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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百十一話

 
前書き
物凄く今さらですが、一夏のいる世界にはガンダムという作品は存在しません。でも似たような別の作品があります。
この作品に出てくる兵装の元ネタになった作品は存在しないという設定です。
なのでガンダム、マクロス、アルペジオ、へヴィーオブジェクトなどは存在しません。
ただしジブリ作品と宇宙戦艦ヤマトは存在します。 

 
その日の英国新聞の一面記事は<吸血鬼あらわる>だった。

<明朝、警察に通報があり現場に警官がトラファルガー広場へ駆けつけると、そこには惨殺された女性の遺体があった。
手足を何かで押し潰したような後があり、心臓を棒で貫かれていたという。
現場には『聖剣は砕かれた』との血文字が被害者の血液で大きく書かれており、犯人からのメッセージと考えて警察は操作を続けている………>

写真は、新聞には載っていなかったが、物好きが望遠レンズで撮影した写真がネット上へアップされた。

その写真はSNSなどで瞬く間に世界中へ広まったという。

「…………何よ…これ…」

刀奈は英国新聞とネットにアップされていた画像を見て唖然とした。

『聖剣は砕かれた』

その血文字は、この惨殺された女が『聖剣』であることを示していた。

「ヴィーティング……」

彼女が知っているある姉弟の両親を殺したという科学者。

そして昨夜、唐突に姿を消した男の子。

「彼が…やったというの…?」

小さな体躯と愛らしい顔つき。

黒く艶のある長いストレートの、少女のような男の子。

だがその内側には敵対者を絶対に仕留めるという冷酷さとそれを成し得る万能の力を持っている事を、刀奈は知っていた。

何故ならば、彼と初めて顔を合わせた時が、当に敵対者を殺した時だったのだから。

刀奈は、新聞をめくる。

そして、またも彼が関わった事件について…オルコット城襲撃事件の記事があった。

<昨日未明、オルコット伯爵の居城であるオルコット城が何者かに襲撃を受けた。
通報があり警官が駆けつけた時には、使用人全員が意識不明の状態だったという。
また使用人達は武装しており、城門にはISを使って開けられたと思われる大穴があった……>

更には昨夜まで泊まっていたホテルの火災についてもだ。

<昨日、ホテル・アヴァロンで火災が発生した。しかし中層のワンフロアだけで収まり、負傷者は出なかったとされている。
一部では現在行方不明となっているプロフェッサー・タバネを見たという証言も出ており、該当フロアにはレーザーで何かを焼き斬った後があった事から、有力な情報として警察は捜査を開始している。
またオルコット城襲撃事件と女性惨殺事件との関連を示唆する声もあがっており………>

刀奈は直ぐにネットで情報を集め始めた。

「お姉ちゃん。どうしたの?」

後ろのベッドから、簪が呼び掛けた。

「少し調べ物よ」

「一夏のこと?」

「ええ。計画を話してはくれなかったけれど、一夏君の口振りからしてこの惨殺事件は彼の仕業ね。
もしかしたらオルコット城の一件にも絡んでいるかもしれないわ」

「……………」

簪は、自分を救ってくれたヒーローを思う。

強く、可憐で、凛々しく、容赦がない。

「その女は…。大切な物を一夏からうばった…その報いをうけた…ということ?」

「そうね…。彼の両親を殺したのがこの女らしいわ」

「なら、しかたないんじゃない?」

簪は何でもないかのように、さも当たり前であるかのように言った。

「簪ちゃん?」

「もし、私の大切な人が殺されたら、私は刺し違えてでも相手を殺すよ?
私は『楯無』にはなれない。なれないけど、わたしだって『更識』なんだから」

簪は次期当主足り得ない。

だが、それは簪に技術が無いからではない。

簪は純粋な人間だ。海千山千の敵と渡り合うには向いていない。

ただ『それだけ』のことである。

「お姉ちゃんだって、そうでしょ?」

「そう…ね」

それが彼等彼女等にとっての普通なのだ。

力ある者の、裏を知る者の。










同ホテル 別室

「うみゅぅ…」

「ふふ…」

戦女神は、その腕の中に愛しい弟を抱いてベッドに寝ていた。

二人ともとても整った顔立ちをしていて、よく似ている。

戦女神は眼を細め、自身に抱きついて寝ている弟を抱き寄せる。

「うみゅぅ…?……みゅー…」

彼女は弟を想っているが、こうして同じベッドで寝る事は少ない。

自分の気持ちを隠すためだ。

「一夏…愛してるぞ…」

「うみゅ…」

うっすらと、弟が眼を開けた。

「ねーさん…。おれも…すき…だよ…」

そう返し、ふにゃっと笑った。

その油断した顔で返答され、戦女神は顔を赤くした。

「ばっ…バカかお前は…」

「ぅゆ?」

まだ寝ぼけているのか、黄金の眼はトロンとしていた。

「あー。わすれてた」

と弟が言った。

千冬が疑問に思っていると、弟が戦女神の額に唇を落とした。

「にゃっにゃにを!?」

「おはようのちゅー…」

ここ数日の日課のような物だったので、弟は寝ぼけた状態で戦女神にキスをしたのだ。

「………そうか」

「?」

戦女神は思わず弟から眼を反らした。

「お、お前はこういう事をいつもしてるのか?」

「まどかがやってほしいっていってたからー…」

「……………」

「どしたのー?」

「い、いや、なんでもない。そろそろ起きよう。か、顔を洗ってくる」

戦女神は恥ずかしさに耐えきれず、ベッドから逃げ出した。

『ますたー。起きてよますたー』

「うみゅぅ?ちぇん…?」

『ああ、もう何でこの男はこう無防備なのかな。千冬が羨ま…不憫すぎる…』

「みゅー?」

『身内しか居ないからギア入れてないのはわかるけどさぁ…』

ここ数日はアルシャーヴィン姉妹と寝ていた故、起きて直ぐにギアを入れていた一夏だが、今は身内、それも姉しか居なかったのでまだスリープモードだ。

『まぁいいや…どうせ後で悶えるのはますたーだしねぇ』











side in

「よーし。じゃぁ日本に帰るぞ」

「一夏。なぜ私達はこんな森に来ているんだ?」

隣に立つ箒に尋ねられた。

「トレイターで帰るからだが」

現在地は深い深い森の奥だ。

「私が知る限りトレイターは『潜水艦』じゃなかったか?」

「はいはーい!じゃぁいっちょやっちゃうよー!」

束さんがイザナギを思い切り上空へぶん投げた。

目映い光が降り注ぐ。

全員が咄嗟に眼をつぶった。

「箒、上を見てみろ」

光が途絶え、箒が上を見上げた。

「冗談だろ?」

「いや、見た通りさ」

上空には、トレイターが悠々と浮遊していた。

「さぁさぁ!皆乗っちゃって!日本に帰るよー!」

 
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