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虹にのらなかった男

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P1

 
前書き
さて、主人公は誰に憑依したでしょう?
※原作より若いです。ショタスタートです。偽名です。 

 
0079 七月上旬 サイド7 格納庫

「素晴らしい!素晴らしいよ!アベル君!このガンダムが完成したのは君のおかげだ!」

俺の背中をバンバンと叩くのはこのサイドセブン1バンチ秘密工場所長のジョン・イシカワ大佐だ。

俺が13歳なのでかなりの身長差だ。

「ありがとうございます大佐」

目の前にはトリコロールの巨人。

「これでガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、ガンファイターが揃いましたね」

「ああ!この四機が量産されればジオンなぞ敵ではない!」

そう四機。史実におけるV作戦の開発MSは三機。

「ええ、でもまぁ、どうせ量産はガンダム主軸でしょうけどねー」

「うむ……君の言うとおりだ。この四機の中でガンタンク、ガンキャノンはガンダムの換装で補えてしまう…」

「ガンファイターは例外ですか…」

「それは君が上告して造らせた物だろう。
わざわざ高官連中にプレゼンまでして。
というかガンファイターは技術的にはガンダムより進んでいると言えなくもない。
ガンダムにもフィードバックされているがマグネットコーティングシステムは素晴らしい!」

マグネットコーティングが施されるのは本来終戦間近。

俺はやり過ぎたのかもしれない。

「というかガンファイターなんて味気ない呼び方嫌なんですよねぇ…」

「<アブルホール>だったか?」

「ええ。空戦時にアンバックを行う事で従来の航空機では追従不可能な機動性を実現する革新的MSです」

とは言え技術的問題で原作のアブルホールよりやや大型化してしまった。

その分武装が多少強力になっているのでプラスマイナスゼロと言えるだろう。

「ところで、MSが出来たのはいいが肝心の母艦は出来ているんですかね」

「はて…ここ一月かかりきりでそちらの情報はないな」

「俺の方にも来てません。ジャブローは何をしているんだか…」

ぶっちゃけるとWBには来て欲しくない。

だってあれでしょ?シャア来ちゃうんでしょ?

そんな事を考えていると、トタトタという足音が聞こえた。

「お兄ちゃん、でんわだよ」

「ありがと、ローザ」

受け取ったデバイスのウィンドウには軍服姿の男が写っていた。

「ヴェルツか。どうしたんだ?」

ヴェルツ大尉、ガンダムのテストパイロットだ。

『たった今通信が入った。俺達の迎えの船が完成したらしい』

ホワイトベースが『完成』?

史実通りだ。史実通りだが…

「おそい…」

『あ、アベル?』

「遅すぎる!ビンソン計画とV作戦発令から四ヶ月だぞ!
ジャブローの連中ここまで時間をかけたんだ!
さぞかし性能のいい船なんだろうな!」

俺が!ある程度のヒントを渡しておいたというのに!

原作と同じじゃねーか!

『お、おいおいアベル。俺に当たるなよ…』

「あ、あぁ…すまんなヴェルツ…」

『で、やっぱりお前WBにも関わってたのか?』

「当たり前だ。本来のWBはかなり脆弱な艦だった。その改良案を…」

ん?もしかして原作通りなのって俺の改良案のせいだったりするのか…?

『おい、どうしたアベル?』

「いや、なんでもない。それとアベル、俺達からも朗報だ。ガンダムが組上がったぞ」

『本当か!?』

「あぁ、近くテストを行う」

『やっとシュミレーターとおさらばだぜ!』

「バカ。まだ実機とシュミレーター交えてだよ」

『えぇ…もうヤなんだけど…』

「ローザに勝てないからか?」

『ぅぐっ…』

「大丈夫、実機には軍規で乗せられないから」

まぁ、原作通りに進めばローザも乗るかもしれんが…

『……お前は乗れるだろうが』

「技術中尉だし」

そう、俺は一応軍籍を持っているのだ。

テムレイ大尉の助手として、MS開発セクションのNo2として。

「大佐、ヴェルツに何か言っておく事ありますか?」

「………本当に彼にやらせるのかね?」

「らしいぜヴェルツ」

『想像通りだな』

まぁ、正規パイロットの中で一番上手いのはヴェルツだし。

「ま、実機テスト楽しみにしとけや」
 
 

 
後書き
アベル・ルセーブル(0079 十三歳)
転生者であり、ほぼ全ての宇宙世紀技術知識を特典として持っている。
〇〇〇〇〇〇に見切りをつけ早々に家出。
テム・レイを探しだしV作戦に介入する。
連邦軍に入る時には偽名を使った。

ロザミア・ルセーブル(0079 十歳)
孤児であり、強姦されそうになっていたロザミアをアベルが助け、以後行動を共にしている。
コロニー落としのトラウマは無いがアベルを「お兄ちゃん」と呼ぶ。
アベルの本名を知っている者の一人。 
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