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異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!

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覚えていなかった

 大きな音を立てて扉が開かれた。
 同時に現れたのは、俺が知っている前の世界の……“魔王軍”が着てた服に似ている。
 周りに引き連れている人物は“闇ギルド”の人物らしいのが服を見てわかるが……そこで、前の世界の“魔王軍”が着てた服に似たものを着ている中年男性が、

「まさかお前までこの世界に呼ばれているとはな。私の計画をまたも邪魔してくるとはな……事前の様子みの攻撃ではやはり歯がたたなかったか」
「……」

 どうやらこの敵は俺を知っているらしい。
 だが……俺は誰だったかよく思い出せない。
 いや、こういった風体の人物が何人もいたし、とりあえずは少しでも多くの敵に専念していたがために全部を覚えていないというか……。

 ここにいる人物は俺を知っていて俺を警戒していて……どうしよう、まったく覚えていない。
 だがここでどちら様でしょうかなどと聞くのは……どうなんだ?
 俺は真剣に悩んで黙って睨み付ける……ような顔をすることにした。

 とりあえずは敵だと認識している雰囲気を醸し出して乗り切ろうという作戦だった。のだが、

「ソウタ、あの人の知り合いなの?」

 そうエイダは聞いてきた。
 俺は心の中で悲鳴をあげそうになった。
 どうしよう、今更、分かりませんという空気では……。

 などと心の中で俺が焦っているとそこで、

「……よもや、私の顔を忘れたとは言わせんぞ! このガルツ様をだ!」

 などと叫ぶ自信満々なこの人物を見て、更に俺は焦った。
 記憶にない。
 誰だこの人は。

 その焦りもあってかこたえきれずに沈黙した俺だがそこで、このガルツという人物が、

「……忘れたのか。この私を……」
「……えっと、ヒントだけでも」

 俺は恐る恐る聞いてみるとそこでわなわなと震えたガルツが、

「あのワルレーの戦いで……」
「あそこでは八回戦って司令官を逃がしたのは二回だったはずですが、どちらでしょうか」
「そんなもの知るか! お前がどれだけ戦ったかなど私が知るわけないだろう!」

 というもっともな答えが出て俺はどうしようかと俺は思ったが、

「……だが、倒すべき相手なのには変わりない。まずはお前から倒しおてやる」
「私がこの城のラスボスだ! そんな雑魚のように言うな!」
「だが、これから俺はお前を瞬殺しようと思っているんだ」
「この……化け物が。城の入り口のエントランスからやってくるのだと思って待ち構えていれば、こんな場所から……」
「……あの人間の形をした木偶の魔法道具が外から見えていたのでそれを頼りに俺は攻撃を仕掛けたのですが、罠とかではなかったと」
「……漏れ出していた? おい、お前、管理は……いや、今はそれどころではないな。……お前たち、こいつらを足止めしろ!」

 そこでラスボスと自分で名乗った男が部下に命令する。
 そして部下が呼び出したのは大量の小型の魔物だった。
 オオカミのようなそれらを見ながら俺は、

「この程度か。しかし数が多いな。これならば一気に……あ、自分でラスボスと名乗った人物が逃げていく。ここでは戦わないのか」

 俺が良かったような、正々堂々としていないその様子に嘆息する。
 おそらくはエントランスにある怪物の最終兵器を使うつもりなのだろう。
 そちらに誘導する意味もあるのかもしれないが、と俺が思っていると、

「ここはある程度お任せを。呪いが解けて我々も、久しぶりに“運動”が出来そうです」

 そう、親衛隊のウィリオが得意げに言ったのだった。
 
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