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ねここい

作者:あちゃ
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第8話

ゴールデンウィークを間近に控え、初めての中間テストが訪れた。
俺もそれほど利口では無いけど、高校生として最初のテストだけあって、それ程難解では無かったと思う。
俺でも何とか赤点は免れたからね!

だが驚いたのは蔵原だ……
同類として慰め合おうと点数を聞いたのだが……
その殆どが95点以上だった!(勿論100点満点)

俺の最高点は蔵原の最低点より20点以上も低い!
おかしい……蔵原はテスト前日まで俺と遊んでたはずなのに、何でこんなに差が出てるんだ?
同類が居ると思って俺は勉強しなかったんだけど……裏切られた?

「お前……酷い点数だな!」
「く、蔵原は何時勉強してるんだよ!? 前日の遅くまで俺と出かけてたじゃんか!」
おかしいよ……絶対にあの後、一緒に出掛けてた真田さんとヨロシクやってたハズなのに!

「お前なぁ……学校のテストなんて、授業を聞いてりゃ点は取れるだろ? 授業中何してたの?」
「な、何って……」
普通授業聞いてたって無理だろ!

何かズルイ……
もしかして天才って奴か?
コイツ運動神経も良かったな……

体育の授業で1組とクラス対抗サッカーをした時、1組に居るサッカー推薦で入学してきた太田を翻弄してたし……
その所為でサッカー部から勧誘が凄く来てたっけな。

でも蔵原は『俺は体育会系のノリが大嫌いなんだ。先輩ってだけで能力も無いアホに敬語を使わなきゃならん……絶対に嫌だね入部なんて!』と大きな声で断ってた。
クラスの女子の何人かからは『蔵原君ってポリシーがあって格好いいかも?』とチラホラ聞こえてくる始末。

あの佐藤さんでさえ『思ってたより芯が通ってるじゃん』と高評価。
それに引き換え俺は……
勉強も出来ない、運動もダメ……顔が同じ程度でも、モテる要素の格差が激しい。

「お? 大神も凄い点数だな(笑)」
左前方に座ってる佐藤さんが、俺のテストを見ると笑いながら話し掛けてきた。
本来なら勝手に見られたのだし、怒っても良いのだろうけど、苦笑いするだけで何も言えない。

「悪い……私と同類だったから思わず言っちゃった(テヘ)」
そう言って佐藤さんの点数を見せて貰った。
うん、俺と変わりない。1点・2点くらい彼女の方が上かなってとこ。

「君達……授業を聞いてないの?」
高得点男の蔵原が呆れ口調で呟いた。
ただ……高圧的じゃ無いから、それ程嫌な感じはしなかった。

「う、うるさいなぁ……生まれ付き馬鹿なんだから仕方ないだろ!」
佐藤さんは少し頬を膨らませながら言い返す。
猫化してても可愛い。

「どうせゴールデンウィーク中は何処にも出掛けないんだろ? 勉強会でもするか?」
「く、蔵原君……教えてくれるの!?」
突然、渡辺さんが会話に割り込んできた。

「な、何だ……愛美ちゃんも点数悪いの?」
「うん……」
そう言って見せてきたテストの点数は……

「愛美……アンタ私達の事、馬鹿にしてるでしょ?」
佐藤さんがそう言いたくなるのも解る。
全然悪い点数じゃ無いじゃん!

最高点で83点、最低点でも55点。
俺と佐藤さんの平均点でも、渡辺さんの最低点より低い。
俺がそんな点取ったら祝賀会を開いちゃうよ。

「い、良いけど……何処でやる?」
蔵原も勉強の必要無いと思ったのか、それとも迫り方にビビったのか、ちょっと押され気味に受け答える。

「何でしたら私の家を使っては如何ですか?」
「……エ、エレナちゃんも点数悪いの?」
これまた突然、白鳥さんが会話に割り込んできた。その為、蔵原も点数が悪いのだと思い込む。

「馬鹿にしないで下さい! 蔵原さん程ではございませんが、私だってそれなりの点数は取ってますわ!」
そう言って見せてきたテストは……眩しいばかりだ。
最低点ですら91点……100点も幾つか存在する。

「私の家は広いですので、勉強会には適してると思いますの。如何かしら?」
「うわぁ行くぅ! だって前に見せて貰った猫ちゃんに会いたいし」
天真爛漫な渡辺さんが嬉しそうに受け入れた。

