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オズのトロット

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第十一幕その四

「こうしてね」
「城壁が鏡で」
「光を反射して眩しいですし」
「僕達の姿も映ってて」
「本当の姿を映し出してくれてるんですね」
「私達の本当の姿を」
「そう、今鏡に映っているのがね」
 城壁には皆の姿が映っています、皆自分も他の人達もよく知っている姿のままです。何一つ変わることはありません。
「私達の本当の姿よ」
「そうなんですね」
 カルロスが応えました。
「僕達が思っている姿そのままです」
「私もよ、それならね」
「いいことですね」
「若し鏡に映っている姿が酷いものだったら」
「普通に見えている姿が奇麗でも」
「本当の姿が酷かったら嫌でしょう?」
「そうですよね」
 カルロスはトロットのお話に神妙なお顔で頷きました。
「それ程嫌なことはありません」
「言うならば心よ」
「その本当の姿は」
「そう、だからイクシー女王はね」
 鏡に映っている年老いたお姿に困っていたこの人はといいますと。
「お心がね」
「老いていたんですね」
「そう、だからね」
「お心が若さを取り戻して」
「若くなったのよ」
 鏡に映るそのお姿もというのです。
「そうなったのよ」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「魔法で若くすることも止めたの」
「オズの国は誰も歳を取らないから」
「そうする意味がないこともわかったからね」
 だからだというのです。
「それでなの」
「魔法を使われることも止めて」
「そう、ありのままになったのよ」
「イクシー女王も変わられたんですね」
「そうなの、ありのままにね」
 オズの国の住人としてです。
「そうなったのよ」
「凄く変わられましたね」
「その変わるきっかけがね」
「バド王、フラフ王女との出会いですね」
「だからイクシー女王はお二人に感謝もしてるの」
「それで今もお友達なんですね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「今もね」
「本当に変わられたんですね、イクシー女王も」
「そうよ、それじゃあね」
「これからですね」
「そのイクシー女王にお会いしましょう」
「わかりました」
 カルロスも他の子達も頷いてです、そしてでした。
 皆で街の中にも入りました、すると街の中も至るところに鏡があって皆の姿を映し出しています。街の人達はその鏡で自分の本当の姿を見ています。
 宮殿もです、外は全て鏡で壁もそうでした。窓のガラスと壁のとても奇麗な宮殿で皆の姿も映っています。
 その宮殿の廊下の中を進みつつです、教授は言いました。
「身だしなみも気をつけないとね」
「そうだね」
 モジャボロも教授に応えてです、歩きながらもそれぞれの服装の埃を取ったり乱れをなおしていたりしています。
「折角鏡があるんだし」
「女王にお会いする前に身だしなみを整えよう」
「整えられるなら整える」
「そうしないとね」
「紳士としてね」
「それを忘れたらいけないからね」
 二人はこうお話して鏡を使って身だしなみを整えます、それはトロットとキャプテンも同じで五人もでした。
 身だしなみを整えます、そのうえで女王の間に入りますとこのお部屋の中も壁は全て鏡の正真正銘の鏡の間で。 
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