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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第35話 白熱、球技大会!忍び寄る聖剣の影!

 
前書き
 作者はスポーツに詳しくないので何かおかしな描写がありましたら是非教えてください、お願いいたします。 

 
side:小猫


 パーンと大きな音を立てて花火が上がり空に綺麗な模様を描きました。球技大会の始まりを知らせる花火を見ながら私は隣に立っていたイッセー先輩に話しかけました。


「いよいよ球技大会が始まりますね」
「そうだな、でも去年と比べると加減するのが難しそうだ。軽い動きをしても他の奴らを凌駕する動きになってしまうからな」


 先輩は超人的な身体能力を持っているので2%程の力に抑えても一般人を凌駕してしまうんですよね。でもそれは私たちも一緒で短期間で成長した代償なのか力を加減するのが難しくなってしまっていたんです。


(まあデビル大蛇やらGTロボやら全力を出しても危ない奴らを相手にしてきた反動なのか力を抑えるのが難しくなってしまっていたんですよね……)


 ただ力を振りかざしているだけじゃ意味は無いしある意味これも修行の一環だと思えばいいですね、でも一般生徒に怪我をさせるのだけは控えないといけませんね。


「先輩はクラス対抗戦の競技は何ですか?」
「2年は野球だったな、1年は確かバレーだったか?」
「はい、私たちはバレーです」
「そっか、まあ程々に力加減をしてやってくれよ。テンションが上がると無意識に力を出してしまう事があるからな」
「クスッ、もしかして体験談ですか?」
「恥ずかしながらそうなんだ、まあ小猫ちゃんなら大丈夫か」


 駒王学園は学年ごとに5クラスに分けられています、クラス対抗戦は同じ学年と一試合ずつして勝ち数が多いクラスが優勝になります。私はイッセー先輩と別れた後に体育館に向かいクラスの皆と合流しました。


「あ、塔城さん。丁度良かった、もうすぐ試合が始まっちゃうから呼びに行こうと思ってたんだー」
「そうでしたか、心配かけて申し訳ございません」
「そんな、気にしなくていいよー。だって大好きな兵藤先輩とお話ししていたんでしょ?とっても楽しそうだったもん」
「見ていたんですか……あの、このことはあまり他の人には……」
「言わないよー、二人が恋人同士なのは秘密だもんね」


 私に声をかけてきたのはクラスでも比較的仲のいい友人でした。彼女は私とイッセー先輩が付き合っていることを知る数少ない人物です、最初は驚いていましたが直に祝福してくれました。流石にアーシアさんや朱乃先輩もイッセー先輩と関係を持っているとは言えませんので彼女は私だけがイッセー先輩の恋人だと思っています、まあ普通はそうなんですけどね。


 暫くしてクラス対抗戦が始まりまずは私のクラスじゃない他の2クラスが試合を行っていました。クラス対抗戦は全員が絶対に一回は試合に出る決まりになっているのでチームはバラバラに決められており私は2試合出ることになっています。ようやく私の出番が来たので試合に出たんですが……


「えい」


 宙に上がったボールを軽く叩くとまるで全力のスマッシュを放ったかのような速度でボールが体育館の床に当たりました。思っていた以上に自分の身体能力が上がっていることに気が付きどうしようかなって思いました。


「塔城さん、かっこいいー!!」
「まるでプロみたい!」


 幸いにも周りの皆さんに咎められたりしないのですが正直試合にならないですね。


(まさかここまで力が上がっていたなんて思ってもいませんでした。普段全力ばかり出していると気が付きにくいものですね)


 イッセー先輩が控えるようにしろと言っていた意味がようやく分かりました、この分だと他の皆さんも苦労していそうです。
 私が出場した2試合は全部勝利しましたが結果的には4位でクラス対抗戦は終わりました。どうして4位なのかというと、私が出なかった3試合で私のクラスがすべて負けてしまったからです。男子生徒が私にいい所を見せようとしたのか自分勝手なプレーが多かったのが敗因でした、もうちょっと頑張ってほしかったですね。


「まったく、男子ったら塔城さんにアピールしようとして結果的に負ける要因になっているんだから困ったものよね」
「私としては普通にプレイしてほしかったんですけどね」
「まあ塔城さんにはもう兵藤先輩がいるからご愁傷様なんだけどね」
「えへへ……」

