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才能売り~Is it really RIGHT choise?~

作者:流沢藍蓮
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Case2 「美しい」の裏に待つ末路
  Case2-1

〈Case2 「美しい」の裏にある末路〉――安藤美波

 あたし、安藤美波。恋するジョシコーセーだよっ、きゃははっ。
 最近ねぇ、あたしねぇ、恋しちゃったの! お相手はぁ、聞いて驚け、あの、あのスポーツ万能で成績優秀の武藤先輩だよっ。あの先輩は可愛いコが好きみたい。そりゃあブスよりも可愛いコの方がいいよねっ。ならあたしはあたしは? って思ったけれど、あたしって顔には自信がないのよねぇ。二重じゃないし眼鏡だし、出るとこ出ないでちっちゃいし、美容クリームつけてるのに顔はにきびでいっぱいだし、おまけに声もかすれてヘンだ。叶わぬ恋なのかなぁ。クラスでも人気者のあの先輩の心を射止めるのは誰なのかなぁ。あたしだったらいいのになぁとはつくづく思うんだけれど、駄目だよね、駄目に決まっているよね。
 そんな恋するジョシコーセーのあたしが窓の外を見ながら溜め息をついていたら。
「みなみん、武藤パイセンが好きってマジ?」
 クラスメートたちが寄ってきた。
「でもみなみんじゃ無理だよね! それよかウチとかほのみんとかのっちーとかのほうが絶対に可愛いよね! 武藤パイセンの事なんか諦めて他のカレ狙ったら?」
 きらっち――武藤きららはあたしにそんなことを言った。ひどくない!? でも、でも、そんなこと言われても! あたしは武藤先輩に恋しちゃったんだよ? 恋はモーモク! そう簡単にあきらめてたまるかい!
 あたしが憤慨してきらっちに何か言い返そうとした時だった、不意にあたしたちみたいな騒がしい女子のものではない、静かな女子の声がした。
「……持っていないものは、自分で手に入れればいいじゃない」
「はい?」
 声の主は清楚可憐なお譲様、東寺 夏鈴(あずまでら かりん)。どこかの財閥の令嬢だってさ! そんな彼女がなぜこんな高校にいるのかねぇ。どこか謎めいた彼女は冷めた口調であたしに訊いた。
「才能屋……って、知ってる?」
 あたしは知らなかった。するとクラスメートの一人がそれ知ってるよと大声を上げる。
「知ってる、知ってる! 戸賀谷でしょ? 自分の望む才能をあげるけれど、対価として自分の持っている別の才能を払えってやつ! 実在する都市伝説なんだって! まゆことかほのかとか、野次馬で直接行ったことがあるんだって!」
 まゆこもほのかも騒がしいクラスメートの一人だ。そんな都市伝説があったなんて、悔しいことにあたしは知らなかった。
 わかっているのなら話は早いわと東寺さんは言った。
「武藤先輩の心が欲しいのならば、それには何が自分に欠けているのか考えて才能屋さんにお願いすればいい。そうすれば願いは叶うでしょう」
 あたしに何が欠けているか? 簡単だ、あたしにはルックスが足りないんだ。でもそんなもの、半分は生まれつきでもう半分は本人の努力次第。それ以外の要因で何とかなるもんじゃないでしょ? 眉唾だよそんな話ぃ!
 あたしは相当怪訝そうな顔をしていたのだろう、きらっちが東寺さんの話を補足する。
「嘘じゃないよ、ホントだよ。どうしても嘘だって言うのならば今度戸賀谷においでよ! これだけは、才能屋だけは実在する都市伝説なんだってばぁ!」
 ……そんなに言うのならば、行ってみようかなぁ。
 でも戸賀谷って遠いんだ。電車で片道二時間ってねぇ。それだけの価値ってあるの?
「なんならウチが交通費払ってあげる! 嘘じゃないんだからね、証明してやるぅー!」
 きらっちがそんなことを言ったので、結局あたしは才能屋とやらに行ってみることになった。行き当たりばったりだけれど、結構面白そうな気がした。
 
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