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第68話 第6次イゼルローン攻略戦 5


第6次イゼルローン攻略戦 最終話です
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第68話 第6次イゼルローン攻略戦 5

宇宙暦794年12月3日

■イゼルローン要塞

コーネフ大将の我欲で作戦を決行した同盟艦隊は、D線上のワルツを始め帝国軍の突出を誘うようにトールハンマーの射程圏ギリギリを行き来している。作戦自体はそれほど悪くないが、既に敵に知られたうえに対策を立てられた作戦なために決定打に欠けていた事は確かで有った。

ミサイル艦部隊は当初の計画のまま第9艦隊第4分艦隊が充てられ、密かに航行不能宙域ギリギリを通過して要塞側面へと向かっている。この部隊は敵に撃破される事を元から想定している艦隊の為、重装甲の戦艦を多く入れ、敵襲に堪えられるようにしていた。

作戦自体が前回の焼き直しで有るが、コーネフ大将の意趣返しで、ミサイル艦部隊を突破した敵艦隊に痛撃される可能性のある尤も危険な場所に第7艦隊が配置され、特に最初に撃破されかねない最左翼に第7艦隊司令部部隊が配置されている、又右翼には第9艦隊が配属されていた。

又前回ウランフ達が隠れて帝国艦隊に攻撃を仕掛けたサルガッソスペースの窪みには、第8艦隊6,000隻が隠れて、一番美味しい所を得る様に待機している。総司令部は中央部後方に第8艦隊第3分艦隊を指揮下に置き待機しているのである。


開戦時各艦隊位置
   |                             |                
   |          ーーーーーーーーーー         |
   |         |■ミューゼル    |        |
   |        |   □レンネンカンプ  |      |
   |       |                |    |
   |      |                  |   |
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 サ |     |                     |  | サ  
 ル |     |                      |  | ル
 ガ |     |                    |  | ガ       
 ッ |      |   イゼルローン要塞      |  | ッ
 ソ |       |                |    | ソ
 ス |        |              |     | ス
 ペ |         |            |      | ペ
 | |          ーーーーーーーーーー       | |
 ス  |        ◎メルカッツ     ▼ゼークト  | ス
     |                            |  
ーーーー| |                          |
|窪み  | |◇9−4                     |
|▽8−2 | | △7−1               ◇9−3|
| ▽8−1 ー    △7−3          ◇9−1   |
ーー|           △7−5      ◇9−2     |
   |            △7−2 △7−4       |
    |                           |
     |                          | 
      |             ▽8−3        |
       |            ☆総司令部       |




帝国暦485年12月3日

■イゼルローン要塞

銀河帝国軍は同盟軍の戦法が第5次イゼルローン要塞攻略戦の単なる焼き直しに過ぎない事を確認すると早速攻撃艦隊が出撃を開始した。今回はラインハルト率いる3,100隻が要塞後方から出撃し、ミサイル艦部隊(第9艦隊第4分艦隊)を攻撃後、通常であれば第7艦隊司令部艦隊を攻撃するはずが、それを行うと第8艦隊に後方を取られ攻撃されるために、そのまま天底方向へ移動を行いながら、第9艦隊第3分艦隊を攻撃する航路を取る予定である。

又レンネンカンプ率いる6,000隻の艦隊は、ミューゼル艦隊に続行せず、要塞の流体金属内を航行しミューゼル艦隊とは反対方向から第9艦隊第3分艦隊に攻撃を仕掛ける事に成って居る。その間にメルカッツ、ゼークト両艦隊は第7,第9艦隊を吸引する事に成っていた。


宇宙暦794年 帝国暦485年12月3日 午後7時

■イゼルローン回廊

「ファイヤー」
「ファイエル」
同盟軍、帝国軍の司令官からの命令で砲撃戦が始まる。
あっという間に数万のビームが流れまくり爆炎が彼方此方で発生する。

その攻撃と共に囮に近い状態の第9艦隊第4分艦隊は航行不能宙域ギリギリを恐る恐る侵攻していくが、シュトックハウゼン要塞司令官が注意深く全周観測を行わせているために、最初から侵攻自体が要塞の知るところと成っているが、メルカッツ提督の考えで敢えて見逃して居るのである。

要塞内では、シュトックハウゼンとオペレーター達の話が行われていた。
「叛乱軍、航行不能宙域ギリギリを侵攻しています」
「見つけたか、観測を密にし要塞攻撃範囲に達する寸前まで引き込む」
「はっ」