 もういっその事私とイッセー先輩が付き合っていることを大々的に発表したほうがいいんでしょうか?他の男子生徒さんが私に好意を寄せてくれるのは有り難いんですが私にはイッセー先輩がいます。でもそのせいでイッセー先輩にヘイトが溜まってしまうのは嫌なんですよね、好きな人の悪口を聞くのはやっぱり嫌ですから。


「あ、そろそろ男女別競技が始まっちゃうね。急いで着替えてテニスコートに向かおうか」
「了解です」


 次の男女別競技は男子と女子に分かれて全学年交えて行います。女子はテニスでルールとしてはクラスで一人代表者を決めてトーナメント方式で行われていきます、全学年なので2年のアーシアさんや3年のリアス部長や朱乃先輩とも試合をする可能性があるという事です。15人いるので1人は抽選で選ばれると一回戦をパスすることが出来ます、選ばれたらラッキーですね。


 テニスウェア姿になった私は友人と一緒にテニスコートに向かいました、すると先に来ていたのか同じくテニスウェア姿になったアーシアさんが私を見つけて駆け寄ってきました。


「小猫ちゃん、テニスウェア姿とってもお似合いですよ」
「ありがとうございます、アーシアさんも似合ってますよ」


 アーシアさんが私のテニスウェア姿を褒めてくださったので私もアーシアさんのテニスウェア姿を褒め返しました。実際に金髪が良く合っているんですよね。


「塔城さん、私は向こうに行っているね」
「あ、はい。分かりました」


 友人はそう言うと違うクラスの知り合いの元に向かいました、きっとアーシアさんと話す時間を作ってくれたんですね。後でお礼を言っておかないといけませんね。


「今の方はお友達ですか?」
「はい、私の友人です」
「そうでしたか。もしかして私、邪魔をしちゃいましたか?」
「いえ、彼女は気を使ってくれただけです。アーシアさんは気にしないでください」
「それなら後でお礼を言っておかないと……それで小猫ちゃん、クラス対抗戦はどうでしたか?」
「私が出た試合は全部勝ちましたがそれ以外では負けてしまったので4位でした、アーシアさんはどうでしたか?」
「私のクラスは優勝しましたよ。私、なんとホームランを打っちゃったんですよ!」
「それは凄いです」



 アーシアさんは野球でホームランを打ったことを嬉しそうに話していました。アーシアさんは普段戦ったりはしないですがグルメ界の厳しい環境を乗り越えてきたからか一般人より身体能力が上がっているんですよね。


「イッセー先輩はどのポジションにいたんですか?」
「イッセーさんはキャッチャーをしていました。ボールを受け止めるイッセーさん、すっごくかっこよかったです!」


 イッセー先輩はキャッチャーをしていたんですか、確かに外野を守ったらどんな球でも取ってしまいそうですしピッチャーをしたら誰も打てないしキャッチすらできないですよね。それにしてもイッセー先輩のキャッチャー姿……是非とも見てみたかったです。


「小猫、アーシア。二人で何を話しているのかしら?」
「部長さん、朱乃さん!お二人ともテニスウェア姿とってもよく似合っています!」


 私たちに声をかけてきたのはリアス部長と朱乃先輩でした。二人とも抜群のスタイルを持っているのでテニスウェア姿がとてもよく似合っています。ミニのスカートから覗く太ももなんて色気があるくらいです。


「うぅ……二人を見ていると自分の貧相な体が嫌になってきます……」
「小猫、イッセーは別にスタイルの良さなんて気にしていないでしょ?」
「それでも朱乃先輩に抱き着かれている時のイッセー先輩は嬉しそうです、やっぱりおっぱいが大きい方が先輩もイイに決まっています」
「うーん、それならイッセーに大きくしてもらったらどうかしら?」
「えっ?」


 リアス部長の言葉に私は大きく食いつきました、イッセー先輩におっぱいを大きくしてもらうとはどういう事でしょうか?


「確か好きな異性に揉んでもらうと胸が大きくなると聞いた事があるわ、あなたにはイッセーがいるんだから彼に揉んでもらったらいいんじゃないのかしら」
「イッセー先輩に……」


 ……イイ、すっごくイイです!イッセー先輩におっぱいを触ってもらえる上に大きくなるなんてまさに一石二鳥って奴ですね。


「分かりました、今夜あたりにでもイッセー先輩にお願いしてみます。リアス部長、貴重なアドバイスをしていただきありがとうございます」
「え、ええ……納得してくれて良かったわ……(もしかしたらマズイ事を言ってしまったかしら?まあ、イッセーに迷惑をかけてしまうことになってしまうけど彼女の悩みを彼氏が解決してあげるのなんて当たり前よね。うん、私は悪くない)」


 ふふっ、今夜イッセー先輩のお部屋に行ってお願いしちゃいましょう。もしかしたらそのままいい雰囲気になっておっぱいをもんでもらう以上の事まで……!?


