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モナリザ

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第二章

「あれの舞台を」
「そう、現実のそれをね」
「見たいんだ」
「パリに行くならね」
「じゃあそういうのも全部見て回ろう」
「それでルーブルに行って」
「モナリザもね」
 彼は私に目を輝かせて答えた、そうして彼が中心になって旅行会社の人とその旅行の計画を進めていった。このお話はとんとん拍子に進んでだった。
 私達はゴールデンウィークの時にパリに行くことになった、私はルーブルよりも他の観光名所やフランス料理を楽しんだ、パリの街並みも噂に聞く通り絵になっていた。
 私は画家のピカソが毎晩通っていたというお店に入ってそこでピカソが食べていたステーキを二人で食べながら彼に言った。
「ピカソになった気分っていうかね」
「ここにいたんだってね」
「思えるわね」
「うん、ピカソは実際にこのお店に毎晩来て」
 彼は私と同じステーキを食べつつ私に話してくれた。
「そうしてね」
「今の私達が食べているステーキをね」
「食べていたんだよ」
「そうだったのね」
「結構食べものにはこだわりのある人で」
 この辺りパリにずっと住んでいたからこそだろうか。
「ステーキ以外にも牡蠣のグラタン作ったりいつも大蒜の料理を食べていたりね」
「大蒜ね」
「結構こだわりのある人だったんだ」
「ステーキだけじゃなかったのね」
「そうだよ、それで色々な絵を残しているんだ」
「ゲルニカとかね」
「あの絵は有名だね」
 スペイン内戦の惨状を描いた絵だ、就職した今でも覚えている。
「あの絵の他にもね」
「色々な絵を残していて」
「その原動力がね」
「食べものだったっていうのね」
「そういうことだよ、ピカソ個人の美術館もあるから」
「そっちも行くの?」
「いや、ルーブルだよ」
 彼は私に笑って答えた、もうここしかないという感じで。
「これは決まってるじゃない」
「それでモナリザを見るのね」
「そうしようね、明日ね」
「わかったわ、じゃあ付き合うから」
 私としては他の絵や芸術品を見るつもりだ、ダ=ヴィンチの時代であるルネサンス時代の芸術品でも見たいものが幾つかある。
「行きましょう」
「明日ね」
 私に笑顔で話してくれた、そしてだった。
 次の日私達はルーブル美術館に行った、彼が行きたくて仕方がなかったそこに。そうして二人で回っていって。
 私は色々な芸術品を見た、そのことに目と心を喜ばせていたが彼はやっぱりだった。
「色々見ているしそしてね」
「モナリザにもね」
「近付いてるね」
「あと少しね」
 そのモナリザまでとだ、私は周りの芸術品達を見つつ応えた。とはいってもモナリザはあまり関心がないままだ。 
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