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188部分:ラグナロクの光輝その四十二


ラグナロクの光輝その四十二

「ニーベルング族についても。彼のこともわかりましたよ」
「そうですか、全てが」
「もっとも彼のことやニーベルング族のことは彼自身がかなり語ってくれたことですがね」
「そのうえでお話しますが」
「はい」
 パルジファルも六人もワルキューレ達が次に何を言うのかわかっていた。そのうえで耳を澄ませた。
「我々はそれでも戦わなければなりません」
「アース族の為に」
「そう取られても構いません」
 ここは開き直りも仕方がなかった。
「ですがあの男を放っておくと」
「わかっております。彼は危険です」
 それは七人がよくわかっていた。
「あの男には人としての感情は乏しい」
「そのうえに強烈な、怨念に似た野心と欲望を持っている」
「そしてその統治は苛烈でニーベルングによりニーベルングだけの支配だ。その様なものを許したならば」
「このノルンは暗黒が支配する世界になるだろう」
「その通りです」
 ワルキューレ達は戦士達の言葉に頷いた。
「ですから」
「ニーベルングは銀河の為にも倒されなくてはならない」
「そうでなければ暗黒の帝国が立つ。そうなれば」
「このノルン銀河は暗黒時代となります。それも長い間」
「確かに我々アース族も多くの過ちを犯してきました」
 それを否定することはワルキューレ達でも出来なかった。
「ですがあの男は。この世を治めてはならないもの」
「クリングゾル=フォン=ニーベルングでありアルベリヒでもあるあの男は」
「この銀河の帝となってはならないのです」
「ではもう言うまでもないですね」
 パルジファルはそこまで話が進んでこう言った。
「ヴァルハラで最後の戦いです」
「はい」
「我々は補給と戦力の再編成が整い次第ヴァルハラへ向かいます。その際貴女達にお願いしたいことがあるのですが」
「それは」
「道案内ですよ」
 パルジファルはワルキューレ達に述べた。
「ノルンまでのね。そしてそこを拠点として」
「ラインにいる帝国軍と最後の戦いを」
「帝国はこれまでになく強大な戦力を用意してくるでしょう。そこに辿り着くまでの道を」
「私達に案内して欲しいと」
「そうです。いけませんか?」
「いえ」
 だが九人の戦乙女達はその言葉に首を横に振った。
「是非ともやらせて下さい」
「そしてノルンへ」
「わかりました。それではまたこの場所で」
「一時退かれるのですか?」
 パルジファルは彼女達にそう問うた。すると答えがすぐに返ってきた。
「はい、我々もここまでの戦いでかなりのダメージを受けましたので」
「戦力の再編成だ。ライプチヒまで退く」
「そしてそこで英気を養い」
「またここに来る。そして」
「その時こそ」
「ヴァルハラへ」
 七人と九人の声が一致した。それが何よりの団結の証であった。彼等はここは別れワルキューレ達はノルンへ、七人の戦士達はライプチヒへと退いていった。帝国軍は既にムスッペルヘイムからヴァルハラに至る全ての星系を放棄しだしていた。連合軍はそれ等の星系にそれぞれ艦隊や使者を送り取り込んでいった。こうしてまたしても勢力を回復、増大させ次の戦いに備えていた。同時にライプチヒで今後のことについて話し合っていた。
「まずはヴァルハラまでの全ての星系の解放です」
 パルジファルは自身の宮殿の食堂にいた。そして円卓に座り他の六人と共に食事を摂っていた。その場でこう発言した。
「まずはそれか」
「はい、既にムスッペルスヘイムまでの全ての星系は手中に収めましたが」
 同志達にそう応える。
「まだ多くの星系が残っております。それ等を解放してようやく」
「ヴァルハラだな」
「はい、そう考えております」
 七人の前には料理が一度に並べられている。彼等はそれとワインを飲みながら話をしていた。普段は一品一品出すものだが今回は違っていた。趣向を変えて一度に出してみた。パルジファルのアイディアである。
 
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