| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百十九話

「さて…鈴の家と弾の家どっちから行こうか…」

「んゆぅ…おにーちゃん…?」

帰国二日目、俺はベッドの中で土産を渡す計画を立てていた。

暦さんの家は帰り道にあったからいいが、鈴と弾の家は少し離れている。

『取り敢えず鈴の所行ってあげなよ』

「そか、じゃぁ皆で。円香、朝ご飯食べて少ししたら…」

ずん!と腹に重みを感じたと思えば、ペチペチ体をたたかれた。

見れば橙が実体化していた。

橙が実体化してるって事は俺の猫耳は消えてるって事だ。

いや、うん…昨日は酷い目にあったからな…

ほんと、無邪気っておそろしい…

「ますたー。バカでしょ?」

「えー…円香を鈴に会わせてやりた…
ひゃにをひゅる」

鼻をつままれた。キュッて。

「ねぇますたー、本当にバカなの?」

「いやだから何がだよ。まさか鈴が俺に惚れてるとでも?
無い無い。俺は織斑一夏だけど織斑一夏じゃない。
そも始めにあった鈴の弄りだって治めたのは箒と月日だぞ?」

「…………チッ…フニャチン野郎め」

「あ"?」

「取り敢えず一人で行ってみれば?私は家に居るよ。奏は…どうせねてるからいいか…」










やって来ました中華鳳凰(フォンファン)。

要するに鈴のお父さんがやってる店だ。

まだ開店前だけど、連絡してあるので戸を開けて店に入る。

「いらっしゃい一夏」

店に入ると、カウンターに鈴がいた。

しかもなんか、話がありそうな雰囲気。

「どうした鈴?」

「ママが一夏に会いたいって言ってるんだけど」

「シャオシンさんが?」

シャオシン、というのは鈴のお母さんの名前で『小星』と書く。

鈴が大きくなったらこんな感じだろうな、といった感じの人だ。

「うん」

はて、何の用だろうか。

よもや娘についた悪い虫を、などという話ではないだろう。

「その話すぐ終わるのかな…」

「ママはすぐ終わるって言ってたわ」

「なら先に済まそう。悪い、土産は後でな」

「いいわよ別に。話があるのはママなんだし一夏が謝る事じゃないわ」

かっけぇ…鈴って俺よか男らしいわ…

つー訳で店の奥に通された。

案内された畳の居間に鈴より少し大きい人が座っていた。

「お、きたきた」

「こんにちわシャオシンさん」

一礼するとシャオシンさんが鈴に目を向けた。

「鈴音。ちょっと一夏君と二人で話したいから自分の部屋にいてちょーだい」

「わかったー」

鈴がとことこと歩いていった。

シャオシンさんに手招きされたので、卓をはさんで彼女の反対側に座る。

「こんにちわ一夏君。こうして面と向かって話すのは初めてだね」

「そうですね」

なんで呼ばれたんだろうか…?

「何故呼ばれたかって顔だね」

「ええ、まぁ」

「じゃ、本題に入っちゃおう」

シャオシンさんが此方へ掌を見せる。

「一夏君。死んでくれ」

「は?」

刹那、物凄い衝撃を感じた。

前方…つまりシャオシンさんから発生したと思われる何かに弾き飛ばされ、家の壁を突き破って外へ投げ出された。

「かっ……はっ…!?」

背中が、道を挟んだ反対側の家の塀に打ち付けられる。

急いで立ち上がり、態勢を立て直す。

「今のを耐えるかデストピアの眷属」

何故知っている…?

