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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第十一幕その五

「そうだよね」
「うん、あらゆる学問についてね」
「どの国のどの民族にもそうだし」
「宗教にもね」
「何でもそうだよね」
「そうだね、自分でもそう思うよ」
「何でも受け入れて何でも学んでいく」
 まさにあらゆるものをです。
「それが先生だね、昔で言うとね」
「昔っていうと?」
「博物学者だね」 
 こうした学者さんになるというのです。
「先生はね」
「ああ、博物学者だね」
「あらゆるものを学んでいるからね」
「そうなるかな、本職はお医者さんだけれど」
「何か日本に来て特にね」
 とりわけというのです。
「先生はあらゆる学問に精を出して学んでいるからね」
「だからなんだ」
「もうお医者さんであってもね」
「博物学者だね」
「そうなっていると思うよ」
「そうなんだ、日本の博物学者というと」
 ここでまた思い出した先生でした、今度思い出したのはある学者さんでその学者さんはどなたかといいますと。
「南方熊楠さんはね」
「名前は聞いたことがあるけれど」
「うん、十九世紀から二十世紀の日本の学者さんでね」
「博物学者だったんだ」
「そうなんだ、その人がね」
「ひょっとして」
「そう、この和歌山の生まれなんだ」
 そうだというのです。
「大英博物館でも学んでいたんだ」
「イギリスに行って」
「そうだったんだ」
「成程ね」
「その人もここに来ていたね」
「和歌山だけだってだね」
「この人はとにかくあらゆるものを学んでいたんだ」
 そうした人だったというのです。
「僕もかくありたいと思うまでにね」
「凄い人だったんだ」
「そうだったんだ」
「じゃあ先生は何時か」
「南方熊楠さんみたいな人になりたいよ」
「そうした学者さんにだね」
「そう思っているよ、とにかく凄い人でね」
 それでというのです。
「民俗学に生物学にってね」
「何でもなんだ」
「学んでいたんだ」
「まさに先生だね」
「僕もその人は知ってますけれど」
 ここで言ってきたのはトミーでした。
「先生とは性格は全く違いますね」
「あの人はだね」
「はい、お酒が好きなのは一緒ですが」
 それでもというのです。
「もう何処でも吐けるし」
「食べたものをね」
「それで粗野で身なりには無頓着だったところもあるし」
「変わった人だとあるね」
「そうした人ですから」
 いつも紳士な先生とはというのです。
「本当に全然違いますね」
「そうなんだね」
「はい、あの人は天才で」
 そうしてというのです。
「天才特有の強烈な個性があった人ですね」
「っていうとモーツァルトみたいな?」
「あとベートーベンとか」
「ゴッホやゴーガンもそうだったし」
「ミケランジェロも」
 動物の皆はすぐにこうした人達を思い出しました。
「何かね」
「強烈な個性を持っていて」
「傍から見ると変わっている」
「そうした人だったね」
「それで南方熊楠さんも」
「そうした人だったのね」
「そうなんだ」
 トミーは皆にもお話しました。 
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