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オズのガラスの猫

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第六幕その八

「あるわよ」
「あっ、貴女は濡れるとね」
「それで身体が鈍くなるわ」
「お水を吸うからね」
 ぬいぐるみのその身体はです。
「それはあるわ」
「そうよね」
「あたしはお水も平気よ」
 ガラスの猫はここでも言います、オズマの横にちょこんと座ったうえで。
「全くね」
「お水にも濡れないからね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「お水の中も底もね」
「普通に進めて」
「泳ぐことも出来るけれど」
「底を進むことも」
「出来るの、あたしはね」
「しかも息もよね」
「それをする必要もないから」 
 このことについてもお話するガラスの猫でした。
「全く平気よ」
「そうなのね」
「そう、こうしたことでも最高の身体なのよ」
「そこで自慢するよね」
「だって本当のことだから」
 悪びれずに返すガラスの猫でした。
「嘘は言わないわ」
「そうなのね」
「そう、自慢と言われてもね」
「そう言うのね」
「そういうことよ、まああたしにとっては寒さも暑さもお水もよ」
「意味がないのね」
「砂もよ」
 こちらもというのです。
「何ともないわ」
「私はーー駄目ーーですーーね」
 チクタクはこう言ってきました。
「砂はーー身体のーー中にーー入るーーので」
「苦手なの」
「好きにーーなれーーません」
 そうだというのです。
「どうーーにも」
「そうなのね」
「はいーーそうーーです」
 まさにというのです。
「お水もーー錆びるーーので」
「中に入った後のお手入れが大変ね」
「全くーー以て」
「あたしは砂も平気だけれどね」
 つぎはぎ娘はそうだというのです。
「お水は動きが鈍くなるの」
「綿の身体だから」
「どうしてもね、絞って干せばいいけれど」
「あっ、そうすればね」
「そうよ、もう何ともなくなるわ」
「それじゃあ洗濯みたいね」
「あたしは洗濯で奇麗になるしね」
 自分からも言うつぎはぎ娘でした。
「洗濯にもなるわね」
「お水に入れば」
「ええ、その分ね」
「何か凄いお話ね」
「凄くないわよ、オズの国だから」
 こうしたこともというのだ。
「だって何でもある国でしょ」
「まあそれはね」
「お伽の国だから」
 まさにこのことに尽きます。
「何があっても起こってもね」
「不思議じゃないわね」
「そうよ、それとね」
「それと?」
「また橋があるから。この先にね」
 つぎはぎ娘はナターシャ達にこのお話もするのでした。
「さっきの川の支流があってね」
「そうなの」
「そうよ、川があってね」
「そこにも橋が架けられているのね」
「そうよ、ただ今度の橋はね」
「トランプの橋じゃないのね」
「あの橋はミスター=ドラコの橋だから」
 それでというのです。 
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