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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と期末試験編
  NO.063 お買い物に来ていく服は……?

 
前書き
更新します。 

 


葉隠の提案によって、1-A総出ではないが木椰区にある大型ショッピングモールへと強化合宿に向けてお買い物に行くことになったのだが……。
出久は少し考えこんでいた。

「普通の服って……どんなものを着ていけばいいんだろう……?」

みんなと買い物に行くための服装選びで時間をかけていた。
それもそのはず、今まではみんなと会うのはもっぱら学校でしかなかった。
一度、爆豪の家に勉強をしに行ったこともあったが、それでも簡単なものであったためにそこまで気にしなかった。
それに男性だった時も誰かとお買い物なんてそれこそなかったから何を着ていけばいいかわからない。
だが今回は勝手が違う。
そんな恰好まで深くは見られないであろうが、それでも恥ずかしくない格好をしないと!というちょっと女の子らしい気持ちを感じている出久であった。

「お母さーん!!」

しばらく服装選びで悩んでいたが、一人で悩んでいても仕方がないと結論を出したので引子を呼ぶ事にした。
それで「はいはーい!」と朝食後の食器洗いをしていた引子がふきんで手を拭きながら出久の部屋へと入ってきた。
引子は出久の部屋の中の服が散らかっている惨状を見て、「あらま!」という声を出しながら、

「こんなに服を散らかしてどうしたの、出久ぅ……?」
「うん。それなんだけどね……今日は学校のみんなでお買い物に行くことになっているんだけど、女の子の普段着ってどんなものを着ていけばいいのかなって……みんなと会うのはいつも決まって制服だったから……」
「そう……出久もそういうのを気にするようになったのね。お母さん、出久の成長に少し嬉しいわ。男の子の時は決まって無地のものか、分かりやすく『Tシャツ』なんて書かれた少し私から見てもださい服しか着ていなかったからねー……」
「あ、あはは……」

それで頬を掻いてしまう出久。
自覚があったがために反論ができないのであった。

「それじゃ! そんな出久のためにお母さん、頑張っちゃおうかな!!」

そう言いながら、引子はいつか来るであろうこういう機会のために出久には内緒でお洒落な服装を購入しておいたのだ。
そして持ってきたものとは……?

「ちょ!? お母さん、ちょっと女の子っぽく過ぎない!?」
「何言ってるの! もう出久は女の子なんだよ! だから問題ないわよ!」
「で、でもー……」
「いいからこれ着て行ってきなさい。大丈夫。出久なら絶対にかわいいから!」
「うー……わかった……でも一応着てみるだけ着てみるよ?」
「うん。いいわよ」

そして引子に渡された服装を出久は少し恥ずかしがりながらも着ていった。
そして鏡台に映るその姿を見て一言。

「うー……やっぱり少し大人し目じゃないかなー……?」
「いいえ、似合ってるよ出久ぅ!」

そこには白色と黒色のコントラストが映えるノースリーブの上着に、下は黄緑色の足首あたりまで隠れているスカート(猫娘使用の尻尾穴完備)。
そして薄い水色の羽織をさらに着てさわやかさをプラスする感じ。
靴は動きやすさを重点に置いたソックス。
これで決まりだ!と言わんばかりの引子自慢のコーディネートである。

「うんうん! やっぱり似合ってるよ! 女の子がもし生まれていたらこういう格好をさせたかったのよねー。夢が叶ったわ」
「そ、そうなんだ……」

少しだけ引いている出久は、ふと時計に目をやると、

「あっ! そろそろ予定の時間になっちゃう!?」
「そう。それじゃ行ってらっしゃい」
「うー……もう着替える時間もないしこれで行くしかないかー……それじゃ行ってきます!」
「はいはい」

