあ、戦闘能力はないんですね?」
「流石に子供といえどプライバシーの問題はありますから、メニュー画面は見たことありませんが、たぶんないと思います。発見した時も何も武装していなかったですし。恐らく、その子自身はチュートリアル後に圏外に出たこともないんじゃないでしょうか」

「そうなると、ますます危険ですね…」

 その子の身を案じ、リアはうなった。その時、ふと気になることがリアの中で浮上する。

「その子は半月前に来たとはいえ、来た直後にサーシャさんもちゃんと軍の連中のことを教えましたよね?それなのに一人でふらふら出歩いたんですか?」

「それは…」


 サーシャはちらりと部屋の隅のほうに目をやる。彼女の視線の先には、居心地悪そうに眼をそらし、もじもじしているギンと、彼の仲良しの2人の男子。


「…あの子の首の左半分には、赤くただれたやけどの跡があって、どうやら、ギン達がそのことをからかったらしいんです。ミカもその跡のことを気にしているみたいで、それで…」
「教会を飛び出して行ってしまったと」


 呆れた目で、加害者である3人組をリアが見やると、3人は委縮したように小さくなっている。

 リアは立ち上がると3人のほうに歩み寄り、目線が同じ高さになるように膝をついた。

「どうしてミカにそんなこと言ったの?」
「っ…!そもそもあいつが悪いんだ!俺たちのこと、見下した目で見てくるんだぜ!?」
「そ、そうだそうだ!」
「原因は全部あいつなんだ!」

 ずっと目をそらし続けていた3人だったが、急に強気になる。キッとリアをにらみ、皆堰を切ったようにまくしたてた。たが、リアは静かな調子を崩さなかった。

「もしかしたら、ミカはそう思ってるかもしれない。でも、それだってただ自分の被害妄想だってこともあるし、それでもね、言っていいことと言っちゃ悪いことがある。紳士は絶対そういうことは言わないんだよ?」

「…ほんとに?」

「ほんとほんと。ツカサ君は、絶対にそういうことは言わない」

 うんうん、とリアがもっともらしくうなずくと、ギンはせわしなく瞬きをした。

「兄貴がそうなら…しょうがねぇ」
「いい子だね。じゃあ、ミカが帰ってきたら、ちゃんと謝ろう」

 しおらしくなっている3人の頭を撫でる。ここの男の子たちの憧れはツカサだ。すっかりツカサのことを兄貴と呼んで慕っている。だから、ツカサがこうしている、ああしているというと、すぐにその通りにするのだ。




 立ち上がりつつ、そういえばツカサの索敵スキルの熟練度の低さを思い出し、内心あっと思った。ここまで時間がたった足跡は、ツカサの熟練度では追跡できないだろう。大丈夫だろうか。だが、自分はここから移動することができないというもどかしさを抱え、どうしようもなくため息をついた。




 だが、そのもどかしさはすぐに解消されることになる。リアの聞き耳スキル、そして索敵スキルに引っかかったものがあるのだ。そして、すぐに、玄関の扉が押し開けられ、10くらいのツインテールにした黒髪が特徴的な女の子と、大きな槍を背負ったツカサが姿を現した。

「ミカ!」

 サーシャさんがすぐに立ち上がり、ミカと呼ばれた少女に抱き着く。リアもツカサに歩み寄った。

「お帰り、ツカサ君。見つかってよかったね」
「ああ。軍の連中に捕まえられそうになってたところを、な。」
「間に合って本当に良かったね」

 リアがそう言った時だった。

「ちょっと、あんた」
「…え?」


 不意に高めの声が左斜め下から聞こえ、リアは驚きで瞬きの回数が増えながらも、声が下方向に視線を移す。そこには、ツインテの少女、ミカ。茶色がかった黒の瞳は、リアに明らかな警戒の色、嫌悪、そして…ある感情の色をともしていた。

「あたしの将来の旦那さんに近づかないでくれる?」

「…はい?」




 
 

 
後書き
 はい、いかがでしたか?今回はこの間の話に付け足させていただきました。

 やっと題名の話題が出てきましたね。“将来の旦那さん”、という言葉を吐くのは今回の話の主軸となる人物、ミカ、そして、“旦那さん”というのはツカサのことでした。

 これからいったいどうなるのでしょうか!次回もお楽しみに!



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