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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第八幕その十

「あそこまではいかないと思うけれどね」
「それでもだったんだね」
「ずっと百合はフランス第一のお花だった」
「王家のお花だったのね」
「カペー家からヴァロワ家、ブルボン家になっていくけれど」
 フランス王家はこうお家が変わっていきました、とはいってもヴァロワ家はカペー家の分家筋でブルボン家はヴァロワ家の血縁だったのでずっとカペー家の血ではあります。
「それは変わらなかったんだ」
「百合はフランスのお花だった」
「そうだんあんだね」
「そうだよ、そしてね」
 さらにお話する先生でした。
「イギリスは薔薇だったんだよね」
「お花も違うのね」
「我が国とフランスは」
「そこもね」
「ちなみにオーストリアはエーデルワイスだよ」
 もう一国のフランスと長い間何度も戦ってきたお国はというのです。
「あのお花だよ」
「あっ、いいわね」
「エーデルワイスがお国のお花なんて」
「素敵ね」
「神秘的な感じがするわ」
「そうだね、あの国に合ってるね」
 エーデルワイスはオーストリアにというのです。
「エーデルワイスは」
「僕もそう思うよ」
「私も」
「オーストリアらしいよ」
「あの国にね」
「そうだね、そういえばね」
 ここでこうも言った先生でした。
「エーデルワイスはここにもあったね」
「日本に?」
「この国に」
「いや、この学園にもだよ」
 こう答えたのでした。
「勿論日本にもあるけれどね」
「ああ、そういえばね」
「植物園にもあったわね、エーデルワイス」
「あのお花も」
「高原に咲くお花だけれど」
 それでもというのです。
「この学園にもあるよ」
「そうだったね」
「じゃあまたエーデルワイスも観に行きましょう」
「そうしましょう」
 皆も笑顔で言います、そしてふとです。
 先生が窓の方を観るとです、これまでずっと降っていた雨がでした。
「止んだみたいだよ」
「あっ、そうなの」
「雨が止んだの」
「そうなの」
「うん、さっきまで降っていたけれど」
 朝からです、降り続けていたけれどというのです。
「遂にね」
「止んだんだね」
「そうだね」
「うん、止んだよ」
 実際にというのです。
「よかったよ、じゃあね」
「じゃあ?」
「じゃあっていうと」
「今度はね」 
 先生はローズティーのおかわりをしつつ皆にお話しました。
「雨上がりの薔薇を観に行こうか」
「あっ、そうね」
「止んだら止んだでね」
「濡れた薔薇を観るのもいいし」
「それじゃあね」
「観に行こう、雨上がりの薔薇達を」
「そうしましょう」
 動物の皆も先生のその提案に頷きました。 
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