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海坊主

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第一章

              海坊主 
 艶やかなまでに奇麗な金髪をセミロングにしていて目はサファイアの様に青くやや吊り目だ。唇は小さくにこにことした顔立ちだ。胸は西瓜の様でラフな上着から目立っている。黒のスパッツとミニスカートから出ている脚の形もいい。
 浜恵子と井上理沙はダイアナ=カーライルから紹介されたエミリー=カーライルと会って思わずこう言った。
「イギリスのタレントさん?」
「それをしてる人なの?」
「違いますよ」
 エミリーの方から言ってきた、日本語はむしろダイアナより上手だ。
「大阪にずっと住んでます」
「えっ、そうなの」
「大阪に住んでるの」
「はい、城東区に」 
 そこにというのだ。
「小学生の時からお父さんお母さんとお父さんのお仕事の関係で住んでいます」
「しかもお父さんお母さんって言ってるし」
「本格的ね」
「お父さん英語の先生なんです」
 日本でその仕事をしているというのだ。
「それで好きな食べものはお好み焼きと焼きそば、趣味は剣道とスマホゲームでライトノベルと漫画が好きで好きなチームは阪神です」
「ああ、阪神ファンなの」
「そうなの」
「サッカーは京都ハープルサンガですが」
 こちらは大阪ではなかった。
「野球も好きですよ」
「何か随分と関西チックな娘ね」
「外見はともかくイギリス人って感じしないわね」
 恵子も理沙も二人で思った。
「何かね」
「あまりそんな感じしなくて」
「関西人って感じよね」
「それも大阪で」
「はい、私大阪大好きですよ」
 エミリーは二人ににこりと笑って答えた。
「大阪の公立高校にも通っていますし」
「大学は八条大学を勧めています」
 エミリーの横からダイアナが言ってきた、四人で閉店後の店で話をしている。
「それで一緒の大学に通おうって話をしてます」
「私も八条大学目指して頑張ってます」
 そのエミリーも言ってきた。
「勉強の方も」
「それは何よりね」
「勉強も頑張ってるなんてね」
「部活も頑張ってます、剣道は二段です」
 エミリーは自分からこのことも話した。
「得意なのは小手面の連続技です」
「ううん、余計にイギリス人に思えないわ」
「そうよね」
 恵子と理沙は二人で話した。
「話せば話す程」
「そんな感じね」
「よく言われます、それでダイアナからお話を聞きましたが」 
 エミリーは二人に目を輝かせて尋ねてきた。
「このお店妖怪いますね」
「ええ、いるわよ」
 恵子はエミリーに納戸を見つつ答えた。
「そこに納戸があるけれどね」
「そこにですね」
「ええ、妖怪が住んでいるのよ」
「ダイアナが言っていました」
「そこを開けたら出るわよ」
 やはり納戸を見つつ言う恵子だった。
「あそこをね」
「そうですか」
「それじゃあ見てみる?」
「はい」
 エミリーの返事は即答だった。
「今からいいですか?」
「ええ、いいわよ」 
 恵子はもうそこに妖怪がいることを知っていてしかもその妖怪が別に害がないのでいいとした、そうして自分から脚立を出してエミリーにそこを上がって見る様に言った。
 そしてエミリーが脚立を使って納戸の扉を開けるとまた納戸婆が出て来た、するとエミリーはその妖怪を見て大喜びだった。 
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