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イクナートン

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第二章

「余が新たにだ」
「新たに?」
「新たにというと」
「余が考えだした神だ」
 それがアトン=ラーだというのだ。
「そしてこれからはだ」
「その神をですか」
「アトン=ラーをですか」
「信じよというのですか」
「その神のみを」
「そうだ、わかったな」
 まさにとだ、ファラオは神官達に告げた。
「他の神々の神殿は壊す様にな」
「は、はい」
「ではその様に」
 政も行い国のかなりの部分を動かしている神官達はファラオのあまりもの、誰もが考えたことのない政に唖然として止めることは出来なかった。それでだった。
 ファラオの政は実行に移されていった、それでもだった。
 国の誰もが戸惑っていた、突然の遷都に信仰の否定に神殿の破壊にだ。これはどういったことかと思った。
 そしてだ、そのアトン=ラーの絵姿を見てさらに思うのだった。
「太陽から多くの光を発しているが」
「人の身体をしていないぞ」
「頭もない」
 エジプトの神々の頭は様々だ、人の頭の神も多いが猫やジャッカルや鴇とその力によって様々なのだ。
 だがそのアトン=ラーには頭がない、身体もだ。ただ太陽が光を発しているだけだ。
 エジプトにこれまでその様な姿をした神はいなかった、それで神官達はおろか軍人や民衆達も唖然となってしまった。
「この神を信じろというのか」
「この神だけを」
「訳がわからない」
「何がどうなっているのか」
「ファラオはご正気か」
「大丈夫なのか」
 このことすらわからなくなっていた、誰もがファラオの考えていることがわからなくなりいぶかしんだ。
 しかしファラオは玉座から言うのだった。
「余はこのまま治めていく」
「はい、新しい都は出来ました」
「アケトアトンは」
「アトン=ラーの都ですね」
「その都が出来ました」
「そこに移る、そこにはアトン=ラーの神殿のみがありだ」
 彼が考えだしたその神のだ。
「余の言葉通りに動くのだ。
「アトン=ラーの御子であるファラオの」
「そのお言葉をですね」
「そうするのだ」
 こう言って彼の政を進めていった、しかしエジプトの誰もが彼の政に正気をとても感じられずファラオはどうなったのかと考えだした。 
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