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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第八幕その五

「イギリスの雨とはまた違ったね」
「奇麗さがあるね」
「何か銀色に澄んでいる感じで」
「この降り方もね」
 今は小雨です、霧雨というまではいかないですがそれでもしとしとと静かに降っている感じの雨です。
「いいね」
「お花を奇麗に濡らす感じで」
「お花を飾るだけじゃなくて潤している」
「そんな風でね」
「うん、とてもいいね」
 本当にと言った先生でした、そしてです。
 先生達はまた洋館を観ました、すると。
 その洋館を観てです、また言いました。
「こうした雨の中の洋館もいいね」
「そうだね」
「洋館の方もね」
「凄くいいね」
「趣があって」
「イギリスのお家もいいけれど」
 それでもというのです。
「雨の中でもね」
「イギリスは雨が多いしね」
「もう雨ばかりのお国だから」
「ロンドンなんかもそうだし」
「霧だって出るし」
 伊達に霧の都と呼ばれている訳ではありません、スモッグは出なくなりましたがロンドンの霧は今も有名です。
「霧のロンドンエアポートなんか大変よ」
「もう飛行機が出られるかどうか」
「そんな問題になるから」
「本当にね」
「そう、けれどね」
 それでもと言う先生でした。
「奇麗だね、けれどね」
「うん、けれどね」
「それでもよね」
「雨の中のイギリスのお家も奇麗ね」
「確かに」
「そして日本の洋館もね」
 こちらもというのです。
「凄く奇麗だね」
「独特の風情があって」
「本当に和歌にしたらいいかも」
「そうだね」
「そんな和歌があっていいかも」
「そうだね、インスピレーションがきたら」
 先生に和歌のそれがです。
「その時はね」
「うん、是非ね」
「先生詠んでね」
「そして僕達にも読ませてね、その和歌」
「待ってるから」
「そうさせてもらうよ」
 笑顔で応えた先生でした、そうして皆で雨の中で咲いている薔薇と遠くに観えている洋館の景色を楽しんでからです。
 研究室に帰りました、それから少し指輪物語と著者のトールキン教授についての論文を書いていますと。
 研究室にある人が入ってきました、その人はといいますと。
「あの、この大学の演劇部の者ですが」
「あっ、この前に」
「はい、植物園の薔薇園で稽古をしていた」
「その中にいたんですが」
「そうだったね」
「あの時はどうも」
 見れば小柄で童顔の女性です、背は一四五なくて小学生に見える位です。その服装も何処か子供みたいです。
「悠木といいます」
「悠木さんだね」
「文学部の二回生です」
 先生に自己紹介をしました。
「そちらでフランス文学を学んでいます」
「フランスというと」
「実は今度の舞台はベルサイユの薔薇をするんですが」
「あの作品は」
「漫画ですね」
「うん、日本のね。あっ、座って」
 先生は悠木さんが立ったままなのですぐにこう言いました。 
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