『どうした情けねぇな。一夏』

『おま…』

いつから起きてたんだよ…

『懐かしい気配がするぜ…ありゃシャオシンニャンニャンとかいう仙女だぜ』

『……聞いてねぇ』

小星娘々…成る程小さき星っていう名前は仙名だったのか。

彼女は奏のようにイデアレベルでの防御等はをしていない。

故に爆裂も雲散霧消もつかえるが…

鈴の母親なのだ。

殺せる訳がない。

そもそもいきなり攻撃された理由…はわかりきってるな…

さっき言ってたし。

パラパラと建材が落ちる家から、シャオシンさん…いや小星娘々が庭に出てくる。

彼女が俺に、何処かから取り出した棍を向ける。

「今までは見逃してたが…吸血鬼になったのはアウトだよ一夏君」

「けはっ…は、はは、ははは…鈴の為か?」

「ああ、私の娘の近くに、君のような化物が居るのは好ましくない」

「だったらとっととこの街から出て行けよ。
この街は死屍累生死郎のテリトリーだぞ」

「ああ、あれは目覚めていないから問題ない」

「そうかよ…」

ファランクス。

「甘い」

小星娘々の真上に展開し、振り下ろしたファランクスは、避けられた。

ドライミーティア。

この真夏だ。

エネルギーはそこらじゅうにある…二酸化炭素の…ドライアイスの弾丸が小星娘々に放り注ぐ。

「ほう?」

四方八方から、逃げ場なく放った。
しかし…

「二十四支結界」

小星娘々を中心に正二十四面体が現れ、ドライミーティアをはね除けた。

手をかざし放つ魔法はスパーク。

「スリザリン・サンダース」

「なに!?」

這い寄る雷が、障壁を貫通し、小星娘々を貫いた。

「やべぇ、殺ったか?」

『齢四桁の仙女だぞ。あれくらいで死ぬはずねぇだろうが』

煙の中から、小星娘々が投擲した棍が飛び出た。

「ダブル・バウンド!」

弾き返した棍は難なく受け止められた。

「なるほど。直接殴るしかないみたいだね」

「やめろよ。齢四桁の仙女の一撃なんて想像したくもない」

「なに、しんぱいするな。君を消し飛ばすだけに留めるさ」

なるほど…

ドライミーティア+圧切=テアリング・ティアー。

「その程度かい?」

小星娘々は力を纏った得物で、圧切を纏ったドライミーティアをことごとく弾いた。

「ははっ…マジかよ…」

マテリアル・カノンを使うか…?

質量爆散版ブリオネイクと呼べるあれならば…一撃入れる事も…

瞬間、小星娘々が此方へ駆けてくる。

否、駆けていた。

気付いた時には、棍で薙がれていた。

その勢いに逆らわず、空中へ逃げる。

『一夏。情けないじゃねぇか』

奏?

『あの時俺を倒したお前は何処へ行った?』

それは…お前が弱っていたから…

『そうかいそうかい…
あぁ、そう言えばあの時、お前は面白い事を言っていたな。
名は命なり汝名付けよさすれば命与えられん…』

それがどうした?

『だから、お前にも名前をくれてやろう』

名前…? こんな時にか?