「ミューゼル提督、レンネンカンプ提督にも逐次報告を行え」
「はっ」



ミューゼル艦隊旗艦タンホイザーでは、ラインハルトとキスヒアイスが話していた。
「キルヒイアイス、又ぞろ同盟いや叛徒共が馬鹿の一つ覚えのように、こそこそ動いて居るぞ」
「はい、ラインハルト様」

「シュトックハウゼンからの連絡も入っているな、役立たずには連絡ぐらいはして貰わないとな」
「ラインハルト様、お声が大きすぎます」
「判っている、キルヒアイス遮音力場で聞こえないから言っているだけだ」

「はぁ」
「それより、叛徒共は馬鹿揃いか?同じ手を又使ってくるとは、この俺がイゼルローン居たことが、奴等の命取りと成る!」
「2度目と成りますと、他の提督方もお分かりに成ると」

「フン!ミュッケンベルガーの阿呆なら気づかなかっただろうな、その点メルカッツは良く気がついているさ、ただし奴には威厳が足らない。宇宙艦隊司令長官としては俺の方が相応しいがな」
「ラインハルト様」

「判ってるさ、取りあえずこの戦闘でも勝って、次は中将だ!此で1万隻前後の艦隊を持つ事が出来るから楽しみだ」

ケスラー、ルッツ、シュタインメッツ艦隊にはメルカッツ提督の命じた作戦に対しての話し合いをせよとの言葉もラインハルトには無視され。只単に“我が艦隊の命令に従い敵に突撃せよ、その後の作戦は逐次命令する”と通信があっただけであった。




同盟軍では艦隊旗艦ナバテアでコーネフ大将がまるで熱病にでも冒されたように、勝利を求めて叫んでいた。
「敵の突出を誘い、集中攻撃せよ!第7、第9艦隊は磨り潰されても要塞さえ落とせばいい!!」
その姿をオペレータ達は蔑んだ目で見ていたのである。


第7、第9艦隊はメルカッツ、ゼークト両艦隊との長距離砲撃戦を行いつつある。その中で最悪の場合はコーネフの指揮官剥奪までホーウッド、アル・サレム、ホーランドの三者で話し合われていたのであるが、ホーランド大佐自体がコーネフから疎まれてミサイル艦部隊へ送られたために指揮官剥奪が早急に出来ない状態になっていた。


宇宙暦794年 帝国暦485年12月4日 午後2時

■イゼルローン回廊



ミサイル艦攻撃時各艦隊位置
   |                    □レンネンカンプ |                        
                       
   |          ーーーーーーーーーー         |
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   |        |              |     |
   |■ミューゼル|                |    |
   |      |                  |   |
   |     |                    |  |
 サ |◇9−4|                     |  | サ  
 ル |     |                     |  | ル
 ガ |     |                    |  | ガ       
 ッ |      |   イゼルローン要塞     |   | ッ
 ソ |       |                |    | ソ
 ス |        |              |     | ス
 ペ |         |            |      | ペ
 | |          ーーーーーーーーーー       | |
 ス  |        ◎メルカッツ     ▼ゼークト   | ス
     |                            |  
ーーーー| |                          |
|窪み  | |                         |
|▽8−2 | | △7−1               ◇9−3|
| ▽8−1 ー    △7−3          ◇9−1   |
ーー|           △7−5      ◇9−2     |
   |            △7−2 △7−4       |
    |                           |
     |                          | 
      |             ▽8−3        |
       |            ☆総司令部       |



同盟軍第9艦隊第4分艦隊がミサイル艦を引き連れ所定位置に到着する寸前、天頂方向からラインハルト率いる3100隻の艦隊が奇襲攻撃を仕掛けてきた。第9艦隊第4分艦隊は銀河基準面の攻撃を予測していたために、艦の上方からの攻撃に直ぐさま対処出来ずに被害を増大させていく。

同盟軍総旗艦ナバデアではコーネフ提督がオペレータの声を聞いたあと、ほくそ笑んで命令を出した。
「ミサイル艦部隊が攻撃を受けました。敵艦総数凡そ3000!」
「よし、予想通りだ!敵が第7艦隊を突破したら、第8艦隊に後方から追撃させ包囲殲滅する!」

「ミサイル艦部隊、攻撃されて混乱しています」
「役立たずが!少しは防戦できんんか!」
「予想と違い敵艦隊が天頂方向から襲来したため、主砲を向ける事が出来なかった模様」

