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白き竜の少年 リメイク前

作者:刃牙
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第二次試験 死の森‼︎

第二試験会場 死の森

そこに32組・・・・・・96名もの忍達が足を踏み入れていた。目指すは森の中央にある塔。森の中で彼らは敵が持つ天地どちらかの巻物を奪い合う。5日以内に天地の巻物一式を揃えて、班員が誰一人欠ける事なく塔に持って行く事が合格する為の条件だ。しかし、このサバイバルでは自身が捕獲者となり、餌となる。気を抜く事は許さない。それが死に直結するからだ。それは下忍の中で頭一つ飛び抜けている彼らも同様だった



死の森でレツが倒れ伏す忍から巻物を奪っていた。そこには地と書かれた巻物がある。しかし、レツの様子は芳しくない

「こいつは地だぜ・・・・捨てとくか?」

彼らが持つ巻物も地なのである。天で無ければ奪っても合格にはならない。しかし、自分達より強い敵と戦うのを回避する為の交渉に使える可能性はある

「持っていくわよ。交渉とかにも使えるし。私が持っておくから」

「ああ」

彼らは気配を消し、ゆっくりと歩いていた。それにレツは不満というわけではないが、不思議に思っている様子だった

「それにしても。合格出来んのは16チームだけなんだろ?のんびりしてていいのかよ?」

ハルマはレツの問い掛けに答える。勝ちを確信した様子だ

「問題ない。塔で待ち伏せしておけば必ず釣れる」

「塔の近くで待っていれば巻物を揃えたチームが来る。そこに来たチームから巻物を奪えばいいって事よ」

このサバイバルを経験していれば、塔に近付く程彼らは安心して、警戒心は鈍るだろう。そこを6班は狙う、卑劣な戦略だ

「な〜る。超セコい手だぜ」

「狡くても何でも、こんな所で躓く訳にはいかないだろ?俺もお前らも」

ハルマの言葉に二人は頷く。彼らはこの試験にかける思いは強い。自身の存在を認めてもらう為に。それは三人に共通している

「まあな。んじゃ、獲物を探しに行こうぜ」

「その前に俺の相手をしてもらおうか?」

謎の声と共に襲い掛かる水流。三人は木の上に飛び乗る事で回避する

「お前らがシリュウとダイゴをやったっていう奴らだな」

筋肉隆々という程ではないが、引き締まった肉体を持つ銀髪の男。二人を知る事からも明らかにただ者ではないと感じ、三人の警戒心は高まる

「お前、何者だ!」

「俺は王虎。黄泉っていう組織の一人さ」

「黄泉?」

「まあ、貴様らが知る必要はない」

王虎が一瞬で三人の背後を取る。右腕が膨れ上がり、剛腕と化す。そのまま下に叩きつけられた右腕によって、木は崩壊する。地面に着地した三人は戦闘態勢に入る。彼らは理解した。これは生死をかけた殺し合いであると

「(写輪眼!)」

ハルマは写輪眼を発動し、印を結んで左手に力を込める

「千鳥!」

高速のスピードで王虎に迫る。しかし、王虎はそれを寸前のところで躱し、更に元に戻した右手で手裏剣を投擲した。ハルマがそれを避けると彼は感心した様子を見せる

「ほう。やはり写輪眼の反応速度は素晴らしいな」

「火炎変化・焔の矢(ほむらのや)‼︎」

「八卦空掌‼︎」

レツが放った焔の矢はカナの八卦空掌によって勢いを増す

「こいつは‼︎」

王虎は素早く印を結び、術を発動する

「(水遁・水陣壁‼︎)」

水の壁に阻まれ、焔の矢を防いだ王虎はレツを興味深そうに観察する。口端は上がり、喜びを隠し切れない様子を見せる

「それにしても驚いたぞ。あの業魔の一族の生き残りがいたとはな」

「そして、千手とうちは。二つの血族を持つ者に日向の女か」

何て巡り合わせだろうなと小さく呟く王虎は彼らを実験対象と見なしているような口ぶりで話していく

「貴様らの力。興味深い」

ハルマが巻物を取り出し、夜桜を口寄せする。黒い刀身は雷を纏い、光を帯びた

「それは夜桜か・・・・なるほど。あのヒカルを倒したのか」

力の籠った、覚悟を秘めた眼が王虎を射抜く。もう、ハルマは自身が死ぬ覚悟を決めていた。そして相手を殺す覚悟さえ持ち始めている。覚悟を決めた相手が強い事を知っている王虎は遊びのような気持ちから、段々と戦いに気持ちを切り替えていこうとしていたのだが、何となく気乗りがしない。自身の感情に違和感を持ちながら、王虎は彼らと戦っていた

「倒したんじゃない・・・・全てを託していったんだ!」

ハルマが王虎に接近し、夜桜を腹部に向かって水平に斬りつける。それは身体をくの字にする事で躱されたかのように思われた

「惜しいな・・・・ぐっ⁉︎」

冷静に呟いた王虎の腹部に衝撃がくる。一筋の切り傷。ハルマの攻撃が当たった事を示す傷がそこにあった

「(何だと?躱した筈だが)」

王虎が戸惑っているとカナが、遠距離から真空の衝撃波が放たれる

「八卦空掌‼︎」

カナの八卦空掌が当たると同時に、接近したレツの炎の拳が王虎を襲う

「火炎拳‼︎」

吹き飛ばされる王虎。しかし、彼は笑っていた

「なるほど。興味深いな」

「さっきからそればっかだな」

呆れた様子でレツが呟く。王虎は起き上がり、右腕が斧を模った

「しかし本当に興味深い力だ。特に千手ハルマ。俺が躱した筈の攻撃をどうやって当てた?」

「何を言ってる?」

「・・・・・・ただのまぐれか。だが、この俺に一介の下忍が傷を負わせたのだ。褒めてやろう!そして褒美に俺の力の一端を見せてやる‼︎」

未知の術。未知の力。彼らのもつ才が王虎の心を昂らせる。これ程の高揚感を覚えるのはいつぶりか。王虎は子供のようにはしゃぎながらも最悪の力を振るう為、右の親指を噛み、印を結んでいった

「力を抑えているとはいえ、これを止めるには少々骨が折れるぞ」

そして王虎は術を発動させる

「口寄せの術‼︎」 
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