出久を見送った引子は遠ざかっていく出久の後姿を見ながら、ふと思う。
出久が自身の体に起きた異変を全部話してくれた時のことを……。
引子はそれはもう泣きに泣いた。
下手をしたらかなりの先の未来にまで生きなければいけない出久の将来について……。
そしてそれをもう当然のように受け入れてしまっていた出久に何も言えなくなった自身があまりに無力で情けなくて……。
だから、もうそんな出久の前で情けない姿を見せられないという気持ちで引子はまずはダイエットを始めていた。
出久が無個性と診断されてから以降、ストレスで過食症になって太りに太ってしまったから昔の体系に戻すのには根気がいるであろうが、それでも出久に自慢されるような母の姿でいたいという一種の願望を抱いた引子。
それを海外で働いている父・久にも海外電話で相談して出久のためにできることはしていこうという取り決めがなされた。
親は誰しも子供のために出来ることはしたいのである。
それが個性で苦しむことになるなら尚更である。

「(だけど、自己犠牲だけはやめてよね。出久……?)」

引子は出久の個性の内容を聞いて、傷はいくら負ってもすぐに治ると分かってから、いつどこで無茶をしないかで気が気でなかった。
ヒーローになるためには傷は付き物だが、それでも無事に帰ってきてほしい……。
この家にはいつでも帰ってこれるんだから……ここが心安らいで出久の帰ってこれる“場所”なんだから……。
引子はただただ、そう思った。







お茶子たちはもうすでに所定の場所へと合流していた。
ただ、まだ出久だけが到着していないのだが、

「緑谷君はまだきていないようだね」
「そうなんよ。飯田君は何か聞いてる?」
「いいや、何も聞いてはいない」
「あの緑谷に限って時間に遅れるってことはないだろうけどなー」

お茶子と飯田の会話を聞いて、峰田がそう言葉をこぼす。

「案外、服選びをしているのかな……?」
「そうなのでしょうね。緑谷さんは普段着の姿はあまり見ませんから」

耳郎と八百万がそう話している。

「そういえば、前に爆豪ん家で勉強をした時もあんまり派手っていう格好でもなかったもんなー」
「そうなのか、切島……?」

上鳴と切島でそう続いていた。

「まさか……ナンパに絡まれたか?」

常闇がいきなりそんなことを呟きだす。
それで一同は少し不安になっている中で、

「みんなー! ごめん、少し遅れちゃった!!」

そこに出久の声が聞こえてきたために、全員は一応は安心しながらも声の聞こえて来た方へと振り向く。
そして急遽ほとんどの男子勢は顔を赤くする。
女子勢も出久の格好に少しだけ見惚れる。
当然猫耳も可愛いのだけど、服のセンスがよかったために、出久がとてもいつにも増して可愛く見えるのである。
スカートのせいで歩きづらそうにパタパタと歩幅の少ない走り方をしているのもキュートポイントだろう。

「デデデ、デクちゃん!? どうしたの、その恰好!?」
「あ、えっとー……うん、服選びで悩んでいたらお母さんにこれを着ていきなさいって言われて着て来たんだけど……やっぱり、似合わないよね……?」

それでシュンッ……となる出久。
だが、すぐに女性陣がそれを否定した。

「なに言ってんのさ緑谷! とっても可愛いよ!」と芦戸。
「そうですわ!」と八百万。
「うんうん! とっても可愛いよ、緑谷ー!」と葉隠。
「確かにね。緑谷のお母さん、いいセンスしているじゃん」と耳郎。

と、好評だった。
男性陣もそれぞれ何かを感じていたために、

「可憐だ……」

と、飯田が呟き、

「やっぱ女子って化けるもんだよなー」

と、グヘヘと親父臭い事を言い出す峰田。

「イケてるぜ……」
「ああ。確かに……普段はヒーロースーツも相まって勇ましさのほうが際立ってるもんな」
「清楚系か……いいものだな」

と、ウケはとてもよかった。
最後にお茶子がぶつぶつとなにかを喋っている。

「飯田くんには見られちゃったけど……爆豪君や轟君がいなくてよかった……きっと大変なことになっていたと思うし……ブツブツ」
「う、麗日さん……?」
「はッ!? えっと、デクちゃん、とっても似合ってるよ!」
「ありがとう!!」

満面の笑みではにかみながらそう言ってくる出久にまた胸を打たれる一同であった。
さぁ、そして楽しい買い物の始まりだ。


 
 

 
後書き
どう書いていこうと悩んだ末のまずは服選びという蛇足感。
まぁいいよね!
次回にヴィラン側の描写も入れないと。 
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