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異世界にやってきた俺は、チート能力を駆使して全力でスローライフを楽しむ!

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今後の予定を考える

 後で話を聞くと伝えて俺はその場から跳躍した。
 失敗を悟った……先ほどの彼女曰く、“闇ギルド”の人物たちが逃げるかもしれないからだ。
 漂う気配が、俺としては放っておけないものを感じる。
 
 平穏が欲しかったのになと思うものの、そういえば、先ほどの少女達からこの後、事情を聞くこともできるが……先ほど粘着な罠でアレな姿にしてしまった彼女は“闇ギルド”と言っていた。
 つまり彼女は今回の“敵”となりそうな人物たちに心当たりがありそれを追っている……のかもしれない。
 ひょっとして“闇ギルド”の連中を捕まえて彼女に渡して、後は彼女と囚われの竜であるレオノーラに全部お任せ……もとい押し付けてその場から逃走すれば、俺は平穏なスローライフが送れるのではないか?

 いいことを思いついたと俺は思った。
 後は目の前の敵に集中するのみ。
 まだ宙に浮いている段階だからだろう、木々が生い茂っている関係か視界からは“敵”の姿は確認できない。

「“索敵”……目標はあの、前の世界の“魔王”の気配か」

 そう呟くと同時に周囲を瞬時に探査する。
 目の前に画像として投影する場合と、脳内に情報を現す場合の二パターンができるが、今回は後者にする。
 一緒に戦う仲間がいることが多かったから、前者の魔法を使うことが多かった。

 一人で戦うのは久しぶりで、これはこれで新鮮だ。
 そう思いながら二つの敵の影を俺は捕らえた。
 場所の特定は、可。

 後はその人物たちの装備などを詳しくしらべるのみ。
 目標を固定して、その人物たちの防御などを計測する。

「……かぶっているあの布についている防御を数値化すると……属性耐性……耐火性の魔法……となるとまずは軽く引き裂くようにして防御のその布を壊す形か」

 そう考えて、そこそこ切れ味のいいナイフのような氷を大量に量産し、攻撃すると決める。
 水の魔力に満ちた森なのもあってそう簡単に火は燃え広がらないだろうが、気を付けるに越したことはない。
 何しろ一か月のブランクのおかげで、俺自身だいぶ感覚が鈍っている。

 生み出した魔法攻撃事態をうまく操作と誘導すら出来ない。
 しかも今回は相手が人間だ。

「切れやすい、ここに来たばかりに使ったあの剣は人間相手に使うのは気が引けるしな。それを使わずにいられる状況なら、使わなくていいだろう。……腕を切り落としても後でくっつけられるからなんて言われても、割り切ってできないからなっと」

 そこで俺はようやく湖の反対側の場所にたどり着く。
 ここから目的の“敵”は60メートル離れた茂みの奥。
 今俺の立っている場所から向かって右側の方向だ。

 ここからまっすぐ飛べば、彼らの目の前に一瞬にして俺が現れることになるだろう、そう思って俺は地面を蹴る。
 案の定、

「! だ、誰だお前は!」
「い、一体どこから!」

 焦った二人の男の声。
 年齢は俺よりも数十歳上であるらしい。
 そう思いながら俺は、

「“氷の騎刀”」

 そう呟いて大量の氷のナイフのようなものを呼び出して一斉に攻撃する。
 目的はまずその被り物による防御力の減少。
 瞬時にそれらの被り物が引き裂かれて中から男の顔が見える。

 その瞳には暗い影が揺らめいているのを見て、アレと同じだと俺は確信しつつ、

「魔法の感覚もだいぶ戻ってきたか? さてと、あと一つ。“風の拳”」

 そう言って俺は、風の塊をぶつけてそこにいた“敵”二人を気絶させたのだった。
 
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