「えへ、えへへ……」
「こ、小猫ちゃん?」


 アーシアさんが心配そうに声をかけてきます、でも今の私にはまったく聞こえませんでした。


「幸せそうで何よりだわ」
「あら、もしかしてリアスも羨ましいのかしら?想い人、いまだに見つかっていませんですものね」
「ええそうよ!羨ましいわよ!あなたたちの惚け話を聞くたびに羨ましくてしょうがないのよ!」


 部長がなにか怒っているように叫んでいますが何か嫌な事でもあったのでしょうか?


 その後テニスの試合が始まり私はクラス代表として出場しました。一回戦、二回戦を軽々と突破した私は準決勝でアーシアさんと対決することになりました。アーシアさんはかなり粘ってきましたが最後は私が得点を入れて勝利することが出来ました。そして決勝は生徒会長を打ち破ったリアス部長と行う事になりました。


「ふふ、やっぱりあなたが決勝まで勝ち上がってきたのね、小猫」
「部長、手加減は出来ませんよ?」
「あら、強気な発言ね。でも私もそう簡単には負けるつもりはないわよ」


 決勝戦が始まりまず私が先攻のサーブを打ちました、部長は軽やかな動きでそれを返しますが私も負けじと打ち返します。


「塔城さーん、頑張れー!!」
「キャー!リアスお姉様ー!!」


 外野の女子生徒たちが私たちを応援してくれています、友人からの支援を受けて私はテンションが高ぶってきました。


「やるじゃない、小猫!」
「部長こそ流石です!」


 主として仕えているリアス部長ですが、今この時は一人の女として対等に戦っています。お互いにテンションが上がっているためか、普段は言わないようなかる口まで言い合うほど白熱しています。


「私の波動球は百八式まであります!」
「どんな球だろうと私のリアスゾーンで打ち返してあげるわ!」


 先輩の家で読んだスポコン漫画のようなセリフを言い合いながら私と部長のラリー合戦は続いていきました、最終的には私の放ったスマッシュが部長のラケットを粉砕して私が優勝をすることが出来ました。








「えへへ、お昼ご飯が美味しいです♪」


 男女別競技も終わり、今は昼食の時間になりました。イッセー先輩と祐斗先輩と合流した私たちは旧校舎前の一角にビニールシートを敷いてイッセー先輩が作ってくれたお弁当を食べています。


「先輩、私リアス部長に勝ったんですよ。その時の姿を先輩に見てほしかったです」
「そりゃ凄いな、俺のクラスも優勝できたけど小猫ちゃんほど活躍はできてないからな」
「そうなんですか?」
「はい、イッセーさんは野球ではバントしたりしてなるべく打たないようにしていました」
「男女別競技のバスケでもパスに徹していたからね、まあイッセー君の相手が出来るのが僕しかいないから仕方ないんだけどね」


 アーシアさんと祐斗先輩の説明を聞いてなるほどと思いました。去年はまだグルメ細胞が進化していなかったから何とかなったそうですが、前にジュエルミートを食べて細胞が進化した結果余計に加減しにくくなっていたんですね。


「あの~、本当に私たちもご一緒してもよろしかったんですか?」
「あら、もしかして嫌だったかしら?」
「いえそんなことはないです!唯場違いなんじゃないかなって思いまして……」


 端っこの方に座っている桐生先輩が緊張した様子で場違いなんじゃないかと言い、松田先輩と元浜先輩もその言葉に頷いていました。何故この人達がいるのかというとイッセー先輩とアーシアさんが連れてきたからです、お昼を一緒にしないかと誘ったみたいですがまさか私たちオカルト研究部も一緒だとは思っていなかったようで石のように固くなっていました。


「なんだ、松田と元浜、やけに大人しいじゃねえか?リアスさんや朱乃さんと一緒にメシを食えているんだぞ。嬉しくねえのかよ?」
「いや嬉しいに決まってんだろ!でもやっぱ緊張しちまうというか……」
「前までの自分たちの行ってきた行動を顧みると恥ずかしくなってな……」


