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悪霊退散

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第一章

               悪霊退散
 神父は相談に来たその女性を見てだ、すぐに言った。
「貴女はこのままではです」
「危ないですか」
「はい、悪霊に憑かれています」
 こう言うのだった。
「私はエクソシストでもありますので」
「こうしたこともですか」
「わかります」 
 女性に対して言った。
「貴女に憑いている悪霊はALYESEといいます」
「ALYESE?」
「はい、『ありす』ともいいますが」
 神父は女性にその悪霊の名前を話した。
「人の深層心理に巣食いそこからその人の心を蝕むやがて身体を完全に乗っ取られてしまいます」「そんな恐ろしい悪霊ですか」
「すぐに何とかしないと」
 それこそというのだ。
「貴女はありすに完全にです」
「身体を乗っ取られますか」
「心を完全に破壊されたうえで」
「あの、では」
「お任せ下さい」
 神父は女性が言わんとしていることを察して答えた。
「私がすぐにありすを払います」
「そうしてくれますか」
「そのうえで貴女をお救いします」
「そうしてくれますか」
「すぐに退魔の儀式をはじめます」
 こう言ってだった、神父は女性を救う為に退魔の儀式をはじめることにした。だがその儀式の用意を見てだ。
 女性は怪訝な顔になってだ、神父に尋ねた。
「あの」
「何でしょうか」
「ありすは悪霊ですね」
「はい」
 その通りだとだ、神父は女性に答えた。
「極めて悪質な」
「それでどうしてなのでしょうか」
 神父が助手達と共に進める用意を見ながら言った。
「沢山の鼠達を用意しているのでしょうか」
「ありすを退ける為です」
 神父の返事は即座だった。
「その為です」
「それでどうして沢山の鼠を」
 見ればラットやモルモット、ハムスター達が何百匹といる。女性はその彼等を怪訝な目で見つつ神父にさらに問うた。
「用意されているのですか」
「この鼠達は知り合いのペットショップから借りたものですが」
「それはいいのですが」
「ですから悪霊退治の為です」
「ありすのですよね」
「実はありすは鼠を大の苦手としていまして」
「そうなのですか」
「そうです、何でもある日ありすに憑かれていた人が鼠を見たところ」
 それでとだ、神父は女性に話した。
「ありすは鼠に驚いて怯えその人からその場で離れたそうです」
「それでなんですね」
「はい、今もです」
 この女性に対してもというのだ。
「この鼠達で囲み」
「そうしてですか」
「ありすを追い払います」
 こう言ってだった、神父はケースに入れている鼠達を女性に周りに置いた。すると鼠達を置き終えるとすぐにだ。
 銀色の長い束ねた髪の毛に黒い目と褐色の肌を持っていて赤黒の仮面を顔の横に付けた少女が女性から飛び出てきた、身体には蝶の羽根と花の萼に似た形の目を多く伸ばしておりそこから突出しているものの中には禍々しい鎌になっているものもある。
 その異形の霊が女性から出て来てだ、神父に言った。
「糞っ、鼠か」
「如何にも」
 神父はその悪霊、ありすを見据えて答えた。 
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