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こんなチートでもありですかい?そうですかい。

作者:わいわい
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第20話。変人とホムンクルス。

 
前書き
新章突入。しかし、まだまだ原作に入らず。
久々の爺ちゃん登場。ではどうぞ。 

 

「おっ、爺ちゃんからや。」

11月のある日のこと。家の郵便ポストから新聞を取りに来たら爺ちゃんから手紙が来ていた。

爺ちゃんと手紙のやり取りをしてからもう4年ぐらいか?気づいたら長いコトやってたな。

爺ちゃんの手紙は大体取りとめない出来事を書くぐらい。

この間こんなことがあったとか、そう言えば姉ちゃんが・・とか、シロちゃんと一緒にどこ行ったとか。

爺ちゃんはそのことに『そうかい。そうかい。』と、感想をたらす。まぁ、普通の孫と爺ちゃんの手紙のやり取りだ。

「姉ちゃん。爺ちゃんから手紙が来てるで。」
「お爺様から?」
「おう。『イリヤがイルカ好きだなんて知らなかった。今度飼ってやろう。』やって。この間行った水族館のことやな。」
「シンゴ!そんなことお爺様に伝えてるの!?」
「おう。せやで。」

姉ちゃんは『そんなこと伝えないでよ!恥ずかしいから!!』と、真っ赤になって怒っている。

しかし爺さんレベル高いな。イルカ買えるんかい。

「他にはなんて書いてあるんだ?」
「またシロちゃんにも会いたいって書いてあるで?他には・・・おろ??」
「どしたの?シンゴ?」
「う~ん。どうしたんやろ?爺ちゃん。」
「何かあったのかい?」
「いやな、親父。『面倒なことになった。すまないのだが、シンゴの力を借りたい。一度ドイツに来てもらえないか?』やって。」
「??お爺様が?」









んっでもって、再びやってきましたドイツ。

「シンゴ。『私は帰ってきたー』ってやつは止めなさい。」
「くっ!言う前に言われてしまっただと!?やるのぉ姉ちゃん。日に日にレベルアップしてるやないか。」
「まあね。」

今回は舞弥姉ちゃんを除く4人にで来ています。学校?爺ちゃんが危ないかも・・・・って言って休み貰った。

「お爺様どうしたのかしら?」
「さぁ?いけば分かるやろ。」





「よく来たな。イリヤ。シンゴ。」
「当主殿。私もいるのですが・・」
「お前なんぞ呼んでおらん。」

今回は前回入った(侵入した)客室に入れてもらい、メイドさんにお茶をもらった。・・・・アレもホムンクルスなのかな?

「おお。こやつがシロウか。いい眼をしておる。」
「あ、イ・・イヒハイセ、シロウ・エミヤ。イッヒ、フロイエミッヒ、ゼアー、ズィー、ケンネン、ツーレルネン。」

空港で教えたドイツ語で挨拶するシロちゃん。爺ちゃんは表情は変えていないが嬉しそうにしている。

「んっ。すまない。シンゴが普通にドイツ語を話すからな。」
「なんや。爺ちゃん日本語話せるんかい。」
「私が話せるんだから当たり前でしょ。」

そう言えばホムンクルスは始めから知識を入れられるって言ってたな。爺ちゃんもってことか。

「良かった。何言ってるかさっぱり分からなかったら、ずっとぼーっとしてたと思うし。」
「んで?どうしたん爺ちゃん。」
「そうだな。その前にシロウは・・・・」
「ん?別にソッチの話でも大丈夫やで。」
「そうか。」

一度話を切って全体を見回す爺ちゃん。・・・・マジか真面目な話か。

「実はだな。数年前から弄っていたホムンクルスが一体いた。」
「数年前から?お爺様がそんな長い間作っているホムンクルスってどんなものよ?」
「まぁ聞いておれ。私が鋳造していたホムンクルスは・・・・そう、シンゴを参考にしたものだった。」
「俺?」
「正確に言えば『魔力硬化』であるがな。」

なんてことでしょう。俺がのほほんと日本で日々を過ごしている間に爺ちゃんはとんでもないことをしていた!!

チートを作るってなんてチート。

「しかし失敗してしまってな。」

マジか。爺ちゃん元気だしー。え?元気でたって?それはよかった。

「だがその失敗も実に興味深い失敗でな、しかし、失敗は失敗であり。望んだものを得られなかったため、放置しておいたのだ。その内気分が乗ってからでいいかと。」

その気持ちちょー分かるわ―。なのにクライアントは速くシロ速くシロってしつこいし。よけいヤル気なくなるつうの。

「そのホムンクルスはどのような代物なのでしょうか?」
「うむ。・・・・魔力を任意で放出させるのは容易ではない。故に体内での硬化目指したのだが・・何故か体内の炭素成分の結合度を変化させるものになってしまった。」

炭素成分の結合度変化?・・・・んでホムンクルス。・・・・・・・グリードさんですねわかります。

作品違うよ?流石爺ちゃん。なんでもありですね。最強の盾!!