 なるほど、松田先輩と元浜先輩は以前は覗きの常習犯でした。そんな彼らが最近は大人しくなったとはいえいざ女の子を前にすると恥ずかしく感じるのは当たり前ですよね。


「松田君と元浜君、そこまでかしこまらなくてもいいわよ?確かに以前のあなたたちが問題児だったのは確かだけど今は反省しているのでしょう?イッセーから聞いたけど奉仕活動を率先してやっているらしいじゃない、私はそうやって反省して自分を直そうとしている人を凄いと思うわ。だからそんなに気にしないで頂戴」
「グ、グレモリー先輩……」
「何て優しい人なんだ……」


 リアス部長の言葉を聞いて松田先輩と元浜先輩は泣き出してしまいました、女の子に優しい言葉をかけてもらったのが嬉しかったようです。


「桐生さんもそんなかしこまらないで自然体で接して頂戴」
「あはは、分かりました。でもグレモリー先輩たちって案外気さくな方々だったんですね、私、もっとお堅い人たちかと思っていましたよ」
「そんなことねえよ、リアスさんなんか自分の好物が出るとつまみ食いしてるからな」
「ちょ、ちょっとイッセー!」


 イッセー先輩につまみ食いをすることをバラされてしまった部長が顔を赤くしてそれを否定していた。


「何か以外ね、話してみるとオカルト研究部の皆さんって面白い人たちばかりなのね」
「だろう?周囲の連中が騒ぎ立てているが実際は普通の人たちだ。朱乃さんはSっけが凄いと見せかけて隠れMだし祐斗は意外とエロい話に食いついてくるし小猫ちゃんは一人でいるとふにゃ~って気の抜けた欠伸をしているんだぜ」
「あ、あらあら……バレてしまっていたのですね、これはイッセー君に責任を取ってもらわないと……」
「イッセー君、それは誤解だよ。僕は唯普通の高校生ならそういう話もするかなって思っているだけで本当はエッチなことに興味なんてないんだよ?……聞いてるかい?」
「先輩!私たちの恥ずかしい事をバラさないでくださいよ!」


 オカルト研究部の全員の秘密をバラされてしまいました。朱乃先輩は動揺しながらも顔を赤くしてイッセー先輩を熱い眼差しで見ているし祐斗先輩は早口になって否定しだしました。私も顔を赤くして先輩の頬を引っ張りました。


「ほねほひゃん、わるふぁったふぇば。あやふぁるかあてをはなふぃてふれ」
「駄目です!先輩には罰を与えます!」


 ふにょんふにょんと先輩の頬を引っ張って変な顔にします、それに部長や朱乃先輩、祐斗先輩も混じって全員でイッセー先輩の顔をイジりました。桐生先輩たちはそんな私たちを見てお腹を抱えて笑っていました。


―――――――――

――――――

―――


side:イッセー


 イッセーだ、昼は酷い目にあったぜ。昼食を終えた後、俺は部活対抗戦の種目を確認しに行ったんだがどうやらドッジボールに決定したようだ。


(ドッジか、また面倒な種目になったな……)


 今までは球を打ったりゴールに入れるだけの競技だったが、直接相手にボールをぶつけるこの競技はヘタをすれば相手に怪我をさせかねないからな。


(まあ力加減は午前の競技で大体つかめてきたから何とかなるか、問題は人数なんだよな……)


 数が足らない部活はリサーバーを出してもらえるんだが去年は俺が怖くて来なかったんだよな。今年はアーシアがいるがそれでも2人だ。今年もリサーバーが来なければ2人で出なくてはならないだろう。


「まあそん時はそん時か……あれ?アーシアがいないな?」


 待ち合わせの場所に来たがアーシアの姿はなかった、何処かに行っているのかな?


「イッセーさん、お待たせしました」
「お、アーシア。何処に行って……」


 背後からアーシアの声が聞こえたので俺は振り返った、だがアーシアの姿を見てつい固まってしまった。


「ブ、ブルマ……」


 そう、アーシアは学校指定のハーフパンツではなくブルマに着替えていたんだ。か、可愛いじゃねえか……


「あ、あの、桐生さんからドッジボールの正装はブルマだって聞いたんです。だから急いで着替えてきました。ど、どうでしょうか?」


 桐生ぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!最近大人しくしていると思ったらやりやがったな!こんな可愛らしいアーシアを見て他の男子生徒が変な事を考えたらどうするんだ!!


