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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第34話 明かされしイッセーの過去、球技大会、始まります!

 
前書き
 この小説ではイッセーには他に親族などはいない設定にしていますのでお願いします。 

 
side:小猫


「もぐもぐ……美味しいです」


 生徒会長とその眷属である匙さんとの自己紹介を終えた翌日、午前の授業を終えた私はイッセー先輩と二人きりでお昼ご飯を食べている所です。アーシアさんは桐生さんと、朱乃先輩は用事があるらしく今は私がイッセー先輩を独り占めにしています。


「ふう、お腹いっぱいです。先輩が作ってくれたお弁当は格別でした」
「満足してもらえたなら何よりだ」


 食事を終えた私はイッセー先輩の身体に身を預けてもたれかかっています。先輩の大きな手が私の頭や頬を優しく撫でてくれてまるで夢心地のような幸せな気分です。


「ふわぁぁ……イッセー先輩とこうしてのんびり過ごせて幸せです……」
「大きな欠伸だな、まあこうやって二人きりで過ごすのも久しぶりだし気が緩むのも仕方ないか」


 イッセー先輩の前じゃなきゃこんな無防備な事はできません、先輩と二人っきりだからこそこうやって大きな欠伸も出来るくらいのんびりと気を休めることができます。


「ふふっ、イッセー先輩♪」
「おっと、急にどうしたんだ?」


 私は体制を入れ替えていわゆる対面座位になって先輩の首に手を回してに抱き着きました、先輩はちょっと困惑した表情を浮かべましたが微笑みを浮かべながら右手を私の背中に回してギュッと抱きしめ返してくれました。


「こうやって二人きりになれるのも久しぶりですしイッセー先輩とイチャイチャしようかなって思ったんです」
「確かに二人きりになれたのは久しぶりだったな」
「そうです、朱乃先輩までイッセー先輩の恋人になってしまったから中々イッセー先輩とイチャイチャできないじゃないですか。それについて不満はありませんがやっぱり私をもっと構ってほしいって思っちゃうんです。先輩はこんな私は嫌いですか?」
「そんなわけがないだろう、大体小猫ちゃんに寂しい思いを抱かせちまったのは俺が不甲斐ないからだ。本当なら君一人を愛するべきなのに俺が他にも恋人を作ってるのが悪いんだ」
「でも先輩は優しいから私たちの事を真剣に想ってくれています、そんな先輩が私は大好きです、だから気にしないでください」


 アーシアさんや朱乃先輩の事は大好きだし私が一番でいいと言ってくれています、世間からすれば間違った関係なのでしょうが私たちが幸せだからそれでいいんです。


「それに今は二人きりです、だから今は私だけを感じてほしいです……」
「小猫ちゃん……」


 私は目を閉じて先輩の唇にチュッと自分の唇を重ねました、押し当てるだけの軽いキスですがとても暖かくて幸せな気持ちで一杯になります。


「もっと……もっとキスをしてください」


 チュッ、チュッと何度も先輩の唇を奪っていきます、先輩も私の腰に両腕を回して強く私を求めて来てくれています。そういえば私とイッセー先輩って軽いキスはよくしますがそれ以上のキスってしたことがなかったんですよね、折角ですし今ここで大人のキスをしちゃいます。


「ん……」
「んうっ……!?」


 先輩の口の中に私の舌を入れて先輩の舌と絡めます、先輩は最初驚いてビクッと身体を振るわせましたが直に慣れたのか私の口の中に自分の舌を入れ返してきました。


(凄い、これが大人のキスなんだ……とっても気持ちいい……)


 ピチャピチャ、クチュクチュといやらしい音が静かな屋上に響きます。舌を絡め合うたびに頭が痺れるような感覚が広がっていき胸の高鳴りが大きくなっていきます。次第に先輩とのキスはエスカレートしていき最早お互い貪りあう勢いで唇を深く重ねていました、先輩の舌をジュルルと吸ったり舌だけのキスをしたり先輩に私の唾液を飲ませたりと普段ではしないような凄い行為ばかりしています。


(最初は普通にキスするだけでも先輩は顔を赤らめていました、でも今は慣れちゃったのかあまり慌てないですね)


 付き合いだした頃は軽いキスでも顔を真っ赤にしていた先輩ですが何度もしているうちに慣れてしまったのか慌てなくなっていました。顔を赤くする先輩も可愛かったですがこうやって私を受け止めてくれる男らしいイッセー先輩もいいですね。