「炭素結合度をコロコロ変えられて、そんなんで生きられるんかい?」
「ああ。ホムンクルスなので一様に短命であるがな。」
「どこにいるん?みたいんやけど。」

そしてぜひとも触ってみたい。スッゴイ失礼だと思うけど触りたい。

「実はだ・・居なくなってしまったのだ。」
「は?」
「朝起きたら、いなかったのだ。」

いや、ペットがいなくなってたみたいに言われても・・・・

「居場所はわかっているんだが、拾った飼い主が悪くてな。」
「飼い主?ホムンクルスって作った人が親的な存在になるんじゃないの?」

たしか刷り込みというやつよ。

「違うぞ。ホムンクルスの鋳造は人体錬成・魂の付着・星との接合の3つの工程がある。」
「星との接合?なんやそれ?」
「ホムンクルスは必要な知識と存在意義を自然、地球から引き継ぐのだ。この技術は聖杯戦争にも使われている。」

ごめん爺ちゃん。最後のどうでもいい。

「こいつは最後の『接合』の工程を踏んでいない。そこで面倒なことが起きた。」
「面倒なことねぇ。」
「拾った飼い主が魔術師だったんじゃ。」

うわぁお。ガチでめんどくせ―。

「さらにこの魔術師はさらに面倒なことを起した。」
「何を?」
「ホムンクルスを使った『魔術師狩り』だよ。」

みんなでジーっと親父の方を見る。親父はヤメテッ!見ないでぇ!!(>_<)って顔をしてる。きめぇ。

「細かくは分からんが、どうやら魔術を使い、偽りの記憶を植え付けたようだ。」
「記憶があると存在意義の代理になるか。なるほど、やはり生命にとって記憶とは必要なものか。」
「・・・・晋吾?」

雰囲気が変わる様子を感じ、晋吾の顔を覗き込むイリヤ。

「ほ?んで?どんなったん?」
「うむ。実はこの件のホムンクルスがアインツベルンのものであることが、すでに魔術協会にばれている。」
「ウソでしょ!?」
「嘘ではないのだイリヤ。そして早急に内々的に処理することに決まった。」
「てことは?」
「ふむ。本来なら魔術師の処理も頼みたいところなのだが・・・・」
「ご当主。それは、」
「分かっている。私も可愛いまだ手が綺麗な孫を汚させたくない。」



「お?別に殺さんでも複雑骨折と粉砕骨折の違いを教えたればええやろ?」



「・・・・」
「・・・・」

釘バットを肩に担ぎながらキイキイと骨を折っている映像が安易に浮かび、なんかこいつ怖い。

と思ってしまう二人であった。









そんなことで飛んできましたベトナム。爺ちゃん曰くここにいるとのこと。

「今日もナビお願いします。」
「ああ。行こうか。」

かつて依頼をこなしていた時のように舞弥姉ちゃんをサポートにおいて、爺ちゃんのお使いという名の任務にあたる。

「しかし難易度SSランクのお使いやな。」
「お使いってレベルではないがな。」

例の魔術師はあっちこっち逃げ回りながら自尊心を満たすために狩っているらしく、舞弥姉ちゃんの事前報告からすると、どうやらなさけない奴らしい。

簡単に言うと、『意識がないものに記憶を植え付ける』魔術しか持たない者に格好な武器が舞い降りて、ビクビクしながらそれを振うことにニヤニヤと楽しんでいる。

・・・・分かりやすいやら、分かりにくいやら。とりあえずなんとなく残念な映像が脳内で浮かぶからいいか。





廃れた田舎道を歩き、ターゲットがいるという住居に向かう。

しかし、どうやって登場しようか?・・・・そう言えばみんな俺のこと中々気づかないんだよな。

親父も舞弥姉ちゃんも(全くを持って嬉しくないが)一流のアサシンになれるって言っていた。

・・・・今日はステルスシンゴで行ってみるか。





こん、こん。

人っ子一人いないような田舎での訪来者。道に迷った旅人の線もあるが、追手である可能性が高い。

しかも堂々とノックをするぐらいだ。おそらく追手は腕自慢の相当な手だれ。

「も、もう追ってきたのか?もうばれてしまったのか?もうここまでなのか?」
「大丈夫だ。マスター。俺が行く。」

そこで気づく、自分には最高の盾がついていることを。

扉を開けてみるが、そこには誰もいない。

「誰もいないぞ。マスター。」

気のせいだったのか?

