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人徳?いいえモフ徳です。

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六匹め

「うにぃぃ~…」

「はぅあぁ!?」

水晶を作って疲れたシラヌイに、ルルは膝枕をしていた。

(やばい!なにこの子可愛いすぎる!)

頭をそっと撫でてやると気持ちよさそうに鳴くのだ。

「ふみゅぅ…」

「はぁ…この子大人になったら絶対女泣かせになるわね…」

いっそ唾付けとこうかしら、とルルが呟いた。

だが、その幸せな時間は長くは続かなかった。

「おい。そこのメイド」

「は、はい!」

ルルが顔をあげると、そこには小肥りの男がいた。

「だ、ダマオ様…」

その男の名前はダマオ。この国の第一王子だった。

「おい、お前。俺様の相手をしろ」

「へ?」

「聞こえなかったのか?俺とヤれ」

「えと…」

「早く来い!」

ダマオの大声で、シラヌイが眼を醒ました。

「うみゅ?」

「おい女ぁ!いいから来い!」

ダマオがルルの手を取り、無理やり引っ張った。

「ふみゅっ!?」

その勢いでシラヌイがベンチから落ちた。

「し、シラヌイ君!」

「みゅぅ…いてて…ん?ルルさんこれどんな状況?」

「えと…」

「おいガキ、俺様は今からこの女としっぽりヤッてくるんだ。お前はそこで寝てろ」

シラヌイはどういう状況か、ざっくりと理解した。

「やめろよ。ルルさんが嫌がってるだろう」

「あん?ガキぃ…俺様が誰だかわかってんのかぁ?」

「知らん。だがただひとつわかるののは、女性と無理やり行為に及ぼうとしているクズだって事だ!」

思春期の若い正義感が、シラヌイの口を動かす。

「お前がなんて知らねぇよ!でもそんな事して恥ずかしくないのかよ!
王宮に居るってんならお前は王族貴族だろうが!だったら女を無理やり抱くなんてダサい事すんじゃねぇよ!」

「ガキ…お前どうやら死にてぇらしいな…」

ダマオがルルの手を放した。

「いいぜぇ…なら決闘しようぜクソガキ!
てめえが勝てばこの女を好きにしろ!俺が勝ったらこの女を犯す!」

「わかった…負けても泣くなよクズ男」

「勝負は十分後にここだ。魔法だろうが剣だろうが持ってこい!お前に扱えるならな!」

ぎゃははははは!と笑いながらダマオは去っていった。

「面倒だな…取り敢えずシバくか…」

「あ、あのぅ…シラヌイ君?」

「どしたの?」

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

ルルと話ながら、シラヌイは勝つ方法を考えていた。

シラヌイに使えるのは初級魔法だけ。

それでいかにして勝つかを、考えていた。

「シラヌイ君…あの人が誰だかわかってる?」

「知らなくていい。シバき倒したあと本人から聞く」

(あ、これ言わない方がいいかな…)

「ルルさんは知ってるの?」

「一応知ってるけど…」

「あの人魔法使える?」

「使えない」

「はい。勝ち決定」

シラヌイは勝つ方法を決めた。















十分後

「よう!逃げずにきたなぁ動物風情が!」

庭にダマオが入ってきた。

フルプレートメイルに長剣を腰に帯びている。

「こっちのセリフだ!俺たちはずっとここにいたぜ。
ぞろぞろとお仲間を連れてきたお前と違ってな!」

ダマオは十数人の男達を連れてきた。

全員が悪どい笑みを浮かべていた。

「へへ…大勢の前でお前の首を跳ねてやる!
おい女ぁ!このガキの首の前で犯してやるからな!ぎゃははははは!」

「品のない奴だ…」

「あぁん?まだ嘗めた口がきけるようだなぁ」

ダマオが腰の剣を抜いた。

「さぁ!決闘開始だ!」

ダマオがシラヌイに突進する。

「クリエイトウィンド!エアブレイド!」

シラヌイが手を向けて放った風の刃だったが、金属鎧に傷をつける事はできなかった。

「ぎゃはは!効かねぇよバァカ!」

「哀れな…そんなものを着ていなければお前にも勝機があったと言うのに…」

ダマオが振り下ろした剣をシラヌイが避ける。

「ちぃっ!ちょこまかと!」

ガシャガシャと喧しい音をたてながら、ダマオは剣を振るが、身軽なシラヌイには一太刀も当たらない。

「クリエイトアクア!」

ダマオの頭上に大きな水球が生じる。

ばしゃ!とダマオが水浸しになる。

「殺す!絶対に殺すぞクソガキャァ!」

ダマオが叫んだのと同時。

「フェイズトランストゥソリッド!」

パキン!と鎧諸ともダマオが氷漬けになった。

「俺の勝ちだな。さ、降参しろ」

シラヌイの声にダマオがニヤァと笑った。

「殺っちまえお前らぁ!」

ダマオが連れてきた十数人が剣を抜いた。

「そうか…お前はそういう事をするのか…」

シラヌイは、使わないはずだった作戦を決行した。

「クリエイトアクア!リゾルブアクア!」

魔法で生み出した水を即座に分解する。

そして、ルルのところまで全力で走った。

「クリエイトホール!」

ルルの目の前の地面に数人が入れそうな穴を作った。

「入って口を開けて耳をふさげ!」

有無を言わせぬ命令口調にルルが従った。

「クリエイトファイア!」

シラヌイは産み出した焔をダマオ達へ投げつけ、自身もルルと同じように穴に入った。

刹那。

バッガアアアァァァァン!

城中に爆音が轟いた。
 
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