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大阪にもいる

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第一章

               大阪にもいる
 緑橋莉乃は幽霊が苦手だ、それは子供の頃にその幽霊を見て怖かったからだ。
 しかしその話を聞いてだ、あるクラスメイトは莉乃に笑って言った。
「そう言うけれどね」
「幽霊はいないっていうのね」
「そんなのいないわよ」
 クラスメイトは莉乃に笑ったまま言った。
「この世にはね」
「そう言うけれどね」
 莉乃は莉乃で真剣なクラスメイトに返した。
「幽霊はいるから」
「絶対に?」
「そう、絶対によ」
 クラスメイトに強い声で告げた。
「私嘘は言わないから」
「じゃあ私に幽霊見せてくれる?」
 クラスメイトはあくまで幽霊はいると主張する莉乃に対して笑って返した。
「幽霊を」
「本当に見たいのね」
「ええ、いる筈ないから」
 あくまでそう信じているからこその返事だった。
「私宇宙人は信じるけれどね」
「幽霊はなのね」
「いないから。この目で見たら信じるけれどね」
「そうね、じゃあ幽霊が出る場所に案内してあげるわ」
「それ何処なの?」
「今から案内するから」
 こう話してだ、そしてだった。 
 莉乃はクラスメイトを大阪市内であまりにも有名な心霊スポットである某所に案内した。するとだった。
 クラスメイトは自分をそこに案内した莉乃に笑って言った。
「ここ繁華街じゃない」
「そう、大阪市内のね」
「そのど真ん中にあるのによ」
「幽霊なんか出ないっていうの」
「そうよ、こんな目立つ場所にね」
 間違ってもという返事だった。
「いないわよ」
「そう言うけれど今から案内する建物の中は出るらしいから」
「やれやれ。まあいたら本当に信じてあげるわ」
 クラスメイトは莉乃に肩を竦めさせて応えた、そしてだった。
 莉乃に案内されるままに建物の中に入った、そうして建物の中の色々なフロアーを回っている中で。
 ふとだ、クラスメイトは不意にだった。眉を顰めさせて今さっき自分が擦れ違った相手を見てだった。
 そしてだ、こう莉乃に言った。
「今の人って」
「どうしたの?」
「あの服今の服じゃなかったわ」
「そうだったの」
「ええ、昭和四十年代の服じゃないの?」
「それ何十年前よ」
 莉乃はクラスメイトに眉を顰めさせて言ったがすぐにだった。 
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