コーネフががなり立てている間に、ラインハルト艦隊はミサイル艦部隊を撃滅し天底方向へと待避し始めた様に見えた。

「敵艦、第7艦隊へ向かわずに天底方向へ待避」
「臆病風に吹かれたか、仕方ない第8には今暫く待機を命じろ」
「はっ」

しかしコーネフの予想とは裏腹にラインハルトの艦隊はミサイル艦部隊撃破後に天底方向へと移動し第7艦隊には攻撃をかけなかったが、急進撃の後第9艦隊に攻撃を仕掛けてきたのである。更に後方からは6000隻の艦隊が追従してきたのである。

「敵艦隊、第9艦隊に攻撃をかけます!」
「なんだと、そんな非常識な!そんなはずはない!!」
「事実です!その目を開いてよく見てください!」

遂に切れたオペレーターが大声で叫ぶ。
「貴様上官に向かってその態度は何だ!!」
コーネフが怒ろうと艦橋での味方は殆ど居ない状態になっていた。

攻撃を受けた第9艦隊はラインハルト、ケスラー、シュタインメッツ、ルッツ、レンネンカンプ、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ビッテンフェルトといった、稀代の名将達の攻撃で一瞬にして大損害を発生させられていた。

第3分艦隊旗艦カルターゴーが一瞬で消滅し、旗艦パラミデュースも被弾し艦橋内の通信ワイヤーが切断され暴れまくり、アル・サレム中将をなぎ払いすっ飛ばしたのである。その為アル・サレム中将は肋骨骨折の重傷を負い血を吐きながら副官に呟いた。

「閣下!アル・サレム提督」
「副司令官モートン少将に連絡、指揮権を委ねる。うう」



同盟軍総旗艦ナバデアには各艦隊の損害が次々に入電してきている。

「第9艦隊第3分艦隊旗艦カルターゴー撃沈!ライオネル少将戦死!」
「第9艦隊旗艦パラミデュース被弾!アル・サレム中将重傷!」
「第9艦隊はモートン少将が指揮を引き継いだもよう」

そんな中、コーネフは顔面蒼白になりながら独り言を呟くだけであった。
「馬鹿な、そんな馬鹿な、有りえん事だ!こんな無茶苦茶な戦法有りえん!!」
そんな時にも帝国軍の攻撃は激しさを増していく。

「帝国軍本隊進撃を開始!」
「第7艦隊司令官ホーウッド中将より入電、“第7艦隊が殿を勤めるので艦隊を直ぐさま後退させてくれ”との事です」

「いかん!撤退など出来ん!」
「閣下!!」
「此処で引くわけには、いかんのだ!」

コーネフが世迷い言を言って居る間にラインハルト艦隊は第9艦隊を突破し司令部へと急襲してきた。
「閣下、敵艦隊が急撃してきます!!」
「なに!!」

コーネフは、総司令部護衛の第8艦隊第3分艦隊攻撃を受け始めると、前言を翻したように叫び始めた。
「総司令部艦隊は直ぐさま転進せよ!目標ティアマト星系!!他の艦隊は現状位置を死守せよ。此は総司令官命令である!」

旗艦を含む100隻程度の艦隊が脱兎の如く逃げ出したとの連絡を受けたホーウッド中将は直ぐさま残存艦隊の指揮を取ると宣言した。

「全艦隊に次ぐ、小官はホーウッド中将である、総司令官代理コーネフ大将は敵前逃亡した!此は由々しき事態である。此より全艦隊を小官が指揮する。此はシトレ、ロボス両元帥より許可済みである。第7艦隊が殿を勤める!各艦隊は命令系統の再編成をしつつイゼルローン回廊より後退せよ!」

ホーウッド中将の言葉に、混乱しつつあった同盟艦隊に秩序だった命令系統が再編され、各個撃破しながら順次後退を始めていく。

ホーランド大佐は生き残りの第9艦隊第4分艦隊を纏め上げながら、的確なポイントに攻撃を行い追撃してくるフォーゲル少将やエルラッハ准将の艦隊をあしらっていく。
「いいか、ピンポイントで攻撃を集中させろ!敵の突出部を潰していけばいい!」

モートン少将は第9艦隊の残存艦隊を纏め上げながら、レンネンカンプ少将率いる6000隻の艦隊と互角に勝負しながら撤退戦を行っている。
「攻撃を集中して、敵艦隊が打ち込もうとするくさびの先端を挫け!」