「イッセーさん、もしかして駄目だったでしょうか?」
「えっ、あ、いや……すっごく可愛いよ、似合っている……」


 何故か泣きそうになっているアーシアを見て俺は顔を赤くしながらもアーシアのブルマ姿を褒めた。


「本当ですか!?何処が一番気に入ってくれましたか!」


 な、何だ?今日のアーシアはグイグイと攻めてくるじゃないか……


「そ、そうだな……全体的に良く似合っているが特に太ももの辺りが俺的にはイイと思うぞ……」


 うわぁぁ!テンパってセクハラまがいな事を言っちまった―――――ッ!!こんなの唯の変態野郎じゃねえか!!


 一瞬やっちまったか、と思ったがチラッとアーシアを見てみると身体をモジモジとさせながら嬉しそうに微笑んだ。


「えへへ、嬉しいです。イッセーさんが私の太ももを褒めてくださいました」
「えっ、嬉しいのか?結構酷い事を言った気がするんだが……」
「そんな事ありません、イッセーさんが私の身体を気に入ってくださったんです。こんなにも嬉しい事はありません」


 ああもう、どうして今日のアーシアはこんなにもエッチな事を言うんだ!俺じゃなかったら襲っているぞ!


「最近は朱乃さんや小猫ちゃんに押されていました、だからちょっとでもイッセーさんにアピールがしたくてブルマを履いてみましたが気に入ってくださって良かったです」
「そ、そうか……気に入ったのは事実だが俺としてはアーシアには人前でそんな恰好はしてほしくないんだがな……」


 他の男子生徒がこんなエロ可愛いアーシアを見たら絶対にろくでもないことを考えるに違いない。だからできればアーシアには人前でブルマの恰好をしてほしくないのが本音だ。


「えっ、それってこの格好は俺と二人きりの時だけにしろって事ですか?イッセーさんって情熱的ですね……」
「ア、アーシア?」
「分かりました、このブルマ姿はいつかイッセーさんとそういう事をするときの為に取っておきますね!私、着替えてきます!」


 アーシアはそう言うと急いで女子更衣室まで走って行ってしまった。


「ど、どうしたんだ?アーシア、走っていっちまったぞ……?」
『恋人ができてもお前は変わらんな……』


 何故かドライグに呆れられてしまったが俺はどうしてドライグガ呆れているのか分からなかった。














「死ね―――ッ!」
「くたばれや、松田ッ!元浜ッ!」
「お、お前ら!何でそんな殺気立っているんだよ!?」
「うるせー!お前らがオカルト研究部の方々とお昼を一緒にしていたのは知っているんだぞ!!」
「何でお前らみたいな変態コンビが……どんな卑劣な手を使いやがった!言え!!」
「「ぎゃ―――――ッ!?」」


 部活対抗戦の競技であるドッジボールの初戦が始まった。俺とアーシアが所属している料理研究部の最初の相手は野球部なのだが相手は俺を狙わず松田や元浜ばかりを狙っていた。どうして松田と元浜が料理研究部のチームに入っているのかと言うと、二人が生徒会長にお願いしてリサーバーとして助っ人に入ってくれたのだ。ったくあいつら「俺たちは親友じゃねえか、力になるぜ!」とらしくもなくかっこいい事を言いやがって……


「うお―――――ッ!元浜―――――ッ!耐えろ―――――ッ!」
「無論だァァァ!ここでグレモリーさんや姫島さんにいい所を見せるまでは負けるわけにはイカン!」


 ……動機が不純じゃなければもう少し感動できたんだがな。


「ほらほら、あんたたち!もっと頑張りなさいよ!」
「あわわ、お二人とも頑張ってください!」


 同じくリサーバーとして料理研究部の助っ人に入った桐生とアーシアが外側で松田と元浜を応援していた。しっかしフルボッコだな、あいつらが任せろって言っていたから様子を見ていたがそろそろ助け舟を出してやるか。