「ん、ぷあぁ……」
「はぁはぁ……凄かったな」


 流石に息が続かないので一旦先輩から離れて呼吸を整えました、お互いの口の端から唾液が垂れていて実にエロいです。私は先輩の口に付いていた唾液を舐め取るとニコッと先輩に微笑みました。


「ごちそうさまです、先輩♡」
「小猫ちゃん、なんか出会った頃よりもエッチな性格になっていないか?」
「そうですね、前はエッチなことは正直苦手だったんです。でも今は寧ろ率先して覚えたいって思うんですよね、イッセー先輩にもっと好きになってほしいから……」
「小猫ちゃん……」


 再び先輩とキスしようとしましたが、タイミングが悪かったらしくチャイムが鳴ってしまいました。


「むう、お昼休みが終わっちゃいました」
「まあ仕方ないさ、続きはまた今度な」
「はい、楽しみにしていますね」


 取りあえず私たちはお弁当を片付けて屋上を後にしようとしました、でも部長からイッセー先輩に伝言を預かっていたことを思い出して先輩を呼び止めました。


「イッセー先輩、部長から伝言があるんですがいいですか?」
「リアスさんから?」
「はい、実は今日のオカルト研究部の活動をイッセー先輩のお家でさせてもらえないかと」
「俺は別に構わないぜ」
「ありがとうございます、部長にそう伝えておきますね」


 最後に先輩と軽いキスをして、私は自分の教室に向かいました。




―――――――――

――――――

―――


side:イッセー


 放課後になった後、俺はアーシアを連れて急いで家に帰った。今日はリアスさんたちが来るので部屋を少し片づけておこうと思ったからだ。


「イッセーさん、この本はどこに片付けておけばいいですか?」
「その料理の本はそこの本棚の3段目に入れておいてくれ」
「分かりました」


 アーシアもテキパキと動いてくれるので掃除はスムーズに進んで行く。うん、これならリアスさんたちが来る前には終わりそうだな。


「はうぅ!?」


 そう思っていると背後から何か大きな音がした、なにかと思い振り返ってみるとアーシアがコケて本を落としている光景が目に映った。


「おいおい、大丈夫か、アーシア?」
「あうぅ……ごめんなさい、イッセーさん……」
「お前に怪我が無いなら気にしなくていいよ。ほら、一緒に片付けてしまおうぜ」
「ありがとうございます、イッセーさん」


 アーシアに怪我は無いようだ、安堵した俺は散らばった本を回収しているとあるものに目がいった。


「これは、アルバムか……」


 そこにあったのは俺がグルメ界で過ごしていた時に親父やリン姉が撮った写真を収めたアルバムだった。アーシアが本棚にぶつかった時に落ちたようだ。


「イッセーさん、これは一体何ですか?」
「これは俺がグルメ界で過ごしていた時に撮った写真を収めたアルバムだ」
「イッセーさんの……見てみてもいいですか?」
「ああ、いいぞ」


 アーシアが嬉しそうにアルバムを開く、すると同時に玄関の呼び鈴が鳴ったので俺はそっちに向かった。


「リアスさん、祐斗、いらっしゃい。小猫ちゃんと朱乃さんも一緒でしたか」
「今日はごめんなさいね、イッセー」
「別に構いませんがどうして今日はウチに来たんですか?」
「旧校舎の掃除をするために今日は業者の人が来てるの、だから今日一日は旧校舎は使えないのよ」
「そういうことでしたか、まあ立ち話も何ですし中に入ってください」


 俺は全員を連れてリビングに向かう、アルバムを読んでいたアーシアはリアスさん達が来たことを確認するとペコリと頭を下げた。


「こんにちは、部長さん、皆さん」
「こんにちは、アーシア。何を見ているの?」
「イッセーさんのアルバムです」
「アルバム?」
「「アルバム!?」」


 リアスさんはアーシアが何を見ているのか気になったようでアーシアに質問する、アーシアは笑顔で答えるがリアスさんの背後にいた朱乃さんと小猫ちゃんが目を輝かせて食いついた。


「アーシアさん!そんな素晴らしい物を一人で見ているなんてズルいです!」
「そうですわ!わたくしにも見せてほしいですわ!」
「はわわ!?」


 電光石火の動きでアーシアの持っていたアルバムを取った二人は食いつくようにアルバムを見ていた。


「ち、小さいころのイッセー先輩です!ああ、なんて可愛らしい……」
「今は逞しいイッセー君もこんなに愛らしい時が合ったのね、ココさんに抱っこされているイッセー君可愛いですわ」