『そうだ。お前の名は…ユートピア』

ユートピア…意味する所は理想郷。

『転生にして新生にして厭生の吸血鬼。
ユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウン』

主から与えられた名前。

その真名が魂に刻み付けられた。

それを理解した。

28の音が、力の源と化す。

「ほう? 雰囲気が変わったな。一夏君」

「いや、今の俺は一夏じゃない」

抑えていた物を全て解き放つ。

サイオンも、眼も、膂力も。

放たれた力が世界に干渉する。

紫電が、灼熱が、極寒が、暗黒が、極光が生まれる。

「俺は、転生にして新生にして厭生の吸血鬼。
ユートピア・クイーンパラドクス・グリップアンドブレイクダウンだ」

『あと、こいつも貸してやるよ』

目の前に、一本の大剣が現れる。

奏が…デストピアが持っていた剣。

万物を断つ不壊の錆びた剣。

「ああ、借りるぞ奏!」

スクレップ。

その柄を握りしめる。

「ほう?ほうほうほう?ヴェルムンドの剣か。
あれは息子が継いだと聞いていたが、なるほど。
行方不明となった後は吸血鬼が持っていたか」

なんで中国の仙女がゲルマン民謡の剣を知ってるんだ…

小星娘々が棍を構え、跳躍した。

ガキィン!と棍とスクレップがぶつかり合う。

「鈴音には悪いが、君を殺した後は記憶を操作する。
無論君と深い関わりのある者全員だ」

「断固拒否するね。そもアンタにこの世の全てのISを破壊する事ができるのか?」

空中での鍔迫り合い。

「エクスプロージョン!」

小星娘々を魔法で弾く。

「なに!?」

小星娘々が地面に叩き付けられた。

「チッ…名前を得て格が上がったか…」

『おいユートピア。どうやって決着をつける気だ?』

『そこなんだよな…。いっそ逃げるか…?』

『せっかく名前をくれてやったんだ。
逃げるなんてだせぇ事すんじゃねぇぞ』

チッ…

「それにあちらさんもそうそう帰してくれそうにない…か」

道路に叩き付けられた小星娘々が立ち上がり、棍を構えていた。

「さ、来いよ小星娘々」

小星娘々がふわりと浮いた。

「へぇ…飛べるんだ」

恐らくは気功の応用。

俺は飛行術式があるからそっち方面は試してないけど、まぁ、できなくはないだろう。

俺の真正面まで小星娘々が浮いてきた。

「なぁおい小星娘々。お前じゃ俺は殺せないぜ?」

「あぁ、そのようだ」

だから、と彼女は続けた。

「バラバラに切り刻んで封印する」

「へぇ…バラバラ…ね…」

バラバラかぁ…。

『奏、やっぱスクレップ返すわ』

『そうかよ。なら腹にでも刺せ』

腹? あぁ…そういう…

スクレップを腹に突き刺す。

背中に貫通することなく、ズブズブと沈んでいく。

グリップまで飲み込んだ。

そして、今から使う得物を呼び出す。

「宵闇」

一振りの刀…否、柄だけを量子展開する。

「切陰」

無系統魔法切陰。

サイオンブレードによって霊体のみを切る魔法。

「では…行くぞ小星娘々!」

「こちらもな!」

俺が小星娘々へ向け突き進み、彼女もこちらへ向かってくる。

放つは互いに突きだ。

やがて相対距離がゼロになり…

小星娘々の棍が俺の心臓を貫いた。

喉の奥から、血が溢れる。

だが、この勝負、俺の勝ちだ。

「な!?抜けないだと…!?」

心臓を突き破った棍、さらにはそれを握る小星娘々を硬化魔法で相対位置を固定し、とらえる。

「おれ…の…勝ち…だぜ…」

セルフマリオネットで体を動かし、切陰で小星娘々の四肢を斬りつける。

「う、動けない!?」

「トドメ…だ」

左手で、小星娘々の顔を掴む。

「ゲートキーパー」

小星娘々の意識と無意識の境界。

『ゲート』

其所へ術式をかける。

「これ…で…アンタは…封印術を使えねぇ…
俺の……勝ちだ…」

高度を落とし着地する。

小星娘々の硬化魔法を解き塀に上半身を預けるようにすわらせ、棍を引き抜く。

「再生」

肉がふさがり、血が止まる。

「……ころさないのかい?」

小星娘々が言った。

「アンタを殺したら鈴が悲しむ。だから殺さない。
まぁ、普通に人間として…そうだな。
『"縛りプレー"でこの世を生きろ』ってね」

さてと、後は…

鈴の家を直しておこう。

穴が開いた壁を再生しようと目を向けると…

「ねぇ一夏、ママ。何してたのか一から十まで全部はなして」

ものっそいいい笑顔(例のごとく目が笑ってない)の鈴がいた。

「おいクソババァ。なんか術で誤魔化してなかったのかよ」

「君が空間制圧術式で全部パァにしたじゃないかユートピア」
 
 

 
後書き
織斑家に束の部屋はちゃんとあります。
なお『今朝』というか『昨晩』は束が「せっかくだし二人で寝なよ」的な事を言ってます。
箒は家(神社)に帰りました。
どうでもいいですけど、一夏達って週一でヤってたけど今って二週間以上ご無沙汰なんですよねぇ…(予告)。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