「よっと」


 俺は元浜の顔面目掛けて飛んできたボールを片手でキャッチした。


「そろそろ俺も攻撃させてもらうぜ」


 軽い力でボールを投げたがそれでも野球部の連中には速かったらしく、元浜の顔面にボールを投げた男子生徒の身体に当たりアウトにした。


「お、おい。兵藤が動き出したぞ……」
「ど、どうしよう……」
「何を怯えてやがるんだ!あいつは小猫ちゃんやアーシアちゃんを独り占めにしている憎き怨敵だぞ!今こそ下克上のチャンスじゃねえか!」
「で、でもよ……野球部のエースピッチャーの村田の投げた球すら片手で取るような奴に勝てるわけねえだろう……」
「情けない奴らだ!だったら俺があいつを倒してやる!」


 そう言った男子生徒は力を込めてボールを投げてきた。俺はそれを片手で受け止めた。


「なるほど、いい球だな!」
「えっ?あ、ど、どうも……」
「なら俺も全力で行くぜ!」


 俺は相手が怪我をしない零度の力を込めてボールを投げた、俺が投げた球を野球部全員が一丸となって止めようとしたが全員弾かれてしまった。


「よっしゃ!俺たちの勝ちだな!」


 その後サッカ-部やらバスケ部やらなどのチームに勝っていき遂に最後の試合になった。相手はオカルト研究部の皆だ。


「イッセー、普段は世話になっているけど今日は勝ちに行かせてもらうわよ!」
「面白い、打ち勝ってやりますよ!」


 試合が始まるとまずは俺がボールの取り合いで裕斗に勝ちボールを手に入れる。


「よっしゃ!行くぜぇぇぇ!!」


 そして俺は今までより力を込めたボールをオカルト研究部の皆に向かって投げた。


「受け止めて見せます!!」


 俺の投げたボールを小猫ちゃんが受け止めた。怪我をしない程度に力を抑えているとはいえ今までの小猫ちゃんだったらキャッチは出来なかったはずだ、小猫ちゃんも成長したな。


「先輩、行きますよ!私の(愛のこもった)ボールを受けてください!!」
「よし、来い!!」


 小猫ちゃんが投げたボールを俺は体で受け止めた。ギュルギュルと俺の胸で回転していたボールは次第に速度を落としていき俺の手の中に落ちた。


「いい球だぜ、小猫ちゃん!」
「次こそは決めて見せます!」


 その後も白熱した試合が続いていった、オカルト研究部の皆は手ごわく祐斗の素早い動きやリアスさんの的確な指示、更に朱乃さんの絶妙なパスもあり中々いい勝負を繰り広げていた。だがこちらも松田や元浜、それに桐生やアーシアが一丸となって戦い遂に試合は俺と小猫ちゃんの一騎打ちに持ち込まれた。


「先輩、決着を付けましょう……!」
「望むところだ!」


 ボールは小猫ちゃんが持っているのでまずは小猫ちゃんが攻撃してくる、俺はどんな球が来ても受け止めれるように構えを取った。


「行きます!!」


 小猫ちゃんが大きく振りかぶりボールを投げようとする、俺はボールを受け止める体制に入ったがある光景に目が向かった。


(小猫ちゃんが口パクで何かを言っている……?)


 小猫ちゃんの口が動いて俺に何かを伝えようとしていた、俺はついそれを読み取ってしまった。


(なになに……「今夜、私のおっぱいを揉んでください」だと……はぁ?)


 小猫ちゃんが伝えてきた事に思考が停止してしまい動きが止まってしまった。


「今です!!」


 小猫ちゃんが投げたボールに反応するが一瞬遅かったらしく俺の身体に当たったボールが大きく弾んで地面に落ちていった。


『決まったぁぁぁ!!オカルト研究部の勝利です!!』


 アナウンスが俺の耳に入りようやく思考が正常になった。ま、まさかそういう手で来るとは……完全に油断していたぜ……


 こうして駒王学園の球技大会のメインイベント、部活対抗戦はオカルト研究部の優勝で幕を閉じた。










「全く、小猫ちゃんは悪い子だぜ!」
「キャ――――――ッ♡」


 球技大会が終わった後、俺はオカルト研究部の部室がある旧校舎で小猫ちゃんの頭をワシャワシャと乱暴に撫でていた。小猫ちゃんは可愛らしい悲鳴を上げながら喜んでいた。


「うーん、なんだか釈然としないわね……」
「しょうがないですよ、部長。イッセー君に勝つには正直あの手しかなかったかと思います」


 優勝して貰った表彰を眺めながらリアスさんは何処か納得のいかないような表情を浮かべていたが祐斗がフォローをする。


「小猫ちゃんも中々に策士ですわね」
「うー、小猫ちゃんが一番なのは納得していますがそれでも何だか胸の辺りがチクチクします……」


 朱乃さんは微笑んでいるがアーシアはちょっと泣きそうな表情を浮かべていた。情けない負け方をして本当にすまない……


「まあいいわ、イッセーに遊びとはいえ勝てたんだから何かお祝いをしましょう」
「ならファミレスで打ち上げをしませんか?松田たちも誘って」
「あら、いいじゃない。たまにフライドポテトが食べたくなるのよね」
「じゃあ行きましょうか」