 二人は俺の赤裸々な過去の写真を見ながら顔を赤らめていた。何だか複雑な気分だな……


「全く、二人ともイッセーの過去に興味があるのは分かるけどそろそろ……」
「ああ!見てください朱乃先輩!小さいイッセー先輩が全裸でお風呂に入ってます!」
「まあ、とっても可愛らしいおちん……」
「いい加減にしなさい!!」
「……もう、ここからがいい所だったのに……」


 隣にいる祐斗がドンマイという風に肩を叩いてきたが……本当に複雑な気分だ。











「……という訳だから皆、よろしくね」
「了解しました」
「了解です」
「了解ですわ」


 その後リアスさんたちは悪魔の仕事などの打ち合わせをしたりしていた。俺とアーシアは部外者なので席を外そうと思ったがリアスさんに居てくれと言われたので一緒に話を聞いていた。
 そういえばリアスさんから生徒会長が俺の事を質問してきたという話を聞いた。生徒会長とはあまり話したことは無かったからあまり気にしていなかったな、まあリアスさんの話では俺がオカルト研究部に出入りしていることを純粋に疑問に思っただけのようなので警戒する必要はないだろう。


「ふう、長々と話していたから喉が渇いたわ」
「なら紅茶でも入れてきますよ」
「あら、じゃあお願いしちゃおうかしら」


 俺は台所に行き紅茶やお菓子を用意してリビングに戻る、すると小猫ちゃんと朱乃さんがまたアルバムを見ていた。


「二人とも、まだアルバムを見ていたのか?」
「はい、貴重なショタイッセー先輩の写真ですからもっと目に焼き付けておかないと」
「この家に住んでいるならいつでも見れるだろう?まあ好きなだけ見てくれ」
「はい!」


 小猫ちゃんと朱乃さんはよっぽど気にいったんだな、さっきからずっと見ているんだぜ。


「そういえばイッセー、前から聞きたいことがあったんだけどいいかしら?」
「何ですか?」
「イッセーはグルメ界出身の人間なの?」
「いえ俺は元々こっちの世界……この駒王町に住んでいました」
「えっ、そうだったんですか?」


 俺の言葉にアルバムを見ていた小猫ちゃんたちも反応してこちらに振り返ってきた。


「小猫ちゃんには前に話したと思うけど俺は5歳の時にグルメ界に行ったんだ。それまではこの町に父親と母親の3人で暮らしていた。これが父さんと母さんだ」


 俺は懐から懐中時計を取り出してそれを開く、中にはアルバムの写真に写っていた俺より幼い俺と優しそうに微笑む男女の写真が貼られておりそれを皆に見せた。


「この人たちがイッセー君のご両親なのかい?」
「ああ、神崎誠と神崎恵梨香……俺の両親だ」
「神崎?先輩の苗字は兵藤じゃないんですか?」
「兵藤は婿養子で家に来た父親の旧姓だ、今は訳があってこっちの苗字を使っている」


 俺の本名は神崎一誠だがこっちの世界に帰ってきてからは兵藤一誠を名乗っている、なぜ名を変えたのかはまた後で話すことにしよう。


「俺は5歳の頃に両親を交通事故で亡くしたんだ。俺は父さんと母さんが守ってくれたから助かったが、今まで当たり前だった普通の日常が一瞬で奪われた瞬間だった」
「ご両親を……」
「他に親族や身内がいなかった俺は施設に入れられることになったんだ、でも俺はそれが嫌で逃げ出してしまった」


 あの頃の事はあまり覚えてはいない、ただ死にたいと思うほど絶望していたのは覚えている。


「闇雲に走っていた俺は気が付いたら見知らぬ森の中にいた、その森をさまよっている時に見つけたのが虹色に光る蝶だった。
 好奇心でその蝶に触れた俺は気が付くと広大な海にポツンと浮かんでいた小島に立っていた、訳も分からず辺りをキョロキョロしていると海の中から猛獣が現れて俺に襲い掛かってきたんだ。子供ながらに死ぬという事がはっきりと分かった、でも俺は死ななかった」


 俺はアルバムからファンキーな恰好をしたムキムキの男性に抱っこされている俺が写っていた写真を取り出して皆に見せた。


「IGO会長、一龍……運よく近くにこの人の別荘が合ったらしく俺はこの人に助けられた」
「この人がイッセーのお師匠さん?」
「そうです、俺が師として、そして父として尊敬する人です」


