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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第二幕その二

「それが今年は定年で辞める人が多く」
「定年退職ですか」
「しかもここ最近研修や出張に出る職員が多く」
「そのこともあってですか」
「慢性的な人手不足でして」
「だからですか」
「虫の駆除まで手が回っていないのです」
 そうした事情だというのです。
「本当に例年は普通にやっていけています」
「人手が足りていますか」
「海外から来てくれている人もいますし」
 植物園の勤務にです。
「このことは大学付属の他の施設と同じです」
「動物園や水族館と同じですね」
「そうです、博物館や美術館もですね」
 他には鉄道博物館や図書館もあります、八条大学の広大な敷地の中には実に沢山の施設があるのです。
「本来は人手が足りていますが」
「植物園は今年はですか」
「そうした事情で」
「人手が足りなくて」
「はい」
 そのせいでというのです。
「虫の駆除までは人手が回っていません」
「それであの状況ですが」
「深刻な状況にまで至っていないと思いますが」
「そうですね」
 先生はチョコバーを食べつつ園長先生に応えました。
「僕もそこまではです」
「至っていないとですね」
「思います」
「そこまでは出来ています」
 人手不足の中でもです。
「ですが植物園全体として見まして」
「無視出来ないレベルですね」
「そうです」
 そうした状況だというのです。
「どうにも」
「だからですね」
「私としても何とかしていたいと思っていまして」
「それで僕の申し出にですか」
「まさに渡りに舟です」
 こう考えているというのです。
「本当に」
「そうだったのですか」
「それでなのですが」
「僕の知恵をですか」
「借りたいのですが」
「はい、それではです」
 先生は園長さんにお話しました。
「まずやはり避けるべきはです」
「農薬ですね」
「そうです、どうしても植物や人体に影響が出ます」
「そこが問題ですね」
「特に植物園は温室が多いので」
 園長さんにもこのことをお話するのでした。
「ですから」
「農薬が室内に籠りますので」
 園長さんも応えて言います。
「よくないですね」
「はい、ですから」
「それで、ですね」
「農薬は使わずに」
「他の方法でいきましょう」
「他のですね」
「今それを考えています」
 こう園長さんにお話するのでした。
「必ずいい方法がある筈ですから」
「この問題を解決するにあたっての」
「はい、ですから」
 それ故にというのです。
「今考えています」
「妙案か名案か」
「そうではないかも知れないです」
 先生は園長さんの今のお言葉には謙遜して返しました。
「ですが必ずです」
「出してくれますね」
「はい、そうします」
 こう約束するのでした。 
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