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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百八話

イギリス滞在四日目夜。

「すぅ…すぅ…」

「くぅ…くぅ…」

「うにゅ…」

『で、ますたーはこの幼女ハーレムからどうやって抜け出すつもりなの?』

普通に抜け出すよ。

上に乗ってるエレンを浮かせ、リムと円香に抱きつかれている両腕を解く。

そのあとでエレンを下ろせば、はい終わり。

ほらな?

『でも、円香が起きちゃったみたいだよ?』

それくらいどうとでもなるさ。

『俺』だぞ?

「おにーちゃん……?」

「少しトイレに行くだけだよ」

【邪眼】解放。

「だからさ、寝てていいよ」

カクン、と円香が意識を失って、再び静かな寝息をたて始めた。

『ますたーが「身内」に邪眼を使うなんてね。
それも光波振動じゃなくて、「本物」の邪眼を』

制御はできてる。何の問題もない。

『よう…一夏。ずいぶんと面白ぇ物持ってるじゃねぇか』

奏…起きてたのか。

『あたりめぇだろうが。先輩殿が今日は寝るなとうるさいんでね』

『ますたーに何かあったら奏も困るでしょ』

『まぁ、そうなんだがよ』

さて、つぎは…

「奏。出てこい」

影からスッと奏が出てくる。

首を傾け、奏に差し出す。

「血をくれてやる。『好きなだけ』飲め」

「正気か?」

「ああ。正気だ」

奏が俺に抱きつき、首筋に牙を突き刺す。

体から血が抜かれていく脱力感とは真逆に、体の奥底から力が溢れ出す。

やがて、奏の背が高くなり150センチ程になった所で牙が抜かれた。

「ここら辺にしとくぜ。あんまり吸うと、存在力まで奪っちまいそうだ」

奏が抱擁を解く。

どうやら今のコンディションが奏と俺がそれぞれの最高値らしい。

奏が再び影の中へ潜る。

「じゃぁ、行くか。オルコット城へ」

side out







オルコット城 地下

そこでは一人の気の弱そうな男が複数人の女性と話していた。

男の目の前には白衣を来た女が立っており、その後ろに武装した十数名の女達が控えていた。

「ヴィーティング殿。本日は誠にありがとうございます」

「いえ、我々も仕事ですから」

ファントムタスクのヴィーティングは、とある手術を行う為にイギリスのオルコット城へ来ていた。

ヴィーティングというのは魔剣の名前でありあらゆる傷を癒す剣だ。

そしてそのコードネームを与えられたこの女は元医師の、科学者だった。

その専門は遺伝子工学から機械工学まで多岐に渡る。

「我々も。新世代ISの可能性をみたいのですよオルコット卿」

「それでエクシアが助かるなら。願ってもないことです」

今回彼女は心臓に大病を患った少女を『治療』するために来ていた。

(治療とは名ばかりの『人体実験』ですが、組織が全面バックアップしてくれるなんてついてますね)

「ところで、そのエクシアという少女は何処に?」

「こちらです」

オルコット卿がヴィーティング達を案内したのは、オペ室のような部屋だった。

その部屋のベッドの上には病衣をまとい、コードに繋がれた少女が横たわっていた。

「ほう。彼女が…」

「はい!ヴィーティング殿!どうかエクシアを救って頂きたいのです!
彼女はオルコット家に永年支えた男の忘れ形見なのです!」

「ええ、全力をつくします」

ヴィーティングがオペの準備を始めた。

「オルコット卿。出ていてください」

「うむ。邪魔をするのは良くないな」

「それと朝には終わっていますのでご安心を」

「期待してますヴィーティング殿」

オルコット卿が手術室から退室した。

「レナ。貴女達は部屋の前で警護をしてください」

「イエス、マスター」

レナと呼ばれた女が部屋の外へ出る。

残ったのは、ヴィーティングと残り二人。

「スコール、オータム。貴女達は門の前ですよ」

「はぁ?ふざけんななんでアタシらが外なんだよ?
頭湧いてんのか?」

「オータムの意見に賛成ね。常識的に考えてISを持っている私達が最終防衛ラインを持った方がいいわ。
完全展開できずとも部分展開とエネルギーシールドは展開できるもの」