 俺は写真を見つめながら親父について皆に話し出した。


「親父は得体の知れない俺を何も言わず引き取ってくれた、最初は困惑したけど帰る方法も分からなかった俺は親父の子供として生きていくことにしたんだ。まあそれから色々あって俺は美食屋を目指すことになったんだ。ココ兄やサニー兄ともその時に出会ったな」
「一龍さんはどんな方なんですか?」
「あの人は豪快で大雑把なところもあるが優しくて俺を本当の息子のように育ててくれた。そんな親父に俺は次第に心を開いていった、正直初めは帰りたいとも思っていた俺だったが親父と過ごしていくうちにそれが薄れていった」


 アーシアの質問に俺は自分が親父に対して持っているイメージを説明した。


「結局俺は元の世界に戻ることを諦めた、それから8年をグルメ界で過ごしていき、元の世界の事を忘れかけていたある日、アレが現れた」
「異次元七色チョウね」


 リアスさんの問いに俺は頷いた。


「俺は無意識のうちにまたその蝶に触れていた、すると今度は駒王町に俺は立っていた」
「なるほど、それでイッセー君はこの世界に戻ってきてこの町で生活することになったんだね」
「ああ、でも最初は直にこの世界を立ち去ろうと思った」
「ど、どうしてですか?」
「グルメ界にどっぷりと浸かってしまった俺がこの世界に来れば余計な争いを起こしかねない、その頃にはグルメ細胞や目覚めたドライグ……赤龍帝の籠手を持っていたからな」
「それは……」


 グルメ細胞の力を知るオカルト研究部の皆は複雑そうな表情をしていた、全員がこの細胞の恐ろしさを知っているからそれを悪魔や堕天使と言った勢力が知れば欲する者が必ず現れると思ったのだろう。


「でも出来なかった、父さんと母さんと過ごしたこの町から去ることが出来なかったんだ」


 それはこの世界にとって悪いことなのは理解していた、それでも俺はこの町を忘れることが出来なかった。


「俺は親父にこの事を話した、最初は渋っていた親父だったが異次元七色チョウが他にもいるかもしれないという可能性を調査する名目で俺をこの世界に送り出してくれた。それから俺は他に異次元七色チョウがいないかを調査するためにこの町に住みながら世界を旅することにしたんだ」
「その旅の間でルフェイに出会ったのね」
「ええ、そうです。因みに苗字を変えたのはそのころ神崎一誠は行方不明者として警察が調査していたから目立つのを避けるために新たに戸籍や住所、経歴などを偽装して『兵藤一誠』として生きる事にしたんです」
「偽装したんですか?」
「そういう事をしてくれる人たちが裏社会にいるんだよ、詳しくは話せないがな」


 もう俺はこの世界には存在しない人物だ、神崎一誠として生きるのは無理があったので俺は父親の旧姓を名乗る事にしたんだ。


「まあ俺の過去についてはこんなところかな」
「イッセー君も中々波乱万丈な生き方をしていたんだね」
「家族がいる事が当たり前に思えるけど私は一番幸せだったのね……」
「今は私たちも一緒にいますよ、イッセーさん」
「そうですわ、わたくしたちも家族みたいなものじゃないですか」
「そうだな、今は皆もいてくれるから寂しくはないな」


 親父には本当に感謝しないといけないな、こんなかけがえのない仲間たちに出会う切っ掛けを作ってくれたんだから。


「イッセー先輩を育ててくれた一龍という人には是非ともお礼が言いたいですね、その人のお陰で私たちはイッセー先輩と出会うことが出来たんですから」
「皆の事は既に話しているから近いうちに会いに行くぞ。特に小猫ちゃんの事を話したら親父は大分興味を持っていたからな」
「そ、そうなんですか?だとすればちゃんとおめかししていかないと……」
「そこまでかしこまる必要はないと思うけどな」
「何を言っているんですか!イッセー先輩のお嫁さんになる予定の私からすれば一龍さんは何よりも重要な人になります!第一印象から良く思って貰わないと!」
「お、おう……そうだな……」


 その後は明日の球技大会について話し合いをしてリアスさんと裕斗は帰路に付き、俺たちは明日に備えて早めに休むことにした。明日はいよいよ球技大会だ、気合を入れていくぜ。


 
 

 
後書き
 木場です、次回はいよいよ球技大会が始まるんだけど意外と手加減するのって難しいよね。ちょっとした動作が常人よりも凄い動きになっちゃうから気を付けないと。次回第35話『白熱、球技大会!忍び寄る聖剣の影!』で会おうね。


 ……聖剣か。 
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