第7艦隊はホーウッド中将以下の指揮の下、ほぼ同数であるメルカッツ、ゼークト両艦隊の攻撃を受けつつも見事な撤退戦を行っていく。見事にトールハンマーの射程外に陣取りながらの攻撃であったため、未だトールハンマーを受けて居ないのも上手く働いている。

ラインハルトの艦隊が第7艦隊を背後から前方へ抜けながら攻撃の素振りを見せた時、第8艦隊が待機位置から出撃して威嚇を開始した。アップルトンはヴァンフリートで自分だけ昇進出来なかったという焦りから今回の作戦を強行したが、この体たらくにやっと過ちに気づき味方艦隊の脱出援護するために側方攻撃を開始したのである。この攻撃でラインハルト側は損害を考えて敢えて窮鼠猫を噛む状態の敵を攻撃するより、逃げる敵を追撃しようとしたのである。



決戦時各艦隊位置
   |                             |                        
                       
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 サ |    |                     |  | サ  
 ル |     |                     |  | ル
 ガ |     |                    |  | ガ       
 ッ |◇9−4×|   イゼルローン要塞     |   | ッ
 ソ |       |                |    | ソ
 ス |        |              |     | ス
 ペ |         |            |      | ペ
 | |          ーーーーーーーーーー         | |
 ス  |                            | ス
     |                           |  
ーーーー| |     ◎メルカッツ    ▼ゼークト      |
|窪み  | |                    □レンネンカンプ|
|▽8−2 | | △7−1              ◇9−3×|
| ▽8−1 ー    △7−3          ◇9−1×  |
ーー|           △7−5      ◇9−2     |
   |            △7−2 △7−4       |
    |                           |
     |                   ■ミューゼル | 
      |                 ▽8−3×   |
       |                       |

                   ☆総司令部↓逃亡


宇宙暦794年 帝国暦485年12月5日 午後5時

■イゼルローン回廊

イゼルローン回廊を同盟艦隊が第7艦隊を殿に敗残の列を作り、帝国軍の追撃を受けながら順次後退していく。第7艦隊も第8艦隊も第9艦隊も反撃を行いつつの後退であるが、総司令部は既に逃げ去った状態のまま移動であった。

その頃、イゼルローン回廊を抜け敵前逃亡を行ったコーネフの艦隊に近づく艦隊があった。
「閣下、味方の艦隊が来援しました」
「なに。何処の艦隊だ?」
「第11艦隊です」

「そうか、パトロール中のリンチ提督の艦隊だな。直ぐさま回線を繋げ」
「はぁ」
コーネフは司令官命令でリンチ中将の第11艦隊を増援として使い帝国軍に一矢報いる気であった。

「リンチ提督お出になります」
『コーネフ提督、どうされましたか?』
「リンチ中将、総司令官命令だ、貴艦隊は小官の指揮下に入りイゼルローン要塞攻略戦に従事せよ」

コーネフの命令を聞いたリンチ中将が困ったような顔をする。
『困りましたな、当艦隊は同盟領の哨戒活動中です。作戦行動を放置するわけにはいかんのですよ』
「哨戒活動など辺境警備艦隊に任せれば良い。此は命令だ!」

次第に温厚なリンチ中将の声が冷淡に変わるのがオペレーター達には判るが、焦っているコーネルには判らない。
『命令、命令ですか、その命令を出す根拠を示して頂きたいですな』
「何だと!小官は宇宙艦隊総司令官代理だ、その命令は絶対である!!」

『ふむ、小官の所に先ほど、国防委員長、統合作戦本部長、宇宙艦隊司令長官、お三方の命令でコーネフ中将を収監せよとの命令文が届いております』
「何だと!!」

『従って、小官は貴官に命令される謂われはないわけです。コーネフ中将、貴官を収監します』
「そんな馬鹿な!俺が何をしたと言うんだ!」
哀れなとリンチはコーネフを見ながら罪状を上げる。

『敵前逃亡罪、此だけで充分でしょう』
「逃げてなど居ない、転進しただけだ!」
『ご託は軍法会議で並べてください。艦長コーネフ中将を収監せよ』

リンチの言葉に反応してナバデア艦長以下数人がコーネフに近づき素早くブラスターを取り上げ、手錠をかける。
「離せ!」
『艦長、コーネフ中将を独房へ、貴艦隊は小官の指揮下へ入れ』
「はっ」