「私のラボを一つ潰された挙げ句検体をうばわれたのをお忘れですか?
コードネーム持ちが聞いて呆れます」

「それはテメェの所の研究員が反乱防止とか抜かして全部没収したからだろうが!」

「言っても無駄よオータム。この女は誰も信用してないもの。
さぞかし悲しい過去があったのでしょうね」

すると丁寧な口調で話していたヴィーティングがスコールをにらみつけた。

「黙れ…!」

「あら怖いわ。いきましょオータム。こんな危ない女のヒステリーに付き合ってられないわ」

スコールがオータムの手を握って部屋の外へ出ようとした時、ヴィーティングがメスを投げつけた。

しかしそれはエネルギーシールドに弾かれ、スコールとオータムに届きはしなかった。

「テメェ…!」

「いいのよオータム。ガキの癇癪に付き合っていたら疲れるだけよ」

そうして、部屋にはヴィーティングだけが残された。




side in

部屋から出ると、銃口を向けられた。

「撃ちたいならどうぞ? 跳弾で仲間を殺したいならね」

オータムの手を引いて、地上への階段を昇る。

「気に入らねぇ…あの女」

オータムは、元は大企業の令嬢。

だけど、ライバル社の雇った暗殺者に親を殺された…

親を失う悲しみを、家族を引き裂かれる苦しみも痛みも知っている。

オータムとヴィーティングは、相容れないでしょうね…

オータムには未だに『良識』が残っている。

だから、あのときヴィーティングのラボではオリムラ・イチカへ食事を持っていくとき、研究員から渡された筋弛緩剤入りの食事と持ち込んだ缶詰と炭酸水を入れ換えた。

それ以前に、オリムラ・イチカを拉致した時しっかりと縛らなかった。

オータムが言うにはオリムラ・イチカは細工をしていたのに逃げなかったらしい。

研究所へ行くのが目的だとでも言うかのように…

そうして、『検体』つまりオリムラ・イチカは奪われた。

私達が駆けつけた時には戦闘は終了していた。

あんな真似ができるのは、それこそISの産みの親たるプロフェッサー・タバネだけだろう。

ただ、気になるのは地下深くまで空いた穴と、『IS同士が戦った』ような跡だ。

まるで何かを運び出す為に開けたような大穴…

考え事をしていると、階段を登り終え、城の一階に出ていた。

「やぁスコールさん。警備ですか?」

オルコット卿が階段脇の椅子に座っていた。

余程あのエクシアという少女を心配しているらしい。

いい城主様ね…

「ええ、そうですオルコット卿」

「お仕事お疲れ様です」

オルコット卿に答えたのは、オータムだった。

「仕事だからな」

『仕事だから』、それは割り切るための言葉。

オータムも最近はある程度割りきれるようになっている。

でも、それでも不安はかわりないのよね…

「いくわよオータム」

「おう」

外に…城門の前に陣取る。

「オータム」

「んだよ?」

「敵が来る前に逃げましょう」

「はぁ?」

「いい?私達は既にブリュンヒルデとレニユリオンの怒りに触れているの」

オリムラ・イチカを奪還したのは恐らくあの二人。

そして、仮にヴィーティングを急襲するとしたら、彼女達以外にありえない。

あの二人に勝てるはずがないわ…

「そう…だな」

「だから、敵が来る前に……ッ!?」

気温がガクッと下がったような気がした。

「おい…スコール」

「ええ、おそかったようね…」

圧倒的な威圧感。大切な物を握られているかのような恐怖感。

その根元は、闇だった。

月明かりをの中を悠々と進む闇。

シルエットがはっきりしない、かろうじて人型とわかる黒々とした闇。

ただ、闇の中に二つの光が見える。

それはまるで、瞳のようだった。

「もう…逃げられないわ」

「ああ…戦うしかねぇみてぇだな…」

「「ラファール!」」

ISを纏い、ガトリングを『敵』に向ける。

「なっ!?ロック出来ねぇだと!?」

普通なら出る筈のレティクルが出ない。

「故障!?こんな時にかよ!?」

「オータム!目測でいいから牽制!」

射撃を始めたが、効果があるように見えない。

弾は当たっている筈なのに、闇はうろたえない。

こちらへ近づいてくる一方。

まるで弾がすり抜けているか、当たる直前で消えているような…

刹那、とてつもない衝撃を受けた。

あちらが反撃してきたのだ。

その衝撃はエネルギーシールドに阻まれたものの、城門に叩きつけられた。

「スコール!?」

望遠モードでハイパーセンサーを使うと、闇がこちらを睨んでいた。

「っ!?」

全てを見透かされたような、全てを貫かれたような…そんな感覚。

目の前に大きな物…ラファールがたっていた。

オータムが私の盾になるように立っている。

「なにしてるのオータム!逃げなさい!」

「やだね!お前を置いて逃げれるかよ!」

「<すばらしい愛だな。オータム》}

声が響いた。

くぐもったようで、機械音声のようで、澄んでいるようで、男のようで、女のようで、よく通る不思議な声。

ハイパーセンサーの視界から、闇が消えた。

「な!どこ行きやがった!?」

〔【ここだよ》〉

気づけば、闇が目の前…私とオータムの間にたっていた。

「テメェいつの間に!?」

オータムが振り返り、闇にガトリングを突きつける。

≪〔一つ問う。お前達は望んでここにいるのか?それとも上の命令でか?」>

「上からの命令よ…でなければあんな女の警備なんてしないわ」

〔(そうか。なら…お前達はファントムタスクに忠誠心はあるか?
ないのなら、俺の下僕になれ。そうすれば命だけはたすけよう]』

オータムが私をじっと見つめる。

転落したオータムを助けたのは…私。

きっとオータムは組織への忠誠ではなく、私に対する信頼で組織にいる。

私は…組織に恩義がある。

でも…そんな物はオータムにくらべれば…

「ある。でもオータムの為ならいいわ」

闇がかき消えた。

月光を吸い込む漆黒の髪。

宝石よりも輝く黄金の瞳。

「これで契約は成された!俺の駒になれ!
モノクローム・アバター!」

「お…オリムラ・イチカ……!?」
 
 

 
後書き
次回はR18(グロ)の予定なのでR18の方へ投稿します。 
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