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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第十二幕その八

「特に」
「日本の考えですね」
「はい、日本ではそうですね」
「仏門にいても神職にあってもですね」
「互いを学べる国であり」
「信じることもですね」
「いいのですから」
 だからだというのです。
「それで、です」
「このこともですね」
「構いません」
 こう先生に答えるのでした。
「特に」
「そうですか」
「ですからこれからもです」
「学問に励みその中で」
「仏教も学んで下さい」
 こちらもというのです。
「是非」
「ではその様にさせて頂きます」
「そうして学問の道を歩まれて下さい、それとですが」
 空海さんはここで先生のお顔を見てです、こうも言ったのでした。
「先生は非常に素晴らしい運勢もお持ちですね」
「自分でも幸運だと思います」
 先生は空海さんに笑顔で答えました。
「動物の皆もトミーも王子もいてくれますし」
「学問に励めて友人にも恵まれていて」
「そしてお仕事もありますので」
 それで満足な生活も出来るからだというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい」
 空海さんに満面の笑顔で答えた先生でした。
「キリスト教の神様にこれ以上はない幸運を頂いていると感謝しています」
「そうですか、ただ」
「ただ?」
「先生にはそれ以上の幸運がありますね」
 こう先生に言うのでした。
「良縁があるかと」
「良縁ですか」
「拙僧はこの時代の僧侶ではないので縁がありませんでしたが」
 こう前置きしてのお話です。
「しかしです」
「それでもですか」
「そうしたことはわかりますので」
 良縁自体はというのです。
「それで見させて頂きましたが」
「僕にはですか」
「はい、良縁がありますね」
 そちらの運もというのです。
「ですからこれからのことにご期待下さい」
「まさか」
 先生はこのことについては空海さんにも笑って言うのでした。
「僕は女の人にはです」
「もてないのですか」
「そうしたことはこれまでです」 
 先生がご自身で思うにはです。
「なかったです、ですから」
「これからもですか」
「それだけはないです」
 笑ったままでの返事でした。
「本当に」
「そうですか、しかし」
「空海さんがご覧になられたところでは」
「かなりの良縁があります」
 そうだというのです。
「相に出ています」
「僕の顔の」
「そうです」
 まさにそこにというのです。
「ですから」
「是非ですか」
「このことは信じて下さい」
「では」
「これからのこともです」
 空海さんは先生にあらためてお話しました。 
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