ほっと気を緩めたところに・・・・



「わりぃごは居ねぇーか―!!」
「きゃぁああああああああああ!!」



後ろからの声に驚き、床を生えずりながら自らの『盾』の後ろに隠れる。

「なんや。ビビり過ぎやで。」
「な、何なんだ貴様は!!」
「お、中国語かいな。話せる言葉で良かったわ。おっちゃん。お縄に頂戴やで。」

妙な風格を漂わせる奴だが、月明かりに映る顔は若いと言うよりもあどけなさがまだ残る顔立ち。

まごうことなき『少年』である。

「ホムンクルスを返しにもらいに来たで?」
「返すだと?」

自らの記憶にないことを言われ、不快感を醸し出す『盾』。

「俺はマスターの盾。返せなど言われる筋合いはない。」
「そ、そうだ!使命を果たすまでは死ねないのだ!このガキを殺せ!!」

追手が少年であることに、精神的余裕が出てきた魔術師。

その魔術師の発言を聞いて晋吾は、豪く三下臭のする奴だな。とある種の感心を抱く。

「ほー。そういう設定なんかい。」
「設定だと?」
「な、何を言ってるんだ!!」
「慌て過ぎやって。まぁ、ええわ。とりあえず、魔術師の方は確保せなあかんし。盾の旦那はのいてくれへんのやろ?」
「当たり前だ。俺はマスターを守る盾。」
「相分かった。つまり盾を取れば丸腰になるっちゅうことやな。」

