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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第六十七話

 
前書き
どうも、某四十代の病的なガンマニアで銃ばかりが出てくる作品ばかり書いてる小説家さんが書いている作品の、本人が書いているパロディ作品を久しぶりに拝見し、良い意味で狂ってるなと思いました。 

 

「…………はぁ。」
 
俺はこの鎮守府に着てから一番大きなため息をついた。
 
天才。
 
天から貰った才能。
 
常人では到達不可能な次元に最初からいる存在。
 
「…………そんな次元か。」
 
「だね……正直、現時点で木曾を越えてる可能性すらある。」
 
「……………………。」
 
そこまでの次元かよ。予想の数倍くらいはレベル高い。
 
でも。
 
「だからどうした。こっちには『自動修復』があるんだ、耐久力なら誰にも負けねぇよ。」
 
「言うと思ったよ…………事実なら包み隠さず、自信満々に言うんだから。」
 
拓海は笑った。俺は笑わなかった。
 
「さてと…………これからの一週間、忙しくなるぞぉ!昨日確認したけど、問題が山積みだぁ!」
 
拓海は狂った笑みを浮かべながら、食堂の方に歩き始めていた。
 
「…………そういや、朝メシの準備…………春雨やら夕立やら、してくれてるかな?」
 
俺は一抹の不安を感じながら、拓海を追って食堂へと向かった。
 

 
 
―食堂―
 
 
 
 
「…………わぉカオス。」
 
俺が食堂に入ると、いろんなものが混ざったなんとも言えない匂いがしてきた。
 
いやまぁ、悪い匂いではない。腹の減る匂いだ。
 
「あ!ち…………木曾さんに提督!ご飯、できてますよ!!」
 
俺達が入ってきた事に気が付いた春雨が、パァッと顔を明るくした。
 
「っぽい!」
 
冬華もパァッと顔を明るくした。恐らく、拓海に反応してだろう。
 
その他にも、何人かが手伝ってた。
 
…………うん、皆頑張ってくれたのはありがたい。すげぇありがたい。誉めたげたい。
 
…………けどな。

「味噌汁は分かる。朝メシの定番だな。カレーも分かる。二日目のカレーは旨いからな。焼き肉は……まぁ、うん、簡単だからな。料理したことないなら鉄板用意して焼くだけだからな。材料もあるしな。」
 
「あの…………木曾さん?」
 
ブツブツといろんなことを呟き始めた俺を、訝しげに見る一同。
 
「…………あー、やらかしたなこれ。」
 
拓海はそそくさと食堂から立ち去り始めた。
 
「…………だがな、栄養バランス、食べ合わせ、朝から重いもの、食材の使用量、全部が全部無茶苦茶過ぎる!!取り合えず全部食ったら、説教だゴルァア!!」
 
その後、朝からなかなか重たい物を食べ終え、一同を説教した。
 
その場に、若葉は居なかった。
 
 
 
―○八○○―
 
 
 
 
「さてと、これからの事の指示を出す。」
 
拓海は俺の説教中に朝飯を平らげ、テーブルに一同が座ったことを確認して話し始めた。
 
「まず、二階より上の階の掃除を終わらせてしまおう。もうバ○サンは効き終わってるはずたからね。」
 
そう言えば、そんなことしてたな。いろんなことがありすぎて忘れてた。
 
「午後には皆で遊びをかねた訓練をしようと思ってる。楽しみにしていてくれ。」
 
おぉ、と皆が声を出した。
 
恐らく、レクリエーションみたいな感じを想定しているんだろう。戦闘の『せ』すら知らない連中にはちょうど良いだろう。
 
俺は少し気になって、入り口に一番近い席に座っている若葉を見た。
 
若葉は、拓海の顔をじっと見ていた。
 
「それと、軽くトラブルが起きてね…………医務室に怪我人が一人いるから、勝手に入らないように。」
 
それを拓海が言った瞬間、若葉の表情が歪んだ。
 
会いに行こうとでも考えていたのだろうか。
 
拓海もそれを感じていたのか、若葉の方をちらりと見ていた。
 
拓海はその後、掃除の班分け等を連絡した。
 
「それじゃあ、各々持ち場に付いてくれ。」
 
拓海の合図と共に、俺達は席を立った。今日は、榛名さん、五十鈴、不知火の三人と四階をすることになった。
 
「ねぇ、木曾?」
 
俺が席を立ち上がると同時に、俺の左隣に座っていた五十鈴が声をかけてきた。
 
「貴方、本当に男なのよね?」
 
「…………おう。生物学上、間違いなく男だぜ?」
 
昨日から何度もされた質問に、全く同じ答え方をする。まぁ、素っ裸にでもならない限り、証明は出来ないが。
 
「ふぅん……いやね?女の子に見えなくもないなーって思ってさ。口調は完全にあれだけど。」
 
余計なお世話だ。悪かったな口が悪くて。
 
「まぁ、口の悪い人達と過ごしてきたからな…………。」
 
俺の脳内には、親父やお袋、悠人や悠人の親父さん、テキ屋のあんちゃんや学校の仲間等々が浮かんでいた。
 
…………あれだな。たぶん俺は、艦娘になってなかったとしても濃い人生を送ってたんだろうな。
 
「……木曾。こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
 
俺が人間だった頃を思い出していると、不知火が話し掛けてきた。
 
「ん、よろしくな。」
 
しかし、不知火か。
 
火を知らず、その言葉が似合うような、落ち着いた冷静な性格の娘だなと感じた。
 
それと比べて五十鈴は強気そうなつり目にツインテール。いかにも活発そうだ。
 
「すいません、春雨さんと話していて…………お待たせしました。」
 
そして、丁寧な物腰をした榛名さん。
 
…………おおう、問題児っぽいのが一人もいない。昨日の若葉が居たときに比べると、圧倒的に楽そうだ。
 
「うし、それじゃあ行くかな。」
 
俺とその三人は、揃って食堂を後にした。
 
 
 
…………この時、他の子達と一緒にいた春雨から熱い視線を向けられていたのだが、それはまた別のお話。 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。友人たちからよく言われるのですが、僕の女の子の好みが大変分かりやすいようで、「おい、この作品にお前の好きそうなキャラな出てきたぜ」とよく言われます。当然、そんな趣味丸出しな奴の書く小説なので、メインキャラが好みに傾くのは仕方無い。うん。

それでは、また次回。 
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