 リアスさん、祐斗、朱乃さん、アーシアが部室を後にしたので俺も後を追おうかと思ったが不意に小猫ちゃんに右手を引っ張られる。


「うん?どうかしたのか、小猫ちゃん?」
「先輩、さっきのは冗談じゃないですよ。今夜、先輩のお部屋に行きますからね♪」
「……へ?」


 ウィンクをしながら部室を出ていく小猫ちゃんを見ながら俺は再び思考を停止させてしまった。



―――――――――

――――――

―――


side:??


 イッセーたちが球技大会の打ち上げに向かっている頃、日本の成田国際空港に一つの飛行機が降り立った。飛行機から降りようと乗客達が立ち上がっていくがその中に奇妙な恰好をした人物が2人いた。白いフードで全身をスッポリと隠しているその姿はあまりにも怪しい恰好だったが周りの乗客たちは気にもしないでいた、まるでそれがおかしなことではないように認識させられているかのようだ。


「ふう、ようやく日本についたようだな」


 フードを被った2人の内、青髪の少女が席を立ち飛行機の外に出ようとするがもう一人の栗色のツインテールをした少女は首につけていたペンダントを見て物思いにふけっていた。


「おい、イリナ。もう着いたんだぞ?」
「あ、ご、ごめん。ゼノヴィア……」


 青髪の少女……ゼノヴィアに呼ばれた栗色のツインテールの少女……イリナは慌てた様子で返事を返した。


「全く、しっかりしてくれないか?我々は大事な使命を持って日本に来たのだぞ、久しぶりの故郷だからと言って気が緩んでないか?」
「そんなことないわ、ただイッセー君の事を思い出しちゃって……」
「イッセー……行方不明になったお前の幼馴染だったな?」
「うん、私の大切な幼馴染なの。私も色々調べているんだけど未だに見つからない……」
「確か警察の捜査では未だに発見されていないのだったな、何年捜査しても見つからないという事はこう言っては何だがもう生きていないのではないか?」
「……」
「……すまない、失言だったな」
「ううん、いいの。私がいつまでも引きずっているのが悪いんだから……」


 自分の失言に気が付いたゼノヴィアはイリナに頭を下げる。イリナはペンダントをそっと握りしめながらゼノヴィアの謝罪を受け入れた。


「このペンダントはね、私が日本を離れる事になった時にイッセー君がくれた物なの。離れるのが嫌で大泣きをしていた私を元気づけてくれたイッセー君は私にまた会おうね、って約束してくれた。これがあればまたイッセー君に会えるって思っていた……でもイッセー君のご両親が事故で亡くなってイッセー君まで行方不明になったって知らせを聞いたとき、私は死にたいって思うほど絶望した」
「イリナ……」
「そんな私を支えてくれたのがお父さんやお母さん、そして貴方だったよね、ゼノヴィア」


 イリナはニコッとゼノヴィアに微笑んだ後、キリッとした決意を込めた表情を浮かべた。


「聖剣を奪いし者コカビエル……奴がこの日本で何をしようとしてるのかは分からない。でもイッセー君と過ごしたこの国をメチャクチャにしようっていうなら絶対にさせない」
「……無論だ、私も主のため、そしてお前の為に戦おう」
「ありがとう、ゼノヴィア……」


 ゼノヴィアに手を差し出されたイリナはその手を握り返し立ち上がった。


(イッセー君、君がいないこの国に私は帰ってきたよ。君と過ごした大切なこの国を守る為に……)
 


 
 

 
後書き
 イッセーだ。球技大会も終わり日常が戻ってきたかと思ったがそこに教会の使いを名乗る2人が現れた。どうやらこの駒王町にコカビエルという堕天使が入り込んで何かを企んでいるらしいな。次回第36話『奪われた聖剣、予想だにしなかった再会』で会おうな。


 ……どうして今更になって出会っちまったんだろうな、イリナ。 
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