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オズのガラスの猫

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第五幕その八

「もう大戦争だったし」
「魔法と一緒ね」
 まさにとです、恵梨香も言います。
「危険な術ね、悪用すると」
「オズの国には悪人はいなくても」
 それでもと言ったガラスの猫でした。
「悪人が入ってきたりもしたでしょ」
「ラゲドー王ね」 
 ナターシャはガラスの猫の言葉にすぐにこの人を思い出しました。
「確かにあの人はね」
「悪人だったわね」
「何度もオズの国に攻めようとしたわね」
「ああした人が来ることもあるから」
 それでというのです。
「そうした人が下手に学び取って悪用しない為にも」
「そうした術は制限しているのね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「オズの国ではね」
「そういうことなのね」
「そう、そしてね」
 さらにお話したガラスの猫でした。
「平和が保たれているのよ」
「オズの国の平和が」
「そうなってるのよ」
「そのこともわかったわ」
「さて、じゃあね」 
 つぎはぎ娘が皆に言ってきました。
「今度はどの生きものを見に行くの?」
「イルカはどうかしら」
 オズマは少し考えてからつぎはぎ娘に答えました。
「あの生きものは」
「イルカね」
「ええ、この動物園にもいるでしょ」
「だからよね」
「イルカ達を見ましょう」
「それじゃあね」
 つぎはぎ娘も頷いて他の皆も同じでした、そうしてです。
 皆はイルカのコーナーに行きました、すると背中は見事な黄色でお腹のところは白いイルカ達がいました。ですが。
 そのイルカ達を見てです、五人はすぐにこう言いました。
「あれっ、何か」
「普通のイルカと違うね」
「頭のところが大きくて」
「お口がかなり先に出ていて」
「海のイルカじゃないわ」
「カワイルカよ」
 オズマは五人ににこりと笑って説明しました。
「貴女達も知ってると思うけれど」
「はい、それは」
「川にもイルカがいたりしますね」
「外の世界でも大きな川にいます」
「アザラシもいたりします」
「それで、ですか」
「ウィンキーの川にいるイルカ達でね」
 イルカのコーナー、プールの中で元気に泳いでいる彼等はというのです。プールは水槽になっていてその中がよく見えます。
「この子達もこの動物園にはいるの」
「そうなんですね」
「カワイルカですか」
「海のイルカじゃなくて」
「こちらのイルカもですか」
「この動物園にはいるんですね」
「そうよ、海のイルカもいるけれど」
 今皆で見ている様なというのです。
「カワイルカもいるの」
「まさかカワイルカもいるなんて」
 ナターシャは意外といったお顔でオズマに応えました。
「少し驚きました」
「だからオズの国はね」
「どんな生きものもいるんですね」
「そうよ、だからカワイルカもいるの」
「そうなんですね」
「この子達はとても大人しいから」
 見れば海のイルカ達みたいにお水の上まで元気に跳ねたりはしません、元気ですが泳ぎ方は静かな感じです。 
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