そう言って背中に背負っていた袋の様なものから、剣を取りだすように、何かを取りだした。

「・・・・なんだそれは?」
「なんやバットを知らんか?まぁ、そこな魔術師が知らんのやったらそれもそうやの。」

そういって取りだして構える少年の手には、・・・・何故か釘の刺さったバットと言われる木製の物。

舐められたものだ、我が盾に木で挑もうとなど。

「ほな、行くで?」

少年の体から眩い光が輝く。そして、体を沈ませると思ったら、一瞬で距離を詰められた。

田舎の一階建て一軒家であるこの家は確かに狭いが、玄関と少年の立っていたところまでは数mは離れていた。

炭素結合度を変化させて防御に備えながら、少年を観察する。

ホムンクルスである俺が、目で追い切れないとは。

ギィイイン!という甲高い音をあげて、自らの体に袈裟がけに落されたバットが止まる。

「ほう。話にはきーとったが、これがダイヤモンドの堅さかい。」
「そうだ。誰にもこの盾を打ち破ることはできない!!」
「盾っつうより鎧やがな!」

バットを跳ね除け距離をとり、左腕を剣のように変えて少年目掛けて振う。

少年は半身を右側ずらしそれを見切り、お返しにと顔面目掛けてバットを振う。

しかし、ダイヤモンドの硬度を誇るその顔面は、またもや釘の部分とぶつかり甲高い音を鳴らす。

右腕も剣のように変化させ、少年の顔を目掛けて突く。すると少年は前に出されたままの左腕に足を掛け、飛び上がる。

突きだされた右腕を超え、天井に手を添えて一瞬停止した所で、少年は顔に向かって蹴りだした。

人間の蹴りなど屁でもない。そう決め込んで防御をせずに受ける。すると信じられないほどの衝撃が走り、体ごと宙に浮く。

マスターである魔術師をも巻き込んで、玄関の扉を突き破り、外に放り出されてしまう。

「・・・・ちいと痛かったの。」

蹴りだした足をさすりながら家から出てくる少年。

「・・少年だと侮っていたが相当の手だれだな。」
「だ、大丈夫なのか!?」
「大丈夫だ。俺が負けるわけがない。」

こちらに向かって歩いてくる少年に目を向け、評価を下す。おそらくは奴の武器は手に持つバットと言う木片ではなく、卓越した身体能力。

バットの振りも鋭いが、速さ・威力ともに驚嘆である。さらにダイヤモンドの塊でもある我が身体を蹴り飛ばしたのにも関わらず、少し痛がる程度。

耐久力も高い。やはり殴打よりも刃物での殺傷の用が有効であろう。・・・・当たればだが。

そこまで考えてさきほど変化させた両腕を少年に向ける。

「ダイヤモンドソード×2ってか?しかし、当たらなければどうということはない・・やで?」
「当たるかどうかは、やってみなければわからん!」

今度は自ら仕掛ける。右腕を体の内側から外側に向かって振い、矢継ぎに左腕を突き出す。

少年は右腕を見切り、左腕をバットで受ける。左腕を戻そうとするが・・・・動かせない。

「クッ!?」
「捕まえたで?」

何とバットに刺さっている釘と釘の間で剣と化している腕の刀身を絡めている。

その事実に驚愕していると少年はバットを力強く引っ張り、体を引き寄せる。

その力は強く、逃げることができない。

苦し紛れに右腕を少年に向けるが、少年は両腕で持っていたバットから左腕を離し、その腕で払いのける。

そしてがら空きになった顎に向かってその左手で掌底を放つ。

「ぐぁあ!!」

浮き上がった所を左手で顎を掴み、地面に叩きつけられる。

「知ってるかい?ダイヤモンドはのぉ?」

上を見ると、月をバックにバットを振り上げている少年が見えた。

そして次の瞬間にそれが、己の右腕に振り下ろされる。

「ガァっ!!」

衝撃とともに、かつて感じたことのない感覚を抱く。これが・・痛みなのか!?

右腕を見ると粉々にされ、刀身が取れていた。

「靭性という割れや欠けに対する抵抗力がそこまで高くないんや。」

そう言って再び振りあげられるバット。

「グッ!!」

次は左腕、またもや粉々になる。

「ダイヤモンドってキズとかには強いって意味の硬度はあるんやけど、衝撃に強いって言う意味の固さはないんよ。」

また振りあげられるバット。

逃げなくてはと体を動かそうとしても、痛みが体を動かすことを拒否する。

そして抵抗なく粉々にされる右足。

「まぁつまり、こうやって叩きつけられると粉々になるっちゅうことや。」

最後に粉砕される左足。

「ふぅ。これで動かなくなるわ。再生せーへんって聞いとったからの。」

動かないもなにも、両腕を粉砕された時点で動けない。始めて感じる、痛みと恐怖に怯えて。

「さぁて、あとは魔術師の方や・・・・な」

魔術師の方に目を向ける晋吾。しかし魔術師に取っては堪ったものではない。

バットを振り下ろし、キイキイと(そのように見える)四肢を粉砕していく少年。

次は私も・・と考えた時点で魔術師はブラックアウトした。

「・・・・一件落着やな。」
「マスターは?」
「ああ。ションベンもらしてアワ吹いて気絶してるわ。」

マスターは恐怖にやられたか。まぁ仕方がない。

「さて、とりあえず舞弥姉ちゃんに来てもらうかの。あっ、しばらくは自分、寝てもらうから勘忍のぉ?」

相手が悪すぎたと考えるべきだな。









ホムンクルスと魔術師は一足先に舞弥姉ちゃんがドイツに届けた。魔術師の方は爺ちゃんが処理をするとのこと。

処理ねぇ。やっぱり首ちょんぱなのかしら?魔術師怖いわ~。死んだら何もできないじゃん。

あっ、もう何もするなと言いたいんですね。やっぱり魔術師怖いわ―。

うんで飛行機を一本遅らせて、ドイツに到着。もうこのミュンヘン国際空港にもなれてきたな。でもベトナムからは疲れた。

んで舞弥姉ちゃんを待つ。しばらくして合流できた。

相変わらず面倒な道のりを我慢してアインツベルン城に到着。長かった。

「ご苦労だったなシンゴ。」
「おう。余裕だったで。」

爺ちゃんに軽く報告。詳細はもう舞弥姉ちゃんの口から聞いている。

「余裕と言われて、いい気分しないね。」

爺ちゃんが連れてきた達磨スタイルのホムンクルス。なんか新鮮。

「実際、苦戦の苦の字もなかったわ。」
「はっ!返す言葉がないな。」

ぶっちゃけ再起不能にならないように注意してたし。やろうと思えば始めの一撃で終わりだったとは言わない方がいいだろう。

「んで?こいつどうすん」
「うむ。こうなると腕を蘇生するより始めから人体錬成した方がいい。意識がある状態だと星との接合も難しいからな。」
「ふーん。そなら、俺が貰ってもええ?」
「別にかまわんよ。」
「自分もええか?」
「俺か?少年に逆らう気は起きんな。またバラバラにされたくない。」
「そか。ほなよろしゅう。あっ、あと俺の名前は晋吾や。まぁ、呼びたいように呼んでくんろ。・・・・ところで。」

そう言葉を切ったとき、まだ名も与えられていないホムンクルスは嫌な予感が走った。

「機械の体って興味あらへん?」

その時の晋吾の目は、キラキラとマッドサイエンティストのように輝いていた。 
 

 
後書き
バトルシーン。どうだったかしら?俺的に満足度5割は超えてるんだが。
晋吾の釘バット格闘術。釘部分で拘束・貫通等々が可能。ただ殴る蹴るとか剣刀等を持たせるとありきたりになるからなんか変わったことしたかった。
ちがうssで見たよそれ?とか言われたら全俺が泣く。
 
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