「た、確かに……あのペルシャ猫の子猫たちには会いたいな」
同中で好きじゃ無かったと言ってた佐藤さんも籠絡された。
俺も白鳥さんの家に興味があるし……

「ぜ、是非……お願い出来るかな?」
と受け入れを宣言。
巨大猫に見えるとは言え、女子の家にお邪魔するなんて一生に一度あるかないかだ。
それに彼女も俺の生涯の伴侶候補だしな。

あぁ因みに……
馬鹿猫から貰ったルーペを使って毎日好感度を測ってるのだが、結構上がってきた。
佐藤さん『♥1228』・白鳥さん『♥1184』・渡辺さん『♥1279』・小林先生『♥1088』となっている。

結構か上がってるよね。
努力したもん。
ほぼ毎日話し掛けて、褒めたりして好感度あげたもん。

でもね……1000でもMAXじゃ無いって事だよね。
数値は上がってるけど、100000中1000程度だと大した事ないよ?
本当に使えねー化け()()だよ。

これまでも、さきいかと引き換えに色々なアイテムを手に入れたが、使えない物ばかり。
『想い伝え用紙』と言って渡されたのは、普通の便せんと封筒。
下手すると店で購入した方がオシャレな便せんと封筒。

更に『君をフォトけないよぉ』と言って渡されたのが、時代を感じる使い捨てカメラ。
最初これが何なのか分からなかった程だ。
アイツ何時の時代を生きてるんだよ?

だが使えそうな物も存在する。
その一つが『好感度上昇ブースターシール』だ。
もうダジャレ染みた名前を考えるのが面倒だったのか、ストレートな名前のアイテム。

使い方は、好感度を大幅に上げたい()の首筋に、このシールを張り付けると、スッと体内に吸収されて24時間は好感度が下がること無く、通常よりも上昇率が大幅に上がるらしい。
『らしい』と言うのも、未だ使ってないからだ。

何せ1枚しか無いアイテム。
使いどころが難しい。
と言うのも、まだ誰と親密になるかが決まってない。

4人も居て、皆それぞれ同じくらいの好感度で、決め手に欠けるのだ。
容姿で選びたくても俺には猫にしか見えないし、性格面では皆良い()だし……
下手に一人に決めて、後でアッチの()の方が良かったなんてのは避けたい。

この約二ヶ月間……
色々世の中を見渡したけど、この4人以外に猫化して見える女性が現れなかった。
つまり俺には4択しか無いのだ。間違いは許されない。

以前の俺からしたら『4人も居るんだから贅沢言うな!』って言ってやりたい悩みだけど、通常の女の子とは違うからね。
俺には巨大猫にしか見えないのだから、狙いを定める為の基準が難しい。

外見で選べないのだから内面……つまり性格面で決めれば良いのだけど、巨大猫という見た目の恐怖に慣れて接してると、皆良い()なんだよねぇ……
別に欠点を探してるわけでは無いけど、決定打に欠けるというか……

佐藤さんは活発で社交的で良い()なんだ。
ちょっと人との距離感を間違えることがあるけど、話してるだけで元気をもらえるね。

白鳥さんは少し横柄な感じがするんだけど、故意にでは無く育ってきた環境がそうさせるみたいだ。実際自身でも気になってるらしく、懸命に俺等に合わせようと努力してるのが覗える。

渡辺さんはお菓子作りとか好きで家庭的。
ちょっと天然が入ってる感があるけど、そこがまた可愛い。

小林先生は大人な優しさを有してる。猫の姿しか見れないけど、それを感じさせる。
だが如何せん年上なのだ。たった6歳の差だけど……

皆良い()で誰を選んでもハズレは無いと確信出来る……
こうなるとやっぱり見た目も参考材料に入れたいよ!
何なのこの困難な状況?

俺の生活範囲内に彼女等4人しか候補者を発見出来なかったのだから、もう彼女等と生涯を共にする覚悟を決めないとならないのに、人に惚れる重大な要素たる外見が拝めないのは厳しい。

まだ4ヶ月はある……だけど、あと4ヶ月しか無いとも言える。
女性を口説くテクニックなど持ち合わせてない俺に、4ヶ月という期間は十分と言えるのだろうか?
蔵原の様な性格だったら良かったのに……



 
 

 
後書き
ダジャレアイテム炸裂。
インスタントカメラって今需要あるのかな? 
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