旗艦からの通信が終わった後、リンチ提督は傍らにいた少佐に声をかけた。
「アッテンボロー少佐、こんなもんで良いかな」
「流石です、提督」
「ヤン・ウェンリー准将には負けるがね」

戯けるように片目を瞑って苦笑いするリンチ中将の姿に艦橋では笑いが起こった。一通り笑い終わった後、リンチ提督が真剣な表情で命令を下す。
「各艦隊、イゼルローン要塞から帰投する味方艦隊の援護を行う、回廊出口にドーナッツ状に部隊を配置し追撃してくる敵をたたき返す」

「閣下、回廊内へ侵入しないのですか?」
「参謀長、下手にあの狭い回廊に入れば、後退してくる味方と鉢合わせで混乱するだけだ」
「なるほど」

「態々、ダゴンの第1、パランティアの第2、アスターテの第3辺境警備隊まで動員したんだからな。盛大にお出迎えしてやろう」
「「「「「応!」」」」」

第11艦隊の参加はシトレとリーファ達がコーネフの作戦を危ぶんだ結果、特命でリンチ司令官に命じたものであった。



宇宙暦794年 帝国暦485年12月5日 午後11時

■イゼルローン回廊同盟側出口

撤退し続けた同盟艦隊は、遂にイゼルローン回廊を抜け同盟領へ逃げ込み始めた。既にリンチ提督からの連絡で、第11艦隊と3個辺境警備隊、21,000隻が回廊出口で罠を張っているとの事で後の事を考えずに一気に同盟領へと遁走した。

帝国軍はメルカッツ提督が余りに早い遁走に違和感を覚えて追撃の速度を抑えさせたが、ゼークト提督はライバルになった、メルカッツ提督が同じ大将でありながらも次期宇宙艦隊司令長官に成る事で焦り、追撃を行っていた。

同盟軍残存艦隊追撃してきたゼークト艦隊が回廊出口を出た瞬間、ドーナツ状に展開したリンチ提督の艦隊から一斉に攻撃が行われたのである。
「良し!全艦攻撃開始!」

一瞬にして、飽和状態の攻撃に10,000隻ほどのゼークト艦隊は一方的な攻撃を受け瞬時に壊滅し、ゼークト自身も旗艦ごと消滅したのである。
この戦闘を最後に第6次イゼルローン要塞攻略戦は終了した。


同盟軍参加戦力 3万7000隻 兵員 380万6000名
喪失艦艇 1万7581隻(大破放棄艦も含む) 
戦死 ライオネル少将 112万6251名

参加艦隊

第7艦隊 15,000隻  
第8艦隊  9,000隻
第9艦隊 12,000隻

同盟軍増援艦隊 2万1000隻 兵員 225万4000名

第11艦隊 15,000隻
第1辺境艦隊 2,000隻
第2辺境艦隊 2,000隻
第3辺境艦隊 2,000隻

帝国軍参加戦力 2万7000隻 兵員 470万2500名(イゼルローン要塞在200万を含む)
喪失艦艇 1万2675隻
戦死 ゼークト大将 102万3296名(イゼルローン要塞内人員も含む)


原作の損害、同盟軍75万4900名帝国軍36万8800名で有った事を考えると、同盟軍は37万人増、帝国軍は65万人増であった。

帝国軍はイゼルローン要塞を守り抜き、内乱の危機を取りあえずは抜けきった。更に優秀な将帥の発掘にも成功したのである。メルカッツ提督は上級大将に昇進し正式に宇宙艦隊司令長官に就任して帝国軍の再建に励む事と成った。それに伴いメックリンガーが中将に昇進後正式に宇宙艦隊総参謀長に就任し、メルカッツ提督を助ける事となった。

ラインハルトも今回の功績で中将へ任官したが、人望については逆に落とすはめに成ったようである。

逆に同盟軍は折角の帝国内乱のチャンスをみすみす潰した事になり、この事が報道される事により、作戦を強行した最高評議会に対する市民の怒りが爆発し、全員が辞表を提出したのである。その後反対した4名は留任するする事となったのである。

又損耗した第7、第8、第9艦隊の再編成に必要な兵力の捻出に統合作戦本部は頭を悩ます事と成った。宇宙艦隊は暫くボロディン大将が司令長官代理となったのであるが、彼も又艦隊の再編成に頭を悩ます事に成った。
 
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