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『組長と零』

作者:零那
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『最後の一線』



多くを語らなくとも解り合えるような存在である蓮。
蓮にも、たくさん救われて生きてきた。
大事な大事な仲間だった。

時が経ち、蓮との関係は少しずつ変わっていき、蓮自身も変わっていき、問題が生じた。

いわゆるヤンキーと言われる部類の自分達は、仲間意識が強く、絆を大事にしていた。仲間の為なら命かけます的なアレ。

蓮が変わってく。最低な方へと向かってく。止めることも、ハンドル操作するのも不可能。そのせいで、大事な仲間が傷ついた。一生消えない、一生忘れられない、深い深いイタミを負った...。


赦せない。



そして蓮を失った。


そんな時も組長は何も言わずに助けてくれた。
本来なら、一般人なら、見限るであろうそんな時でさえ...
いや、一般人では手に負えないことを、組長だからこそ、すんなり出来た。してくれた。
こんなろくでもない奴の為にリスクを...。


組長、もしかして組長は本当に私の父親では無いのですか?そう心から思ったりした。
でも現実には違うって解ってる。もし、本当に本当の父親なら、本能で解る自信がある。
それに、組長の背中は昇り龍じゃない。


ただ...血の繋がりなんてのは、此の世で1番、厄介な足枷だとも思ってる...。

組長は、あくまでも父親代わりであって、本当の父親では無い。なのに、必要以上に...家族以上に、誰より近い存在だった。

こんなに誰かに寄り添って、助けられて、支えられて...心開いて...こんなのは無かったことだった。
物理的にってのとは別で、精神的なことで。

暫くは病んだ。
たぶん、其れ迄以上に荒れ狂った。とは言っても、家に居れば単なる玩具に成り下がるような人間の屑だ。
世間に迷惑かけるような奴は痛い目に遭うべきだ。すごい道理だ。なるほど。

順番は違ったが、家で玩具扱いだから非行に走った。そして世間で悪いとされてることは何でもやり尽くした。だから家でお仕置きをされるのだろうか。まぁ家の人間は外で何をしてるか知る由も無いけど。


組長は、きっとこんな複雑な家庭環境も、この心の内のドロドロも、解ってる上で助けてくれてるんだろう...。

同情だけじゃどうにもできないこの私を、こんなにアッサリ飼い慣らした組長は素晴らしい(笑)

家に帰り、監禁される事も多い。ならもういっそ、帰らずに組長のペットになろうか。
なんて思ったりしたけど、おんぶに抱っこは組長が可哀想だから...。

言えば『いつでもええぞ』って言ってくれる。絶対。解るから、甘えない。最後の一線は越えてはならない。


 
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